(3074) エスター
【監督】ジャウム=コレット・セラ
【出演】ベラ・ファミーガ、ピーター・サースガード、イザベル・ファーマン、CCH・パウンダー、アリアーナ・エンジニア
【制作】2009年、アメリカ
孤児を引き取った一家に起こる惨劇を描いたホラー作品。
三人目の子どもを流産したケイト・コールマン(ベラ・ファミーガ)は、アルコール障害と戦いながらその死を乗り越え、夫のジョン(ピーター・サースガード)と孤児院に行く。シスター・アビゲイル(CCH・パウンダー)に出迎えられた二人は孤児院を見学。ジョンは、一人で絵を描いている少女エスター(イザベル・ファーマン)に声を掛けられ、彼女の才気に惹かれる。ケイトも彼女を気に入り、エスターを養子として家族に迎え入れることにする。
長男のダニエル(ジミー・ベネット)はエスターを警戒するが、聴覚障害を持つ妹のマックス(アリアーナ・エンジニア)は、優しく接するエスターになつく。しかし、エスターの子どもらしからぬ言動に、ケイトは次第に不信感を募らせるようになる。ケイトはジョンにエスターのことを相談するが、ジョンはエスターを信じて疑わない。
ケイトの家にシスター・アビゲイルがやって来る。孤児院に連れ戻されると考えたエスターは、アビゲイルの帰り道で待ち伏せ、彼女の運転する車の前にマックスを飛び出させ、彼女を轢きそうになって車を降りたアビゲイルを、背後からハンマーで殴り殺す。マックスはエスターに共犯だと脅され、口封じされる。ダニエルはマックスとエスターが一緒にいるところを目撃するが、その夜、エスターに刃物を突き付けられて脅され、逆らえなくなる。
ケイトは自らエスターの出自を調べ始める。ケイトはロシアの孤児院から来たということだが、その記録はなかった。ケイトはエスターの持っていた聖書を調べ、彼女がエストニアの精神病院にいたことを突き止める。エスターに恐怖を感じたダニエルは、エスターの隠した殺人の証拠を探しに木の上の小屋に入るが、エスターに先回りされ、小屋に火を放たれる。逃げようとしたダニエルは木から落下し、意識不明の状態で病院に運ばれる。マックスたちと病院に待機していたエスターは、隙を突いてダニエルの治療室に潜入し、ダニエルの酸素マスクを外して枕で窒息させる。ダニエルは何とか一命を取り留めるが、マックスからエスターの不審な行動を知らされたケイトは、問答無用にエスターを張り飛ばす。ケイトは病院のスタッフに鎮静剤を打たれ、取り押さえられてしまう。
ジョンと帰宅したエスターは、濃い化粧をして、酔ったジョンを誘惑する。ジョンは養女であるエスターに対して愛情表現を示すが、大人のような誘惑をしてくるエスターに驚き、彼女を拒絶。エスターは部屋に戻り、マスカラで黒く濁った涙を流す。その頃、病院にいるケイトに電話が掛かってくる。エスターがいたエストニアの精神病院からだった。エスターは、実は9歳の少女ではなく、ホルモン異常により成長が遅れた33歳の女、リーナ・クラマーという凶悪な精神病患者だった。ケイトは車を飛ばして家に帰るが、ジョンはすでにエスターに胸をナイフでめった刺しにされて殺されていた。ケイトはマックスを探し出し、家から逃げ出す。警察車両がようやくやって来るが、エスターはナイフを持って氷の張った池の上でケイトに襲いかかる。池の氷が割れ、ケイトとエスターは池の中に沈む。ケイトは何とか氷の上に這い上がり、追いすがるエスターを蹴り飛ばすと、エスターは水の中に消えていく。ケイトはマックスを抱きかかえ、ようやく警察官に保護されるのだった。
エスターの本性が大きな謎となるホラー作品。超常現象は扱っておらず、リアルな連続殺人である。ネタが割れてから考えてみると、エスターのジョンに対する態度、学校でのクラスメイトに対する態度など、一つ一つに納得が行く、うまい作りになっていた。残虐なスプラッタ映画ではなく、ミステリ要素の強い作品だった。本作はAmazonプライムで鑑賞。
【5段階評価】4
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