(3079) ペイ・フォワード 可能の王国
【監督】ミミ・レダー
【出演】ハーレイ・ジョエル・オスメント、ケビン・スペイシー、ヘレン・ハント、ジェイ・モーア、デビッド・ラムゼイ、ジョン・ボン・ジョビ
【制作】2000年、アメリカ
よいことを他の人にしていくというつながりを実践しようとした少年と家族の運命を描いた作品。
中学1年生のトレバー(ハーレイ・ジョエル・オスメント)は、アルコール依存症を克服しようとしている母親アーリーン(ヘレン・ハント)と二人暮らし。夫のリッキー(ジョン・ボン・ジョビ)は妻へのDV癖があり、家を出ていた。トレバーの新しい担任シモネット(ケビン・スペイシー)は生徒たちに、社会を変える行動を実践しようという課題を提示する。トレバーは、周囲の3人によいことを行い、その3人が次の3人によいことをするという、「ペイ・フォワード」という活動をしようと考える。発想がユートピアすぎると生徒に批判されながらも、トレバーはホームレスを家に招いて仕事を与えたり、善行を始める。
トレバーは、いじめられっ子のクラスメート、アダム(マーク・ドナート)を助けようとするが、いじめっ子が怖くてうまくいかず、シモネット先生が自分の母に好意を寄せていることを知り、二人がうまく行くように仕向けるが、シモネット先生は、全身にケロイドがあるというコンプレックスがあり、簡単にはいかなかった。トレバーの父、リッキーが突然家に戻ってきたとき、トレバーは怯えるが、アーリーンはリッキーと再起の道を進もうとする。それを知ったシモネットはアーリーンを強く批判する。シモネットの火傷は、かつてDVを働いていた父が、シモネットにガソリンをかけて火を付けたためにできたものだった。彼はDVを働く者が、ときにしおらしく反省の弁を述べて言い寄ってきながら、突如牙をむくことを、身をもって知っていたのだ。
テレビ記者のクリス・チャンドラー(ジェイ・モーア)は、取材中に自分の車が壊れたときに、通りすがりの男性がジャガーを譲ってくれ、他人にいいことをせよと言ったことに興味を持ち、ロサンゼルスにまで広がっているペイ・フォワードという運動を取材し始め、発端のトレバーにたどり着く。クリスはトレバーのインタビューを行う。トレバーはインタビューの中で、人にいいことをする勇気を持てない人もいて、活動はうまくいかなかったと話す。聞いていたシモネットは、自分がそうだと再認識し、アーリーンに素直に愛を伝える。インタビューを終えて帰ろうとしたトレバーは、アダムがまたいじめられているのを見つけ、逃げずにいじめっ子に立ち向かう。ところがいじめっ子の取り出したナイフがトレバーの腹にささり、トレバーは命を落としてしまう。アーリーンとシモネットが家で悲しみに暮れていると、家の外に人の気配がする。外には蝋燭と献花を持った多くの人々が集まっていた。二人は、トレバーの思いが多くの人に伝わり、広がっていることを実感するのだった。
「シックス・センス」(1999)や「A.I.」(2001)のハーレイ・ジョエル・オスメントが主演。このはかなげな少年は、本作でも悲しい死を迎えてしまう。エンディングは感動的ではあるものの、腹を刺されてあっさり死んでしまう展開は、演出過剰な気はした。父親役でジョン・ボン・ジョビが出演しているが、ちょい役だった。それと、邦題の「ペイ・フォワード」はよいとして、「可能の王国」とは何なのか。王国という言葉を選ぶ感覚は理解できなかった。
【5段階評価】4
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