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2025年10月 7日 (火)

(3193) ともだち

【監督】ジェイミー・ドナウエ
【出演】ラム・ベセリ、アンディ・バジゴラ、クシュトリム・シェレメット
【制作】2015年、イギリス

戦地の二人の少年の運命を描いた作品。21分の短編映画。実話に基づいている。

ある男(クシュトリム・シェレメット)が、道路に捨てられた自転車を見つける。彼は少年時代を回想する。
アルバニア人の少年ペトリット(ラム・ベセリ)には、オキ(アンディ・バジゴラ)という親友がいた。ペトリットは、アルバニア人でありながら、対立するセルビア兵と取り引きして小銭を稼いでいた。ある日、ペトリットが取り引き場所にオキを連れていくと、セルビア人兵士が、甥が自転車を欲しがっていた、と言って、オキが大事にしていた自転車を取りあげてしまう。オキはペトリットを裏切り者だと責め、二人の関係は悪化する。
ある日、二人の乗っていたバスにセルビア兵が乗り込んできて、アルバニア人を車から降ろす。兵士はオキの持っていたアルバニア語の教科書を見つけるが、とっさにペトリットは、それは自分の本だと言って身代わりになる。それを機に、二人の関係は修復。オキは、昔のようにペトリットの家に泊まる。すると、セルビア兵がペトリットの家に乗り込んできて、家族を外に追い出し、ペトリットに銃を向ける。オキはペトリットが隠し持っていた拳銃を兵士に突き付けるが、兵士にあっさりと銃を取り上げられてしまう。そこに別の兵士が現れ、荷物を持って出ていけ、振り返ったら殺すとペトリットたちに告げる。ペトリットの一家とオキは、荷物を持って歩き始める。するとそこに、ペトリットの自転車に乗った少年(アルディット・タヒリ)が現れ、オキとすれ違う。オキは思わず自転車を目で追い、振り返ると、諦めたように前を向く。その直後、オキの頭部を銃弾が貫き、オキは倒れる。セルビア兵がオキを撃ち殺したのだ。冒頭の男は、大人になったペトリットなのだった。

コソボ紛争を題材に、戦争のむごさを切り取った内容。こういった理不尽な殺戮が数多くまかり通っていたことを思わせる。冒頭の男がオキなのかペトリットなのか分からないまま話が進むという、ちょっとしたどんでん返し要素もあった。ただ、少年時代のペトリットと、大人のペトリットは、当然別の俳優だが、顔が似ていて、若干ネタバレになっているのが面白かった。ペトリットとオキの友情にひびが入り、それが修復する過程を無駄なく描いた巧みな脚本だった。

【5段階評価】4

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