【監督】三隅研次
【出演】若山富三郎、富川晶宏、加藤剛、浜木綿子、山形勲、加藤小夜子、名和宏
【制作】1972年、日本
「子連れ狼」シリーズ第三作。「子連れ狼 三途の川の乳母車」(1972)の続編。次作は「子連れ狼 親の心子の心」(1972)。
子連れ狼こと拝一刀(若山富三郎)は、道中、孫村官兵衛(加藤剛)という渡り徒士(かち)に出会う。彼は影流を使う手練れの武士だった。官兵衛と一刀は互いを知っており、官兵衛は一刀に立ち合いを願い出る。一刀は一度は対峙するものの、分けだと言って刀をしまい、立ち去る。
旅の宿で、女衒の文句松(名和宏)に手込めにされそうになったお松(加藤小夜子)は、口に舌を入れてきた文句松の舌を噛み切る。文句松は死んでしまい、下手人となったお松は一刀の泊まる部屋に飛び込む。一刀はお松を匿い、助ける。そこに、木颪の酉蔵(きおろしのとりぞう)(浜木綿子)が子分を引き連れて現れる。酉蔵は仁義を切り、一刀にお松を引き渡すよう頼むが、一刀はそれを拒み、お松が受けるはずの拷問を自ら受け、お松を自由にする。お松は一刀に泣いて感謝する。
一刀の力量に惚れ込んだ酉蔵は、一刀を、父親である元掛川藩筆頭家老、三浦帯刀(たてわき)(浜村純)に引き合わせる。帯刀は、酉蔵の双子の姉を辱めたことに加え、藩を取り潰して天領となし、代官の座に収まった、遠江(とおとうみ)代官、猿渡玄蕃(げんば)を斬ってほしいと一刀に依頼する。
一刀は、玄蕃の家来を次々と倒す。玄蕃は大軍で一刀を迎え撃つが、一刀は乳母車に仕込んだ機関銃で迎撃。大軍を全滅させ、玄蕃を討つ。そこに、孫村官兵衛が現れ、改めて一刀に立ち合いを申し出る。一刀は今度は立ち合いを受け、刀を投げて官兵衛を仕留める。腹に刀が突き刺さった官兵衛は、藩を追われて渡り徒士になった経緯を話す。一刀が、自分も官兵衛と同じ行動を取っただろうと話すと、官兵衛は満足し、一刀に介錯を頼み、果てるのだった。
一刀の戦いぶりは、必ずしも正々堂々としていないのが特徴的。玄蕃の家来で短筒(小銃)使いの朽木六兵衛(草野大悟)には、大五郎が溺れた振りをして、短筒を岸に置いて大五郎を助けようとした六兵衛に、一刀が斬りかかるという、どちらかというと極悪非道なやり口で六兵衛を倒すし、銃で一刀を追い詰めつつも弾切れを起こした玄蕃には、刀ではなく二丁拳銃で銃弾を叩き込む。その方がむしろ、観客は胸のすく思いがするということだろう。武士の魂なんて言われ方もするであろう自分の刀を投げて敵を倒すのも、どうかとは思いつつ、そう言えば、時代劇を見ていると、ときどき「刀投げればいいじゃん」って思うこともあるな。
【5段階評価】3
最近のコメント