(3056) 仕掛人梅安
【監督】降旗康男
【出演】萬屋錦之介、中村嘉葎雄、伊丹十三、藤田進、小川真由美、中尾彬、五代高之、真行寺君枝、宮下順子
【制作】1981年、日本
江戸時代の暗殺者の活躍を描いた時代劇。池波正太郎の小説が原作。
鍼師を表の稼業とする藤枝梅安(萬屋錦之介)は、依頼を受けて暗殺を行う仕掛人としての裏の顔を持っていた。相棒の彦次郎(中村嘉葎雄)と仕事を終えた梅安は、料亭で情婦のおもんと抱き合う。厠に出た梅安は、廊下で安部主税之助(中尾彬)という男が、若い女を手込めにしているのを見かける。女は殺されてしまう。主税之助に手を焼く父親の安部長門守(ながとのかみ)(中村勘五郎)は、主税之助の殺害を裏稼業の元締め、音羽屋半右衛門(藤田進)に依頼する。
長門守の弟、近江屋佐兵衛(伊丹十三)が大阪から江戸にやって来る。佐兵衛は病気で苦しむ妹のお園(小川真由美)に梅安を紹介。梅安は、近江屋が大阪の元締めであることを知りつつ、お園の針治療を請け負う。音羽屋から主税之助殺害の依頼を受けた梅安は、料亭の部屋で寝る彼の殺害を実行するが、その様子を、部屋に隠れていた女中、お咲(真行寺君枝)に見られてしまう。梅安は彼女を殺さず、その場を去る。それを聞いた彦次郎は、お咲を始末するべきと主張。自らお咲の暗殺をもくろみ、彼女を尾行する。お咲は、小杉十五郎(五代高之)という若い侍に会い、小杉は、お咲の弟の宗太郎(島英津夫(えつお))の療治を頼むため、お咲を梅安のもとに連れて行く。お咲と梅安は相手を見て互いに驚くが、主税之助殺害のことは互いに口にせず、梅安は宗太郎を療治する。
元締めの音羽屋が、口封じのため安部長門守の手のものに襲撃される。近くにいた小杉が音羽屋に加勢し、音羽屋は難を逃れる。近江屋は梅安を呼び寄せ、音羽屋を暗殺して近江屋に付くように言うが、梅安はそれを断る。梅安が帰宅すると、お咲がいた。梅安はお咲から、梅安が主税之助を殺したとき、盗みを働くために部屋に隠れていたこと、過去に主税之助に抱かれおもちゃにされたことを告白する。お咲にとって梅安は、恨む相手を殺してくれた人だったのだ。日が暮れると、梅安の家に近江屋の手のが襲いかかる。梅安は逃げるが銃撃で重傷を負い、争いに巻き込まれたお咲は殺されてしまう。瀕死の梅安をお園が見つけ、隠れ家に匿う。料亭に戻ったお園は、兄の近江屋が梅安を探すよう手下に命じているのを見て、梅安を襲ったのが兄であることを知る。お園は梅安のもとに戻り、近江屋とは実の兄妹でありながら男女の関係を持ち、近江屋の呪縛から逃れられずにいることを告白し、自分を連れてどこかに逃げてほしいと懇願する。梅安はそれには答えず、お園のもとから消える。
梅安は、彦次郎、小杉と合流。長門守と近江屋の仕掛けを実行することにする。梅安は、船には乗らないように、という文をお園に届けるが、お園は長門守と近江屋と同じ船に乗せられてしまう。彦次郎が船頭のふりをして乗り込み、小杉は小舟から屋形船に飛び移って手下たちを倒す。梅安は橋から屋形船に飛び移り、長門守と近江屋を殺害。お園は梅安を見て驚く。お園は梅安に抱き寄せられ「嫌なこと苦しいことみんな忘れられる。嬉しい」と言い残す。梅安はお園の首に針を突き立て、命を奪う。小杉の操る船の上で、彦次郎は梅安に「あの人はなんと言ったんだね」と問う。梅安は「ひとでなし」と答えるのだった。
主人公側と悪者側が分かりやすく分かれた勧善懲悪の作品。なぜお咲は梅安のことを誰にも話さないのかという、ご都合主義的状況について、後半で種明かしがある点はよかった。伊丹十三の演じる近江屋が金髪のちょんまげという独特の容貌をしていた。藤枝梅安役の萬屋錦之介と彦次郎役の中村嘉葎雄の風貌が似ているが、二人は実の兄弟。
【5段階評価】3
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