« 2025年5月 | トップページ | 2025年7月 »

2025年6月

2025年6月30日 (月)

(3084) 赤毛のアン

【監督】ケビン・サリバン
【出演】ミーガン・フォローズ、コリーン・デューハースト、リチャード・ファーンズワース、スカイラー・グラント、ジョナサン・クロンビー
【制作】1985年、カナダ、アメリカ

モンゴメリーの小説を映画化した作品。文学を愛する少女の成長を描いた物語。次作は「続・赤毛のアン/アンの青春」(1987)。

プリンス・エドワード島で農業をしているマシュー・カスバート(リチャード・ファーンズワース)とマリラ・カスバート(コリーン・デューハースト)の兄妹は、男の子を孤児院から引き取ることにするが、手違いで女の子のアン・シャーリー(ミーガン・フォローズ)がやってくる。マシューはアンが気に入り、マリラも迷った末に、アンを引き取ることにする。話し好きで勝ち気な性格のアンは、いろいろなトラブルを起こしながらも、人々に愛されていく。同級生のダイアナ・バリー(スカイラー・グラント)とは親友になり、常に成績を競い合うギルバート・ブライス(ジョナサン・クロンビー)も、アンに好意を抱く。アンの担任のミュリエル・ステイシー先生(マリリン・ライトストーン)は、アンを進学クラスに移ることを勧め、マリラは賛成する。アンは優秀な成績でクィーン学院に入学する。そんな中、マシューが死亡。マリラは農場の売却を考えるが、アンは地元に住んで教師となることを決意。ギルバートもそれを応援。アンはようやく、ギルバートの好意を素直に受け入れるのだった。

NHK BSで前後編に分けて放映。もともとはカナダのテレビ番組だが、日本では劇場公開された。アンがプリンス・エドワード島に住むようになるまでのいきさつと、クィーン学院に入学して教師になることを決めるまでが描かれていた。「赤毛のアン グリーンゲーブルズへの道」(2010)で序盤の予習は済んでいたこともあってか、物語にはすっと入って行けた。全体的には幸せな物語。

【5段階評価】3

| | コメント (0)

2025年6月29日 (日)

(3083) おじいちゃんはデブゴン

【監督】サモ・ハン・キンポー
【出演】サモ・ハン・キンポー、ジャクリーン・チャン、アンディ・ラウ、リー・チンチン、フォン・ジャーイーチュー・ユーチェン
【制作】2015年、香港、中国

少女を助けようと奮闘する老人を描いたカンフーアクション作品。タイトルはコミカルだが、内容はシリアス。

認知症の症状が出始めている老人、ディン(サモ・ハン・キンポー)は、かつて孫娘を見失い、行方不明にしてしまった過去を持っていた。彼は孫娘の母親である娘に縁を切られ、一人で孤独に暮らしていた。そんな彼に懐いていたのが、隣の家に住む少女チュンファ(ジャクリーン・チャン)だった。彼女は定職に就いていない父親レイ・ジンガウ(アンディ・ラウ)から逃げるように、ディンの家に出入りしていた。
借金返済を迫られたレイは、マフィアのボス、チョイ(フォン・ジャーイー)に、ロシア人から宝石の入った鞄を盗み出すよう命令される。ロシア人の泊まるホテルに忍び込み、追っ手に追われながらもなんとか鞄を盗み出したチョイだったが、借金をチャラにしてもらえるのではなく返済期限を一週間延ばしてもらうだけだと知り、チョイを裏切り、鞄を持ち逃げする。
チョイはレイの娘チュンファを誘拐しようとして手下を三人送り込むが、ディンが圧倒的な格闘術で彼らを追い返す。ディンはかつて中央警衛局の優秀な隊員だったのだ。レイはしばらく姿を消していたが、ある日、ディンの家に現れると、必ず戻ってくるからしばらく娘を頼むと言って去って行く。ところが、チョイの一味がレイを待ち伏せしており、鞄は奪われ、レイはチョイに刺し殺されて家を焼かれる。
チュンファの姿が消えており、ディンはチュンファを探すためにチョイのあじとに踏み込む。チョイはディンに、出て行かないと殺すぞ、となめた口をきくが、ディンはチョイを殴り飛ばす。チョイが手下たちにディンを倒せと命じるが、手下たちはディンに全く歯が立たない。そこに宝石を奪われたロシアマフィアの猛者が三人やってくる。ロシア人たちはチョイの手勢を皆殺しにし始める。チョイは隙を見て逃げようとするがつかまり、宝石入りの鞄はロシア人に奪われる。ロシア人たちはディンにも襲いかかるが、ディンは一人ずつロシア人たちを倒していく。チョイはなんとか生き延び、その場から逃げるが、ディンは執拗にチョイを追いかける。チョイは手下の二人に出くわし、二人にディンを倒すよう命じるが、その二人はディンにこき使われた恨みがあったため、チョイをめった刺しにして立ち去る。チョイからチュンファの居場所を聞き出すつもりだったディンは、血まみれで動かなくなったチョイを見て嘆き悲しむ。
ディンは、大家さんのポク(リー・チンチン)に導かれ、帰宅する。意気消沈するディンだったが、チュンファは生きていた。友だちの家にいて無事だったのだ。チュンファはいつもように窓からディンの家に入ると、寝ているディンの周りでおどけてはしゃぐ。ディンの口元に笑みが浮かぶのだった。

細切れシーンの連続ではあるが、カンフーアクションは見応えがあり、かっこいい。話をややこしくしすぎたり、感動的にしすぎたりせず、見所をばっちり見せるという、観客の好みのツボを心得ているサモ・ハン・キンポーの真骨頂だろう。邦題に半自動的にデブゴンが付いてしまうのが悲しいところ。少女役のジャクリーン・チャンが、マギー・チャンに面影がとても似ているので、娘ではないかと思って調べたのだが、確認できなかった。

【5段階評価】4

| | コメント (0)

2025年6月28日 (土)

(3082) マイ・インターン

【監督】ナンシー・マイヤーズ
【出演】ロバート・デ・ニーロ、アン・ハサウェイ、レネ・ルッソ、アンダーズ・ホーム、ザック・パールマン、クリスティーナ・シェラー
【制作】2015年、アメリカ

シニア・インターンに採用された男性と、新興ファッション企業を経営する女性との交流を描いた作品。

会社を引退し、妻に先立たれたベン・ウィテカー(ロバート・デ・ニーロ)は、ファッション系ネット販売会社のシニア・インターン募集のチラシを見つけ、応募する。ベンは、若者のデイビス(ザック・パールマン)たちとともに採用され、会社を立ち上げた女性、ジュールズ・オースティン(アン・ハサウェイ)の直属となる。ジュールズははじめはベンに全く期待せず、何も仕事を与えなかったが、ベンは周囲のスタッフの困りごとを助けたり、ちらかったデスクを片付けたりして、ジュールズの目に止まるようになる。ジュールズのドライバーが運転前に飲酒しているのを見つけたベンは、それとなく運転を代わり、ジュールズのドライバーを務めるようになる。ベンは会社のマッサージルームを担当しているフィオナ(レネ・ルッソ)と懇意になる。
ジュールズは仕事が忙しいあまり、専業主夫になった夫のマット(アンダーズ・ホーム)や娘のペイジ(ジョジョ・クシュナー)と過ごす時間を十分に取れずにおり、しかもマットはペイジの通う幼稚園のママ友と浮気をしていた。ジュールズは、自分の多忙を緩和するために外部からCEOを雇うかどうか悩んでいた。ベンは、自分のしたいことをやるのがいいと助言する。外部CEOの受け入れを望んでいたマットは、ジュールズの会社に現れ、浮気を終わらせたことを告白し、関係修復を求める。ジュールズは、ベンとともに公園で太極拳を始めるのだった。

ベテランのベンが、自分の経験を生かして、若い会社で思わぬ活躍をするというような話を期待し、序盤はその期待が膨らむのだが、後半はジュールズの家庭の問題に入り込み、仕事の経験というより老人が自分の意見を述べているだけになる。ハッピーエンドで結構なことだが、結婚後の人生観なんて人それぞれで正解があるわけでもない。特段の機転もなく、悩み事をなんでも解決してしまう、薄っぺらなドラマになってしまっていた。

【5段階評価】2

| | コメント (0)

2025年6月27日 (金)

(3081) 櫂

【監督】五社英雄
【出演】十朱幸代、緒形拳、石原真理子、名取裕子、草笛光子、高橋かおり、真行寺君枝、白都真理、ハナ肇、左とん平、島田紳助
【制作】1985年、日本

女衒の妻の生き様を描いた作品。宮尾登美子の小説が原作。

大正3年の高知。女衒の富田岩伍(緒形拳)の妻、喜和(十朱幸代)は、長男の竜太郎、次男の健太郎とともに夫の帰りを待っていた。岩伍は、旅先で身寄りのない少女を10円で買い、菊と名付けて、喜和に育てさせる。岩伍は裏長屋で貧乏暮らしをしている中川家の少女、豊美を買い取り、大貞楼(だいさだろう)の大貞(草笛光子)に芸妓修行に出す。
12年が経ち、菊(石原真理子)は美しく成長。豊美は岩伍のお眼鏡通り、染勇(名取裕子)という高知一の芸妓になる。岩伍は女義太夫の興行に手を出し、大阪から引き抜いた巴吉(ともきち)(真行寺君枝)は、呂昇(ろしょう)の再来ともてはやされる。岩伍は巴吉をはらませる。大貞は、妾の子は本妻が育てるのだと喜和に告げるが、喜和は拒絶する。
成長した健太郎(田中隆三)は、賭場に出入りするようになる。止めに入った竜太郎(井上純一)は賭場の者に暴行され、肺病もたたって死んでしまう。岩伍は巴吉の生んだ娘に綾子と名付け、乳母を雇って育て始める。喜和は綾子に情が移り、自ら我が子のように育てるようになる。
10年が経ち、綾子(高橋かおり)は喜和を慕う少女に成長する。岩伍は商売敵の谷川(成田三樹夫)の手下に襲撃され、岩伍を乗せていた車屋が殺されてしまう。喜和は子宮筋腫を患い、入院。岩伍は車屋の妻、照(てる)(白都真理)を家に招き、情婦にする。岩伍は、健太郎を使って綾子を引き取ろうとするが、喜和は綾子を連れ戻し、封筒貼りで生計を立てて綾子と暮らし始める。岩伍は、喜和と綾子の住む家に出向き、綾子を無理矢理連れ帰ろうとするが、喜和を慕い父を憎む綾子は「死にや!」と叫んで岩伍の手を短刀で刺す。岩伍は喜和をなじり、実の娘ではないからこんな育て方ができたのかと捨て台詞を吐いて立ち去る。岩伍の暴言で、綾子は喜和が実の母親ではないことを知らされる。喜和は一人で綾子を育て続けることを諦め、車で綾子を岩伍の家まで送ると、立ち去るのだった。

女衒の妻である喜和の波瀾万丈の半生を描いている。実の息子の竜太郎は亡くなり、健太郎は夫のような粗野な男になる。血の繋がらない菊と綾子には懐かれるが、病のために彼女たちとともに暮らす道も断たれる。次々と女の人生を食い物にするような夫と打算的にともに生きる道を選ばず、一人で人生を歩んでいくことを決める姿は尊い。作品中、十朱幸代や真行寺君枝、白都真理の濡れ場がある。

【5段階評価】3

| | コメント (0)

2025年6月26日 (木)

(3080) 北の螢

【監督】五社英雄
【出演】仲代達矢、岩下志麻、露口茂、成田三樹夫、夏木勲、夏木マリ、早乙女愛、隆大介、佐藤浩市
【制作】1984年、日本

北海道開拓に駆り出された囚人と典獄(刑務所長のこと)を描いた作品。

明治時代、北海道開拓のため、囚人が送り込まれた。樺戸集治監(かばとしゅうちかん)の典獄、月潟(仲代達矢)は、囚人にも看守にも手厳しい方法で開拓を進める。そこに、雪の中で行き倒れになっていた芸妓、中村ゆう(岩下志麻)が運ばれてくる。月潟はゆうを抱き、我が物にする。ゆうが月潟に接近したのは、囚人の男鹿(露口茂)の赦免を求めてのことだった。ゆうは男鹿に接見するが、男鹿は赦免を求めず、ゆうに月潟を刺せと命じる。
敵の多い月潟は刺客に襲われ、視力を失う。ゆうは月潟を刺そうとするができない。月潟は、ゆうが自分に惚れていることを見抜く。男鹿は仲間とともに、道路工事現場で反乱を起こし、破獄をなす。道中、男鹿は、ゆうを連れて道路工事現場に向かう月潟を見つけ、彼らを拘束する。彼らの泊まった小屋をヒグマが襲い、男鹿らは何とか脱出。道に迷った末に彼らがたどり着いたのは、もとの樺戸集治監だった。ゆうを失い、絶望した男鹿は拳銃で自害。集治監に戻った月潟は、新たな典獄に就いた湯原(小池朝雄)に長生きしろと捨て台詞を吐くと、鍵を雑居房に投げ入れ、囚人たちを脱走させ、ゆうのもとに戻る。ゆうは蛍が見えるとつぶやき、月潟と座敷踊りに興じる姿を夢見るのだった。

夏木マリや早乙女愛の見事な裸体が拝める作品。男鹿を助けたい一心で北海道にやって来たゆうが、月潟という冷血漢に心変わりするのが全く理解できなかった。途中で出てくるヒグマも、全く意味不明。「デンデラ」(2011)なみのトンデモ展開で、作品の質がここだけ劣化していた。
森進一の「北の螢」は名曲。

【5段階評価】3

| | コメント (0)

2025年6月25日 (水)

(3079) ペイ・フォワード 可能の王国

【監督】ミミ・レダー
【出演】ハーレイ・ジョエル・オスメント、ケビン・スペイシー、ヘレン・ハント、ジェイ・モーア、デビッド・ラムゼイ、ジョン・ボン・ジョビ
【制作】2000年、アメリカ

よいことを他の人にしていくというつながりを実践しようとした少年と家族の運命を描いた作品。

中学1年生のトレバー(ハーレイ・ジョエル・オスメント)は、アルコール依存症を克服しようとしている母親アーリーン(ヘレン・ハント)と二人暮らし。夫のリッキー(ジョン・ボン・ジョビ)は妻へのDV癖があり、家を出ていた。トレバーの新しい担任シモネット(ケビン・スペイシー)は生徒たちに、社会を変える行動を実践しようという課題を提示する。トレバーは、周囲の3人によいことを行い、その3人が次の3人によいことをするという、「ペイ・フォワード」という活動をしようと考える。発想がユートピアすぎると生徒に批判されながらも、トレバーはホームレスを家に招いて仕事を与えたり、善行を始める。
トレバーは、いじめられっ子のクラスメート、アダム(マーク・ドナート)を助けようとするが、いじめっ子が怖くてうまくいかず、シモネット先生が自分の母に好意を寄せていることを知り、二人がうまく行くように仕向けるが、シモネット先生は、全身にケロイドがあるというコンプレックスがあり、簡単にはいかなかった。トレバーの父、リッキーが突然家に戻ってきたとき、トレバーは怯えるが、アーリーンはリッキーと再起の道を進もうとする。それを知ったシモネットはアーリーンを強く批判する。シモネットの火傷は、かつてDVを働いていた父が、シモネットにガソリンをかけて火を付けたためにできたものだった。彼はDVを働く者が、ときにしおらしく反省の弁を述べて言い寄ってきながら、突如牙をむくことを、身をもって知っていたのだ。
テレビ記者のクリス・チャンドラー(ジェイ・モーア)は、取材中に自分の車が壊れたときに、通りすがりの男性がジャガーを譲ってくれ、他人にいいことをせよと言ったことに興味を持ち、ロサンゼルスにまで広がっているペイ・フォワードという運動を取材し始め、発端のトレバーにたどり着く。クリスはトレバーのインタビューを行う。トレバーはインタビューの中で、人にいいことをする勇気を持てない人もいて、活動はうまくいかなかったと話す。聞いていたシモネットは、自分がそうだと再認識し、アーリーンに素直に愛を伝える。インタビューを終えて帰ろうとしたトレバーは、アダムがまたいじめられているのを見つけ、逃げずにいじめっ子に立ち向かう。ところがいじめっ子の取り出したナイフがトレバーの腹にささり、トレバーは命を落としてしまう。アーリーンとシモネットが家で悲しみに暮れていると、家の外に人の気配がする。外には蝋燭と献花を持った多くの人々が集まっていた。二人は、トレバーの思いが多くの人に伝わり、広がっていることを実感するのだった。

シックス・センス」(1999)や「A.I.」(2001)のハーレイ・ジョエル・オスメントが主演。このはかなげな少年は、本作でも悲しい死を迎えてしまう。エンディングは感動的ではあるものの、腹を刺されてあっさり死んでしまう展開は、演出過剰な気はした。父親役でジョン・ボン・ジョビが出演しているが、ちょい役だった。それと、邦題の「ペイ・フォワード」はよいとして、「可能の王国」とは何なのか。王国という言葉を選ぶ感覚は理解できなかった。

【5段階評価】4

| | コメント (0)

2025年6月24日 (火)

(3078) Eternal Love

【監督】アリス・ハラリ、ティボー・マルタン
【出演】ジャック=アンリ・デルカン、アンドレ・ダマント、ナタリー・カヌイ
【制作】2015年、フランス

老紳士と老婦人の恋を描いた作品。9分の短編映画。

高齢者施設で、女性職員(ナタリー・カヌイ)が老紳士のアルマン(ジャック=アンリ・デルカン)に声を掛ける。アルマンは庭いじりをしている老婦人、コレット(アンドレ・ダマント)を見かけ、目を奪われる。アルマンは、彼女は新人か、と職員に尋ねると、職員はそうかも、と答える。アルマンはコレットに声を掛ける。ぎこちない会話が始まるが、やがてアルマンはコレットを誘って散歩を始める。アルマンはコレットのほほにキスをして別れる。それでもアルマンはコレットが気になり、君の笑顔を見たいと言って二人は再び寄り添い合う。その様子を見ていた女性職員は、二人は結婚して50年になる夫婦で、互いを覚えていないが、何度でも出会うのだ、と同僚に説明する。二人は手を取り合って歩き出すのだった。

短期間しか記憶を保てなくなった二人が、何度も初恋の気持ちで出会いを繰り返すというお話。最初は、老人が老婦人に言い寄る、なかなか痛い話かと思ったが、もっと清々しい物語だった。

【5段階評価】3

| | コメント (0)

2025年6月23日 (月)

(3077) 卒業白書

【監督】ポール・ブリックマン
【出演】トム・クルーズ、レベッカ・デモーネイ、カーティス・アームストロング、ジョー・パントリアーノ、ニコラス・プライアー
【制作】1983年、アメリカ、ドイツ

男子高校生の性と進学に奮闘する様子を描いた青春映画。

高校生のジョエル・グッドソン(トム・クルーズ)はプリンストン大学への進学を目指しているが、成績は今ひとつ。ジョエルの父(ニコラス・プライアー)と母(ジャネット・キャロル)が旅行に出かけたため、ジョエルは、コールガールを呼ぶ。ジョエルのもとに、ラナ(レベッカ・デモーネイ)という美女が現れ、ジョエルは夢のような夜を過ごすが、お金がなかったため、ラナはジョエルの母のクリスタルの置物を持ち帰ってしまう。ジョエルは友人のマイルズ(カーティス・アームストロング)とラナを探す。二人はレストランでラナを発見する。ジョエルに気づいたラナは、ジョエルの車に乗り込む。すると、グイド(ジョー・パントリアーノ)というラナのマネージャーがラナを追いかけてくる。ジョエルは父親のポルシェでグイドを巻く。
ラナとの仲が深まったジョエルは、ラナの仲間とマリファナをやるが、ジョエルはラナと喧嘩してしまう。さらに、乗ってきたポルシェのサイドブレーキが効かずに動き出し、水の底に沈んでしまう。ポルシェの修理のお金が必要になったジョエルは、ラナと共謀して自宅でパーティを開く。そこにプリンストン大の面接官(リチャード・メイサー)がやってきて、ジョエルに質問を始める。ジョエルはやけくそになり、自分はイエール大学に行くと叫んでしまう。
パーティは大成功を収め、ジョエルはラナに誘われ、地下鉄の中で抱き合う。ジョエルが帰宅すると、家具がグイドに持ち去られていた。グイドはジョエルに家具を買い戻させる。ジョエルは必死で家具を家に運び直し、親の帰宅になんとか間に合わせる。父親はジョエルに、何か言うことがあるのでは、と問いかける。ジョエルがしらばっくれると、父親は、プリンストン大学から、ジョエルがぜひ欲しいと連絡があった、と告げる。ジョエルは自由企業研究の成果として、一晩で8,000ドル稼いだことを報告するのだった。

親が旅行に出かけ、ジョエルが一人、自宅でワイシャツとパンツ姿で踊りまくるシーンが有名。レベッカ・デモーネイ演じるラナの絶世の美女ぶりも見所。一方、作品としては、意味が分かりにくく、モヤモヤする作りだった。ポルシェが突然動き出したのはなぜなのか、ラナがなぜジョエルを誘惑したのか(金のためだとしたら高校生にたかるだろうか)、ジョエルはどうやって一晩で8,000ドル稼いだのか、ラナとグイドの関係は実際なんだったのか、肝心なところの説明が省略されてて想像任せになっていた。

【5段階評価】2

| | コメント (0)

2025年6月22日 (日)

(3076) おまえの親になったるで

【監督】北岸良枝
【出演】草刈健太郎、草刈保廣、草刈弘子、中井政嗣、リョウタ(仮名)、永谷博司、チェイス・ブラムレッジ、タイチ、ケンゴ
【制作】2024年、日本

犯罪者の更生を支援する男性を追うドキュメンタリー作品。

千房の中井政嗣社長(当時)が発起人となって立ち上がった職親(しょくしん)プロジェクト。妹の草刈福子さんを外国人の夫に殺された草刈健太郎氏は、このプロジェクトに参加。ギャンブル依存症のリョウタは、草刈氏に身柄を引き受けてもらうが、ギャンブルに依存し、お金を盗んでしまう。草刈氏は彼の社会復帰のために奔走する。草刈氏はこのほか、被害者遺族に会ったり、刑務所で講話をしたり、様々な活動を行う。東北少年院を訪れた草刈氏は、受刑者のタイチに、家族になったるわ、と言い、タイチは涙ぐむ。草刈氏は、出所したタイチを引き取り、やがてタイチは子どもを授かる。しかしタイチは家庭内暴力を振るってしまう。兄のケンゴがタイチを引き取り、自分の元で仕事をさせる。ケンゴが5歳、タイチが0歳の時、母親が父親を殺害。ケンゴはそこで、自分が弟を守らなければならないと思ったのだった。
福子を殺したチェイス・ブラムレッジは、2度、仮釈放を申請。草刈氏はそのたびに精神的負担を感じながらも、遺族として審査会に臨む。チェイスの申請は2回とも却下される。タイチ氏は、自分が出所した東北少年院で、スーツ姿で受刑者に講話をする。刑法犯検挙者中の再犯者率は、下がったとは言えまだ50%近い。社会の受け入れ方が問われるのだった。

犯罪者の更生をひとごととせず、受け止める側として自ら関わる草刈氏には頭が下がる。このような一部の個人が献身やボランティア精神に頼るのは、社会として持続可能とは言えない。特定の個人が負担を一身に引き受けるのではなく、更生がうまくいかない場合も含めて、社会全体の仕組みとして淡々と受け入れる必要があるだろう。映画としてみると、相当テレビ番組っぽかったので、作品としての評価は低め。

【5段階評価】2

| | コメント (0)

2025年6月21日 (土)

(3075) 君がいた夏

【監督】スティーブン・カンプマン
【出演】マーク・ハーモン、ジョディ・フォスター、ハロルド・ライミス
【制作】1988年、アメリカ

大リーグ選手の青春時代を描いた恋愛映画。

大リーガーのビリー・ワイアット(マーク・ハーモン)は、ケーティー(ジョディ・フォスター)が自殺したという知らせを受け、彼女に思いを馳せる。ビリーが子どもの頃、16歳だったケーティーは、10歳のビリー(サッチャー・グッドウィン)に、女の子にもてるコツやたばこを教えてくれた。高校生になり、野球の試合でホームスチールを決めたビリー(ウィリアム・マクナマラ)はフィリーズのバッド・スコット(テッド・ロス)に強化合宿に誘われる。迎えに来た父サム(ジョン・シェア)は大喜びする。ビリーは、親友のチームメイト、アラン(ジョナサン・シルバーマン)から、ロビン(イベット・クロスキー)をプロムのパートナーに誘ってくれと頼まれ、彼女に会いに行くが、ロビンはビリーに夢中だといい、彼を誘惑。ビリーはロビンと初体験をする。父サムが亡くなり、ビリーは野球を封印する。ケーティーはビリーを慰めてくれ、プールに潜って排水口に触って戻ってくるとすっきりすると言い、二人でプールに潜ると、ケーティーはビリーに口づけをしたのだった。
回想を終えたビリーは、実家に戻り、母と再会。ケーティーの父ハンク(リチャード・ジェンキンス)は、ケーティーの遺灰をビリーに託す。父を亡くした後、家族とシースモークで過ごしたビリーは、夫を亡くして失意の母を慰めるため陽気に振る舞うケーティーと、時に反発しながらも、二人で時を過ごし、ついに体を重ねる。ケーティーはビリーに野球を続けるよう背中を押し、去って行く。それがビリーの見たケーティーの最後の姿だった。
ビリーはアラン(ハロルド・ライミス)と再会。二人でケーティーの遺灰をどうするか試行錯誤する。ビリーは、ケーティーがかつて、桟橋から空に飛び立ちたいと言っていたのを思い出し、桟橋から遺灰を空に向かって撒き、遺灰の壷を海に投げ入れる。代打で打席に立ったビリーは、スリーベースヒットを打った後、ホームスチールを決める。試合後、ビリーは、見に来ていたアランとロビン(オリー・デビッドソン)と昔話に花を咲かせるのだった。

ビリーとケーティーの思い出話なのだが、正直、それほど劇的でもないし、関係性も微妙。原題は「Stealing Home」。ホームスチールをするという意味だが、それが本題と何の関係があるのかもよく分からなかった。

【5段階評価】2

| | コメント (0)

2025年6月20日 (金)

(3074) エスター

【監督】ジャウム=コレット・セラ
【出演】ベラ・ファミーガ、ピーター・サースガード、イザベル・ファーマン、CCH・パウンダー、アリアーナ・エンジニア
【制作】2009年、アメリカ

孤児を引き取った一家に起こる惨劇を描いたホラー作品。

三人目の子どもを流産したケイト・コールマン(ベラ・ファミーガ)は、アルコール障害と戦いながらその死を乗り越え、夫のジョン(ピーター・サースガード)と孤児院に行く。シスター・アビゲイル(CCH・パウンダー)に出迎えられた二人は孤児院を見学。ジョンは、一人で絵を描いている少女エスター(イザベル・ファーマン)に声を掛けられ、彼女の才気に惹かれる。ケイトも彼女を気に入り、エスターを養子として家族に迎え入れることにする。
長男のダニエル(ジミー・ベネット)はエスターを警戒するが、聴覚障害を持つ妹のマックス(アリアーナ・エンジニア)は、優しく接するエスターになつく。しかし、エスターの子どもらしからぬ言動に、ケイトは次第に不信感を募らせるようになる。ケイトはジョンにエスターのことを相談するが、ジョンはエスターを信じて疑わない。
ケイトの家にシスター・アビゲイルがやって来る。孤児院に連れ戻されると考えたエスターは、アビゲイルの帰り道で待ち伏せ、彼女の運転する車の前にマックスを飛び出させ、彼女を轢きそうになって車を降りたアビゲイルを、背後からハンマーで殴り殺す。マックスはエスターに共犯だと脅され、口封じされる。ダニエルはマックスとエスターが一緒にいるところを目撃するが、その夜、エスターに刃物を突き付けられて脅され、逆らえなくなる。
ケイトは自らエスターの出自を調べ始める。ケイトはロシアの孤児院から来たということだが、その記録はなかった。ケイトはエスターの持っていた聖書を調べ、彼女がエストニアの精神病院にいたことを突き止める。エスターに恐怖を感じたダニエルは、エスターの隠した殺人の証拠を探しに木の上の小屋に入るが、エスターに先回りされ、小屋に火を放たれる。逃げようとしたダニエルは木から落下し、意識不明の状態で病院に運ばれる。マックスたちと病院に待機していたエスターは、隙を突いてダニエルの治療室に潜入し、ダニエルの酸素マスクを外して枕で窒息させる。ダニエルは何とか一命を取り留めるが、マックスからエスターの不審な行動を知らされたケイトは、問答無用にエスターを張り飛ばす。ケイトは病院のスタッフに鎮静剤を打たれ、取り押さえられてしまう。
ジョンと帰宅したエスターは、濃い化粧をして、酔ったジョンを誘惑する。ジョンは養女であるエスターに対して愛情表現を示すが、大人のような誘惑をしてくるエスターに驚き、彼女を拒絶。エスターは部屋に戻り、マスカラで黒く濁った涙を流す。その頃、病院にいるケイトに電話が掛かってくる。エスターがいたエストニアの精神病院からだった。エスターは、実は9歳の少女ではなく、ホルモン異常により成長が遅れた33歳の女、リーナ・クラマーという凶悪な精神病患者だった。ケイトは車を飛ばして家に帰るが、ジョンはすでにエスターに胸をナイフでめった刺しにされて殺されていた。ケイトはマックスを探し出し、家から逃げ出す。警察車両がようやくやって来るが、エスターはナイフを持って氷の張った池の上でケイトに襲いかかる。池の氷が割れ、ケイトとエスターは池の中に沈む。ケイトは何とか氷の上に這い上がり、追いすがるエスターを蹴り飛ばすと、エスターは水の中に消えていく。ケイトはマックスを抱きかかえ、ようやく警察官に保護されるのだった。

エスターの本性が大きな謎となるホラー作品。超常現象は扱っておらず、リアルな連続殺人である。ネタが割れてから考えてみると、エスターのジョンに対する態度、学校でのクラスメイトに対する態度など、一つ一つに納得が行く、うまい作りになっていた。残虐なスプラッタ映画ではなく、ミステリ要素の強い作品だった。本作はAmazonプライムで鑑賞。

【5段階評価】4

| | コメント (0)

2025年6月19日 (木)

(3073) カラフルな魔女~角野栄子の物語が生まれる暮らし

【監督】宮川麻里奈
【出演】角野栄子、くぼしまりお、横山眞佐子、宮﨑あおい(声)、ルイス・カルロス・ディアス、ソニア・カラド・ディアス
【制作】2024年、日本

童話作家の暮らしを捉えたドキュメンタリー作品。

「魔女の宅急便」で知られる角野栄子は、鎌倉で元気に暮らしている。彼女がブラジルに渡ってルイジンニョ少年と出会ったこと、大学の恩師にドキュメンタリー執筆を依頼されたこと、そこから文学作品を世に出すようになったことが語られる。撮影当時、88歳になっている角野氏だが、元気で朗らかな日常を送っていることが分かる。角野氏は62年ぶりに、ルイジンニョことルイス氏と再会。ルイスと彼の妻ソニアを、角野栄子児童文学館に連れて行く。ルイス氏は、自分が文学館の一部になっていることを喜ぶのだった。

角野栄子の作品を読んでみたいな、老後はこんなふうに暮らしたいな、と思わせる、ほのぼのとした作品。ただ、旧友の横山眞佐子さんに無駄にとげとげしい反応をしてみたり(横山氏が「私と角野氏は似ている、と話すと、角野氏が「この人の方が理屈っぽい」とか「この人の方が弱い」とか、言わなくてもいい反論をしていた)、娘のくぼしまりおと意見が合わなかったり、芝居じゃないからしょうがないか、と思うものの、映さなくてもいいようなちょっとギスギスした部分も垣間見えたりもしていた。

【5段階評価】3

| | コメント (0)

2025年6月18日 (水)

(3072) アイリッシュ・グッバイ

【監督】トム・バークリー、ロス・ホワイト
【出演】シェイマス・オハラ、ジェームズ・マーティン、パディー・ジェンキンス、ミシェル・フェアリー(声)
【制作】2022年、アイルランド

母の残したバケットリストをこなそうとする兄弟を描いた作品。23分の短編映画。

母(ミシェル・フェアリー)を亡くした兄トゥーロッホ(シェイマス・オハラ)と弟ローカン(ジェームズ・マーティン)は、アイルランドの農場で再会。神父(パディー・ジェンキンス)は、母親のジーンズから見つかったメモを取り出し、生前やりたかったことのリストだと思う、と話し、去って行く。トゥーロッホは、一人で暮らすことができないローカン(語られないがダウン症だろう)を叔母に預けようとするが、ローカンは、兄の作ったまずい食事に悪態をつきながら、母の農場で暮らすと言って譲らない。翌日、ローカンは、母の残したリストを達成すると宣言し、一つ目の太極拳をやり出す。あきれるトゥーロッホだったが、付き合うことにする。彼らは絵を描いたり、気球に見立てたヘリウム入り風船を飛ばしたり、リストをこなし始める。その一方でトゥーロッホは、農場売却の手続きを進める。
リストの99個目はスカイダイビングだった。ローカンは骨壺を高いところから投げ落とし、骨壺は割れてしまう。トゥーロッホはローカンの愚かさにあきれ果てる。神父が久々にやって来る。トゥーロッホが神父に、母のリストを弟に渡すなら言ってほしかったと話すと、神父は渡してないよ、と言ってポケットからメモを取り出す。ローカンが持っていたのは、母のメモではなく、彼の創作だったのだ。トゥーロッホはローカンを責めず、100個目をやろうと言い、宇宙に行くという願いを叶えるため、花火を打ち上げる。その夜、ローカンは101個目の願いをトゥーロッホに伝える。それは農場で二人で暮らし、トゥーロッホは料理のレッスンを受ける、というものだった。トゥーロッホは笑顔で承諾するのだった。

兄弟二人が絆を取り戻す、心温まるお話。ジェームズ・マーティンは、恐らく本人がダウン症なのだろう。特有の顔つきをしているが、ひげ面なのにどこか愛嬌のある憎めない顔をしており、本作の役どころにぴったりはまっていた。母親のバケットリストに見せかけて、最終的に兄との関係を修復するなんて企みを思いつくなんて、とても自立できないとレッテルを貼られた人間にできるとは思えない機転だった。

【5段階評価】3

| | コメント (0)

2025年6月17日 (火)

(3071) きかんしゃトーマス めざせ!夢のチャンピオンカップ

【監督】ジェイソン・グロー、キャンベル・ブライア
【出演】ミーシャ・コントレラス(声)、エイバ・ロ(声)、キンタロー・アキヤマ(声)、チャーリー・ゼルツァー(声)
【制作】2021年、イギリス

ソドー島で行われるレース大会に出場した機関車の活躍を描いた作品。きかんしゃトーマス劇場版18作目。「きかんしゃトーマス オールスター☆パレード」(2022)の続作(なぜか前作が2022年制作で本作が2021年制作)。次作は「きかんしゃトーマス ぼくのたいせつなともだち」(2022)。

機関車のレース大会、ソドーカップが開かれる。機関車トーマス(ミーシャ・コントレラス)は超特急カナ(エイバ・ロ)と組むことになり、ライバルのリフ(アディソン・ホーリー)&ジフ(エバニー・ローゼン)、ファローナ(ハンバリー・ゴンザレス)&フレデリコ(トーマス・サントロ)と戦う。スピードでは勝てないトーマスだったが、不安定な橋や急カーブをうまく渡り、見事に優勝するのだった。

きかんしゃトーマスといえば人形劇というイメージだが、本作はCGの画風だが2Dアニメ。特に悪い奴が出てくるわけでもなく、トーマスが一生懸命走ってレースに勝つという、ほのぼのとしたお話。

【5段階評価】2

| | コメント (0)

2025年6月16日 (月)

(3070) ピッチ・パーフェクト

【監督】ジェイソン・ムーア
【出演】アナ・ケンドリック、スカイラー・アスティン、アンナ・キャンプ、ブリタニー・スノウ、レベル・ウィルソン
【制作】2012年、アメリカ

大学の女性アカペラグループの活躍を描いた青春映画。次作は「ピッチ・パーフェクト2」(2015)。

大学に入ったベッカ(アナ・ケンドリック)は、DJとなり音楽プロデューサーとなる夢を描くが、父親(ジョン・ベンジャミン・ヒッキー)からは大学の勉強をしっかりするよう指示される。歌うことに興味のないベッカだったが、ベッカのシャワールームでの鼻歌を、女性アカペラグループ「バーデン・ベラーズ」のクロエ(ブリタニー・スノウ)が聞き惚れ、ベッカをアカペラグループに引き入れる。伝統を重んじるリーダーのオーブリー(アンナ・キャンプ)に、メンバーは窮屈さを感じる。大会で客席がしらけていることを感じたベッカは、自分のパートでアドリブを入れるが、チームは準決勝で敗退する。ところが、決勝に残ったチームの一人が大学生ではないことが発覚し、ベラーズが決勝に繰り上げ。ベッカがチームに復帰し、ベラーズは個性を生かしたグループに変身。見事なアカペラで優勝を飾るのだった。

恋愛とかメンバー同士の喧嘩とか、ドロドロした湿っぽいシーンは控えめで、明るくアカペラが楽しめる作品。オーブリーが大量のゲロを吐くシーンが二度もあるのは受け付けなかったが。リリー役のハナ・メイ・リーは菊地凛子に似ていた。

【5段階評価】3

| | コメント (0)

2025年6月15日 (日)

(3069) 源氏物語 千年の謎

【監督】鶴橋康夫
【出演】生田斗真、田中麗奈、真木よう子、中谷美紀、東山紀之、多部未華子、窪塚洋介、芦名星、蓮佛美沙子
【制作】2011年、日本

源氏物語と、それを著した女性の運命を描いた歴史作品。高山由紀子の小説が原作。

平安時代、時の権力者、藤原道長(東山紀之)は、紫式部(中谷美紀)を強引に抱き、自分の娘、彰子(蓮佛美沙子)のために物語を書かせる。物語に登場する光源氏(生田斗真)は絶世の美男子で、葵の上(多部未華子)を妻に持ちながら、御息所(みやすどころ)(田中麗奈)や夕顔(芦名星)、果てには帝(榎木孝明)の妻、藤壺とも体を重ね、男子、東宮を設ける。東宮を我が子と疑わない帝を見て罪の意識に苛まれた藤壺は出家する。夕顔と葵の上は、嫉妬に燃えた御息所の生き霊によって呪い殺されてしまう。紫式部は道長を愛していたが、彼女自身が御息所のような運命をたどらぬよう、道長のもとを去るのだった。

時代劇にはあまり興味がない方なのだが、「新源氏物語」(1961)のおぼろげな記憶とも重なり、そこそこ楽しめた。田中麗奈の怪演は、恐怖映画のような迫力があった。子どもっぽい顔のように見えるが、メイクによっては目のつり上がった恐ろしい顔にも見えるので、意外とはまり役だったかも。

【5段階評価】2

| | コメント (0)

2025年6月14日 (土)

(3068) 泥棒成金

【監督】アルフレッド・ヒッチコック
【出演】ケーリー・グラント、グレース・ケリー、シャルル・バネル、ブリジット・オーベール、ジェシー・ロイス・ランディス
【制作】1955年、アメリカ

濡れ衣を着せられそうになった元泥棒が真犯人を暴くため奮闘するさまを描いた作品。

屋根伝いに金持ちの宝石を盗む盗難事件が連続して起きる。かつての泥棒キャットことジョン・ロビー(ケーリー・グラント)と同じ手口であったため、警察はジョンを疑う。ジョンはかつての仲間に自分ではないと言いに行く。かつての仲間たちは更生してレストランを営んでおり、従業員たちはジョンに冷たく当たる。オーナーのベルタニ(シャルル・バネル)はジョンをかばい、給仕係のフッサール(ジャン・マルティネッリ)の娘ダニエル(ブリジット・オーベール)と逃げるよう手を回す。
ジョンは、真犯人が狙いそうな富豪を見定めるため、保険業を営むヒューソン(ジョン・ウィリアムズ)に接触。彼から、宝石を持つ富豪のジェシー・スティーブンス(ジェシー・ロイス・ランディス)とその娘フランシー(グレース・ケリー)を紹介してもらう。ジョンは次第にフランシーと親密になっていく。ジョンはフランシーの手引きでパーティ会場に潜入。そこに現れた真犯人は、ダニエルだった。ベルタニが首謀者で、フッサールが盗みをしていたが、フッサールが死に、娘のダニエルが引き継いだのだった。ジョンは身の潔白を証明し、フランシーと結ばれるのだった。

公開当時51歳のケーリー・グラントと、26歳のグレース・ケリーが結ばれるという、おじさん妄想全開の作品。推理中心のサスペンス作品というよりは、ジョンとフランシーの恋物語が中心。自分の作品に隠れ出演するヒッチコックは、バスに乗り込んだ主人公の隣に座っている乗客として登場していた。

【5段階評価】3

| | コメント (0)

2025年6月13日 (金)

(3067) 仮面ライダー 8人ライダーVS銀河王

【監督】石森章太郎(総監督)、平山公夫
【出演】村上弘明、舟倉たまき、中村ブン、塚原美樹、二瓶秀雄、梶哲也(声)、中庸助、峰恵研(えけん)(声)、石森章太郎
【制作】1980年、日本

東京壊滅を狙う悪の組織と戦う仮面ライダーの活躍を描いたヒーロー映画。「五人ライダー対キングダーク」(1974)の続作。タイトルの「VS」は「たい」と読む。

宇宙空間で羅門博士(二瓶秀雄)の開発したシグマエネルギーが、悪者、銀河王(梶哲也)に狙われる。博士はエネルギーの方程式を愛犬エレンに託し、宇宙ステーションから脱出させるが、自らは宇宙怪獣サドンダスに殺される。エレンは羅門博士の娘レミ(塚原美樹)、羅門博士の助手、真樹泉(舟倉たまき)、レミの兄、羅門ブン(中村ブン)のもとに戻るが、レミとエレンがネオショッカー大要塞に連れ去られる。ブンの友人、筑波洋(村上弘明)は、ネオショッカーの基地があるという富士山の地下に向かい、スカイライダーに変身。仮面ライダーアマゾン、仮面ライダーストロンガーと合流し、基地を防衛する戦車を倒す。泉とブンもレミを追うが、ネオショッカーに捕らえられてしまう。
銀河王は、ネオショッカーの魔神提督(中庸助)に、シグマ爆弾の開発を急がせる。スカイライダーは、他の仮面ライダー7人と合流。ネオショッカーのアルマジーグ(峰恵研)とジャガーバン(八代駿)、そしてネオショッカーが生み出した改造人間二世部隊と戦う。スカイライダーは地下基地に入り込み、サドンダスを倒してシグマ爆弾の発射を防ぐと、捕らえられたレミたちを救出。銀河王は宇宙船で脱出しようとするが、地下基地の爆発に巻き込まれ、この世から消えるのだった。

前作から6年経っての続作。毎年のように映画が作られているのかと思ったら、そうでもなかった。今度は8人の仮面ライダーが集結する豪華な内容だが、人数が多くなったせいか、各ライダーの「見栄」とも言える変身シーンは省略され、怪獣だけではなく仮面ライダー側もその他大勢感がありあり。ネオショッカーが発射した爆弾ロケットは、コンソールを破壊しただけで墜落するし、宇宙船で脱出した銀河王は「ここまではこれまい」とか高をくくっていると、もはや仮面ライダーたちは見上げているだけなのに、地下基地の爆発に巻き込まれ、「残念無念」と言って勝手に負けてしまう。お粗末な戦いだった。

【5段階評価】2

| | コメント (0)

2025年6月12日 (木)

(3066) 五人ライダー対キングダーク

【監督】折田至
【出演】速水亮(はやみりょう)、小林昭二、小塙謙士(こばなけんじ)、水の江じゅん、早田みゆき、小板チサコ
【制作】1974年、日本

5人の仮面ライダーたちが悪の組織と戦うヒーロー映画。「仮面ライダーV3対デストロン怪人」(1973)の続作。次作は「仮面ライダー 8人ライダーVS銀河王」(1980)。

バイクの訓練走行を行っている神(じん)敬介(速水亮)を、GODの怪人が襲撃。敬介は仮面ライダーXに変身し、怪人を撃退。GODは仮面ライダーXのデータをもとに、最強の怪人コウモリフランケンを創り上げる。少年マサル(小塙謙士)は地下からGODの活動する声を聞き、仮面ライダーに伝える。マサルの姉、エツ子(水の江じゅん)はGODに捕らえられ、コウモリフランケンの食料となる血を抜かれるが、立花藤兵衛(小林昭二)が彼女を救出する。Xは、仮面ライダー、仮面ライダー2号、仮面ライダーV3、ライダーマンとともに、コウモリフランケンや、キングダークの力で蘇った怪人たちと戦い、彼らを全滅させ、キングダークの企んだ東京カラカラ作戦を防ぐのだった。

いろいろな怪人が登場して賑やかだが、ボスのコウモリフランケンすら大して強さを発揮することはなく、五人そろい踏みの仮面ライダーに一方的に叩きのめされて全滅する。変身シーンでは、仮面ライダーの藤岡弘、仮面ライダー2号の佐々木剛、仮面ライダーV3の宮内洋、ライダーマンの山口暁(あきら)が登場するが、映像は過去作の流用であり、配役に名前は登場しない。

【5段階評価】2

| | コメント (0)

2025年6月11日 (水)

(3065) ヘリウム

【監督】アンドレス・ウォルター
【出演】キャスパー・クランプ、ペル・フォーク・クルスベク、マリアナ・ヤンコビッチ
【制作】2013年、デンマーク

入院中の少年と清掃員の交流を描いた作品。23分の短編映画。

清掃員のエンツォ(キャスパー・クランプ)は、難病で入院している少年アルフレッドに、ヘリウムという夢の世界があると話しかける。アルフレッドは彼の話を聞くのが楽しみになる。看護師(マリアナ・ヤンコビッチ)は、エンツォがアルフレッドに元気を与えていると話す。しかしアルフレッドは容態が悪化し、隔離病棟に入れられてしまう。エンツォは病院のルールを破ってアルフレッドの病室に入り、アルフレッドに話を聞かせてあげるが、警備員に見つかって追い出されてしまう。看護師はエンツォをこっそりアルフレッドの病室に入れてあげる。アルフレッドは、ヘリウム行きのエクスプレスへの乗り方をエンツォに尋ねる。エンツォが話し始めると、ヘリウムと書かれた巨大な飛行船がアルフレッドの病室の窓の外に出現する。アルフレッドは荷物を背負って、飛行船に乗り込むのだった。

少年に、やがて訪れる死を怖い物ではなく、好きなことができて好きな人がいる夢のような場所だと伝える優しさが描かれている。アルフレッドが病気で苦しむ姿は描かれず、きれい事の作品ではあるが、自分が死ぬときはこのような気持ちでいたいな、という気にさせられた。

【5段階評価】3

| | コメント (0)

2025年6月10日 (火)

(3064) プリキュアドリームスターズ!

【監督】宮本浩史(ひろし)
【出演】美山加恋(声)、阿澄佳奈(声)、山里亮太(声)、木村佳乃(声)、かないみか(声)
【制作】2017年、日本

テレビアニメ「プリキュア」シリーズの劇場版22作目。「魔法つかいプリキュア! 奇跡の変身!キュアモフルン!」(2016)の続作。次作は「キラキラ☆プリキュアアラモード パリッと!思い出のミルフィーユ!」(2017)。

さくら(阿澄佳奈)という少女が、鴉天狗(山里亮太)に追われ、さくらの仲間の青いキツネ、シズク(木村佳乃)と離ればなれになってしまう。それは、宇佐美いちか(美山加恋)の夢の中の出来事だった。いちかは、ペコリン(かないみか)と一緒に花見に出かけ、夢の中と同じような神社の階段を発見。夢の中では階段の先にしだれ桜があるはずだったが、あったのは切り株。そこに、夢の中で見た少女が現れる。すると、夢で見た赤狗(あかいぬ)が現れ、さくらに襲いかかる。いちかはキュアホイップに変身。仲間4人とともに赤狗を倒す。いちかたちは、「魔法つかいプリキュア!」の3人と「Go!プリンセスプリキュア」の4人も仲間につけ、鴉天狗と戦うが、鴉天狗の仲間の五月雨(木村佳乃)に歯が立たず、さくらとキュアホイップ以外は折り紙にされてしまう。キュアホイップは五月雨の攻撃の癖を読み、鋭い攻撃を入れると、五月雨の付けていたお面が割れる。お面の奥にあったのは、シズクと同じ瞳だった。五月雨の正体はシズクだったのだ。さくらはショックを受けるが、キュアホイップに励まされ、シズクを信じて五月雨に抱きつく。五月雨はもとのシズクの姿に戻り、五月雨に折り紙にされていたプリキュアたちも復活する。プリキュアたちとさくら、シズクは協力して、巨大化した鴉天狗を倒すのだった。

子供向けアニメなので特に期待せずに観たのだが、けっこう感動した。キャラクターの変身はかっこよく、仲間を信じる姿は涙を誘う。五月雨の正体がシズクだったというのも、伏線は十分に張られていたのに意外性があった。プリキュア3作分で主要な敵も1体とコンパクトなのもよかったのかもしれない。この手の作品にしては珍しく、評価は4。

【5段階評価】4

| | コメント (0)

2025年6月 9日 (月)

(3063) オシャレ魔女 ラブandベリー しあわせのまほう

【監督】望月智充
【出演】今野宏美(声)、柳井久代(声)、野沢雅子(声)、矢島晶子(声)、子安武人(声)、郷田ほづみ(声)
【制作】2007年、日本

人を幸せにするオシャレ魔女を目指す少女の奮闘を描いたアニメ作品。アーケードゲームがもとになっている。

オシャレ魔法学園への入学試験に挑んだラブ(今野宏美)とベリー(柳井久代)だったが、結果は不合格。延長のイザベラ先生(野沢雅子)は、住み込みで屋敷を掃除し、人を幸せにできれば合格という条件を出す。二人は、歌はうまいが引っ込み思案の少女、ユミ(矢島晶子)に出会い、彼女のオーディションを応援。転校してしまったユミの友だちがくれた人形をもとに衣装をデザインし、ユミは友だちと一緒にいる気持ちで楽しく歌い、オーディションに合格する。ラブとベリーも頑張りを認められ、魔法学園に入学。二人で新たな一歩を踏み出すのだった。

ドジな主人公が努力の末、成長するというのが定番だが、本作の主人公二人は、あまり努力しているシーンがなく、ともすればサボっている方が多く、感情移入があまりできなかった。歌のシーンは3DCGなのだが、2007年頃のクオリティってこの程度だっけ、というような、あまり生気のない顔。大きいお友達が付き過ぎないようにしているのかもしれなかった。

【5段階評価】2

| | コメント (0)

2025年6月 8日 (日)

(3062) 必殺仕掛人 春雪仕掛針

【監督】貞永方久(まさひさ)
【出演】緒形拳、岩下志麻、夏八木勲、林与一、山村聡、ひろみどり、花沢徳衛(はなさわとくえ)
【制作】1974年、日本

江戸時代の殺し屋の暗躍を描いた作品。池波正太郎の小説が原作。しゅんせつしかけばり、と読む。「必殺仕掛人 梅安蟻地獄」(1973)の続編。

小津屋という問屋に賊が入り、一家を皆殺しにして盗みを働く。手引きしたのは、小津屋に後妻に入った、猿塚のお千代だった。千代の育ての親、小兵衛(花沢徳衛)は、千代を諫めるが、千代は相手にせず、新たに大阪屋の手代(てだい)、幸太郎(村井国夫)に取り入り始める。元締の音羽屋(山村聡)から3人の盗人の仕掛けを依頼された藤枝梅安(緒形拳)は、小津屋に入った盗人の件だと当たりを付ける。梅安はまず、女好きの定六(地井武男)を銭湯で暗殺。千代に付く剣豪の三上(竜崎勝)は、梅安を怪しむ。
盗人三人の仕掛けを依頼したのは、小兵衛だった。冷酷非情な千代の心を入れ替えたい一心で、千代の手下の三人の仕掛けを依頼していた。三上は梅安の家に侵入するが、梅安は迎え撃ち、小杉が助太刀をして三上を倒す。三上が倒された報せを聞いた千代は、しばらく江戸から離れることを提案するが、勝四郎(夏八木勲)はそれに反対する。
音羽屋の指示で千代を偵察した梅安は、千代が昔の女であることを音羽屋に告白する。梅安は千代に会い、あのうちにいると殺されるぞと忠告する。千代は梅安の家を訪ね、9年前に梅安に捨てられた恨みを伝え、泣き崩れる。梅安は千代の待つ隠れ家に行き、勝四郎の到着を待つが、それは千代の罠だった。梅安は千代の手下に捕らえられ、拷問を受ける。そこに小兵衛が現れ、拷問を引き受けると、梅安に、自分が起こり(仕掛けの依頼人)だと告げ、梅安を逃がす。小兵衛は千代に心を入れ替えるよう伝えるが、勝四郎に斬り捨てられる。小兵衛を殺され、嘆き悲しむ千代は、手下に向かって、大阪屋の盗みを延期すると告げる。勝四郎は千代に従わず、大阪屋の蔵の合鍵を手に入れ、手下を連れて大阪屋の蔵に忍び込むが、そこには音羽屋や小杉らが待ち受けていた。勝四郎の一味はあえなく全滅させられる。梅安は、一人待つ千代に近づく。千代は命乞いをするが、梅安は千代の首に針を突き立てる。
仕事を終えた梅安は、音羽屋と小杉に、殺しの針はしばらく封印すると話す。小杉は、真面目に生きていても人の恨みを買わずにいることはできないものだ、と話すのだった。

岩下志麻の演技力が光る作品。不幸な境遇で盗人の首領となった千代は、ときに男にすがり、ときに男を裏切り、真の姿が見えない。最期のシーンでも、死を覚悟しているようでありながら、迫る梅安から逃げ回り、捕まると悲鳴を上げる。ラストで、人の恨みを買うような生き方から距離を置こうとする梅安に、人の恨みを買わずに生きることなどできないと小杉が話すシーンも、印象的だった。

【5段階評価】3

| | コメント (0)

2025年6月 7日 (土)

(3061) 必殺仕掛人 梅安蟻地獄

【監督】渡辺祐介
【出演】緒形拳、林与一、山村聡、佐藤慶、小池朝雄、津坂匡章、松尾嘉代、ひろみどり、津田京子
【制作】1973年、日本

江戸時代の殺し屋の暗躍を描いた作品。池波正太郎の小説が原作。次作は「必殺仕掛人」(1973)の続編。次作は「必殺仕掛人 春雪仕掛針」(1974)。

藤枝梅安(緒形拳)は、料亭井筒でおもん(ひろみどり)を抱いた帰り、見知らぬ男(林与一)に斬りかかられる。梅安が名を名乗ると、男は人違いだと謝罪して走り去る。井筒に戻った梅安は、おもんに、自分に似た者が店にいないか尋ねる。店には梅安同様、短髪の医者、山崎宗伯(小池朝雄)がいた。その医者は、やってきた伊豆屋長兵衛(佐藤慶)に連れられ、井筒を去る。
梅安は、元締の音羽屋半右衛門(山村聡)から、伊豆屋長兵衛の仕掛けを頼まれる。梅安は、岬の千蔵(津坂匡章)と伊豆屋を尾行する。すると、そこに梅安に斬りかかった男がやってくる。男の名は小杉十五郎。山崎宗伯は、お仲という若い女性の母親を強姦して自殺に追い込んだ男手、小杉はお仲に代わって宗伯を成敗しようとしていた。伊豆屋長兵衛と宗伯は兄弟で、長兵衛は宗伯の作った毒で藩主を殺害。殺害を共謀した仲間から金を貰って蝋燭問屋となり、商売人として成り上がっていた。梅安らが自分たちを狙っていることに気づいた長兵衛は、宗伯に護衛を付けて甲府に向かわせ、梅安の家に刺客を送り込む。いわば蟻地獄と化した梅安の家に、梅安と小杉が帰ってくるが、梅安と小杉は刺客たちを倒す。小杉は、甲府に向かった宗伯を追い、宗伯を討ち取る。長兵衛は、祭りの櫓の上から町民に金品の入ったあられを撒くが、ひょっとこのお面を被った梅安が櫓に登り、長兵衛を殺害。一件落着となった音羽屋と梅安は、次の仕掛けに挑むことになるのだった。

伊豆屋長兵衛と山崎宗伯という二人の悪者を仕掛人と浪人が倒す話。首筋に針を突き刺すという必殺技が定番だが、2作目ともなると変化がなく、マンネリ気味だった。時代劇に、トランペットとギター、カスタネットという、西部劇のような楽器を用いて、それがハマっているというのは、よく考えると斬新だ。よく考えれば「赤穂浪士」(1961)だって弦楽器が使われていて、雅楽というわけではないんだが。

【5段階評価】2

| | コメント (0)

2025年6月 6日 (金)

(3060) 必殺仕掛人

【監督】渡辺祐介
【出演】田宮二郎、高橋幸治、山村聡(そう)、津坂匡章(まさあき)、川地民夫、野際陽子、森次晃嗣、室田日出男、ひろみどり
【制作】1973年、日本

江戸時代の殺し屋の暗躍を描いた作品。池波正太郎の小説が原作。次作は「必殺仕掛人 梅安蟻地獄」(1973)。

鍼医者の藤枝梅安(田宮二郎)は、元締の依頼で殺しを請け負う仕掛人としての裏の顔を持っていた。梅安は音羽屋半右衛門(山村聡)からの依頼で、蝋燭問屋の辻屋文吉(穂積隆信)の後添い、お照(川崎あかね)を暗殺。その様子を見ていたお照の同業者、孫八(川地民夫)は、梅安が仕掛人だと見抜き、徳治郎(浜田寅彦)と連れ立って湯治に出た梅安のあとを付ける。徳治郎は、悪人だったお照の父親、音蔵を仕掛けており、孫八は報復のため徳治郎を殺す。
梅安の仲間、西村左内(高橋幸治)は、八丁堀同心の峯山又十郎(室田日出男)から、30両払えば同心にしてやると持ちかけられていた。峯山は町人にたかって金をせしめる悪者だった。八丁堀を仕切る三の松の平十(へいじゅう)(河村憲一郎)は、たびたびゆすりを働く峯山の仕掛けを音羽屋に依頼していたが、平十に取り入った妾のお吉(きち)(野際陽子)と、孫八、峯山によって薬で弱らされ、殺されてしまう。平十の弟分である聖天(しょうてん)の大五郎(三津田健)は音羽屋に赴き、改めて平十の依頼した峯山の仕掛けと、新たに孫八の仕掛けを音羽屋に依頼する。平十の息子、為吉(森次晃嗣)は、お吉と孫八の悪行に業を煮やし、叔父の大五郎に相談。大五郎は二人の仕掛けを提案する。音羽屋は二人の仕掛けを梅安に依頼。梅安はお吉に近づき、暗殺を決行しようとするが、予定を変えて戻ってきた孫八に見つかり、簀巻きにされて川に投げ込まれる。様子をうかがっていた岬の千蔵(せんぞう)(津坂匡章)が梅安を救出し、梅安は九死に一生を得る。その頃、左内は峯山の仕掛けを終える。
梅安は改めて孫八とお吉の仕掛けを実行。為吉は大五郎に礼を言うが、大五郎は為吉に縄張りを自分によこすよう告げ、怒った為吉を手下に殺させる。元締め衆の会合で、大五郎が平十の縄張りを引き継ぐことが決まり、喜ぶ大五郎に客人が来る。大五郎が中庭に出ると音羽屋が現れる。音羽屋は大五郎に祝いの言葉を述べた後、自分を騙した罰として大五郎を殺害。大五郎は中庭の庭に浮く。
仕事を終えた梅安、左内、音羽屋は小舟で釣りをする。梅安は、殺したお吉が、不幸な境遇をともにした自分の妹だったのではないかと考えるが、左内はそんな偶然はありえないと一笑に付す。音羽屋は次の仕掛けの話を二人に始めるのだった。

大五郎の依頼がなぜ音羽屋への裏切りだったのか、よく分からなかったが、悪者が成敗されるお話。本作の梅安は、一度お吉の暗殺に失敗したり、女たらしの一面を見せたり、三枚目の顔も見せていた。

【5段階評価】3

| | コメント (0)

2025年6月 5日 (木)

(3059) 続 網走番外地

【監督】石井輝男
【出演】高倉健、瑳峨三智子、アイ・ジョージ、嵐寛寿郎、室田日出男、三原葉子、大阪志郎、安部徹、中谷(なかたに)一郎、田中邦衛
【制作】1965年、日本

犯罪に巻き込まれた網走刑務所出の男の奮闘を描いた作品。「網走番外地」(1965)の続編。次作は「網走番外地 望郷篇」(1965)。

網走刑務所を出た橘真一(高倉健)は、舎弟の大槻(アイ・ジョージ)と青函連絡船に乗ろうとしていた。橘に女スリのユミ(瑳峨三智子)が近づき、スリを働くが、橘はスリに気づき、ユミとともに船に乗る。船でスリ被害が発生し、乗務員が持ち物検査を始める。乗っていた修道女も荷物を調べられるが、抵抗したため荷物が落ち、中に入っていたマリモが転がり出てしまう。偶然近くにいた大槻は、土産に、と転がってきたマリモをポケットに忍ばせる。
青森でいざり芸(足の不自由な乞食のふりをして金を得ること)をしていた大槻の前に、張本(室田日出男)という男が現れ、札束を大槻に渡してマリモを返すよう告げる。大槻は橘とマリモを確認。中には宝石が隠されていた。橘は、函館銀行の金庫から二人組の男が盗んだ宝石だと気づく。橘は網走刑務所の世話にならないよう警察に報告しようとするが、そこにユミが現れ、新聞を渡す。新聞には、橘と大槻、ユミが宝石を盗んだという記事がでっち上げられていた。
三人が列車に乗り込むと、ワルサー拳銃を持った男、吉本(中谷一郎)が橘の前に現れ、マリモを渡すよう脅す。橘は窓を開けて売り子から弁当を買い、売り子にマリモを渡してしまう。吉本は橘の機転の利いた行動に惚れ惚れする(機転の利いた行動なのかは疑問が残るが)。売り子の手に渡ったマリモは、次の列車に乗っていたストリップ一座の路子(三原葉子)が気に入り、50円で買い取ってしまう。売り子から話を聞いた橘たちも、路子の後を追う。
公演を終えた路子は、地元の親分(沢彰謙(しょうけん))のもとで博打を打つが、有り金を擦ってしまい、マリモ入りの化粧道具を親分に売ってしまう。遅れてやってきた橘は、博打勝負で化粧道具を取り返そうとするが、うまく行かない。そこに鬼寅(嵐寛寿郎)が現れ、イカサマを見抜く。橘はマリモを取り返し、賭場から逃げ去る。病院に迷い込んだ橘とユミは、路子の夫(大阪志郎)が病気になった子どもを医者に診せようとしていた。夫に金がないのを知った橘は、マリモの中から宝石を一つ取り出し、ユミに換金を頼む。ユミは質屋に宝石を持ち込むが、その質屋は、宝石強奪事件の黒幕、依田(安部徹)の息がかかっていた。ユミは世だの前に連れ出されてしまう。呼び出された橘は、依田の前に現れる。依田は、橘と網走刑務所をともに過ごした男だった。橘と依田は、火祭りの櫓の下で、ユミとマリモを交換することにする。
祭りの日、ユミとマリモを交換するが、ユミがとっさにマリモを掏り、逃走。大乱闘の末、橘は依田を倒し、マリモを手にする。橘はユミと分かれ、去って行くのだった。

高倉健が車寅次郎ばりの売り口上で、女物のパンティを売るという貴重なシーンがある。全体的には、宝石入りのマリモを巡る争いという、くだらない話で、序盤に曰くありげに登場する桐川(田中邦衛)は全く主人公とからまなかったり、吉本が橘に惚れるのに無理があったり、橘とユミが賭場を逃げて病院に迷い込むという謎の展開があったり、最後の大乱闘も必然性の薄いドタバタ劇。前作が人気だったので慌てて作ったというできばえだった。

【5段階評価】2

| | コメント (0)

2025年6月 4日 (水)

(3058) 劇場版 夏目友人帳 ~うつせみに結ぶ~

【監督】大森貴弘(総監督)、伊藤秀樹
【出演】神谷浩史(かみやひろし)(声)、井上和彦(声)、村瀬歩(声)、堀江一眞(声)、高良健吾(声)、島本須美(声)
【制作】2018年、日本

妖怪と人との関わりを描いたアニメ作品。緑川ゆきの漫画が原作。

祖母にあたる夏目レイコ(小林沙苗)から、妖怪の名を封じた友人帳を受け継いだ夏目貴志(神谷浩史)は、妖(あやかし)を見ることができる。ある日、貴志は、五丁町(ごちょうまち)からやって来た妖、もんもんぼう(小峠英二)に名を返す。ともに暮らす藤原塔子(伊藤美紀)からお使いを頼まれた貴志は、五丁町に行き、そこで、中学時代のレイコを知る夫人、津村容莉枝(よりえ)(島本須美)に偶然出会う。容莉枝は貴志がレイコの孫だと聞き、貴志を家に招く。容莉枝の家には、息子の椋雄(高良健吾)がいた。椋雄は優しい笑顔で貴志を迎える。
貴志は、もんもんぼうの様子を見るという名目で、ニャンコ先生(井上和彦)を連れて再び五丁町に向かう。3体の妖を見つけたニャンコ先生は、彼らを追いかけて社近くの木のうろに飛び込み、何かの種を体にくっつけて帰ってくる。種に気づいた貴志がその種を家の庭に捨てると、それは翌日、巨木に成長しており、ニャンコ先生に似た実が三つ成っていた。食いしん坊のニャンコ先生がそれを食べると、木は消滅。やがてニャンコ先生は苦しみ出し、言葉の話せない三匹の小さな子猫に分裂する。三匹はやがて一匹ずつ行方不明になり、そのうちの一匹を見つけて追いかけた女子生徒、多軌透(たきとおる)(佐藤利奈)は、友だちから存在を認識されなくなってしまう。
貴志は残っていた一匹のニャンコ先生を連れて、田沼要(堀江一眞)とともに逃げたニャンコ先生を探す。ニャンコ先生は容莉枝の家におり、そこには透もいた。透はなぜか、友人である貴志や田沼を覚えておらず、容莉枝の親戚ということになっていた。ニャンコ先生二匹が縦に重ねると言葉を話すようになる。ニャンコ先生は、椋雄が妖怪ホノカゲであることを見抜く。ホノカゲは、出会う人の中に、過去からの知人として入り込むという能力を持っていた。しかし、その地を離れると人々から忘れ去られてしまうため、ホノカゲには友人がいなかった。ホノカゲがお社のそばに立つ木のうろの中に閉じこもっていると、そこに足繁く通う容莉枝に気づく。成長した容莉枝が息子を失ったことを知り、ホノカゲは彼女に近づき、椋雄として容莉枝と6年間過ごしたのだった。ホノカゲは容莉枝のもとを去る決心をする。もう一匹のニャンコ先生も見つかり、ホノカゲは三匹のニャンコ先生と木のうろに入る。そこに、ホノカゲを狙っていた式、ハバキ(落合福嗣)が襲いかかってくる。式の解放に来ていた名取周一(石田彰)が貴志と協力してハバキを解放。貴志に名を返してもらったホノカゲは小さな光となって空に散る。貴志は容莉枝に会いに行き、容莉枝が椋雄の死を乗り越えたことを見届けるのだった。

独特な世界観のアニメ作品。コミカルな要素もありながら、後半は文学的な趣向を凝らした展開。漫画もテレビアニメも見たことがなく、予備知識なしで鑑賞したが、物語は分かりやすかった。

【5段階評価】3

| | コメント (0)

2025年6月 3日 (火)

(3057) バズ・ライトイヤー

【監督】アンガス・マクレーン
【出演】クリス・エバンス(声)、キキ・パーマー(声)、ピーター・ソーン(声)、タイカ・ワイティティ(声)、デール・ソウルズ(声)
【制作】2022年、アメリカ

トイ・ストーリー」シリーズに登場する人形のモデルとなっているスペース・レンジャーの活躍を描いた3DCGアニメ作品。

スペース・レンジャーのバズ・ライトイヤー(クリス・エバンス)は、1,200名の乗員とともに、移住のための未知の惑星にたどり着くが、宇宙船の操作ミスにより、ハイパー・スピード・クリスタルが損傷し、地球に戻ることができなくなる。宇宙船の乗員たちは、未知の惑星で自活しながら、惑星の脱出を目指す。バズは相棒の女性アリーシャ・ホーソーン(ウゾ・アドゥーバ)の指揮のもと、ハイパー・スピードテストを行う。ハイパー航法はなかなか成功せず、試験のたびに、バズはウラシマ効果で惑星の人たちより時間の進みが遅くなり、バズが試験を繰り返すうちに、惑星では62年の年月が経ってしまう。アリーシャにもらったAIペット、ソックス(ピーター・ソーン)は、ハイパークリスタルを生み出す物質の比率を導き出し、バズはついにハイパー航法に成功。ところが、戻ってきた惑星には、巨大な宇宙船ザーグシップが飛来し、宇宙船から放たれたロボットザークがバズの乗っていた宇宙船を接収してしまう。
バズは地上に残っていたイジー・ホーソーン(キキ・パーマー)に導かれ、彼女たちのアジトに行く。そこには、新兵のモー・モリソン(タイカ・ワイティティ)と仮釈放中のダービー・スティール(デール・ソウルズ)がいた。バズは彼らとともにハイパークリスタルの捕球を目指すが、バズは巨大ロボットにつかまり、ザーグシップに連れ去られてしまう。ロボットを操縦していたザーグ(ジェームズ・ブローリン)の正体は、50年後のバズだった。ザーグは、クリスタルの力で過去を変え、バズの宇宙船の操作ミスをなかったことにしようとする。しかし、若いバズは、それではイジーが存在しないことになってしまうことに気づき、ザーグに反抗。イジーたちも加勢し、ザーグシップの自爆装置を起動して脱出。ザーグはバズの乗る宇宙船に飛び移り、搭載しているハイパークリスタルを抜き取るが、バズは宇宙船から飛び出し、ハイパークリスタルを破壊。爆発でザーグは吹き飛ぶ。バズはイジーたちが乗った船に追いつき、惑星への不時着に成功する。バズは迎え出たバーンサイド(イザイア・ウィットロック・Jr)に新たなスペース・レンジャー組織を作るよう命じられるが、バズはチームはもうある、と言ってイジーたちの方を振り返る。バズたちは惑星を故郷として、スペース・レンジャーの任務に就くのだった。

子供向けのアニメではあるが、宇宙船やロボットなどのデザインがかっこよく、見応えのある作品。一つ目の黄色のロボットは「機動戦士ガンダム」(1981)のモビルスーツっぽかった。アリーシャが女性と結婚し、子どもを授かるところは、養子ということなのか、若干意味不明。養子であれば、歴史を変えてもイジーが生まれていたかもしれない。包摂性の表現なのだろうが、ここに適用しなくてもいい気がした。

【5段階評価】4

| | コメント (0)

2025年6月 2日 (月)

(3056) 仕掛人梅安

【監督】降旗康男
【出演】萬屋錦之介、中村嘉葎雄、伊丹十三、藤田進、小川真由美、中尾彬、五代高之、真行寺君枝、宮下順子
【制作】1981年、日本

江戸時代の暗殺者の活躍を描いた時代劇。池波正太郎の小説が原作。

鍼師を表の稼業とする藤枝梅安(萬屋錦之介)は、依頼を受けて暗殺を行う仕掛人としての裏の顔を持っていた。相棒の彦次郎(中村嘉葎雄)と仕事を終えた梅安は、料亭で情婦のおもんと抱き合う。厠に出た梅安は、廊下で安部主税之助(中尾彬)という男が、若い女を手込めにしているのを見かける。女は殺されてしまう。主税之助に手を焼く父親の安部長門守(ながとのかみ)(中村勘五郎)は、主税之助の殺害を裏稼業の元締め、音羽屋半右衛門(藤田進)に依頼する。
長門守の弟、近江屋佐兵衛(伊丹十三)が大阪から江戸にやって来る。佐兵衛は病気で苦しむ妹のお園(小川真由美)に梅安を紹介。梅安は、近江屋が大阪の元締めであることを知りつつ、お園の針治療を請け負う。音羽屋から主税之助殺害の依頼を受けた梅安は、料亭の部屋で寝る彼の殺害を実行するが、その様子を、部屋に隠れていた女中、お咲(真行寺君枝)に見られてしまう。梅安は彼女を殺さず、その場を去る。それを聞いた彦次郎は、お咲を始末するべきと主張。自らお咲の暗殺をもくろみ、彼女を尾行する。お咲は、小杉十五郎(五代高之)という若い侍に会い、小杉は、お咲の弟の宗太郎(島英津夫(えつお))の療治を頼むため、お咲を梅安のもとに連れて行く。お咲と梅安は相手を見て互いに驚くが、主税之助殺害のことは互いに口にせず、梅安は宗太郎を療治する。
元締めの音羽屋が、口封じのため安部長門守の手のものに襲撃される。近くにいた小杉が音羽屋に加勢し、音羽屋は難を逃れる。近江屋は梅安を呼び寄せ、音羽屋を暗殺して近江屋に付くように言うが、梅安はそれを断る。梅安が帰宅すると、お咲がいた。梅安はお咲から、梅安が主税之助を殺したとき、盗みを働くために部屋に隠れていたこと、過去に主税之助に抱かれおもちゃにされたことを告白する。お咲にとって梅安は、恨む相手を殺してくれた人だったのだ。日が暮れると、梅安の家に近江屋の手のが襲いかかる。梅安は逃げるが銃撃で重傷を負い、争いに巻き込まれたお咲は殺されてしまう。瀕死の梅安をお園が見つけ、隠れ家に匿う。料亭に戻ったお園は、兄の近江屋が梅安を探すよう手下に命じているのを見て、梅安を襲ったのが兄であることを知る。お園は梅安のもとに戻り、近江屋とは実の兄妹でありながら男女の関係を持ち、近江屋の呪縛から逃れられずにいることを告白し、自分を連れてどこかに逃げてほしいと懇願する。梅安はそれには答えず、お園のもとから消える。
梅安は、彦次郎、小杉と合流。長門守と近江屋の仕掛けを実行することにする。梅安は、船には乗らないように、という文をお園に届けるが、お園は長門守と近江屋と同じ船に乗せられてしまう。彦次郎が船頭のふりをして乗り込み、小杉は小舟から屋形船に飛び移って手下たちを倒す。梅安は橋から屋形船に飛び移り、長門守と近江屋を殺害。お園は梅安を見て驚く。お園は梅安に抱き寄せられ「嫌なこと苦しいことみんな忘れられる。嬉しい」と言い残す。梅安はお園の首に針を突き立て、命を奪う。小杉の操る船の上で、彦次郎は梅安に「あの人はなんと言ったんだね」と問う。梅安は「ひとでなし」と答えるのだった。

主人公側と悪者側が分かりやすく分かれた勧善懲悪の作品。なぜお咲は梅安のことを誰にも話さないのかという、ご都合主義的状況について、後半で種明かしがある点はよかった。伊丹十三の演じる近江屋が金髪のちょんまげという独特の容貌をしていた。藤枝梅安役の萬屋錦之介と彦次郎役の中村嘉葎雄の風貌が似ているが、二人は実の兄弟。

【5段階評価】3

| | コメント (0)

2025年6月 1日 (日)

(3055) 沈黙の宿命

【監督】キオニ・ワックスマン
【出演】スティーブン・セガール、ミーガン・オリー、ウォーレン・クリスティー、サラ・リンド、ギル・ベローズ、ウィリアム・ビッグスリープ・スチュワート
【制作】2010年、アメリカ

シアトルの特別捜査隊の活躍を描いたアクション映画。シリーズものだが、2作目以降はDVDリリースのみということなので、本ブログで扱うのは本作のみとなる。

シアトルの特別捜査隊SIUのリーダー、イライジャ・ケイン(スティーブン・セガール)は、ブレット・ラドナー(ウォーレン・クリスティー)、アンドレ・メイソン(ウィリアム・ビッグスリープ・スチュワート)、女性捜査官のジュリエット・ソーンダーズ(ミーガン・オリー)と新米のサラ・モンゴメリ(サラ・リンド)とともに、アジア人夫婦殺人、また、大量殺人事件の黒幕、ロシア人のニコライ・プーチン(ギル・ベローズ)を追う。女性二人がニコライのいるナイトクラブに身分を隠して潜入するが、ニコライに警官だと見破られる。ケインはチームでニコライの麻薬輸送現場に突入し、組織を一網打尽にするのだった。

物語が分かりにくく、出てくるアクションシーンも、よくある銃撃戦と、カット割りだらけの格闘戦。主人公側はほぼ無敵で、ラスボスも主人公には全く歯が立たない。手に汗握る作品とは言いがたかった。

【5段階評価】2

| | コメント (0)

« 2025年5月 | トップページ | 2025年7月 »