(3036) ドクちゃん -フジとサクラにつなぐ愛-
【監督】川畑耕平
【出演】グエン・ドク、グエン・トゥエン、グエン・フーシー、グエン・アンダオ
【制作】2024年、日本
結合双生児として生まれた男性の生きる姿を描いたドキュメンタリー作品。
ベトナム戦争で米軍が撒いた枯れ葉剤の影響とされる、結合双生児として生まれたグエン・ドクとグエン・ベト。兄のベトは分離手術後に介護が必要な状態となるが、ドクは片足(と、作中で明言されていないがおそらくオストメイト)の状態になりながらも生き、健常者とほぼ変わらない生活を送り、トゥエンと結婚。その後、ベトは亡くなるが、ドクとトゥエンは双子を授かり、長男フーシー(日本語でフジ)、長女アンダオ(日本語でサクラ)は14歳になる。広島国際大学客員教授としての長い経歴を持っているドクは、普通の人と変わらない、家族との質素ながらも楽しい生活を送りながら、今も平和を訴える地道な活動を続けているのだった。
日本ではベトちゃんドクちゃんとして有名になったが、その後を知る人は少ないだろう。監督は、今もロシアのウクライナ侵攻のような戦争が続く中、この記録を伝えなければならないという使命感から、本作を手がけたということだ。ベト、ドクを生んで二人を見捨てたとされる両親も作品に登場する。ドクは両親との交流を続けているが、心境は複雑なようだ。自分の意志の強さを語るドクが、「もし僕がマイナス思考だったら、誰が報いを受ける? 考えてみて。僕だよね? だから僕たちは前向きに生きなきゃいけないんだ」という言葉が印象的だった。誰にでも当てはまる言葉だ。確かにそうなんだ。
【5段階評価】3
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