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2025年5月 7日 (水)

(3030) 虹をつかむ男

【監督】山田洋次
【出演】西田敏行、吉岡秀隆、田中裕子、田中邦衛、笹野高史、柳沢慎吾、すまけい、松金よね子、倍賞千恵子、前田吟
【制作】1996年、日本

家出をした若者と、古い映画館を営む男性との交流を描いた、映画愛あふれる作品。

就職活動に落ちこぼれた若者、平山亮(りょう)(吉岡秀隆)は、父親(前田吟)と喧嘩して家出。徳島の光町の古い映画館オデオン座の社長、白銀活男(しろがねかつお)(西田敏行)と出会い、彼の元で働くことにする。活男は、映画愛は強いが経営には無頓着で、オデオン座は慢性的な経営不振。それでも活男とオデオン座は地元民に愛されていた。亮は安月給に不満ながらも、活男の人柄に惚れ、映画館勤めを続ける。
活男は幼なじみの十成(となり)八重子(田中裕子)に好意を寄せていたが、本人はそのことを表に出さない。しかし、映写技師の常さん(田中邦衛)や周囲の人には活男の片思いはお見通しだった。八重子は結婚経験があったが、夫を病気で失っていた。八重子の父(高原駿雄)が亡くなり、八重子は、前の夫と同じ会社に勤める服部という男との再婚を決める。八重子にアプローチを続けていた活男は、そのことを八重子から聞かされ、ショックを隠して八重子を祝福する。八重子は、活男が自分を好きであることに気づいていた。八重子は、活男の思いに答えず別の男との結婚を決めたことを活男に謝り、涙する。
活男は、とうとう映画館をたたむ決意をするが、常さんが1,200万の貯金を活男に渡し、オデオン座は窮地を脱することになる。活男は、将来のある亮をあえて首にして実家に帰らせる。亮は実家から感謝の手紙を活男に送る。活男は満足げに手紙を読み終えると、映画館にふらっとやって来た男(上島竜兵)に、ここで働かないかと気安く声をかけるのだった。

映画館が舞台ということで、いくつかの映画の映像が実際に流れる。「トイレの花子さん」(1995)、「ニュー・シネマ・パラダイス」(1989)、「鞍馬天狗・天狗廻状」(1952)、「野菊の如き君なりき」(1955)、「かくも長き不在」(1961)、「雨に唄えば」(1952)、「禁じられた遊び」(1952)、「東京物語」(1953)、「男はつらいよ」(1969)。さすがに3,000本以上も映画を観ていると、半分以上は観たことがあるというのが、この手の趣味では結構楽しい。ラストは「男はつらいよ」(1969)に焦点が当たり、車寅次郎も、CG合成でちょこっと登場。思えば亮の父親は倍賞千恵子と前田吟だし、亮が通う職安には佐藤蛾次郎が現れるのだった。本作は、撮影直前に亡くなった渥美清を悼む形での制作だが、今回の放映は、これまた亡くなった西田敏行を悼んでのものだった。

【5段階評価】4

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