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2025年5月 1日 (木)

(3024) ある兵士の賭け

【監督】キース・エリック・バート
【出演】石原裕次郎、デイル・ロバートソン、フランク・シナトラJr.、新珠三千代、三船敏郎、ディナ・メリル
【制作】1970年、日本

孤児院建設のために奮闘する米軍大尉と、彼に興味を持つ戦場カメラマンを描いた作品。実話を元にしている。

米軍大尉のクラーク・J・アレン(デイル・ロバートソン)は、野戦装備を付けて座間キャンプから別府市までの1,321kmを14日で踏破するという計画をたて、成功すれば全額が別府の孤児施設、白菊寮に全額が寄付され、失敗すると半額が戻されるという賭けを発表する。全世界から6,500ドル(234万円)が賭けられ、彼は米兵のデニス・ディクソン(フランク・シナトラJr.)と座間を出発する。戦場カメラマンの北林宏(石原裕次郎)は、かつてアレンが、朝鮮戦争で一般市民の夫婦を誤射により殺害し、幼い子どもを孤児にしたところを目撃しており、一見美談に見えるアレンの賭けに、偽善を感じる。北林は先輩の衣笠忠夫(三船敏郎)に、アレンの調査を依頼。北林は衣笠に勧められ、白菊寮を見に行く。白菊寮の寮長、山田シゲ(新珠三千代)は、孤児にお母さんと慕われ、雨漏りの絶えない古びた寮で健気に子ども達を育てていた。朝鮮戦争後に白菊寮を訪問したアレンは、子ども達が雨漏りのしないうちが欲しい、と願うのを聞いて、1,321km踏破の賭けを企てたのだった。北林は、アレンの行程で彼を待ち受け、朝鮮戦争での行為を伝え、君はアメリカだ、と責めるが、アレンは歩いているのは私の国ではなく二人の男だと答える。
アレンは、途中でディクソンが高熱で脱落するというトラブルに見舞われながらも、別府に13日9時間でたどり着く。白菊寮の新築工事が始まるが、資金は足りず、アレンは翌年も座間から別府まで寄付を募りながら歩くが、集まったのはわずか3万円、米軍将兵からは1,000ドルだった。アレンは翌年も募金旅行を行った。衣笠と北林がの働きかけで、日本中から寄付が集まるようになる。アレンは一度アメリカに戻るが、ベトナム戦争に派遣されることが決まり、妻のケリー(ディナ・メリル)や娘(リンダ・パール)、息子(キース・ラーセンJr.)は悲しむ。
アレンに共感するようになった北林は、中央ジャーナルのカメラマンとして戦地でアレンに会い、白菊寮が完成したことを称える。アレンは北林を見送ったあと、戦地で命を落とす。アレンの日本到着を待っていた白菊寮の山田や子ども達は悲しむ。北林はアレンの遺志を受け継ぎ、徒歩旅行を始めるのだった。

タイトルを見ると、戦場で一か八かの賭けに出た兵士の運命を描いたような、サスペンス作品かと思ったが、座間から別府まで14日以内に歩けるかという賭けの話だった。英語の題名が「The Walking Major」なので、むしろ「歩く米軍大尉」なんかのほうがわかりやすかったかも。ようやく別府にたどり着いた大尉に、孤児院の子どもたちが駆け寄る姿は感動的。静かな感度を呼ぶ作品だった。
石原裕次郎や浅丘ルリ子、新玉三千代が流ちょうな英語を披露しているのに驚き。石原裕次郎というと、「嵐を呼ぶ男」(1957)や「銀座の恋の物語」(1962)のようなかっこいいヒーロー役というイメージを抱きがちだが、「黒部の太陽」(1968)のような硬派な作品や、こうしたヒューマンドラマにも携わっている。

【5段階評価】4

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