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2025年3月

2025年3月31日 (月)

(2993) DENGEKI 電撃

【監督】アンジェイ・バートコウィアク
【出演】スティーブン・セガール、DMX、イザイア・ワシントン、デビッド・バディム、アンソニー・アンダーソン
【制作】2001年、アメリカ

型破りな刑事の活躍を描いたアクション映画。アンジェイ・バートコウィアク監督によるヒップ・ホップ・カンフー三部作の2作目。「ロミオ・マスト・ダイ」(2000)の続作。次作は「ブラック・ダイヤモンド」(2003)。

デトロイト警察21分署の刑事、オーリン・ボイド(スティーブン・セガール)は、犯罪集団による副大統領(クリス・ローフォード)の暗殺を阻止するが、SPの業務に介入した上、命を救うためとは言え、副大統領を橋から川に投げ落とす強引な方法をとったことで、友人だが上司でもあるフランク・ダニエルズ(ブルース・マッギル)に行動を咎められ、犯罪多発地域の15分署に異動させられる。彼はそこで麻薬の密売現場に踏み込むが、格闘の末、捕らえた男(デビッド・バディム)は、潜入捜査官のマット・モンティーニだった。モンティーニは異動したばかりのボイドに手荒い歓迎をしようとするが、巡査部長のルイス・ストラット(マイケル・ジェイ・ホワイト)がモンティーニをたしなめる。
ボイドは麻薬の売人であるラトレル(DMX)の情報を追い、警察の保管庫から麻薬を盗み出されていることを知る。それこそがモンティーニであり、さらには善人と思われたルイスだった。ラトレルは、濡れ衣で刑務所に入れられた弟ショーン(ドラッグ=オン)を助けるため、警察の汚職を暴こうとしていた。ボイドはラトレルに協力することにし、フランクの協力を得てモンティーニやルイスのいる麻薬取引現場に侵入。ところがフランクもまた、汚職刑事の仲間だった。窮地に陥るボイドだったが、15分署の新たな相棒ジョージ(イザイア・ワシントン)と本部長のヒンジス(ビル・デューク)が現場に突入。ボイドとともに汚職警官を一網打尽にするのだった。

黒人の見分けが付きづらく、日本人には難解な作品かもしれない。スティーブン・セガールが黒人と親交が深いことをアピールするような印象もあった。スティーブン・セガール主演作品は、単純な勧善懲悪ストーリーの低予算B級アクションというイメージを持っていたが、本作はシナリオは丁寧で、映像もしっかりしており、女性上司のアネット(ジル・ヘネシー)が、乗っていた車が追突してフロントガラスに頭を打ち付けて死んでしまうというシーンの映像もきちんと作られていた。

【5段階評価】3

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2025年3月30日 (日)

(2992) 似ている

【監督】木村輝一郎
【出演】大迫一平、ミネオショウ、森レイ子、ジャン・裕一(ゆういち)、青山海美(なるみ)
【制作】2021年、日本

大学時代の友人の絵を盗作した広告デザイナーの運命を描いた作品。25分の短編映画。

妊娠した妻、栄美(森レイ子)を持つ小峯有作(ミネオショウ)は、自分の絵画作品を携えて、広告関係の会社の採用面接に行く。そこでは、広告デザイナーの田中功明(こうめい)が、インタビュー撮影をしていた。顔にシーツを巻いた独創的な絵を世に送り出し、シーツラッピングというブームを作り出したのだ。田中は、そこに通りかかった有作を見つけて、声をかける。二人は古くからの友人だった。
面接に臨んだ有作は、自分の作品を面接官(ジャン・裕一)に見せるため、持ってきた絵を袋から取り出す。そこには、顔にシーツのまきついた絵があった。有作は間違って持ってきてしまったと言い、別の絵を見せようとするが、面接官はシーツの絵に目を見張る。田中の作品と酷似していたからだ。その絵は大学時代に描いたものだと有作は答える。
面接官の男は面接を終えると、田中を呼びつけ、インタビューを中止させる。男に問い詰められた田中は、友人の絵を盗作したことを白状。男は、有作の絵を買い取るよう田中に命じ、田中はアパートの二階にある有作の家を訪ねる。有作は田中を迎え入れ、妻を紹介する。妻の栄美は、田中が有作の絵を盗作したことを知っていた。栄美は、田中が有作の絵を盗作して有名になったことをネットで調べ上げていたのだ。有作の持ち込もうとしている絵に、シーツの絵を入れたのは栄美だった。有作は、田中に対して高圧的な態度の栄美にとまどい、栄美のいない部屋に田中を連れて行く。田中は有作の絵を100万円で買い取ると申し出る。有作は喜ぶが、シーツの絵は一枚ではなかった。部屋の中から大量にシーツの絵が出てくるのを見て、放心状態の田中は有作のアパートを無言で出て行く。外には、インタビュー撮影をすっぽかされた撮影隊が田中を追いかけてきており、インタビュアーの女(青山海美)が田中に声をかける。混乱した田中はアパートの階段を転げ落ち、意識を失う。田中がいなくなったことを知った有作は、家を飛び出し、倒れた田中を見つけて揺り起こすのだった。

さあ、ここから、というところで大した落ちもなく終わってしまった。こうなるぐらいなら、大量のシーツの絵が出てきたところで終わったほうが締まりがあっただろう。

【5段階評価】2

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2025年3月29日 (土)

(2991) ミッドナイト・マーダー・ライブ

【監督】ロムアルド・ブーランジェ
【出演】メル・ギブソン、ウィリアム・モーズリー、アリア・セロール・オニール、ポール・スペラ、ナディア・ファレス
【制作】2022年、アメリカ

ラジオの深夜番組で起きた連続殺人事件を描いた作品。

ラジオDJのエルビス(メル・ギブソン)は、深夜番組を長年受け持っており、自身の誕生日の前日、愛する娘のエイドリア(ロミー・ポイント)をベッドに寝かせ、妻のオリビア(ナンシー・テイト)を家に残してラジオ局に向かう。エルビスの番組に、新人スタッフとして、ディラン(ウィリアム・モーズリー)が加わる。深夜0時となり、エルビスはアシスタントのメアリー(アリア・セロール・オニール)と番組を開始する。彼の番組は、リスナーからの相談に答えるという内容。エルビスが何人かのリスナーの悩みに答えた後、ゲイリー(ポール・スペラ)と名乗る男が電話をしてくる。彼はエルビスの家に侵入し、エルビスの妻と幼い娘に銃を突きつけていると告げる。ゲイリーはエルビスを恨んでいた。エルビスの前のアシスタントのローレンは、ゲイリーの恋人だったが、エルビスの行為に耐えかねて自殺したというのだ。ゲイリーは、妻と娘を殺されたくなければ、ラジオ局のビルの上から飛び降りろとエルビスに命令。エルビスは飛び降りた振りをするが、ゲイリーはドローンのカメラでゲイリーが飛び降りていないことを確認。電話の向こうで銃声が鳴り響く。エルビスはショックを受けながら屋上を後にするが、エルビスの家に向かった警察から電話があり、エルビスの家は無人だったと告げる。ゲイリーはエルビスの妻と娘を誘拐しており、ラジオ局のビルに爆弾を仕掛け、ビルの中に潜入していたのだ。
エルビスは、ディランとともにゲイリーを探す。ゲイリーはエルビスの思考を先読みしているかのように、エルビスの行く先はラジオ局のスタッフの死体が転がっていた。エルビスはゲイリーがスタジオにいると気づき、ディランに銃を持たせると、スタジオに忍び込んでゲイリーに飛びかかり、喉元にカッターナイフを突き付ける。しかし、ゲイリーは、エルビスの妻と娘に爆弾付きのベストを着せてビルの屋上に置いていた。ゲイリーの手には起爆装置があり、それを床に落とすと爆弾が爆発してしまう。エルビスとディランはゲイリーに従うしかなくなる。派遣されたSWATの隊員(ヤン・ビーン)がゲイリーの指示に従い、外した爆弾付きベストを持ってスタジオに現れる。隊員はそれをゲイリーの指示通り、ディランに着せるが、ゲイリーは突然SWATの隊員を撃ち殺すと、ことがうまく運んでいないことにいらだち、起爆装置を手から離してしまう。その場にいたエルビスとメアリー、ディランは驚くが、爆弾は爆発しない。しばらくの沈黙の後、突然、エルビスとメアリー、ゲイリーが大笑いしはじめ、ディランは呆気にとられる。全てはディランを騙す狂言だったのだ。死体を演じていた人たちも集まり、ラジオ番組を使って新入りのディランをからかったことで盛り上がるが、当のディランは全く笑えず、あきれた表情でスタジオを立ち去る。エルビスはディランをなだめるように後を追い、ディランにコメントを求めるが、ディランは後ずさり。すると、階段で足を踏み外して階下に落下してしまう。ディランは踊り場で頭を打ち、流血。メアリーが慌てて駆け寄るが、彼女は「死んでる」とつぶやく。
警察が遺体を引き取り、エルビスの上司のサム(ナディア・ファレス)は、茫然自失のエルビスを強く咎める。ラジオ局の入り口にマスコミが張っていると言って、サムはエルビスを自分の乗っている車に乗せる。すると運転席の男が振り返る。その顔はディランだった。実はディランは新入りのスタッフではなく、メアリーやサムたちが、エルビスを担ぐために雇った役者だったのだ。こうしてエルビスは一杯食わされ、仲間たちはエルビスの誕生日を祝って大いに盛り上がるのだった。

狂気のリスナーの連続殺人と思って観ていると、最後の最後に狂言だったことが判明するというお話。すっかり騙されたが、最後にディランが頭を打って死んだという場面では、「これもどうせ狂言だろ」という予感がするので、ここの落ちは見え見えだった。結局、誰も死んでいないというハッピーエンド。たまにはこういうサスペンス作品もいいかも。

【5段階評価】4

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2025年3月28日 (金)

(2990) リスタート

【監督】品川ヒロシ
【出演】EMILY、SWAY、品田誠、中野英雄、黒沢あすか、朝倉ゆり、岩崎う大
【制作】2021年、日本

ミュージシャンとの密会が暴露された地下アイドルの再生を描いた青春映画。

高校を卒業し、シンガーソングライターを夢見て上京した杉原美央(EMILY)は、28歳になった今も夢は果たせず、地下アイドルとして奮闘していた。美央は男性ミュージシャンの原川悠(望月柊成(しゅうせい))と交際していたが、彼は二股を掛けており、高校時代に付き合っていた女性が妊娠したので結婚すると言って、美央を振る。美央と原川が車でラブホテルを出たところを、張り込んでいたカメラマンの野村(品川誠)が撮影し、この件はスキャンダルとなる。美央はアイドルグループを首になり、狂信的なファンの山田(岩崎う大)に待ち伏せされて目を殴られて負傷。心配した妹の夏帆(朝倉ゆり)とともに故郷の北海道下川町に帰る。
帰省した美央を、父親の杉原洋二(中野英雄)と母の祐美(黒沢あすか)は温かく迎える。洋二は美央の実の父親ではなく、美央の実の父親はアメリカに妻も子どももいた男で、祐美と浮気して妊娠させたあと、祐美を捨ててアメリカに帰ってしまっていた。美央は、洋二が自分に気を遣いすぎていることを窮屈に感じていた。
美央の高校の同級生だったあん(向井日菜海)とみち(夏目ベール)が美央の家にやってきて、美央を飲みに誘う。飲みには、同級生仲間だった、みちの恋人のなおき(藤井俊輔)と良太(阿部隼也(じゅんや))、そして美央の幼なじみで、今は札幌を拠点にネイチャーガイドとカメラマンをしている大輝(だいき)(SWAY)も加わる。
大輝は、民宿をしている美央の家に宿泊。大輝も、美央に起きたことには触れず、昔のように気さくに話しかけ、落ち込んでいる美央を自然豊かな川に連れて行き、美央を励ます。美央は仲間に後押しされ、地元でライブをすることにする。
洋二が経営する民宿に、野村と、部下の小橋(かんた)が泊まりに来る。夕食になり、野村は身分を偽って、食卓にいる大輝と美央にあれこれと質問。翌日、美央が地元で新恋人、という記事がネットに載る。野村と小橋を疑っていた大輝は野村に怒りをぶつけ、洋二は、娘を傷つけるような人間は客ではないと言って、野村と小橋を追い返す。
美央は家族と仲間に見守られ、ライブに臨み、自分の過去を乗り越えていくことを歌詞にした歌を熱唱。美央を冷やかしに来た男(小杉竜一)と女(もりももこ)も、歌に感動して美央のファンになる。ライブ会場の後ろで歌を聴いていた野村は、北海道でリスタートした歌姫、と美央を称賛する記事を書く。美央は家族や仲間と新たな一歩を踏み出すのだった。

あまり期待せずに観たが、涙涙の感動作だった。オープニングで高校時代の主人公が歌うシーンがあるのだが、音声がないので、「これは「BECK」(2010)のパターンか?」と不安になったが、美央役のEMILYは二人組バンドHONEBONE(ホネボーン)のボーカルであり、しっかりとした歌声を披露しており、クライマックスの独唱は圧巻。カメラマンの野村は、下劣なスキャンダル記事を書いて相手のプライベートをぶち壊すことを生業としつつも、病気を抱えた娘を持ち、悩みながらも自分の仕事を続ける複雑な役どころ。演じた品田誠は、斎藤工にものすごく似ていて、ひげなどはもはや寄せているようだった。

【5段階評価】4

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2025年3月27日 (木)

(2989) プロテクター

【監督】ジェームズ・グリッケンハウス
【出演】ジャッキー・チェン、ダニー・アイエロ、ソーン・エリス、ロイ・チャオ、ビル・ウォレス、ムーン・リー
【制作】1985年、香港、アメリカ

誘拐された女性を追うニューヨーク刑事の活躍を描いたアクション映画。

ニューヨークの刑事、ビリー・ウォン(ジャッキー・チェン)は、相棒のマイケル(パトリック・ジェームズ・クラーク)を撃ち殺した強盗犯を執拗に追い、ボートで逃げる相手にボートを激突させて復讐。署長(ビクター・アーノルド)はビリーの暴走に激怒する。実業家のパーティの警備の任務に就いたビリーは、知り合いの刑事、ダニー・ガローニ(ダニー・アイエロ)と再会。そこに賊が現れ、主催者の娘、ローラ・シャピーロ(ソーン・エリス)が誘拐される。ビリーとダニーは、香港の犯罪組織の頂点に君臨するハロルド・コー(ロイ・チャオ)がローラ誘拐に絡んでいるとの情報を元に、香港に飛ぶ。
香港警察署長のホワイトヘッド(リチャード・クラーク)は、ビリーとダニーを歓迎しない態度を示す。二人を見送った警察官によると、コー逮捕の手柄を取られるのを嫌がっているのだろうとのことだった。誘拐現場にいたローラのボディガード、ベニー・ガルーチ(ビル・ウォレス)の電話記録にある風俗店に向かった二人は、ベニーの名前を出したため従業員に襲われるが、撃退。ビリーはかつて情報屋をしていたリー・ヒン(ピーター・ヤン)を訪ね、協力を得ようとするが、リーは殺されてしまう。リーの娘、ソー・リン(ムーン・リー)は、ビリーが父を訪ねて来たことを恨みながらも、コーの悪事を暴くことに協力する。
ダニーはベニーの行動を監視し、ローラが監禁されている麻薬製造現場がコンテナヤードにあることを突き止める。ビリーとダニー、そしてリーと付き合いのあった若い黒人、スタン(キム・バス)はコンテナヤードに潜入。ローラを救い出すが、ダニーはベニーに捕まってしまう。ベニーはコーとつながっていたのだ。ビリーはローラを香港警察に預け、ローラと引き換えにダニーを救出するという取り引きを持ちかけ、コーとベニーの待つ造船所に向かうが、ホワイトヘッド署長がコーと繋がっており、ローラは敵の手に渡ってしまう。コーは余興だと言って、単身のビリーと、空手チャンピオンのベニーを戦わせる。ベニーの実力に圧倒されながらも、ビリーはベニーを退け、拘束されていたダニーを救出。そこに香港警察がなだれ込み、ホワイトヘッドは御用となる。ヘリに逃げ込んだコーは、マシンガンでビリーを狙うが、ビリーはクレーンを操作して、クレーンの先端部をヘリに落下させ、コーを撃退。香港とニューヨークの麻薬ルートを壊滅させたことで、ビリーとダニーは表彰されるのだった。

物語は大味で、そこに感動はないのだが、ジャッキー・チェンのアクションは見事。積まれたコンテナを登っていくシーンは、何でもないようだが、むだのない動きは素晴らしかった。強敵のベニー役を演じたビル・ウォレスは、本当の空手家であり、強烈な足技の持ち主。ジャッキー・チェンとのタイマンは見応えがあった。

【5段階評価】3

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2025年3月26日 (水)

(2988) 木枯し紋次郎

【監督】中島貞夫
【出演】菅原文太、江波杏子、小池朝雄、山本麟一、伊吹吾郎、渡瀬恒彦、賀川雪絵
【制作】1972年、日本

渡世人の義理と人情を描いた時代劇。笹沢左保の小説が原作。

渡世人の木枯し紋次郎(菅原文太)は、代貸しの瀬川家に一宿一飯の恩義に預かる。同部屋の左文治(小池朝雄)と親しくなり、瀬川家の出入りに加担して義理を果たした後、左文治の家で草鞋を脱ぐことになる。ところが左文治が殺人を犯し、老い先短い母親の死に水を取ってくれと紋次郎に頼んだため、紋次郎は自らが身代わりとなると申し出る。左文治は、母親の死に水を取ったら自首して紋次郎と入れ替わると誓う。紋次郎は三宅島へ島流しとなり、紋次郎を慕う堅気の娘、お夕(江波杏子)は、島流しの船を追うと、海に身投げする。
三宅島に送られた紋次郎は、島抜けを企む捨吉(山本麟一)一派の清五郎(伊吹吾郎)に、仲間になるようしつこく誘われるが、紋次郎は左文治を待つため、島抜けを断る。島にはお夕に瓜二つで同名のお夕(江波杏子、二役)という女の罪人がおり、紋次郎は他人とは思えず食事を世話する。お夕は妊娠しており、赦免状が届くのを心待ちにしていたが、赦免状は届かず、絶望したお夕は断崖から投身自殺する。
新たに島流しになった亀蔵(西田良)という渡世人から、左文治の母親はすでに死んでいると聞いた紋次郎は、捨吉たちの島抜けに加わり、三宅島で大噴火が起こった混乱に乗じて島を脱出する。捨吉は、本土に戻ってから自分の素性が割れないよう、仲間を殺し、本土にたどり着いた清五郎と紋次郎に斬りかかるが、紋次郎は捨吉が堅気の男ではないことを確認すると、返り討ちにする。紋次郎は捨吉に斬られて負傷した清五郎を介抱するが、清五郎もまた、紋次郎に刃を向ける。彼はある人物から紋次郎の暗殺を依頼されており、そのため紋次郎を仲間に引き入れようとしていたのだった。清五郎は、紋次郎を追ってきた代貸しの手勢に斬られ、命を落とす。
紋次郎は真相を確かめるため、左文治と再会する。左文治は十手を預かる立場に成り上がっていた。左文治が母親の死に水を取りたいと言ったのは嘘であった。左文治はお夕と愛し合っており、お夕は左文治の子を身ごもっていたため、島流しを避けたのだった。お夕が海に身投げをして見せたのは、紋次郎を騙すためだった。お夕は左文治の命を助けてほしいと懇願するが、紋次郎は左文治を叩き斬る。父無し子を抱えてどうやって生きていけばいいの、と泣きすがるお夕に、紋次郎は「あっしには関わり合いのねえことでござんす」と言い残して去って行くのだった。

聞いたことぐらいはある時代劇のヒーロー、木枯し紋次郎。初めて作品を観た。最後の決め台詞は有名なヤツだ。

【5段階評価】3

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2025年3月25日 (火)

(2987) 博士と彼女のセオリー

【監督】ジェームズ・マーシュ
【出演】エディ・レッドメイン、フェリシティ・ジョーンズ、チャーリー・コックス、マキシン・ピーク、デビッド・シューリス
【制作】2014年、イギリス

ALSにかかった宇宙物理学者の半生を描いた作品。

物理学を専門とする大学生、スティーブン・ホーキンス(エディ・レッドメイン)は、パーティで文学を専攻するジェーン・ワイルド(フェリシティ・ジョーンズ)と出会い、恋に落ちる。スティーブンは若くしてALS(筋萎縮性側索硬化症)を発症。しだいに発話や歩行が困難になっていく。スティーブンの父、フランク(サイモン・マクバーニー)は、ジェーンにスティーブンを諦めるよう諭すが、ジェーンはスティーブンとの結婚を決断。スティーブンはブラックホールに関してたぐいまれな理論を構築し、博士となる。
筋肉の萎縮とは別に、男性としての機能は維持しており、スティーブンとジェーンは子宝を授かる。徐々にスティーブンの世話が大変になる中、ジェーンの母、ベリル(エミリー・ワトソン)はジェーンに聖歌隊に入ることを勧める。ジェーンは聖歌隊の指導をするジョナサン(チャーリー・コックス)と知り合う。ジョナサンは妻と死別しており、自分には目的がないから、とホーキンス家の世話をするようになる。子ども達もジョナサンになつき、スティーブンもジョナサンを気に入る。やがてジェーンは三人目の子を産むが、周囲はそれはジョナサンの子ではないかと疑う。それを知ったジョナサンはジェーンから距離を置くようにするが、男女関係に無頓着なスティーブンは、ジョナサンにジェーンを助けてほしいと依頼。スティーブンがジェーンと別行動でフランスを訪れた際、スティーブンの容態が急変。その頃、ジェーンはジョナサンとともに、車でキャンプをし、子どもが寝た夜、ジェーンはジョナサンのテントに身を寄せたのだった。
スティーブンは一命を取り留めるが、喉を切開して呼吸装置を付け、もはや声を出すこともできない状態になる。スティーブンにエレインという女性介護士がつき、スペリングボードや人工音声装置を使ってコミュニケーションを取るようになる。スティーブンはジェーンよりエレインとコミュニケーションをとることが多くなり、ついにスティーブンとジェーンは離婚。ジェーンはジョナサンと再婚する。スティーブンは「時間小史」を著した功績などで叙勲し、ジェーンと授与式に臨む。式を終えたスティーブンは、ジェーンに、見ろよ我々が創り上げたものを、と告げる。視線の先には三人の子ども達がいるのだった。

有名な物理学者、スティーブン・ホーキンスの伝記的作品。彼の学術的功績よりも、ジェーンとの関係に焦点を当てた内容になっていた。スティーブンを演じたエディ・レッドメインの演技力が光る。

【5段階評価】3

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2025年3月24日 (月)

(2986) 山桜

【監督】篠原哲雄
【出演】田中麗奈、東山紀之、檀ふみ、富司純子、篠田三郎、村井国夫、千葉哲也、北条隆博、南沢奈央
【制作】2008年、日本

夫に先立たれた女性と、民を思う剣士との叶わぬ恋を描いた時代劇。原作は藤沢周平の小説。

浦井家の長女、野江(田中麗奈)は、夫に先立たれ、磯村庄左衛門(千葉哲也)と再婚していたが、夫とも姑(永島暎子)とも冷えた関係にあった。野江が叔母の墓参りの後、山桜を見つけ、枝を手折ろうとするが手が届かない。すると背後から、一人の武士(東山紀之)が声をかけ、枝を折って野江に渡す。武士の名は手塚弥一郎。弥一郎はかつて野江を嫁にと申し出たが、野江は剣士との結婚を恐れ、断った過去があった。
藩では凶作が続き、弥一郎は農民の窮状に心を痛めていた。藩の財政を預かる諏訪平右衛門(村井国夫)は、農民に圧政を敷いており、耐えかねた弥一郎は、平右衛門に向かって剣を抜き、平右衛門の取り巻きを峰打ちで倒すと、平右衛門を切り捨てる。平右衛門はそのまま出頭し、牢屋入りとなる。
野江の夫、庄左衛門は、平右衛門に取り入る側であったため、野江の前で弥一郎の悪態をつく。野江は夫を軽蔑のまなざしで見つめ、家紋入りの羽織を床に落とす。野江は磯村家を出ることになり、実家に戻る。野江は弥一郎への思いを募らせる。翌年。野江は山桜の枝を持って弥一郎の家を訪ねる。家には弥一郎の母、志津(富司純子)がいた。志津は弥一郎から野江のことを聞いて知っており、野江の訪問を喜ぶ。野江は手塚家に通うようになるのだった。

東山紀之の武士としてのたたずまいが見事。当たり役と言ってもいいぐらいだった。大きな感動や派手な殺陣はなく、弥一郎が聖人君子すぎる面はあるが、極力無駄を省いた佳作だろう。

【5段階評価】3

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2025年3月23日 (日)

(2985) スマホを落としただけなのに 囚われの殺人鬼

【監督】中田秀夫
【出演】千葉雄大、白石麻衣、成田凌、井浦新、鈴木拡樹(ひろき)、平子祐希、田中哲司、飯尾和樹
【制作】2020年、日本

ネットの裏社会で暗躍する殺人犯を追う刑事の奮闘を描いた作品。「スマホを落としただけなのに」(2018)の続編。

神奈川の山中で白骨死体が発見される。発見現場が、かつて黒髪の女性ばかりを狙った連続殺人鬼、浦野善治(成田凌)の遺体遺棄現場と近いことから、神奈川県警の管理官、牧田英俊(田中哲司)は、当時の事件を担当した加賀屋学(千葉雄大)に、収監中の浦野から情報を得るよう指示する。浦野は、自分に専用の部屋と食事、高性能のパソコンを用意することを条件に、捜査に協力し、真犯人「M」を探り出すと約束する。
学の恋人、松田美乃里(みのり)(白石麻衣)は、顔に火傷を負った謎の男(井浦新)にスマホをハッキングされる。「M」は闇バイトを使って、自分に敵対するホワイトハッカー(高橋ユウ)を殺害。美乃里も拉致される。それを知った学は美乃里のスマホのGPSを頼りに美乃里を追跡。拉致犯(音尾琢真)を見つけるが、犯人は美乃里を盾に取る。そこに謎の男が現れ、学に銃を向けたかと思うと、拉致犯に発砲。拉致犯は倒れる。
謎の男は「M」ではなく、警視庁公安部サイバー攻撃特別室の警部、兵藤彰だった。彼は、警視庁のサーバーへの不正アクセス者を調べており、それが美乃里のパソコンであったことから、美乃里を調査。その先に学がいることを知ったのだ。警視庁サーバーへの不正アクセス者は、学だった。彼は刑事だった父親の殉職の理由が明かされていないことを気に掛けており、警視庁サーバーを調べたのだった。
浦野は、監視役の刑事(平子祐希)を殺害して脱走。海外から学にコンタクトし、自分がMではないことを明かす。Mを騙っていたのは、かつて学とともにIT企業を立ち上げた男であり、美乃里の職場の社長でもある笹岡一(鈴木拡樹)だった。彼は、会社経営が傾いたことから金が必要となり、Mを騙ってビットコインを搾取。それを妨害したホワイトハッカーの殺害に関与。本当のMは、逮捕される前の浦野によってすでに殺されていた。全てを知った学は、浦野を捕まえることを誓う。美乃里と学はよりを戻し、ともに生きる道を選ぶのだった。

上のあらすじはけっこう端折って書いており、あまり正確ではない。Mの正体が二転三転し、伏線を回収しながらの展開は、凝った作りで見応えがあった。前作の犯人が味方になるという展開かと思いきや、やっぱり殺人鬼だったというところも、意外性があった。あまり現実味がない分、恐怖感は薄いが、娯楽作品としては十分だろう。

【5段階評価】4

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2025年3月22日 (土)

(2984) 魚影の群れ

【監督】相米慎二
【出演】緒形拳、夏目雅子、佐藤浩市、十朱幸代、下川辰平、三遊亭円楽
【制作】1983年、日本

初老の漁師と、その娘夫婦の人生を描いた作品。吉村昭の小説が原作。

大間でマグロ漁をなりわいとしている初老の漁師、小浜(こはま)房次郎(緒形拳)は、妻のアヤ(十朱幸代)と別れ、娘のトキ子(夏目雅子)と二人暮らし。トキ子は漁師になることを決心した喫茶店のせがれ、依田俊一(しゅんいち)(佐藤浩市)と結婚を約束。房次郎は結婚に反対するが、俊一は、漁師のイロハを叩き込んでほしいと房次郎に熱心に頼み、房次郎はついに折れて、俊一を漁船に乗せて漁に行く。ところが、マグロを引くテグスが俊一の頭部に絡まり、俊一は重傷を負う。房次郎は無線で漁港に救急車手配の連絡を入れるが、掛かったマグロを諦めきれず、マグロを仕留めることを優先。俊一は傷口が悪化し、一歩間違えば死ぬ事態となる。
トキ子は房次郎を責め、俊一と和歌山に引っ越す。俊一は和歌山でマグロ漁を始め、トキ子と結婚。やがて大間に戻ってくる。大間のマグロ漁は手強く、俊一は大間の漁師仲間に馬鹿にされているのでは、と悩む。俊一は一人でマグロ漁に出て帰ってこず、トキ子は房次郎に頭を下げ、俊一を探しに行ってもらう。房次郎は俊一の漁船を見つけるが、俊一はマグロと格闘の末、重傷を負っていた。房次郎はテグスを切断しようとするが、俊一はそれを許さず、掛けたマグロを二人で仕留める。房次郎は、自分の船を諦め、俊一の船で漁港を目指すが、俊一は命を落としてしまう。無線で房次郎から俊一の士の連絡を受けたトキ子は、悲しみのあまり泣き叫ぶのだった。

不器用な性格の初老の漁師、一人前になろうともがく青年、青年に寄り添おうと歯を食いしばる女性。漁師と別れて北海道の伊布(いぶ)港に住む中年女性。それぞれが暗い部分を背負いつつなんとか生きているものの、青年には死が訪れる。重めの内容の作品だった。
緒形拳自身が、釣ったマグロを仕留めるシーンを長々と演じており、見応えがある。公開当時41歳の十朱幸代の豊かな乳房を拝むことができ、夏目雅子にも濡れ場があった。

【5段階評価】3

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2025年3月21日 (金)

(2983) ビフォア・サンセット

【監督】リチャード・リンクレイター
【出演】イーサン・ホーク、ジュリー・デルピー、バーノン・ドブチェフ
【制作】2004年、アメリカ、フランス

9年ぶりに再会した男女の会話を追った作品。「恋人までの距離」(1995)の続編。次作は「ビフォア・ミッドナイト)(2013)。

作家のジェシー(イーサン・ホーク)は、9年前に出会ったパリの女性、セリーヌ(ジュリー・デルピー)との一夜の恋を題材に小説を書き、パリの書店で、小説を売り込むイベントに出演していた。すると、書店にセリーヌが来ており、ジェシーは驚く。ジェシーはアメリカに帰る飛行機に乗るまでの間、セリーヌと過ごすことにする。
二人は9年前、旅の途中のウィーンで一夜を過ごし、半年後の12月6日にウィーンで再会しようと約束して別れていた。ジェシーはウィーンに行ったが、セリーヌは祖母が亡くなったためウィーンに行けず、二人は会えないまま9年が過ぎたのだった。ジェシーはその間、結婚して息子がおり、セリーヌは結婚はしていないが戦場カメラマンの恋人がいた。
二人はカフェでお茶をしてから散歩して遊覧船に乗り、ドライバーを呼んで車に乗り込んだ後、ジェシーはセリーヌを家まで送る。ジェシーはセリーヌの家に上がり込み、セリーヌの歌を聴く。セリーヌは一曲披露すると、おどけて飛行機に遅れるよ、とジェシーに告げるのだった。

ほぼ二人の会話だけで成り立っていて、長尺の撮影で二人の会話を追い続けており、イーサン・ホークとジュリー・デルピーの演技力の賜とでも言うべき作品。どこまで台本でセリフが決まっていて、どこまでがアドリブなのかはよく分からないが、このセリフの量を間違えずに覚えて言っているとしたら驚愕だ。面白い映画か、と聞かれると、そうでもないのだが、とても印象に残る作品。

【5段階評価】3

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2025年3月20日 (木)

(2982) ゴジラ キング・オブ・モンスターズ

【監督】マイケル・ドハティ
【出演】カイル・チャンドラー、ベラ・ファミーガ、渡辺謙、ミリー・ボビー・ブラウン、チャールズ・ダンス、チャン・ツィイー
【制作】2019年、アメリカ

ゴジラを始めとする巨大怪獣同士の戦いを描いた怪獣映画。「キングコング: 髑髏島の巨神」(2017)の続編。次作は「ゴジラvsコング」(2021)。

ゴジラの襲撃により息子のアンドリュー(タイラー・クラムリー)を亡くしたマーク・ラッセル(カイル・チャンドラー)は、妻のエマ(ベラ・ファミーガ)、娘のマディソン(ミリー・ボビー・ブラウン)と別居。エマは怪獣研究機関モナークで、モスラの幼虫の誕生に立ち会っていた。エマは、興奮して攻撃的になっているモスラの幼虫に、怪獣の声を聞かせる装置オルカを使い、モスラを沈静化することに成功。そこにエコテロリストのアラン・ジョナ(チャールズ・ダンス)の一味が乱入し、オルカを強奪。エマとマディソンも拉致される。それを知った芹沢猪四郎博士(渡辺謙)はマークをモナークに呼び戻す。
ジョナは南極で氷付けになっているモンスター・ゼロを呼び起こそうとする。モナークの仲間とともに現地に向かったマークは、エマとマディソンを連れ戻そうとするが、エマはなぜか逃げず、モンスター・ゼロを覚醒させる。マークは仲間と必死で逃走。エマとマディソンとは離ればなれとなる。そこにゴジラが現れてモンスター・ゼロに襲いかかり、マークたちはなんとか逃げ切ることに成功する。
エマは地球にとってウィルス的存在となっているのは人間だと考え、地球を守る存在である巨大怪獣を覚醒させようとしていた。地球上の様々な巨大怪獣が復活し、その中にはラドンも含まれていた。ところが、モンスター・ゼロは地球の生命体ではなく、宇宙怪獣ギドラだった。巨大怪獣たちは、ギドラをキングとする支配体制になり、地球を救うというエマのもくろみは崩れてしまう。芹沢博士は、アメリカ軍の放ったオキシジェンデストロイヤーによって無力化したゴジラを復活させるため、ゴジラが再生を試みている地下に入り込み、核弾頭で自爆してゴジラにエネルギーを送り込む。復活したゴジラは地上で暴れるギドラと戦うが、ギドラの圧倒的な力の前に倒される。そこに、成虫となったモスラが現れる。ラドンがモスラに襲いかかるが、モスラはラドンを倒し、ギドラの力を吸収してゴジラに与える。ゴジラは復活し、キングギドラを高熱で圧倒し、消滅させる。ゴジラが新たなキングとなり、他の巨大怪獣を従える。地上に秩序が訪れたかに見えたが、ジョナは死んだギドラの首を手に入れ、不敵に笑うのだった。

日本生まれの怪獣がハリウッドの技術で作り直されるという、日本の怪獣映画ファンにはたまらない内容。日本の着ぐるみのゴジラやワイヤーで吊るしたモスラを見慣れた人にとっては、それとは全く違う本作のゴジラやモスラに感動するかもしれない。それぐらい特撮はすごいのだが、いかんせん物語が分かりづらくて正直、面白くない。芹沢博士がゴジラを復活させるために命を落とす展開も、話を盛り上げるために脇役が命を投げ出すという、陳腐なパターンだった。タイトルも何だか陳腐だし。

【5段階評価】3

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2025年3月19日 (水)

(2981) 男はつらいよ 柴又慕情

【監督】山田洋次
【出演】渥美清、吉永小百合、倍賞千恵子、松村達雄、三崎千恵子、前田吟、津坂匡章、太宰久雄、佐藤蛾次郎
【制作】1972年、日本

「男はつらいよ」シリーズ第9作。「男はつらいよ 寅次郎恋歌」(1971)の続編。次作は「男はつらいよ 寅次郎夢枕」(1972)。

車寅次郎(渥美清)は、旅先で若い女性三人組と出会う。四人は仲よくなり、三人組の一人、歌子(吉永小百合)は寅次郎との再会を強く願う。柴又に戻った寅次郎は、偶然、三人組のうちのみどり(高橋基子)、マリ(泉洋子)と再会。その後、歌子がとらやを訪ねてくる。歌子は寅次郎を慕い、寅次郎も歌子と会うのが楽しみになる。歌子は作家の父親、高見修吉(宮口精二)と二人暮らしをしており、愛知で陶芸をしている恋人との結婚に踏み切れずにいた。歌子は博(前田吟)、さくら(倍賞千恵子)の夫婦に相談し、父親は一人でも暮らしていけるから自分の幸せを大事にした方がいいと助言され、勇気を持つ。歌子は恋人と結婚する決意を寅次郎に述べる。寅次郎は振られたことを悟られないよう、歌子を応援する。寅次郎はまた旅に出て、舎弟の登(津坂匡章)と再会。行動をともにするのだった。

吉永小百合演じる歌子が、寅次郎に罪深い行動。若くてかわいい女性に、会いたかった、また会いたいと言われたら、寅次郎でなくても相手を好きになるだろうというもの。その気にさせておいて、実は恋人がいたという、男はつらいよの典型的な筋書きだった。

【5段階評価】3

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2025年3月18日 (火)

(2980) 男はつらいよ 寅次郎恋歌

【監督】山田洋次
【出演】渥美清、池内淳子、倍賞千恵子、前田吟、志村喬、森川信、三崎千恵子、岡本茉利
【制作】1971年、日本

「男はつらいよ」シリーズ第8作。「男はつらいよ 奮闘篇」(1971)の続編。次作は「男はつらいよ 柴又慕情」(1972)。

車寅次郎(渥美清)の妹、さくら(倍賞千恵子)の亭主、博(前田吟)に、ハハキトクと電報が入る。博はさくらと備中高梁に帰るが、母親は亡くなった。葬儀にはなぜか寅次郎がやってくる。博の父、飈一郎(ひょういちろう)(志村喬)は妻を失って一人暮らしとなり、寅次郎はしばらく飈一郎と過ごす。妻も子どももいなくて身軽だとうそぶく寅次郎に、飈一郎は家族水入らずで食卓を囲めるのが人の生活ってもんじゃないかと説教し、寅次郎は感化されておいちゃん(森川信)とおばちゃん(三崎千恵子)の団子屋とらやに戻る。
とらやの近くに、小学三年生の息子を持つ未亡人、貴子(池内淳子)が喫茶店を開く。寅次郎は貴子に一目惚れ。貴子の息子、学(中沢祐喜)は、引っ越したばかりで友だちがいなかったが、寅次郎が遊び相手になると、近所の子どもがついてきて、学と仲よくなる。貴子は学が友だちと楽しそうに遊ぶのを見てとても喜び、寅次郎に感謝する。貴子が気になる寅次郎は、喫茶店に通うようになり、ある日、りんどうの花を持って貴子の家を訪ねる。貴子は寅さんのような旅暮らしがしたい、と口にするが、寅次郎はそれを聞くと貴子の家を去り、また旅に出る。貴子をその気にさせてはいけないと考えたのだろう。寅次郎は旅先で、以前知り合った旅芸人一座と再会。看板娘の大空小百合(岡本茉利)たちの乗るトラックに乗り込み、旅をともにするのだった。

本作は、マドンナに別の男がいて寅次郎が振られるのではなく、寅次郎が自ら身を引いて、周囲には振られた振りをするという、珍しいパターンだった。

【5段階評価】3

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2025年3月17日 (月)

(2979) 続・座頭市物語

【監督】森一生
【出演】勝新太郎、城(じょう)健三朗、水谷良重、万里昌代、柳永二郎、沢村宗之助、中村豊
【制作】1962年、日本

座頭市シリーズ第2作。「座頭市物語」(1962)の続編。次作は「新・座頭市物語」(1963)。

座頭市(勝新太郎)の兄、与四郎(城健三朗)が登場。市がかつて愛した女、お千代を横取りしたのが与四郎だった。市は怒りから与四郎を斬り、与四郎は隻腕となったため、与四郎もまた、市を恨んでいた。市に因縁のある貸元、助五郎(柳永二郎)は、市を討つ策略に加わり、関の勘兵衛(沢村宗之助)が刺客となるが、市に歯が立たない。与四郎が勘兵衛に代わって市に斬りかかる。二人は互角の戦いを見せ、互いに太刀を浴びせあい、負傷する。市はお千代はどうしたと与四郎に聞き、与四郎は死んだと答える。そこにならず者与四郎を捕らえる軍勢が現れる。市は与四郎を連れて川に飛び込み、難を逃れる。市は寺に潜んで与四郎を介抱するが、与四郎はお千代は生きていると言い残し、息を引き取る。助五郎は、市と与四郎が土左衛門になったと思い込み、仲間と道を歩きながら高笑いをするが、市は生きていた。市は与四郎を死に追いやった助五郎を斬り殺すのだった。

毎回、違う悪者が現れては市がやっつける、というような単純な話の繰り返しではなく、前作を受けた別展開の物語になっていた。かたわやきちがいなどの用語が飛び交っていた。城健三朗は、若山富三郎の別名。

【5段階評価】2

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2025年3月16日 (日)

(2978) 座頭市物語

【監督】三隅研次
【出演】勝新太郎、天知茂、柳永二郎、万里(ばんり)昌代、南道郎
【制作】1962年、日本

勝新太郎の代名詞とも言える座頭市の活躍を描いたモノクロ作品。次作は「続・座頭市物語」(1962)。

盲目の渡世人、座頭市(勝新太郎)は、かつての知人、飯岡助五郎(柳永二郎)のもとを訪ねる。ライバルの笹川一家と争っていた助五郎は、市の居合いのすごさを知っており、市を留め置き、蓼吉(たできち)(南道郎)を世話係にする。釣りをしていた市は、笹川一家に世話になっている浪人、平手造酒(みき)(天知茂)と出会う。造酒は、盲目でありながら造酒の病気を言い当てた市に驚き、剣を交えたいと考えるようになる。
飯岡と笹川の関係がきな臭くなる中、造酒は喀血して倒れてしまい、助五郎はここが好機と殴り込みを掛けることにする。それを聞いた市は助五郎に義理を果たす気が失せ、助五郎も市を追い出す。不利な状況に置かれた笹川繁造(島田竜三)は、あえて造酒のもとにいき、市を倒すため鉄砲を使うと話す。それを聞いた造酒は自分が戦いに加わるから鉄砲は使うなと繁造に言い、支度を始める。それを見て繁造はほくそ笑む。造酒を訪ねた市は、造酒が覚悟の上、戦いに臨んだことを知り、後を追う。蓼吉の妹、おたね(万里昌代)は、心根の優しい市に惚れ、街道で待っていると去り行く市に告げる。
飯岡の一団は、用心棒のいない笹川一家に意気揚々と挑むが、そこに造酒が現れ、苦戦する。そこに市が現れる。造酒は市との一騎打ちを望み、市はそれに答え、造酒を討つ。造酒は、「見事だ。つまらん奴の手にかかるより、貴公に斬られたかった」と言い残して息絶える。形勢は逆転し、繁造は笹川の軍勢に倒される。助五郎は手のひらを返したように市の活躍をねぎらい、酒を振る舞おうとするが、市は盃と酒樽を居合いで斬り、多くの犠牲が出たのになにがめでたいんだ、と言い捨て、助五郎から渡されていた金三両を叩き付けて立ち去る。市が寺の小僧に仕込み刀を渡し、丸腰であることを知った蓼吉は、道を行く市に背後から斬りかかるが、市は刀をかわして蓼吉に体当たりし、蓼吉は川のぬかるみに落ち、沈んでしまう。街道では、おたねが市を待っていた。市は街道を通らず、藪の中を歩き、おたねを置いて去っていくのだった。

座頭市の活躍を描いているが、痛快な勧善懲悪作品ではなく、対立する二組の貸元で草鞋を脱いだ渡世人同士の戦いという構図だった。座頭市シリーズの記念すべき一作目にしては、殺陣はそれほど派手ではなかった。なお、めくら、というセリフが何度も出てくる。放送禁止にしていたら「ピー」か無音のオンパレードだっただろう。

【5段階評価】3

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2025年3月15日 (土)

(2977) あの頃。

【監督】今泉力哉
【出演】松坂桃李、仲野太賀、芹澤興人(たてと)、山中崇、コカドケンタロウ、若葉竜也(りゅうや)、大下ヒロト
【制作】2020年、日本

松浦亜弥ファンになった青年がハロプロオタクと過ごした日々を描いたコメディ作品。

バンドのベース担当の劔樹人(みきと)(松坂桃李)は、友人(木口健太)から貰った松浦亜弥のDVDを見て一気にファンとなる。駆け込んだCD店の店員ナカウチ(芹澤興人)から、ファンのイベントに誘われ、ハロプロオタクの面々と仲よくなる。年月が経ち、次第に彼らはそれぞれの道を進むようになっていく中、内弁慶のコズミン(仲野太賀)が末期癌の状態にあることが発覚。抗がん剤の治療を続けるが永眠。樹人はバンドのベースとしての道を進むのだった。

実話が元になっているからか、とりとめのない話が続き、面白いと言えば面白いし、くだらないと言えばくだらない。作中に登場する松浦亜弥は、本人かと思ったら、山﨑夢羽(ゆはね)が演じていた。似ていてびっくり。

【5段階評価】3

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2025年3月14日 (金)

(2976) 恋人までの距離

【監督】リチャード・リンクレイター
【出演】イーサン・ホーク、ジュリー・デルピー
【制作】1995年、アメリカ、オーストリア、スイス

偶然出会った若い男女の恋を描いた恋愛映画。タイトルの「距離」はディスタンスと読ませる。次作は「ビフォア・サンセット」(2004)。

長距離列車の中で、隣の席で言い争いをしている夫婦のうるささに耐えかねた若い女性、セリーヌ(ジュリー・デルピー)は、車両の少し後方に移る。通路の反対側で本を読んでいた若い男性、ジェシー(イーサン・ホーク)は、セリーヌに声をかけ、食堂車に彼女を誘う。ジェシーはアメリカ人で、ウィーンで降りたあと、翌日の飛行機でアメリカに戻る予定で、セリーヌの目的地はウィーンの先のパリだった。列車がウィーンに着くと、ジェシーはウィーンで明日の朝まで一緒に過ごさないかとセリーヌを誘い、セリーヌはOKする。
二人はウィーンの街を歩き回り、店を転々としながら身の上や恋愛観を話し合う。観覧車に乗った二人はキスをする。夜になり、公園で一夜を明かすことにした二人は、そこで結ばれる。朝になり、セリーヌは駅に向かう。列車に乗り込むとき、二人は再会を望み、半年後にまたここで会おうと誓い合い、別れるのだった。

ほぼ、二人の語り合う場面だけで構成されている。旅先で出会った男女にはよくある話なのかもしれないが、美男美女だから絵になるんだろう。不細工な男と女だったら、性欲に飢えただけの醜悪なやりとりに見えたかもしれない。
ピンボールを交代でプレイしながら話し合うシーンでは、実際に球が動いており、難しい演技だったのではないかと思えた。それと、このピンボール1コインで何回プレイできるんだよ、と思った。タダなのか。

【5段階評価】3

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2025年3月13日 (木)

(2975) 海峡

【監督】森谷司郎
【出演】高倉健、吉永小百合、森繁久彌、三浦友和、大谷直子、笠智衆、大滝秀治、山谷初男、小林稔侍
【制作】1982年、日本

青函トンネル開通に情熱を燃やす男と、密かに思いを寄せる女性を描いた作品。

国鉄技師で地質が専門の阿久津剛(高倉健)は、青函トンネル工事の調査のため青森県の竜飛岬に着任。彼はそこで、自殺を図ろうとしている多恵(吉永小百合)を見つけ、思いとどまらせる。多恵は阿久津の行きつけの居酒屋で働くようになる。阿久津は明石海峡調査に転勤を命じられ、それに反対するが、先輩の岡部(大滝秀治)に経験を積んでこいと説教され、転勤を受け入れる。青森を離れた阿久津は、父親(笠智衆)のいる岡山で佳代子(大谷直子)と結婚する。多恵はそれを聞いてショックを受ける。
再び青森勤務となった阿久津は、先進導坑掘削の責任者となり、おやじと慕われるベテラン工員の岸田源助(森繁久彌)を説得して現場に入ってもらう。また、子どもの頃、津軽海峡の洞爺丸遭難事故に遭い、親を亡くした青年、成瀬仙太(三浦友和)も工員となる。阿久津らは、すさまじい湧水に何度も悩まされ、事故死する者も出る。佳代子は息子の修を連れて何度か青森に来るが、青森で暮らすことはできず、岡山に戻る。阿久津は父親の死に目にも会えず、現場に居続ける。出水事故により、源助は負傷し、還らぬ人となる。多くの難関を乗り越え、ついに先進導坑が開通。阿久津は多恵が受け継いだ居酒屋に行き、多恵の酌で11年ぶりに酒を飲む。二人は無言で25年にわたる縁に思いを巡らせる。阿久津は現場を離れず、ジブラルタル海峡の調査のため、スペインに赴くのだった。

高倉健と吉永小百合の恋物語なのかと思ったら、「黒部の太陽」(1968)のような大土木工事を題材にした作品だった。トンネルの映像はリアルで迫力があった。ここのところ、特撮のしょぼいゴジラ映画を観ていたため、余計にそう感じたかもしれない。阿久津と多恵の関係は抑制的に描かれていた。阿久津は25年で白髪交じりになるのに対して、多恵は25年経っても美しいまま。さすが吉永小百合なのだった。

【5段階評価】3

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2025年3月12日 (水)

(2974) ゴジラvsスペースゴジラ

【監督】山下賢章
【出演】橋爪淳、小高恵美、柄本明、米山善吉、吉川十和子、斎藤洋介、中尾彬
【制作】1994年、日本

怪獣映画ゴジラシリーズ第21弾。ゴジラとスペースゴジラ、モゲラの戦いを描いている。「ゴジラvsメカゴジラ」(1993)の続編。次作は「ゴジラvsデストロイア」(1995)。

成長したリトルゴジラの住む太平洋のバース島では、ゴジラに兄を殺された結城晃(柄本明)が、ゴジラを倒すための罠を準備していた。ゴジラをテレパシーで操ろうというTプロジェクト実行のため、Gフォースの新城功二(橋爪淳)と佐藤清志(米山善吉)は、ゴジラにテレパシー伝達用の装置を打ち込み、三枝未希(小高恵美)がテレパシー能力でゴジラを操る。作戦は成功したかに見えたが、そこに宇宙からスペースゴジラが飛来。ゴジラを圧倒してリトルゴジラを地面から突き出した結晶の中に閉じ込める。
結城は新城、佐藤とともに対ゴジラ兵器モゲラを出撃。スペースゴジラとゴジラの戦いに加わり、ゴジラと協力してスペースゴジラを倒す。ゴジラは海に帰っていき、はじめはいがみ合っていた新城と未希の間に恋が芽生えるのだった。

モゲラはネーミングセンスもさることながら、映像もヒーロー物テレビ番組の品質。飛行シーンはしょぼいおもちゃをぶら下げているだけにしか見えなかった。

【5段階評価】2

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2025年3月11日 (火)

(2973) ゴジラvsメカゴジラ

【監督】大河原孝夫
【出演】高嶋政宏、佐野量子、小高恵美、原田大二郎、宮川一朗太、中尾彬、川津祐介
【制作】1993年、日本

怪獣映画ゴジラシリーズ第20弾。ゴジラ、ラドン、メカゴジラの戦いを描いている。「ゴジラvsモスラ」(1992)の続作。次作は「ゴジラvsスペースゴジラ」(1994)。

ベーリング海のアドノア島で巨大翼竜の化石が見つかる。調査に向かった国立生命科学研究所の大前裕史(川津祐介)、五条梓(佐野量子)らは、ラドンに遭遇する。海からはゴジラが現れ、大前らはヘリコプターでその場から逃げる。
大前らが持ち帰った卵からゴジラザウルスが生まれる。翼竜の卵の巣に托卵されたのだ。梓はゴジラザウルスにベビーと名付け、育てる。ゴジラ対策部隊Gフォースの青木一馬(高嶋政宏)はベビーに対面する。ベビーを探しにゴジラが現れるが、梓らは地下室にベビーを連れ込み、ベビーの気配を感じ取れなくなったゴジラは大阪湾に帰っていく。
大前はベビーを研究し、ゴジラには腰の部分に第二の脳があることを発見。政府はベビーを囮にゴジラをおびき寄せることにする。不安の感情を示すベビーを見て、梓はベビーの乗るコンテナに自分も乗り込む。そこにラドンが現れ、コンテナを運ぶヘリを破壊してコンテナを持ち去る。ラドンはベビーを兄弟と考えているようだった。ラドンは幕張に降り、コンテナをこじ開けようとする。Gフォースの佐々木拓也(原田大二郎)らの操縦するメカゴジラはラドンを倒す。そこにゴジラが現れる。一馬も戦闘機ガルーダに乗り込み、戦闘に参加。メカゴジラとガルーダが合体し、ゴジラを圧倒する。メカゴジラに乗り込んでいる三枝未希(小高恵美)は、迷いながらもゴジラの第二の脳を攻撃。ゴジラは倒されたかに見えたが、ラドンがゴジラに覆い被さり、ゴジラの脳が再生。ゴジラは圧倒的な力でメカゴジラを倒してしまう。ベビーと梓は無事に助け出されるが、梓はベビーを連れて行かず、ゴジラとともに生きる道を選ばせる。ゴジラは海に帰っていき、ベビーも後に続くのだった。

着ぐるみと、吊り下げた人形が戦う特撮映画。ミニチュアの建物が派手に壊れるシーンと、光線やら熱線やらで派手な爆発は起きるが全然ダメージを受けない怪獣の戦いという、子供だましの作品だった。1992年って、こんな映画を大勢が見に行くほど娯楽の乏しい時代だったっけ。

【5段階評価】2

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2025年3月10日 (月)

(2972) ゴジラvsモスラ

【監督】大河原孝夫
【出演】別所哲也、小林聡美、村田雄浩、今村恵子、大沢さやか、小高恵美、宝田明、米澤史織
【制作】1992年、日本

ゴジラシリーズ第19弾。ゴジラとモスラ、バトラの戦いを描く。「ゴジラvsキングギドラ」(1991)の続作。次作は「ゴジラvsメカゴジラ」(1993)。

地球に巨大隕石が落下。太平洋のインファント島に眠っていたモスラの卵が露出する。探検家の藤戸拓也(別所哲也)は、国家機関に勤める元妻、手塚雅子(小林聡美)と、島を開発する丸友観光の社員、安東健二(村田雄浩)とともに卵にたどり着き、そこで小さな種族、コスモス(今村恵子、大沢さやか)に出会う。コスモスは、モスラだけでなく、かつてモスラが戦ったバトラが目覚めようとしているのではないかと拓也たちに伝える。
丸友観光の社長、友兼剛志(たけし)(大竹まこと)は、モスラの卵を持ち帰るよう安東に指示。卵を船で運搬中、ゴジラが現れ、卵を攻撃。モスラの幼虫が卵からふ化する。そこにバトラの幼虫も現れ、ゴジラに襲いかかる。拓也たちはその隙に日本に逃げ戻る。安東はモスラを連れ帰れなかったことを社長に責められるのを恐れ、拓也たちに無断でコスモスの二人を会社に持ち帰る。すると、日本にモスラの幼虫が上陸。拓也はコスモスを取り返し、売りさばこうとするが、雅子と娘のみどり(米澤史織)に説得され、コスモスを解放。モスラは街の破壊を辞め、国会議事堂でさなぎとなる。
ゴジラが日本に上陸。モスラは成虫となり、ゴジラに襲いかかる。そこに成虫となったバトラも加わり、三つ巴の争いとなる。モスラとバトラは協力してゴジラを海まで運び、バトラとゴジラは海に沈んでいく。モスラとバトラは、地球を隕石から守る使命を負っていた。モスラは宇宙に飛び去るのだった。

着ぐるみとミニチュア模型による子供だましの特撮。モスラに至っては着ぐるみでもなく、ぬいぐるみである。大人が真剣に作った人形劇(モスラは人形でもないか)で、見所は模型のランドマークタワーやインターコンチネンタルホテル、観覧車が壊れるシーンなのだろうが、対して面白くもないし、幼虫が熱線やら光線やら吐いて戦うとか、現実離れもここまで来ると、何の興奮もない。出ている俳優は豪華だが、早く終わってくれと願うばかりの内容だった。

【5段階評価】2

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2025年3月 9日 (日)

(2971) ゴジラ×メカゴジラ

【監督】手塚昌明
【出演】釈由美子、宅麻伸、中尾彬、友井雄亮、小野寺華那(はるな)、六平直政、松井秀喜
【制作】2002年、日本

怪獣映画ゴジラシリーズ第26弾。「ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃」(2001)の続編。次作は「ゴジラ×モスラ×メカゴジラ 東京SOS」(2003)。

ゴジラが日本に出現。出動した自衛隊員の家城(やしろ)茜(釈由美子)は、車両の操縦を誤り、多くの仲間を死に追いやってしまう。政府はゴジラの骨をもとにメカゴジラを製造。生物学者の湯原徳光(宅麻伸)ら日本の一流の研究者が製造に関わる。総理大臣となった五十嵐隼人(中尾彬)は、再び出現したゴジラにメカゴジラを向かわせるが、メカゴジラはゴジラの咆哮とともに制御不能となり、暴走して街を破壊してしまう。
湯原はメカゴジラのDNAを調整し、暴走を抑止。出現したゴジラに、五十嵐首相は再度、メカゴジラを送り込む。茜は湯原の娘、沙羅(小野寺華那)の「生きてちゃいけない命なんかない」という言葉を信じてゴジラに挑み、ゴジラを倒すことはできなかったものの、撃退に成功するのだった。

着ぐるみとミニチュア模型による撮影が中心。主人公が陰のある暗めのキャラクターであるのが特徴的。ゴジラ松井が本人役で登場していた。

【5段階評価】2

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2025年3月 8日 (土)

(2970) I forget

【監督】渡邉高章
【出演】笈川(おいかわ)健太、大網亜矢乃、岡田深(じん)
【制作】2022年、日本

湘南で出会った男女のやりとりを描いた作品。25分の短編映画。

ピアノのミニコンサートを見に来た谷口颯一(そういち)(笈川健太)。蛍子(けいこ)から「ごめん。仕事で遅れる。間に合わないかも。」とメッセージが届く。彼は10年前のコロナ禍、仲間と湘南に遊びに行き、ひなた美央(大網亜矢乃)に声をかけられる。二人で喫茶店でコーヒーを飲み、美央は誰かに手紙を書く。二人で岬を巡ったあと、美央は颯一に手紙を渡すと、立ち去る。彼女の顔は悲しみに歪んでいた。
コンサートが終わり、颯一は会場を出ようとする。それを美央が引き留める。そこに蛍子(岡田深)が現れる。彼女は颯一の妹だった。颯一と美央は二人で会場に戻り、颯一は美央に貰った手紙を読む。そこには、颯一が別れたソウスケに似ていたので声をかけたのだと書かれていた。手紙の封筒には、颯一が美央にあげた貝殻が入っていたのだった。

よく分からない作品だった。美央は、恋人と別れ、傷心旅行で湘南に来ていたのだろう。そこで別れたソウスケとよく似た颯一を見かけ、ソウスケに当てた手紙を颯一に託した。颯一はその手紙を大事に持ち続け、奇跡的に美央に再会したということらしい。ただ、颯一のコーヒーに勝手に砂糖を入れ始めるという伏線が回収されないままだったり、蛍子が颯一の妹で、コンサート会場のリョウが美央の兄で、という偶然がなんなのかもよく分からない。監督の中にある設定が、こちらに伝わってこない作品だった。

【5段階評価】2

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2025年3月 7日 (金)

(2969) ナイトライド 時間は嗤う

【監督】スティーブン・フィングルトン
【出演】モー・ダンフォード、ジョアナ・リベイロ、ジェラルド・ジョーダン、キアラン・フリン
【制作】2021年、イギリス、フランス、アメリカ

裏取引稼業から足を洗おうとする運び屋の一夜の運命を描いた作品。全編がワンショットで撮影されているという驚きの作品。

運び屋のバッジ(モー・ダンフォード)は裏稼業から足を洗うことを恋人のソフィア(ジョアナ・リベイロ)に誓い、最後の仕事に出る。友人のグレアム(ポール・ケネディ)と堅気の店を持つつもりだ。闇金業者のジョー(スティーブン・レイ)から10万ポンドを借り、その金でウクライナ人からブツを買い、手下のレフティ(ジョン・トラバース)とビーカー(スティーブン・フィングルトン)が手配したおむつ会社のバンに積み込んで、それを20万ドルでフィリックス(アンドリュー・シンプソン)に売る。12万ドルをジョーに返済し、8万ドルの儲けという計画だ。
車を走らせるバッジは、自分を尾行する車がいることに気づき、グレアムに電話をし、ジョーからの金の受け取りを任せる。バンの運転はレフティとビーカーにさせることにする。ところが、二人は給油所でバンを盗まれてしまう。取り引き時刻に間に合わなくなったため、買い手のフィリックスに手を引かれてしまう。途方に暮れるバッジは、バンを盗んだ人物を探すようレフティに命じる。ジョーから電話が来る。ジョーは、バッジが買い手に逃げられたことをすでに知っていた。
バッジは尾行してくる車と対峙する。尾行していたのは、知り合いのトロイ(ジェラルド・ジョーダン)だった。闇金業者のジョーの依頼で尾行していたのだ。バッジが取り引きに失敗したことを確認したトロイは、命乞いをするバッジにチャンスを与える。3Dプリンター製の銃で指定した人物を殺害せよというのだ。愛する者に危害が及ぶとトロイに脅され、バッジは指定した人物のもとに向かう。相手は知人のスカラー(キアラン・フリン)だった。スカラーもジョーから借りた金を返していなかったのだ。そこに、レフティから、バンを盗んだ人物を見つけたと連絡が入る。バッジはスカラーを殺さず、ブツの買い手になりそうなリンゴ(アーロン・マカスカー)と自分をつなげるよう命令して立ち去る。車に乗ったバッジにジョーから連絡が入る。スカラーを殺していないと聞いたジョーは、愛する者を担保として取り上げると宣告。バッジはソフィアに電話し、その場から逃げるよう指示。ソフィアはなんとか逃げ切る。
リンゴと連絡が取れ、彼は取り引きに応じると言う。しかし取り引きの期限まで15分もない。そこにジョーから電話が入る。ジョーはグレアムを人質に取り、ドリルでリンチをしようとしていた。バンは見つかっておらず、バッジは、グレアムと入れ替わることを決断する。バッジはソフィアとレフティに、全てが手遅れになったことを報告。そこに、15歳の少女コズ(エリー・オハロラン)から電話が入る。彼女は今日、自転車を押してデートに向かっているといった他愛のない電話をバッジに掛け続けていた。そのコズが、目の前におむつ会社のバンがあると告げる。バッジと仕事をすることに憧れているコズは、バンを運転して取引先に向かうとバッジに告げる。バッジはソフィアに電話し、取引現場でリンゴから金を受け取り、自分の所に持ってくる役目を頼む。バッジ自身は、ジョーに金を返済する場所に向かう。そこにトロイが現れる。トロイは、ソフィアは金を持って逃げるだろうと言い、バッジに銃を向けるが、ソフィアは金を持ってやってきた。12万ポンドを受け取り、トロイは帰って行く。ソフィアは6万ドルを手に入れていた。ソフィアとバッジは熱い口づけを交わす。トロイはジョーからの指令を受け、レフティとビーカーに制裁を加えるため、夜の道路を疾走するのだった。

ワンショットでの映像は圧巻。疾走感とドキュメンタリーのようなリアリティが味わえる。途中でバッジが警察に車を止められるのだが、その警官の顔にモザイクがかかっており、撮影時のハプニングであるかのような演出をしているのも巧みだった(本当にハプニングだったりして)。一方で、アマチュア映画のようなチープさも感じた。スカラー役のキアラン・フリンは、なぜかエンドロールのキャストに名前がなかった。オープニングでは名前が出ており、凡ミスのような気がする。

【5段階評価】3

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2025年3月 6日 (木)

(2968) キング・オブ・コメディ

【監督】マーティン・スコセッシ
【出演】ロバート・デ・ニーロ、ジェリー・ルイス、ダイアン・アボット、サンドラ・バーンハード、シェリー・ハック、フレデリック・デ・コルドバ
【制作】1982年、アメリカ

コメディアンとして名を揚げることを切望した男の暴走を描いた作品。

コメディアン志望の34歳、ルパート・パプキン(ロバート・デ・ニーロ)は、トークショーの名司会、ジェリー・ラングフォード(ジェリー・ルイス)の車に無理矢理乗り込むと、自分にはコメディアンの才能があるとアピール。ジェリーは事務所の秘書に連絡してくれと言って彼を追い払う。ルパートはジェリーの事務所を訪ねてジェリーに会おうとする。秘書のキャシー・ロング(シェリー・ハック)がルパートに対応し、スタンドアップコメディのテープを送るよう伝える。ルパートは早速テープを作り、キャシーに渡すが、それを聞いたキャシーは、勉強が必要だとダメ出しする。キャシーではなくジェリーにテープを聴かせたいルパートは、事務所内に入り込んでジェリーを探すが、警備員に捕まり、追い出される。それでもめげないルパートは、バーの従業員の女性、リタ(ダイアン・アボット)を誘って、ジェリーの別荘に勝手に押しかける。あきれたジェリーはテープを聴かず、ルパートを追い返す。
ルパートは、ジェリーの大ファンの女性、マーシャ(サンドラ・バーンハード)とともに、おもちゃの銃でジェリーを誘拐。彼を脅して、トークショーに「キング」を出演させるよう、番組の責任者に電話させる。ルパートはジェリーを粘着テープで椅子に縛り付け、「キング」として番組に出演。観客の前で持ちネタを披露し、彼が誘拐犯だと知らない観客は彼のネタに爆笑。それがテレビに流れる。ルパートはご満悦だが、誘拐の罪でFBIに逮捕され、刑務所行きとなる。彼は獄中で手記を書き、それがベストセラーとなる。時の人となったルパートは、出所後、テレビ番組に出演し、喝采を受けるのだった。

序盤、ジェリーがルパートに、6週間、自分の代わりに番組を務めてくれと懇願し、ルパートがしかたなく引き受けるというシーンが登場。観ている側は、なんでルパートがジェリーに頼りにされているのか分からないのだが、話が進むにつれ、「これはルパートの妄想なのか」と気づいてくる。ラストシーン、出所したルパートはテレビ番組に登場するのだが、司会者は同じセリフを何度も繰り返し、ルパートはなかなか話し始めない。これは現実のことなのか、ルパートの妄想なのか、よく分からないという演出になっていた。観る前は、ロバート・デ・ニーロ演じるコメディアンが、運命的なチャンスを手に入れて一人前になっていく過程を描いたコメディなのかと思っていたが、どちらかというと妄想狂による猟奇的事件を扱った映画と呼んだ方がいい内容だった。

【5段階評価】3

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2025年3月 5日 (水)

(2967) アナライズ・ユー

【監督】ハロルド・ライミス
【出演】ロバート・デ・ニーロ、ビリー・クリスタル、ジョー・ビテレリ、キャシー・モリアーティ、リサ・クドロー
【制作】2002年、アメリカ

マフィアのボスと精神分析医のやりとりを描いたコメディ作品。「アナライズ・ミー」(1999)の続編。

刑務所に収監されているマフィアのボス、ポール・ビーティ(ロバート・デ・ニーロ)は、何者かに命を狙われる。彼は「ウエスト・サイド物語」の歌を歌うかと思えば突然無反応になるといった異常が現れ、彼の担当医だったベン・ソベル(ビリー・クリスタル)が呼ばれる。ベンはポールを刑務所から出した方がいいと助言するが、ベン自身がポールの面倒を見ることになってしまう。ポールの精神異常は演技だった。ベンはポールをマフィアの道に戻らないよう、職業に就かせようとするが、12歳から悪事に手を染めていたポールは、真面目な職業ができない。しかし、ようやくテレビのギャング番組のアドバイザーの座に収まる。マフィアの女ボス、パティー・ロプレスティ(キャシー・モリアーティ)や、別マフィアのボス、リガッチ(フランク・ジオ)はポールを引き抜こうとし、ポールはパティー一味と金塊強奪計画を実行。作戦会議を盗み聞きしていたベンも巻き込まれる。金塊強奪は成功するが、パティー側がポールたちを裏切ろうとしたため、怒ったベンがパティーの手下に殴りかかり、大乱闘の末、ポールたちは脱出に成功。盗んだ金塊をリガッチ一味の車に置くことで、リガッチ一味は逮捕される。ポールと相棒のジェリー(ジョー・ビテレリ)は、ベンに感謝し、三人は「ウエスト・サイド物語」の歌を歌いながら別れるのだった。

前作を観ていないせいか、ポールが何をしたいのかや、ベン自体の精神が不安定な理由がよく分からなかった。どうやらポールはマフィアの道に戻らず、悪いマフィアをやっつけた、という話であるようだった。

【5段階評価】3

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2025年3月 4日 (火)

(2966) 悪人伝

【監督】イ・ウォンテ
【出演】キム・ムヨル、マ・ドンソク、キム・ソンギュ、キム・ユンソン、チェ・ミンチョル、ユ・スンモク、キム・ギュリ
【制作】2019年、韓国

無差別殺人鬼を追う刑事と暴力団を描いたバイオレンス映画。

後ろから車で追突し、ドライバーを刺し殺すという事件が発生。刑事のチョン・テソク(キム・ムヨル)は、一連の事件が同一犯だと早くから睨み、独断で捜査を進める。犯人(キム・ソンギュ)は、暴力団組長のチャン・ドンス(マ・ドンソク)の乗った車も襲撃。チャンは犯人に刺されながらも逆襲し、犯人は車で逃走。チャンは手術により一命を取り留める。チョンはチャンに捜査の協力を依頼。両者はいがみ合いながらも協力することになる。
警察と暴力団の組織力により、犯人の居場所が明らかとなり、犠牲者を出しながらも、チャンはカラオケ店に潜伏していた犯人を発見。自分のアジトに犯人を連れ込み、制裁を加えようとするが、チョンが車でアジトに突入。チャンを跳ね飛ばして犯人を逮捕する。犯人は裁判にかけられるが、証拠不十分で検察側は不利になる。そこに、チョンと約束を交わしたチャンが現れ、自分を刺したのは犯人だと証言する。犯人は死刑となり、刑務所に収容される。そこに、チャンもまた服役する。チャンは、自分と犯人を同じ刑務所に入れるという条件をチョンに飲ませていたのだ。犯人の姿を見つけ、チャンはほくそ笑む。シャワー室にいる犯人の前に、縄を持ったチャンが現れ、決着を付けようとすごむのだった。

韓国映画らしいバイオレンス作品。チャン役は、もはやマ・ドンソクのために作られた役と言ってもいいだろう。車に乗った犯人が追い詰められるシーンは、ちょっとご都合主義っぽかったが、同じ刑務所に犯人とチャンが入るというのは、なかなか痛快な終わり方だった。

【5段階評価】4

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2025年3月 3日 (月)

(2965) 恋におちて

【監督】ウール・グロスバード
【出演】ロバート・デ・ニーロ、メリル・ストリープ、ジェーン・カツマレク、デビッド・クレノン、ジョージ・マーティン
【制作】1984年、アメリカ

偶然出会った既婚の男女の恋を描いた作品。

クリスマスシーズンのニューヨーク。建築技師のフランク・ラフティス(ロバート・デ・ニーロ)は、イラストレーターのモリー・ギルモア(メリル・ストリープ)とリゾーリ書店で出くわし、フランクが荷物を落としたはずみで、それぞれが買った本を取り違えて持って帰ってしまう。しばらくしてフランクは、通勤電車の中でモリーを見かけ、声をかける。フランクの友人エド(ハーベイ・カイテル)は、フランクの話を聞いてアタックしろとけしかける。モリーも親友のイザベル(ダイアン・ウィースト)にフランクの話をする。イザベルはモリーが本気の恋に落ちるのではないかといぶかる。
フランクとモリーは食事をともにするようになり、互いに惹かれ合っていく。しかし、フランクには妻アン(ジェーン・カツマレク)と二人の息子がおり、モリーにも夫ブライアン(デビッド・クレノン)がいた。フランクとモリーは、互いに会いたいという気持ちと、その背徳感に悩まされる。フランクはある日、気になる女性と会っていたことをアンに正直に告白。アンはフランクを平手打ちし、別居することになる。フランクはヒューストンに転勤になり、発つ前に会いたいとモリーの家に電話する。モリーは、行くなと命じるブライアンを置いて家を飛び出し、車でフランクの家に向かうが、踏切で急ブレーキをかけて止まったことで、フランクに会うことはできなかった。
再びクリスマスの時期が訪れ、フランクはニューヨークに戻ってエドと再会。乗っていたタクシーからリゾーリ書店を見かけ、タクシーを降りる。リゾーリ書店に入ったフランクの後ろから、モリーが現れる。二人ともすでに離婚していたが、そのことは話さず、家族は元気だと互いに近況報告して別れる。しかし、フランクは途中で立ち止まり、モリーを追いかける。帰りの電車に乗り込んだモリーは、車内の奥からフランクが歩み寄ってくるのを見つける。二人は車内で微笑みをかわし、抱き合うのだった。

ロバート・デ・ニーロとメリル・ストリープという名優二人による恋物語。二人とも浮気が原因で離婚し、その二人が結ばれるという、素直に喜んでいいのかよく分からない話。これだけ偶然の出会いが重なれば、好きになってまうやろ、ということか。離婚せずにつつがなく人生を終える大半の人たちが思い描く空想が、本作を名作たらしめているのだろう。

【5段階評価】3

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2025年3月 2日 (日)

(2964) Martha

【監督】クリストファー・ヘイドン
【出演】シャノン・ターベット、リア・ハーベイ、アナスタシア・ヒル
【制作】2019年、イギリス

突然、世界から誰もいなくなった経験をする少女の運命とは。16分の短編映画。

母親ジャネット(アナスタシア・ヒル)からのしつけを面倒くさがる少女、マーサ(シャノン・ターベット)は、お気に入りの曲をスマホで聞きながら外出すると、一台の車が街路樹に衝突しているのを見つける。ドライバーはおらず、マーサは誰かに知らせようとするが、町には誰もいなくなっていた。マーサは誰もいない世界の中で一人で過ごすことになる。ある日、自転車に乗っていると、突然、道路の真ん中に黒人の少女(リア・ハーベイ)が立っていた。彼女の名はアンジー。マーサはアンジーと過ごすことにする。アンジーはマーサを買い物カートに乗せてカートを押す。マーサははしゃぎ、カートは倒れる。
建物の廊下の椅子に、力なく座る女性がいた。マーサの母親だった。マーサはある日、車の中でスマホをいじっていて、道路にいたアンジーに気づくのが遅れ、(映像にはないが恐らく彼女を轢いて)街路樹に激突したのだった。アンジーは、まだ生きているマーサを迎えに来たのだ。マーサは母親からの留守電メッセージを消去し、アンジーとともに家を出る。現実の世界では、母親が昏睡状態のマーサに、ヘッドホンをかけて彼女のお気に入りの曲を聴かせている。やがて、マーサの呼吸が止まるのだった。

誰もいない世界の謎が、あとで明らかになるという展開。悲しい作品だった。

【5段階評価】3

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2025年3月 1日 (土)

(2963) ヴァイオレット・エヴァーガーデン 外伝 -永遠と自動手記人形-

【監督】藤田春香
【出演】石川由依(声)、寿美菜子(声)、悠木碧(あおい)(声)、内山昂輝(声)、子安武人(声)
【制作】2019年、日本

暁佳奈の小説が原作のアニメ作品。手紙を通じてやりとりする血のつながりのない姉妹と、二人をつなぐ代筆係との交流を描いている。次作は「劇場版ヴァイオレット・エヴァーガーデン」(2020)。

自動手記人形バイオレット・エバーガーデン(石川由依)は、家庭教師として、女学院の生徒イザベラ・ヨーク(寿美菜子)の侍女となる。自分の人生に希望を見いだせずにいたイザベラだったが、バイオレットの優しさに接し、バイオレットとの友情を育んでいく。バイオレットもまた、初めて友人を持つ喜びを知る。
イザベラはヨーク家当主の妾の娘だった。かつて一人で貧しく暮らしており、エイミーと名乗っていた彼女は、身寄りのない少女(悠木碧)を見つける。エイミーは彼女にテイラーと名付け、自分の妹として一緒に暮らし始める。ある日、エイミーはヨーク家の娘として引き取られ、テイラーは孤児院に引き取られていた。エイミーは貧しい暮らしを続けてもテイラーを幸せにできないと考え、テイラーと別れる道を選んだのだ。
イザベラはデビュタント(社交界デビュー)を終え、バイオレットは役目を終える。イザベラとバイオレットは、それぞれ、テイラー宛に手紙を出す。それを届けた配達員のベネディクト(内山昂輝)は、字の読めないテイラーに手紙を読んで聞かせる。バイオレットの手紙には、困ったら自分を訪ねるように、と書かれており、イザベラの手紙は、魔法の言葉エイミーと唱えて、という内容だった。
時が経ち、少し大きくなったテイラーは、バイオレットのもとを訪ね、郵便社で働きたいと言い出す。テイラーは配達員の見習いとして働くことになり、バイオレットがそれを手伝う。まだ読み書きができないテイラーに、バイオレットが字を教え、テイラーはエイミー宛の手紙をしたためる。ベネディクトは、エイミーことイザベラの嫁ぎ先を見つけ出し、サイドカーの助手席にテイラーを乗せて、イザベラの住む屋敷に行く。屋敷の裏口から出てきたイザベラに、ベネディクトはテイラーの手紙を手渡す。イザベラは、私はエイミーの妹です、と書かれた手紙を読んで涙する。テイラーは草陰から様子を見ていた。テイラーはイザベラに会わず、いつか自ら配達人としてイザベラに手紙を渡すことにしたのだった。

人が死んだり大事件が起きたり、ということのない穏やかな物語だが、後半に大きな感動が押し寄せる作品だった。美少女キャラが数多く登場するが、カトレア・ボードレール(遠藤綾)の胸の谷間を除けば、お色気要素も特になく、上品なアニメ作品。

【5段階評価】4

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