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2025年1月

2025年1月31日 (金)

(2934) ゴジラ-1.0

【監督】山崎貴
【出演】神木隆之介、浜辺美波、青木崇高、吉岡秀隆、佐々木蔵之介、山田裕貴、安藤サクラ
【制作】2023年、日本

戦後間もない日本を襲うゴジラと人々との戦いを描いた怪獣映画。「シン・ゴジラ」(2016)の続作。

1945年、特攻隊員の敷島浩一(神木隆之介)は、機体が故障したと偽り、大戸島に不時着。そこにゴジラが現れ、橘宗作(青木崇高)を除く整備兵全員が、ゴジラに襲われて死亡する。敷島は東京に戻るが、両親は死んでいた。敷島は、赤子を抱いた若い女性、大石典子(浜辺美波)と出会う。典子も身寄りがなく、赤子は見知らぬ母親から託されたのだった。敷島と典子、赤子の明子の三人は共同生活を始め、隣に住む太田澄子(安藤サクラ)も子育てに協力する。
敷島は太平洋の機雷を駆除するという危険な任務に就き、そこで艇長の秋津淸治(佐々木蔵之介)、技術者の野田健治(吉岡秀隆)、乗組員の水島四郎(山田裕貴)と知り合う。ゴジラが米軍艦を襲うようになり、敷島たちの船は駆逐艦高尾が到着するまでの時間稼ぎをする任務をさせられる。敷島たちが現れたゴジラに必死で立ち向かう中、高尾がようやく現れるが、ゴジラは高尾を圧倒的な力で撃沈してしまう。ゴジラは東京に上陸して銀座を襲い、敷島は典子と必死で逃げるが、典子はゴジラの熱戦により起きた爆発に巻き込まれてしまう。
生き残った敷島は、野田たちとともにゴジラと戦う道を選ぶ。野田は、ゴジラにフロンガス発生装置を巻き付けて相模湾沖で深海1,500メートルまで一気に沈めて水圧で倒すという作戦を立案。敷島は日本軍が開発中だった戦闘機、震電に乗り込むことにし、自分を恨んでいるはずの橘を呼び寄せ、震電を整備させる。震電に乗り込んだ敷島は、ゴジラを作戦海域に誘導。作戦は成功し、ゴジラは深海に沈むが、絶命しておらず、野田は予備作戦として、バルーンを膨らませてゴジラを急激に海面に上げて減圧によりゴジラを倒そうとする。それでもゴジラは倒れず、熱戦を吐こうとするが、その口に敷島の震電が突っ込み、震電はゴジラの頭部ごと大破。敷島は脱出装置により、爆発を免れていた。橘は敷島に生き残る道を取らせたのだった。死んだと思われていた典子は病院に担ぎ込まれており、無事だった。明子を抱いて病院を訪れた敷島は、典子の無事を泣いて喜ぶ。深海に沈むゴジラの骸は、怪しく鼓動を始めるのだった。

昭和時代の着ぐるみとミニチュア模型丸出しのゴジラシリーズとは一線を画し、特撮は本格的(オープニングのゼロ戦はちょっとCGぽかったが)。物語も感動的で、敷島の決死の突入シーンは胸が熱くなった。最後に典子が生きていましたというオチは、ちょっと見え見えだったが、首筋に謎のあざがある(この後、典子が何かの後遺症に悩まされるのかもしれないし、もしかするとゴジラのような異常な再生能力を持ったのかもしれない、と思わせる)という一ひねりが加えられていた。また、佐々木蔵之介の演技がやや芝居がかっていたのだが、あえてああいう不自然なキャラにしたのか、佐々木蔵之介の個性なのか。ちなみに、銀座でゴジラに襲われる市民の中に、橋爪功が混じっていた。本作は、テレビ放映を機にAmazonプライムで鑑賞。

【5段階評価】5

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2025年1月30日 (木)

(2933) 釣りバカ日誌20 ファイナル

【監督】朝原雄三
【出演】西田敏行、三國連太郎、浅田美代子、松坂慶子、吹石一恵、奈良岡朋子、六平直政
【制作】2009年、日本

釣りバカ日誌シリーズ第22弾。「釣りバカ日誌19 ようこそ! 鈴木建設御一行様」(2008)の続編。

鈴木建設のダメ社員、ハマちゃんこと浜崎伝助(西田敏行)は、会社が経営不振に陥る中、釣りがきっかけでコネのあるイマムラ・トレーディングスの常務、原(岸部一徳)から支社建て替えの情報を聞き出し、大型受注をものにして会長のスーさんこと鈴木一之助(三國連太郎)から表彰される。二人はスーさんの知人の娘、沢村葉子(松坂慶子)の料亭に行く。葉子は娘の裕美(ひろみ)(吹石一恵)をハマちゃんに紹介。裕美は中標津で獣医をしており、ハマちゃんとスーさんは、葉子とともに北海道に行く。葉子が裕美の家を訪ねると、裕美は葉子に内緒で牧場の跡取り息子の久保俊介(塚本高史)と同棲を始めていた。葉子はショックを受け、裕美と俊介の交際に反対するが、ハマちゃんが俊介の両親と葉子の仲介をし、葉子は裕美と俊介の付き合いを認める。
東京に戻ったスーさんは、急な容態悪化で意識を失い、病院に担ぎ込まれる。スーさんの妻、久江(奈良岡朋子)が心配する中、スーさんは三途の川の手前でハマちゃんそっくりの奪衣婆(だつえば)に服を脱がされそうになり、川に落ちる。同じ夢を見ていたハマちゃんは慌てて久江に電話し、スーさんの意識が戻ったことを知り、妻のみち子(浅田美代子)と大喜びする。スーさんは会長の座を退き、一堂に会した社員に向かって「鈴木建設は永久に不滅です!」と叫び、大喝采を浴びる。釣りバカ日誌は大団円を迎えるのだった。

釣りバカシリーズの最終作。とは言え、「男はつらいよ」シリーズでは渥美清の死後に続編が作られているので、西田敏行が亡くなったとは言え、本作が最終とは限らない。スーさんお付きの運転手、前原(笹野高史)がタクシー運転手に転職するという変化も本作で見られた。海原はるか・かなたの二人が三途の川を渡る亡者の役で出演していた(かなたの方は劇中歌のちょい役)。後半の三途の川の下りは悪乗りが過ぎて、しらけてしまった。

【5段階評価】3

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2025年1月29日 (水)

(2932) 釣りバカ日誌19 ようこそ! 鈴木建設御一行様

【監督】朝原雄三
【出演】西田敏行、三國連太郎、浅田美代子、常盤貴子、山本太郎、竹内力、北村総一朗、佐藤浩市
【制作】2008年、日本

釣りバカ日誌シリーズ第21弾。「釣りバカ日誌18 ハマちゃんスーさん瀬戸の約束」(2007)の続編。次作は「釣りバカ日誌20 ファイナル」(2008)。

鈴木建設のダメ社員、ハマちゃんこと営業三課の浜崎伝助(西田敏行)のもとに、総務部の美人社員、波子(常盤貴子)がやってきて、健康診断にひっかかったので胃カメラの診断を受けてほしいと告げる。ハマちゃんは拒否するが、波子に思いを寄せている営業三課の高田大輔(山本太郎)は、波子を困らせるな、とハマちゃんに詰め寄る。ハマちゃんは意を決して胃カメラ検査を受けることにする。心配になった波子はクリニックにやってきて、ハマちゃんの妻、みち子(浅田美代子)とともに、嫌がるハマちゃんの体を押さえて胃カメラ検査を手伝う。
鈴木建設の社員旅行が行われ、引率係の波子は、故郷の大分に、ハマちゃんや大輔たちを招く。大分から東京に出て働いている波子が心配な、波子の兄、河合康平(竹内力)は、ハマちゃんの人柄に惚れ込み、波子をよろしく頼むとハマちゃんに頭を下げる。社員旅行に参加した大輔は、波子が派遣社員であることを知る。大輔は高田製薬という大手企業の御曹司だったが、波子にプロポーズ。波子と大輔は結婚することになる。
ハマちゃんは、大輔から披露宴でのスピーチを頼まれ、胃カメラのエピソードを話して会場の笑いをさらうことにして披露宴に臨むが、ハマちゃんの前にスピーチをした総務部長の本間(佐藤浩市)が、ハマちゃんのするつもりだったネタでスピーチをしてしまい、ハマちゃんは話すことがなくなってしまう。マイクの前で頭が真っ白になったハマちゃんは、大輔君、波子さん、おめでとう、よかった、と力なく話すことしかできない。ところが列席していた波子の兄、康平がやおら立ち上がり、「浜崎さん! ありがとう! どげなおもしれえ挨拶より、今の挨拶がよかったで!」と叫ぶ。臨席していたスーさんもハマちゃんに拍手し、会場は拍手の渦に包まれる。スーさんとともに大分を訪れたハマちゃんは、康平の世話になって大分での釣りを楽しむのだった。

今や政界に身を置く山本太郎が俳優として活躍していた頃の映像としても貴重な作品。肩肘張らないハッピーエンドの作品だった。胃カメラに苦しんでいる患者の役で、海原はるか・かなたのはるかが出演している。

【5段階評価】3

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2025年1月28日 (火)

(2931) 釣りバカ日誌18 ハマちゃんスーさん瀬戸の約束

【監督】朝原雄三
【出演】西田敏行、三國連太郎、浅田美代子、檀れい、高嶋政伸、星由里子、石田靖、奈良岡朋子
【制作】2007年、日本

釣りバカ日誌シリーズ第20弾。「釣りバカ日誌17 あとは能登なれハマとなれ!」(2006)の続編。次作は「釣りバカ日誌19 ようこそ! 鈴木建設御一行様」(2008)。

スーさんこと鈴木一之助(三國連太郎)は、鈴木建設社長の座を退いて会長となる。会長就任式のスピーチで、スーさんは突然、頭が真っ白になって何も話せなくなってしまう。すると、客席にいたハマちゃんこと浜崎伝助(西田敏行)が突如立ち上がり、スーさんの思いを代弁するかのように熱弁を振るい、会場はスーさんへの感謝の言葉が飛び、拍手の渦が巻き起こる。スーさんはハマちゃんに感謝する。
その後、スーさんは突如、朝の散歩から行方不明になってしまう。スーさんの妻、久江(奈良岡朋子)はハマちゃんにスーさん探しを依頼。スーさんから、ハマちゃんの息子、鯉太郎(持丸加賀)に電話が来ており、その着信履歴の市外局番から、スーさんが岡山県瀬戸浜市にいることがわかり、ハマちゃんは岡山に向かう。瀬戸浜市は、鈴木建設がリゾート施設の建設を請け負っている都市だった。
スーさんは瀬戸浜市の海蔵寺(かいぞうじ)に居候しており、寺を仕切る女性、木山温子(星由里子)の世話になっていた。釣り場でハマちゃんを見つけたスーさんはハマちゃんに声をかけ、二人は再会する。海蔵寺は瀬戸浜市のリゾート開発に反対する住民の集会所になっており、ハマちゃんは、温子の娘、珠恵(檀れい)やその恋人の高原昌平(高嶋政伸)が関わる建設反対運動に加わることになる。スーさんは、リゾート開発の黒幕が、かつての知人、渋谷剛三(しぶたにごうぞう)(小沢昭一)であることを知る。剛三の弱みを握っているスーさんは、剛三を半ば脅す形で、リゾート開発を白紙撤回させる。反対派は大喜びし、その勢いのまま、昌平は珠恵にプロポーズする。スーさんとハマちゃんは二人の披露宴に招待され、その後、岡山での釣りを楽しむのだった。

本作で、スーさんが社長から会長になる、という新たな展開。もっとも、会社の中でご意見番となっている点は、あまり変わってはいなかった。会長が仕事をほったらかしで岡山に蒸発したりして大丈夫かいな、というのんきな展開だが、気にしてはいけない。最後は、スーさんの釣った魚をハマちゃんが海に落としてしまい、スーさんがバカ野郎と叫んでハマちゃんを突き飛ばし、二人が突き飛ばし合いをするというなんだか険悪な終わり方。仲がいいという演出なのだろうが、あまり気持ちのいいものではなかった。
鈴木建設の関西支社第二設計部の社員として、ますだおかだの増田英彦が、また建設作業員役で安田大サーカスの3人が出演していた。

【5段階評価】3

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2025年1月27日 (月)

(2930) あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。

【監督】長井龍雪
【出演】入野自由(いりのみゆ)、茅野愛衣(声)、戸松遥(声)、櫻井孝宏(声)、早見沙織(声)、近藤孝行(声)
【制作】2013年、日本

幼なじみ同士の6人の男女の交流を描いたアニメ映画。

不登校がちの高校生、じんたんこと宿海仁太(やどみじんた)(入野自由)は、小学校時代に亡くなった友だち、めんまこと本間芽衣子(茅野愛衣)の霊が見えるようになる。めんまは何かやり残したことがあるらしかった。じんたんと、じんたんに片思いしている、あなること安城鳴子(あんじょうなるこ)(戸松遥)、かつてめんまに好意を抱いていた、ゆきあつこと松雪集(あつむ)(櫻井孝宏)、そのゆきあつを好きな、つるここと鶴見知利子(ちりこ)(早見沙織)、ひょうきん者のぽっぽこと久川鉄道(てつどう)(近藤孝行)ら5人は、子どもの頃、めんまとともに超平和バスターズという仲良しグループを結成した仲間で、彼らはそれぞれが亡くなっためんまに手紙を書き、それを焼き払うことでめんまの魂を見送ろうとしていた。めんまのやり残したこと。それは、病気で入院していたじんたんの母親との約束。じんたんの母親は、感情を押し殺して我慢しているじんたんに、泣いたり笑ったりしてほしいと願っており、それを知っためんまは、じんたんを泣かせると母親に約束したのだった。めんまとのやりとりの中で、じんたんは何度も涙を流し、めんまは自分のやり残したことを果たしたことを知る。めんまの姿は、じんたんしか見ることができなかったが、めんまを見送る日、めんまは5人の前に姿を現すと、生まれ変わるためにじんたんたちの目の前から消えていくのだった。

本作は観たはずだと思ったのだがブログになく、どうやらテレビ総集編を映画だと思って観たようだ(原則、劇場公開されていない作品は扱わないのでブログに書かなかった)。小学生の時にめんまが亡くなり、高校生になったじんたんの前に姿を現すのが、本作の基本的な設定なのだが、そこは本作の中では省略されている。ただ、本作を観る中で想像はできるだろう。登場人物のそれぞれが、めんまとの関係、そして生きている仲間たちとの関係に悩みながら生きるシーンが丁寧に描かれ、めんまを見送る日を迎える。いい年をしてかくれんぼを始める5人が、最後にめんまを見つけるシーンは感動的。アニメ作品で涙を流したのは久しぶり? 初めて? だった。

【5段階評価】4

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2025年1月26日 (日)

(2929) マンハッタン無宿

【監督】ドン・シーゲル
【出演】クリント・イーストウッド、スーザン・クラーク、ドン・ストラウド、ティシャ・スターリング、リー・J・コッブ
【制作】1968年、アメリカ

アリゾナ州の保安官補がニューヨークで脱走した犯罪者を追うアクション映画。

アリゾナ州の保安官補、クーガン(クリント・イーストウッド)は、凶悪犯のリンガーマン(ドン・ストラウド)の身柄を引き取るため、ニューヨークに行く。クーガンは警部補のマケルロイ(リー・J・コッブ)のもとを訪ねるが、リンガーマンはLSD中毒の治療で入院しており、退院するまで身柄は渡せないと告げられる。待たされることになったクーガンは、警部補の部屋の外にいた保護官のジュリー(スーザン・クラーク)と知り合い、食事をともにする。
翌日もマケルロイにリンガーマンの身柄引き渡しを拒まれたクーガンは、リンガーマンの入院している病院に出向くと、身柄引き渡しの許可が出たと嘘をついてリンガーマンを引き取る。クーガンはリンガーマンを連れて空港に向かうが、病院でリンガーマンと一緒にいた若い女性、リニー・レイブン(ティシャ・スターリング)が仲間と待ち伏せており、クーガンは頭を殴られ、リンガーマンを逃がしてしまう。
マケルロイはクーガンに手出しをするなと命じるが、クーガンはリンガーマンを追う。ジュリーの持つ診察カルテからリニー・レイブンの情報を盗み見したクーガンは、リニーを探し当て、リンガーマンの居場所を案内させる。リニーはクーガンをビリヤード屋に連れて行くが、そこにリンガーマンはおらず、クーガンは店にいた男たちにリンチされる。何とか返り討ちにしたクーガンは再びリニーの家を訪ね、怒りを露わにしてリニーを投げ飛ばすと、再度、リンガーマンの居場所を案内させる。屋外の建物に潜んでいたリンガーマンは、クーガンが追ってきたとリニーから聞かされると、バイクに乗って逃走。クーガンもバイクで追いかけ、ついにリンガーマンを確保する。クーガンは自分の単独行動を大目に見てくれたマケルロイに礼を言うと、リンガーマンとともにヘリに乗り、パンナムビルの屋上から飛び立つ。ジュリーがヘリに手を振って見送るのだった。

自分のせいで取り逃した犯人を、追いかけて捕らえるという、至ってシンプルな物語。カウボーイハットと先のとがったブーツでニューヨークを歩くクーガンが、ニューヨークの人々にからかわれながら自分のスタイルを貫くというのが、作品の味付けの一つになっているが、特にアリゾナが田舎だとかそういう意識のない日本人には、よくわからないのだった。田舎の出の者が女性にもてる話と言えば「クロコダイル・ダンディー」(1986)が頭に浮かぶが、似たようなものだろうか。

【5段階評価】3

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2025年1月25日 (土)

(2928) 上海バンスキング

【監督】深作欣二
【出演】松坂慶子、風間杜夫、志穂美悦子、宇崎竜童、平田満、夏木勲、三谷昇、ケン・フランクル
【制作】1984年、日本

上海に渡ったクラリネット奏者とその妻の運命を描いた作品。ミュージカル仕立てだが、セリフを歌に乗せたりはしていない。

1936年の夏、クラリネット奏者の波多野(風間杜夫)は、妻のまどか(松坂慶子)を連れて、ジャズで生きていくことを夢見て上海に渡る。トランペット奏者のバクマツこと松本亘(宇崎竜童)と中国人の妻リリー(志穂美悦子)と同居し、クラブでジャズを演奏して仲間と楽しく過ごす。しかし日中戦争が始まり、上海の自由な雰囲気は損なわれていく。さらには太平洋戦争が始まり、バクマツは兵役に就き、ジャズの演奏も禁止となる。かつてまどかを狙っていた弘田(平田満)は日本軍の幹部となっており、職のない波多野に阿片を渡す。戦争は終わるが、波多野は阿片中毒になっており、日本に戻ることもままならなかった。バクマツもこの世を去り、まどかはみんなでジャズを楽しんでいた頃を思い出すのだった。

ジャズのシーンをしっかり描くミュージカル仕立てになっている。劇中の歌も、軍人の白井中尉(夏木勲)がまどかに歌を頼んだり、ともにダンスをしたりといった流れの中で歌われており、ミュージカル映画によくある、セリフを歌にした形ではない。全体的には、セリフが芝居臭くて大仰で(芝居なんですけど)、そこが気になって冷めてしまった。原作が演劇だからかもしれない。
風間杜夫、松坂慶子、平田満という顔ぶれは、「蒲田行進曲」(1982)と同じ。一人の女性と、立場の違う二人の男性との関係を描く点も共通していた。

【5段階評価】3

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2025年1月24日 (金)

(2927) バード

【監督】クリント・イーストウッド
【出演】フォレスト・ウィテカー、ダイアン・ベノーラ、マイケル・ゼルニカー、ダイアン・サリンジャー、サミュエル・E・ライト
【制作】1988年、アメリカ

実在のジャズプレイヤーの一生を描いた伝記作品。

ジャズプレイヤーのチャーリー・"バード"・パーカー(フォレスト・ウィテカー)が、名演奏を終えて帰宅した後、妻のチャン(ダイアン・ベノーラ)と口論になり、洗面所で自殺未遂を図るシーンから始まる。そこからは、バードの苦い初舞台から、名声を得ながらも麻薬に溺れ、妻を得たり、ユダヤ系白人のトランペット奏者レッド・ロドニー(マイケル・ゼルニカー)を仲間にしたり、その彼も麻薬が原因で仲間から脱落したり、といったできごとが時系列順ではなく描かれる。チャーリーは、彼の音楽を理解する女性、ニカ(ダイアン・サリンジャー)の家で心臓麻痺で生涯を閉じる。

クリント・イーストウッド監督作品は好きだが、本作は、特に序盤、回想的に始まるシーンの位置づけが分からず、観ている側が置いてけぼりになるので、つらかった。最初に自殺未遂シーンから始まるのであれば、ジャズ奏者として成り上がろうとした彼が、いかに没落するか、みたいな回想になると分かりやすいのだが、クリント・イーストウッド監督だけに、そこを単純にせず凝った作りにした結果、初見では分かりにくくなってしまった。フォレスト・ウィテカーのサックス演奏シーンは、努力して作り上げられたのだろうとは感じた。

【5段階評価】3

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2025年1月23日 (木)

(2926) サンダカン八番娼館 望郷

【監督】熊井啓
【出演】栗原小巻、田中絹代、高橋洋子、田中健、水の江滝子、小沢栄太郎、浜田光夫
【制作】1974年、日本

歴史研究者の女性を通じて、海外娼婦となった女性の人生を描いた作品。

女性の歴史を研究している三谷圭子(栗原小巻)は、「からゆきさん」と呼ばれた海外娼婦の研究のため、天草に赴く。圭子はそこで、からゆきさんだった老女、おサキ(田中絹代)に出会う。おサキは圭子を家に招く。圭子の家は、障子戸は破れ、ゴザに無数のムカデが蠢くような荒ら屋だったが、圭子は家に上がり、おサキに促されるまま、そこで昼寝をして過ごす。おサキは圭子の振る舞いに感激し、また来てほしいと圭子に声をかける。東京にいったん戻った圭子は再びおサキの家を訪ね、おサキの話をこっそりと口述筆記し、それを夫に郵送する。
貧しい家に生まれたおサキ(高橋洋子)はボルネオ(マレーシアの港町)の女郎屋に売られる。おサキは無理矢理、男を取らされ、ショックを受けるが、それでも母親のサト(岩崎加根子)と兄の矢須吉(やすきち)(浜田光夫)に金を送るため、女郎を続ける。おサキは十何年ぶりに天草に戻るが、母親は亡くなっており、矢須吉は女郎をしていたおサキの帰りを歓迎しなかった。やけになったおサキは同業の女性(菅井きん)に誘われるがままに満州に渡り、そこで結婚し、男児を儲けるが、日本に戻るときに夫を失い、京都で同居していた息子からも女郎の身分を疎んじられ、天草に一人で戻っていたのだった。おサキの近所の人たちに、圭子が研究者であることがばれ、圭子はおサキを欺いて話を聞いていたことを泣いて詫びる。おサキは、真実を気兼ねせず書けばいい、と圭子を慰める。
圭子はボルネオに渡り、おサキがここで生きた痕跡をたどる。おサキの母親的存在であったおキク(水の江滝子)が設けた共同墓地を探し当てた圭子は、日本の方向に背を向けて立てられている墓石を見て、遠く日本に住むおサキに語りかけるのだった。

タイトルからは、娼婦が主人公の大正時代コメディかと思ったら、全く違った(時代は合っていたが)。扱っている人物はおサキ一人だが、過去の歴史の深い闇を浮き彫りにする重厚な内容だった。こういう歴史に期せずして触れられるのも、自動録画映画鑑賞のいいところだ。栗原小巻の女優としての演技力もすばらしかった。

【5段階評価】4

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2025年1月22日 (水)

(2925) 女子高生探偵あいちゃん

【監督】中村和宏
【出演】酒井藍、川畑泰史、田畑智子、筧利夫、内木志(ないきこころ)、谷川愛梨、烏川耕一
【制作】2017年、日本

アイドルグループへの劇場爆破予告事件に挑む女子高生探偵の活躍を描いたコメディ作品。

NMB48の劇場でセットが倒れる事故が発生。続いて、劇場の爆破予告が何者かから支配人の西園寺あかね(田畑智子)当てに送られる。あかねはマネージャーの柴田光太郎(筧利夫)と相談し、川畑泰史(川畑泰史)が運営する探偵事務所に捜査を依頼。泰史は女子高生の娘、藍(酒井藍)にNMB48の練習生に扮しての潜入捜査をさせることにする。昔から太っていて、可愛い女の子にトラウマがある藍は嫌がるが、困った人を放っておくなという、亡き母の言葉を思い出し、潜入捜査を引き受けることにする。
藍は、NMBの中で、振付師の烏川耕一(烏川耕一)にしごかれている小薮志(内木志)と親しくなる。志は昔太っていて、父親も太り過ぎで死んでおり、物心ついたときには母親の再婚相手(小籔千豊)が父親になっていたという身の上を明かす。藍は、NMBのセンター、谷川愛梨(谷川愛梨)と初対面する。愛梨は、持ち物の接着剤やマグカップなどがなくなっており、ストーカーにも悩まされていると話す。接着剤を持っていたのは烏川だった。烏川は愛梨のファンで、リップクリームだと思って接着剤を盗んだのだった。あかりは、愛梨のストーカーではないという烏川の言葉を信じる。
ライブ当日になったが爆弾も犯人も見つけることはできず、あかりは公演の中止を決定。そこに、愛梨が脅迫メールを送ったのは自分だと名乗り出る。ストーカー被害や後輩のプレッシャーから逃れるためにいたずらをしたのだと言う。その言葉を聞き、あかりは公演の中止を撤回する。すると、マネージャーの柴田が慌てて部屋を飛び出す。脅迫犯は柴田だった。柴田は志の実の父親で、娘がNMBに入ったのを知り、アイドルがストーカー被害で自殺したニュースなどから、娘が心配になり、NMBの活動を中止に追い込もうとしていたのだった。マネージャーを辞めて自首すると言う柴田を、あかねは叱り飛ばし、マネージャーを続けさせる。NMBの公演は無事に行われるのだった。

吉本新喜劇と吉本興業所属のNMB48がコラボした作品。吉本新喜劇の笑いと人情が一緒になったような内容。謎解き要素や脅迫をした動機は弱めで、親子愛をうまく描いているとは言えなかった。センター役の谷川愛梨は絵に描いたように可愛かった。

【5段階評価】2

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2025年1月21日 (火)

(2924) (500)日のサマー

【監督】マーク・ウェブ
【出演】ジョセフ・ゴードン=レビット、ズーイー・デシャネル、ジェフリー・エアンド、クロエ・グレース・モレッツ、ミンカ・ケリー
【制作】2009年、アメリカ

グリーディングカード会社で働く一組の男女の恋物語。出会いから別れまでの経緯が行きつ戻りつしながら描かれている。

建築が専門のトム・ハンセン(ジョセフ・ゴードン=レビット)は、グリーディングカード会社でやる気なく働いていた。そこに、美しい女性、サマー・フィン(ズーイー・デシャネル)が勤め始める。トムは彼女に一目惚れ。エレベーターの中でサマーに声をかけられたのがきっかけで、二人は親しくなる。あるパーティの日、サマーはトムに、私に友人以上の感情があるか聞き、トムはうなずく。サマーは恋には興味がないと言いながらも、トムと手を繋いでイケアで新婚夫婦のように家具選びをしたり、アダルトビデオの行為をバスルームでトムと試したり、と、恋人としか思えない付き合いをするようになる。サマーと過ごす幸せを噛みしめるトムだったが、ある日、サマーはトムとの関係を断ってしまう。愛に興味がないと言ったはずのサマーは、別の男と結婚。トムはグリーディングカード会社を辞め、夢だった建築の仕事を目指すことにする。昔、サマーと過ごした公園のベンチに座っていたトムは、サマーと再会。サマーは、私たちは運命じゃなかったと言い、トムの右手に、結婚指輪をした左手を重ねると、笑顔で立ち去る。こうしてサマーとの500日は終わる。
トムは就職面接に向かう。待合場所のソファで、トムは近くに座る女性(ミンカ・ケリー)に声をかけられる。彼女も就職面接に臨んでいた。先に名を呼ばれたトムは、立ち去ろうとして一度戻り、この後コーヒーでも飲まないか、と女性に声をかける。一度断った彼女は取り消してOKする。彼女の名前はオータムだった。サマーとの500日が終わり、オータムとの1日目が始まるのだった。

いかにも映画らしい、しゃれた演出の作品。サマーはいわゆる不思議ちゃん的存在で、相当の包容力なり相性のよさがないと、疲れてしまうタイプの女性。トムは振り回されながらも、サマーと過ごした経験を糧として、新たな出会いに挑戦。長かった夏が終わり、次の季節が来たというような、前向きな余韻を残した作品だった。

【5段階評価】4

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2025年1月20日 (月)

(2923) 恐怖のメロディ

【監督】クリント・イーストウッド
【出演】クリント・イーストウッド、ジェシカ・ウォルター、ドナ・ミルズ、ジョン・ラーチ、ドン・シーゲル、ジェームズ・マクイーチン
【制作】1971年、アメリカ

女性ストーカーにつきまとわれるラジオDJの身に起こった恐怖を描いたホラーサスペンス作品。

ラジオDJのデイブ(クリント・イーストウッド)は、行きつけのバーで、一人で飲んでいた女性、エブリン(ジェシカ・ウォルター)に声をかける。彼女はデイブの番組に毎日「ミスティ」という曲をリクエストしてくるファンだった。デイブは彼女と一夜をともにする。その日から、エブリンはデイブにつきまとうようになる。デイブにはトビー・ウィリアムズ(ドナ・ミルズ)という恋人がおり、デイブはエブリンのことは愛していないとはっきり告げるが、エブリンはデイブの家で自殺未遂を図り、ついにはデイブの家政婦を刃物で切りつけ、逮捕される。
エブリンは病院送りとなり、デイブはトビーにエブリンのことを話し、トビーとの愛を深める。ほとぼりが冷めたと思った頃、デイブの番組にエブリンが電話をしてくる。退院し、ハワイに行くとエブリンは告げるが、トビーが心配なデイブは、マッカラム刑事(ジョン・ラーチ)にトビーの無事を確認しにいってもらう。デイブはトビーに電話し、刑事が行くからそれ以外の人を家に入れるな、と告げる。ところが、エブリンの新しい同居人となったのがエブリンだった。エブリンの顔を知らなかったトビーはエブリンに拘束される。エブリンは家を見に来たマッカラム刑事の胸にはさみを突き立てて殺害。トビーの家にいるのがエブリンだと知ったデイブも、番組を抜け出してトビーの家にやって来て、トビーを探す。トビーはベッドの上に拘束された状態で横たわっていた。トビーに近づいたデイブの背後から、エブリンが刃物でデイブを攻撃。デイブは何カ所も刺されながらも、エブリンの顔にパンチを当て、エブリンはベランダの柵から崖下の海に転落死する。海面にはエブリンの死体が浮かぶのだった。

精神の歪んだファンに有名人が襲われる「ミザリー」(1990)と、クリント・イーストウッドが女性に襲われる恐怖を描いた「白い肌の異常な夜」(1971)を連想させる作品だった。一夜をともにした浮気相手に執拗に狙われる点では「危険な情事」(1987)も似ていた。デイブが通うバーのバーテンは、「ダーティハリー」(1971)や「白い肌の異常な夜」(1971)、「アルカトラズからの脱出」(1979)などの監督でクリント・イーストウッドと名コンビのドン・シーゲルが演じている。つうかクリント・イーストウッドは1971年に三作も主演しているのか。すごいな。

【5段階評価】4

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2025年1月19日 (日)

(2922) サクらんぼの恋

【監督】古厩(ふるまや)智之
【出演】宮川大輔、桜井ユキ、柄本時生、草川拓弥、菅原大吉、佐野ひなこ、前田公輝、明星(みょうせい)真由美
【制作】2018年、日本

45歳の童貞男とAV女優の恋を描いた作品。

45歳のファミレス店長、山川則夫(宮川大輔)は、臆病な性格でいまだに童貞。婚活パーティでも引っ込み思案な性格が災いして全くうまくいかず、安アパートで独身生活を続けていた。則夫の楽しみは、ファンであるAV女優、恩田リナ(桜井ユキ)の動画を見ること。ある日、宅配ピザ店で働く友人(柄本時生)が則夫の部屋にやって来て、二人でくつろいでいると、隣の部屋からバスローブ姿の女性が則夫の部屋に飛び込んでくる。それは何と恩田リナ。リナは隣の部屋の撮影から逃げてきたと言い、則夫はとっさにリナのことを知らないふりをし、彼女を匿う。やがて友人は仕事に戻り、リナは則夫の部屋で寝てしまう。則夫は鍵だけ残してファミレスの仕事に向かう。しばらくすると、リナが則夫の働くファミレス店にやって来る。則夫の部屋にあったファミレス店の社内誌を見て、則夫の職場を知ったのだった。則夫はリナを家まで送る。リナの家には、リナに暴力を振るう男(草川拓弥)がいた。心配になった則夫はリナに声をかけるが、リナは大丈夫だと言って家のドアを閉じる。
リナは再びファミレスにやって来る。則夫は思い切ってリナを食事に誘い、リナにOKを貰う。小躍りする則夫だったが、若い男性店員、八代翼(前田公輝)が、店にAV女優が来ていることを男友達に知らせ、やってきた男たちがリナをからかう。則夫は男たちを制止してリナを逃がそうとするが、リナは則夫に「ほっといてくれたらいなくなったんだよ。ほっといてよ」と叫び、店を出る。仕事を終えた則夫はリナの家に向かい、部屋に入れてもらう。リナは、8年前に両親が鉄骨落下事故で死に、野球に打ち込む11歳の弟、相馬大地を養護施設に入れないよう、18歳でAV女優を始めたが、大地が肘を故障して不良になったという過去を明かす。そこに大地が帰ってくる。リナに暴力を振るった男だった。大地は則夫を家から追い出す。
翌日、則夫の家にリナが訪ねてくる。リナは、隣のハウススタジオで撮影をするから見てくれ、と則夫に告げる。則夫はベランダづたいに隣の部屋のベランダに入り、撮影の様子を覗く。リナは時折則夫に視線を送る。撮影が終わり、則夫は放心して部屋に戻る。リナが則夫の部屋のドアをノックするが、則夫は出ることができなかった。
仕事を終えた則夫は、リナの家を訪ね、リナをデートに誘う。則夫はリナを自転車に乗せて海に向かう。冬の海でデートを楽しんだ二人は、ほとんど客のいない遊覧船の中で口づけをし、服のまま抱き合う。船を下りたところに大地が現れ、ナイフで則夫を脅す。リナは大地ともみ合いになり、ナイフが腹に刺さってしまう。リナは救急車で運ばれるが、そのまま命を落とす。則夫は、リナの最新のDVDを鑑賞する。そこには、リナのインタビューシーンがあった。インタビューの中でリナは、撮影場所の隣の部屋の男に優しくされたことを嬉しそうに話していた。ありがとう、と話すリナの姿に、則夫はこらえきれず涙を流すのだった。

お笑い芸人の主演映画ということで、あまり期待せずに観たのだが、なかなかの感動作だった。もっとも、大好きなAV女優が部屋に上がり込んだり、両親が鉄骨落下事故で死んだり、といったお約束のベタな設定を素直に受け入れるか、作り話として冷めてしまうかは、評価の分かれるところ。個人的には、期待していなかった分、素直に楽しめたが、AV撮影シーンを則夫が覗き、リナが則夫に視線を送る場面の必要性はよく分からなかった。

【5段階評価】4

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2025年1月18日 (土)

(2921) ユニバーサル・ソルジャー

【監督】ローランド・エメリッヒ
【出演】ジャン=クロード・バン・ダム、ドルフ・ラングレン、アリー・ウォーカー、エド・オロス
【制作】1992年、アメリカ

ベトナム戦争での死から蘇った二人の兵士の激闘を描いたアクション映画。次作は「ユニバーサル・ソルジャー/ザ・リターン」(1999)。

1969年、ベトナム戦争に従軍していたリュック・デュブロー(ジャン=クロード・バン・ダム)は、正気を失って無実の現地民を殺戮しようとしている上官のアンドリュー・スコット(ドルフ・ラングレン)を制止しようとして相打ちとなり、二人とも命を落とす。二人は軍によって冷凍保存され、ユニバーサル・ソルジャーとして復活する。25年後、リュックとアンドリューは、ダムでの人質籠城事件に投入され、犯罪集団を一掃。リュックは人質の姿を見てベトナム戦争時代の記憶が甦りはじめる。
テレビレポーターのベロニカ・ロバーツ(アリー・ウォーカー)は、軍を取材しようとして基地に侵入するが、アンドリューに殺されそうになり、リュックはベロニカを救出する。ユニバーサル・ソルジャー作戦を率いるペリー大佐(エド・オロス)は、アンドリューを含むユニバーサル・ソルジャーを使ってリュックとベロニカを追う。リュックとベロニカはモーテルに逃げ込み、高温になったリュックの体を氷で冷やしながら、追撃を逃れる。ユタ州のクリントン軍事病院に向かった二人は、ユニバーサル・ソルジャーを蘇生させる手術を担当したグレガー博士(ジェリー・オーバック)を訪ねる。それをきっかけに、リュックは過去の記憶を取り戻す。
リュックとベロニカは警察に逮捕されるが、過去の残忍な性格を取り戻したアンドリューが、二人の乗る護送車にトレーラーで襲いかかる。激しいカーチェイスの末、アンドリューの乗ったトレーラーは崖から落下し、リュックとベロニカは難を逃れる。二人はパトカーを奪って、リュックの生家のあるルイジアナ州メローに向かう。リュックは両親(ランス・ハワード、リリアン・ショウバン)と再会するが、喜びもつかの間、アンドリューが現れ、ベロニカを殺そうとする。リュックはアンドリューが持っていた薬液を自らに注入して強力な力を得ると、アンドリューを倒す。両親は無事で、リュックはベロニカと抱き合うのだった。

主役級のアクションスター2名による娯楽作品。物語はシンプルで、分かりやすい展開。いわゆる記号のように人が殺されたり、リュックの両親が殺されずに納屋に放り込まれるだけだったりのお約束展開はあったが、痛快なハッピーエンドだった。リュックの連続ハイキックが見所。

【5段階評価】3

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2025年1月17日 (金)

(2920) 劇場版シティーハンター 新宿プライベート・アイズ

【監督】こだま兼嗣
【出演】神谷明(声)、伊倉一恵(声)、飯豊まりえ(声)、山寺宏一(声)、玄田哲章(声)
【制作】2019年、日本

北条司の漫画「シティーハンター」の劇場版アニメ作品。新宿を舞台に武器商人と主人公との戦いを描く。「シティーハンター ベイシティウォーズ」(1990)の続作。次作は「劇場版シティーハンター 天使の涙」(2023)。

何者かに追われていることに怯える若い美女、進藤亜衣(飯豊まりえ)は、シティーハンターこと冴羽獠(神谷明)にボディーガードを依頼。亜衣を狙っているのは、IT企業の若きCEO、御国真司(山寺宏一)。彼の裏の顔は武器商人で、亜衣の父親の開発した軍事兵器システム「メビウス」のロックを解く鍵となる、亜衣の虹彩情報を求めていた。御国は、亜衣の亡くなった父親、酒井純一(興津(おきつ)和幸)の遺言となる動画をネタに亜衣を呼び寄せ、虹彩情報を手に入れると、メビウスを起動。メビウスで冴羽獠を殺害することで、武器商人たちにメビウスの威力を見せつけようとする。新宿を舞台にメビウスと冴羽獠との激闘が始まり、獠は仲間の海坊主(玄田哲章)らと応戦し、メビウスの放つドローン兵器や自律歩行兵器を殲滅。御国は自ら巨大ドローン「鋼の死神」を操り、獠を襲うが、獠はハンドガンで返り討ちにする。御国の幼なじみだった槇村香(伊倉一恵)は、御国の暴走を止めようとするが、御国は自分と相容れない香に銃を向ける。そこに獠が現れ、御国の銃を撃ち、彼の持っていたメビウスを破壊する。亜衣は通っていなかった医大に通い直すことを決意。獠は香とのパートナーの関係を続けるのだった。

CGアニメも取り入れたドローンや自律歩行兵器と戦う派手なアクション、キャッツ・アイの三姉妹のレオタード姿など多数の美女が見所のアニメ。分かりやすい物語だった。

【5段階評価】3

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2025年1月16日 (木)

(2919) ドラえもん のび太の恐竜2006

【監督】渡辺歩(あゆむ)
【出演】水田わさび(声)、大原めぐみ(声)、かかずゆみ(声)、木村昴(声)、関智一(声)、神木隆之介(声)
【制作】2006年、日本

劇場版ドラえもん第26弾。「ドラえもん のび太の恐竜」(1980)のリメイク。「ドラえもん のび太のワンニャン時空伝」(2004)の続作。次作は「ドラえもん のび太の新魔界大冒険 ~7人の魔法使い~」(2007)。

あらすじは「ドラえもん のび太の恐竜」(1980)とほぼ全く同じ。クライマックスでティラノサウルスと戦う恐竜として、「ジュラシック・パークIII」(2001)と同じくスピノサウルスが登場する。

一新された声優陣による初の劇場版ドラえもん。スキマスイッチによる主題歌「ボクノート」も話題となった。本作はAmazonプライムで鑑賞。

【5段階評価】4

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2025年1月15日 (水)

(2918) 配達されない三通の手紙

【監督】野村芳太郎
【出演】栗原小巻、片岡孝夫、松坂慶子、渡瀬恒彦、佐分利信、神崎愛、乙羽信子、竹下景子、蟇目良(ひきめりょう)
【制作】1979年、日本

良家の娘と夫の周囲で起きる殺人事件を描いたミステリー映画。エラリー・クイーンの小説が原作。

銀行重役の厳格な父、唐沢光政(佐分利信)の次女、紀子(栗原小巻)は、婚約中に一度失踪した男、藤村敏行(片岡孝夫)と結婚。ある日、紀子は、敏行の荷物の中に、妻をヒ素で殺害することをほのめかす妹宛の手紙があるのを発見。その様子を見ていた三女の恵子(神崎愛)と居候のボブ(蟇目良)は、手紙を盗み読みし、敏行が紀子を殺そうとしているのではないかと疑う。敏行には智子(松坂慶子)という妹がおり、敏行と同居していた。
敏行の誕生パーティで、水割りを飲んでいた紀子が突然倒れる。周囲が介抱していると、紀子から水割りを受け取って飲んでいた智子が死んでしまう。水割りを作って配ったのが敏行だったため、敏行は逮捕される。ボブと恵子は、敏行が失踪中にいた北海道を訪れ、敏行の過去を探る。敏行の妹だと名乗っていた智子は、敏行につきまとっていた女で、敏行は智子を振って紀子と一緒になったが、智子につきまとわれていたのだった。紀子は、深夜、智子が裸で敏行に言い寄っているのを見て、智子の殺害を決意。自らもヒ素を飲む決死の犯行により、智子にヒ素入りのウィスキーを飲ませたのだった。紀子は、敏行を犯人に見せかける犯行をしながらも、敏行が濡れ衣を被ったことを悔い、早産で敏行の子どもを産みながらも、衰弱のため死亡する。敏行は、検事の峰岸(渡瀬恒彦)の計らいで紀子の葬儀に顔を出す。そこに、峰岸の大学の後輩、大川美穂子が車で現れると、敏行は両脇にいる刑事を突き飛ばして美穂子の車に乗り込み、崖から車ごと海に飛び込んで自殺する。峰岸は、ボブと恵子に、美穂子はきっと敏行の実の妹で、敏行の覚悟を知って兄の自殺に手を貸したのだろうと話す。警察の介入を拒んでいた紀子の父、光政も、恐らく実の娘の犯罪を悟っていたのではないか、と峰岸は語るのだった。

八つ墓村」(1977)や「砂の器」(1974)など推理ドラマの名手、野村芳太郎監督による推理物。エラリー・クイーン原作とあって、高まる期待を胸に鑑賞。殺害の動機や方法などはちょっと難解で想像をたくましくしないと理解できない部分はあった。特に、最も重要な場面と言える、智子が紀子のヒ素入りの水割りを飲んだのは、紀子の作為というより偶然の成り行きであり、紀子に智子を殺す意志があったのか、それとも自分がヒ素で倒れるところまでが目的だったのかが、よく分からなかった。とは言え、栗原小巻の鬼気迫る演技の光る、見応えのある作品だった。

【5段階評価】3

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2025年1月14日 (火)

(2917) 乱れる

【監督】成瀬巳喜男(みきお)
【出演】高峰秀子、加山雄三、三益愛子(みますあいこ)、草笛光子、白川由美
【制作】1964年、日本

夫を亡くした未亡人と義理の弟との関係を描いた作品。

森田礼子(高峰秀子)は、戦争で夫を亡くし、寡婦として嫁ぎ先の酒屋、森田屋を切り盛りしていた。義理の弟の幸司(加山雄三)は、就職した会社を辞め、ぶらぶらする日々だった。個人商店は、近所のスーパーの安値攻勢に苦労し、自殺する経営者も出るありさま。大学出の幸司は、酒屋をスーパーマーケットに改装することを考え始める。
幸司は、12歳年上の礼子に好意を抱いており、ついに礼子にそのことを告白。礼子は幸司を意識してしまい、森田家を出て実家に帰ることにする。幸司は礼子の乗った電車に乗り込み、旅をともにする。泊まった旅館で幸司は礼子を抱きしめるが、世間の目を気にする礼子は拒絶。幸司は旅館を出て行く。翌朝、幸司は崖から落ちて亡くなっていたのだった。

ホームドラマのような出だしで、シリアスな作風に、ハッピーエンドというよりは、礼子と幸司は一緒にはならないまでも、互いに強く生きていくという話なのかな、と思っていたら、衝撃の結末が待っていた。亡くなったあとのことをほぼ描かず、唐突に映画が終わる。「乱れる」という短いタイトルが、何か恐怖映画のようにも思わせるのだった。

【5段階評価】3

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2025年1月13日 (月)

(2916) 夢二

【監督】鈴木清順
【出演】沢田研二、毬谷友子、宮崎萬純、原田芳雄、広田玲央名、長谷川和彦、坂東玉三郎
【制作】1991年、日本

実在の画家の幻惑的な女性遍歴を描いた作品。

有名画家の竹久夢二(沢田研二)が、人妻の脇谷巴代(ともよ)(毬谷友子)と親しくなり、彼女の絵を描くようになるまでを描いている。他に殺人鬼(長谷川和彦)や巴代のだんな(原田芳雄)などが登場するが、物語が意味不明すぎて書く気が起きないのだった。きっと書いても読み直したら訳が分からないだろう。

全編を通して、小劇場の実験的な前衛芝居を観ているような、セリフも場面も流れもほぼ全く意味不明。「勘弁してくれよ」、「早く終わってくれ」と願うばかりの内容だった。かろうじて毬谷友子の美貌とヌードシーンで終盤持ったかなという。これは久々に評価1かと思ったが、有名監督と有名俳優による作品ということで、評価2にしておいた。

【5段階評価】2

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2025年1月12日 (日)

(2915) J・エドガー

【監督】クリント・イーストウッド
【出演】レオナルド・ディカプリオ、アーミー・ハマー、ナオミ・ワッツ、ジュディ・デンチ、ジョシュ・ルーカス
【制作】2011年、アメリカ

実在のFBI長官の人生を描いた伝記映画。

若い司法省職員のJ・エドガー・フーバー(レオナルド・ディカプリオ)は、非科学的な犯罪捜査を改めるため、テロ行為を働く共産主義者の逮捕に科学的な捜査を導入し、合衆国全体での指紋などの情報を共有化。エドガーは理知的な女性秘書、ヘレン・ガンディ(ナオミ・ワッツ)に惹かれて求婚し、断られるが、個人秘書を務めてもらうことに成功し、長年の付き合いとなる。クライド・トルソン(アーミー・ハマー)という優秀な右腕も得たエドガーは、執念でリンドバーグ(ジョシュ・ルーカス)の長男誘拐事件の犯人(デイモン・ヘリマン)を科学捜査により突き止める。FBI長官となったエドガーは、盗聴を合法化するなど、捜査の権力を拡大。しかしプライベートでは女性恐怖症で、信奉する母親(ジュディ・デンチ)が亡くなると悲しみに打ちひしがれる。トルソンとは同性愛の関係にもなり、長年連れ添うが、ついにエドガーは天命を全うする。ニクソン大統領(クリストファー・シャイアー)は彼が持つ秘密ファイルを入手しようとするが、エドガーからファイルを託されていたガンディは、ファイルをシュレッダーにかけ、秘密情報は闇に葬られるのだった。

クリント・イーストウッド監督の作品は外れが少なくて好きなのだが、本作はアメリカの歴史に関する予備知識がないと楽しむことが難しい内容だった。エドガーの若い頃と老いた時期が折り重なって描かれ、特殊メイクによるレオナルド・ディカプリオの老人の姿は見所ではあり、映画としては質の高いのは間違いないが、面白かったかというと、長くて退屈だった。エドガー口述伝記の内容が、嘘だらけなのを年老いたトルソンが指摘するシーンは、これまで事実のように流れていた映像が、実はエドガーの思い込みによる虚構に過ぎなかったという、「ビューティフル・マインド」(2001)のようなカタルシスがあったりはした。

【5段階評価】2

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2025年1月11日 (土)

(2914) 西遊記 孫悟空VS白骨夫人

【監督】ソイ・チェン
【出演】アーロン・クォック、ウィリアム・フォン、コン・リー、シャオ・シェンヤン、ヒム・ロー
【制作】2016年、中国、香港

おなじみ孫悟空の活躍を描いた特撮アクション映画。「モンキー・マジック 孫悟空誕生」(2014)の続編。

天竺に向けて旅をしている三蔵法師(ウィリアム・フォン)は、道中、巨大な虎に襲われ、洞穴に逃げ込む。そこには孫悟空(アーロン・クォック)が閉じ込められていた。三蔵法師は孫悟空から、虎を退治すると持ちかけられ、孫悟空の封印を解く。孫悟空は虎を退治すると、三蔵法師のお供になる。猪八戒(シャオ・シェンヤン)と沙悟浄(ヒム・ロー)も仲間になる。
妖怪の白骨夫人(コン・リー)は、永遠の命を手に入れるため、三蔵法師を食べようとする。孫悟空は、老婆に化けた白骨夫人を真実の目で見抜き、如意棒で打ち倒すが、三蔵法師は無実の人を襲ったと勘違いし、孫悟空を追放。孫悟空は観音菩薩(ケリー・チャン)に説得され、白骨夫人にさらわれた三蔵法師の救出に向かう。孫悟空は、大量の骸骨兵士相手に奮闘していた猪八戒や沙悟浄と合流。孫悟空に助け出された三蔵法師は、白骨夫人の魂を救済するため、自らの命を絶つと宣言。孫悟空に転生後の再会を誓い、孫悟空は泣く泣く三蔵法師に如意棒を打ち下ろす。孫悟空は石像のようになった三蔵法師を担いで天竺を目指す。観音菩薩は三蔵法師に術を施し、三蔵法師は石から人の肌に変わり始めるのだった。

前作同様、3DCGをふんだんに使って、妖怪同士の派手なバトルを描いている。白骨夫人の黒い布と白いリボンに覆われたような出で立ちは独創的で、妖怪の不思議な出で立ちや妖術の演出は「ハリー・ポッター」シリーズと似た面がある。前作と異なり、日本でもおなじみの三蔵法師や沙悟浄、猪八戒が出て来て、興味もわきやすいはず。なのに何だか退屈で、途中で何度か再生を止めて休み休み見てしまった(単に疲れていたタイミングで観たからというだけかもしれないけど)。一つは、特殊メイクの沙悟浄や猪八戒が不気味の谷を(逆向きに)越えていなかったり、派手で超スピードのCGが現実離れしていて逆に感動できなかったり(この感覚は「トランスフォーマー」(2007)でもあった)、ということもあるだろうが、実は、特撮映画、SF映画に慣らされた自分が、アジア人の顔の特撮映画には感動できない、欧米人の登場する映画が本物だ、という刷り込みがされてしまっているからであるような気がした。
三蔵法師と言えば、腕白な孫悟空を諭したり懲らしめたりする賢明な僧侶というイメージだったが、本作の三蔵法師は、虎に怯えて逃げ惑ったり、誤解によって孫悟空に罰を与え、果てには追放してしまったり、という、三枚目というか未熟な部分を持った役どころだった。

【5段階評価】2

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2025年1月10日 (金)

(2913) モンキー・マジック 孫悟空誕生

【監督】ソイ・チェン
【出演】ドニー・イェン、アーロン・クォック、チョウ・ユンファ、ジョー・チェン、シア・ジートン、ピーター・ホー
【制作】2014年、香港、中国

孫悟空の誕生から、岩に閉じ込められるまでを描いた特撮アクション作品。次作は「西遊記 孫悟空vs白骨夫人」(2016)。

牛魔王(アーロン・クォック)は天界の玉帝(チョウ・ユンファ)との戦いに敗れ、人間界に落とされる。牛魔王は天界の征服を狙い、孫悟空(ドニー・イェン)を味方に付けるため、孫悟空の仲間や狐のユーシュ(シア・ジートン)を殺し、天界のせいだと嘘をつく。孫悟空は怒りから邪悪な存在となり、天界に戦いを挑むが、それが牛魔王の策略だと気づく。孫悟空は牛魔王を倒すが、天界に背いた罰として、岩に閉じ込められるのだった。

中国らしいド派手なCG特撮をふんだんに使った作品で、大物俳優も出ているのだが、物語が面白くなくて、相当退屈だった。中国人にはおなじみの物語で楽しかったのかもしれない。孫悟空にドニー・イェンの面影がなく、コミカルな仕草にドニー・イェンの風貌が似合うとも言えず、ジャッキー・チェンの偉大さを再発見した。

【5段階評価】2

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2025年1月 9日 (木)

(2912) カオス

【監督】トニー・ジグリオ
【出演】ジェイソン・ステイサム、ライアン・フィリップ、ウェズリー・スナイプス、ジャスティン・ワデル
【制作】2005年、カナダ、イギリス、アメリカ

銀行強盗事件の謎を巡る犯人と刑事の攻防を描いたアクションサスペンス。

シアトル市警の刑事クエンティン・コナーズ(ジェイソン・ステイサム)は、パール・ストリート橋で、車乗っ取り犯ジョン・カーティス(ガストン・モリスン)の逮捕に失敗し、犯人と人質の女性を銃で撃ち殺してしまったかどで、停職処分となり、相棒のジェイソン・ヨークは懲戒免職となる。コナーズの停職中に、グローバル銀行で立てこもり事件が起き、ローレンスと名乗る犯人(ウェズリー・スナイプス)はコナーズとの会話を要求。コナーズの上司ジェンキンス警部(ヘンリー・ツェーニー)はコナーズの停職を解き、若いシェーン・デッカー(ライアン・フィリップ)とバディを組ませる。コナーズが現場に駆けつけ、指揮を執ることになるが、犯人はSWATの突入直前に入り口を爆破。人質とともに逃げてしまう。
シェーンは、犯人の会話から、カオス理論に沿った犯行ではないかとコナーズに話す。コナーズとシェーンは、爆破時の映像に映っていた前科者デーモン・リチャーズ(タイ・オルソン)を逮捕。女性鑑識官のマーニー(キーガン・コナー・トレイシー)は、デーモンの家にある札束はグローバル銀行のものではなく、別の強盗事件で押収された札束で、警察が香りを付けた物だと説明。この強盗事件を担当していたカーロ(ジョン・カッシーニ)が保管所から持ち出したと思われたが、カーロは自宅で死んでいた。家にグローバル銀行の見取り図があり、カーロは銀行強盗事件の共犯者と認定される。すると、カーロの家にローレンスから電話が入る。ローレンスはコナーズに恨みを持っているようだった。
金品を盗まずに銀行強盗に入った犯行グループの目的が、銀行システムへのハッキングだと気づいたシェーンは、コナーズとともに、容疑者の一人、クリス・リー(テリー・チェン)の家に向かうが、リーはローレンスに殺されてしまい、コナーズとシェーンはローレンスを取り逃がす。シェーンは、逮捕されて入院中のデーモンに、モルヒネを急激に与えて殺すと嘘の脅しをかけ、ローレンスの本名がスコット・カーティスだと吐かせる。スコットとは、パール・ストリート橋で撃ち殺された犯人ジョンの兄だった。
シェーンとコナーズは、残りの共犯者ゴールト(マイク・ドゥパド)とハリントンがスコットと落ち合うはずの居場所に向かうが、スコットは現れず、ゴールトとハリントンが警察の潜伏に気づき、銃撃戦となる。刑事らは建物に押し入り、ゴールトとハリントンを確保しようとするが、建物には爆発物が仕掛けられていた。それに気づいた女性刑事のテディー・ギャロウエー(ジャスティン・ワデル)が仲間に逃げろと叫ぶが、コナーズは爆発に巻き込まれ、遺体として運び出される。
力なく署に戻ったシェーンに、同僚が、犯人の目的は、銀行のシステムにウィルスを仕込み、銀行での1,000万件に及ぶ取引から100ドル未満を犯人の口座に送ることで、大金を動かすことなく金を奪うことにあったと説明。シェーンは保管庫の管理者ハリー(ポール・ペリ)を問い詰める。保管庫にあった金を盗み出したのは、カーロではなく、ヨークだった。ここでこれまで映像に出なかったヨークが登場。それは、銀行強盗犯ローレンスだった。パール・ストリート橋で誤射によりヨークが人質を撃ってしまい、抵抗した犯人をコナーズが射殺。ヨークは免職となり、銀行強盗犯となっていたのだ。シェーンはヨークの居場所を突き止め、逃げるヨークを格闘の末、撃ち殺す。事件は落着したに見えたが、シェーンは、コナーズが持っていた紙幣に、マーニーの言っていた香りがついていることに気づく。コナーズも共犯者の一人だった。コナーズは死んでおらず、倒した犯人の体に自分のバッジをつけ、爆発した建物の地下から消防署員に変装して現場から去っていたのだ。シェーンは空港に急ぐが、コナーズを捕まえることはできず、コナーズは小型ジェットで飛び去るのだった。

ジェイソン・ステイサム主演ということで、アクション主体の大味な作品かと思ったら、まさかのストーリーに重点を置いたサスペンス作品だった。主演がジェイソン・ステイサムというのもミスディレクションを狙った配役だろう。細かい伏線が引かれ、回収されていくのだが、ヨークが追ってくるシェーンを相手にご高説をぶったり格闘したりする必然性はなく、ご都合主義な展開も見られ、カオス理論と犯行との関係も、さっぱり分からず、どんでん返しの効いた名作サスペンスを見たなあというカタルシスは残念ながら得られなかった。

【5段階評価】3

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2025年1月 8日 (水)

(2911) カンフースタントマン 龍虎武師

【監督】ウェイ・ジンツー
【出演】サモ・ハン、マース、ユン・ワー、チン・カーロッ、エリック・ツァン、ユエン・ウーピン、ドニー・イェン
【制作】2021年、香港、中国

カンフー映画のスタントマン業界の歴史を描いたドキュメンタリー作品。

「燃えよデブゴン」(1978)の主演や「ファースト・ミッション」(1985)の監督でおなじみのサモ・ハンや、「イップ・マン」シリーズのドニー・イェンは言うに及ばず、「プロジェクトA」(1983)など多くのジャッキー・チェン主演映画に登場している、香港映画界のほんこん(ややこしい)ことマース、「サイクロンZ」(1988)で狡猾な敵ボス役を演じたユン・ワー、「アクシデンタル・スパイ」(2001)の探偵役エリック・ツァンなど、カンフー映画ファンなら見たことのある面々が多数登場。ブルース・リーやジェット・リーの映像も登場し、香港のスタントマン業界の盛衰と復活に向けた動きが描かれていた。

往年の名作のハイライトシーンと、その裏側の過酷の撮影シーンが描かれており、カンフー映画ファンには楽しいドキュメンタリーだった。

【5段階評価】3

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2025年1月 7日 (火)

(2910) こん、こん

【監督】横尾初喜
【出演】遠藤健慎、塩田みう、中山晴華、森あゆ、大橋彰、栄信、遠藤久美子
【制作】2023年、日本

大学生の男女の恋の顛末を描いた青春恋愛映画。

海岸で、カメラを持った若者(遠藤健慎)が、年上の男(栄信)から「堀内賢星くん?」と声をかけられる。男は妻とおぼしき女性(遠藤久美子)と一緒で、宇海(うみ)という人物の話を賢星に尋ねる。賢星は、宇海との出会いを話し始める。
長崎で平凡な大学生活を送っていた賢星は、ある夜、酔ってうめいている高岡雪乃(中山晴華)と、それを介抱している七瀬宇海(塩田みう)に出会う。二人は賢星と同じ大学で、雪乃は、賢星にとって高嶺の花のミスコン優勝者。雪乃は酔い潰れており、賢星は宇海と飲み明かす。雪乃は親しくなった賢星を食事に誘い、賢星は有頂天になる。雪乃は激辛の店に賢星を連れて行き、次々に辛い料理を頼む。辛い料理が苦手な賢星が困っていると、遅れてきた宇海が現れ、賢星が苦しんでいるのを察したように、激辛料理を自ら平らげ、無頓着に賢星に料理を勧める雪乃をよそに、さりげなく賢星をかばう。雪乃は、先日のお礼だからおごると言うが、支払ったのは、店にやってきた雪乃の年上の彼氏だった。賢星と宇海は二人で過ごすことになり、ある日、宇海は、賢星が好きだ、と素直に賢星に告白。二人の生活が始まる。
カメラや甘いカレー、家族の手形が好きな宇海に、賢星は感化されていく。宇海との暮らしに幸せを感じていた賢星だったが、大学で宇海が他の男(橋本和太琉(わたる))と親しそうにしているのを見て嫉妬し、バイト先の先輩(大橋彰)に誘われた合コンに参加。そこで出会った年上の女性、長沢杏花(森あゆ)と浮気し、杏花は賢星の部屋に泊まり込む。そこに合鍵を持っていた宇海が現れる。杏花は、賢星に合鍵を持った女がいることを知って怒って帰ってしまう。宇海は賢星の浮気を怒るどころか、宇海も男と親しそうにしていたじゃないかと責める賢星に、不愉快な思いをさせてごめん、と謝る。感情の行き場を失った賢星は、誰とでも仲よくできる宇海に悪態をつき、それでも賢星が好きだと言う宇海に、賢星は、重い、浮気相手の方が一緒にいて楽だ、と言ってしまう。宇海は持ってきた土産を部屋に置き、賢星が幸せならそれでいいと言い残して去っていく。
あっけなく宇海との生活が終わってしまった賢星は、ある日、宇海が溺れて亡くなったというニュースをスマホで見て唖然とする。宇海は、賢星と一緒に行こうと約束していた島に一人で渡り、そこで溺死事故に遭ったようだった。冒頭で賢星に話を聞いていたのは、宇海の離婚した両親だった。母親は宇海のスマホを賢星に見せ、暗証番号が分からないか、と賢星に話す。暗証番号になっていたのは、賢星の誕生日だった。スマホには、宇海が残していた音声の日記が記録されていた。そこには、賢星に好きな人ができたらしいこと、賢星と島に来たかったこと、賢星に愛されたかったことを話す宇海の声があった。賢星は嗚咽し、聞き続けるのもままならなかったが、宇海の両親は、賢星の肩を優しく抱き、三人は最後まで録音を聞く。「ごめんなさい」と言うのが精一杯の賢星は、「宇海と来たかったなぁ」と口にし、母親は泣きながら賢星の肩を抱くのだった。

いやあ、泣いた。序盤は青春恋愛映画の片思いあるあるの展開なのだが、クライマックスのシーンはすさまじい感動だった。もちろん、そりゃあ人が死ねば泣ける作品になるよね、だし、宇海はいかにも男の妄想が生み出したいい人キャラだし、宇海が親しくしていた男は単に福岡で急に入院した母親に会いに行く宇海のために車で駅まで送っただけだったし、なんだが、それでも、賢星のほんのちょっとした反発心によって、宇海と別れてしまったことへの悔恨を想像すると、涙を流さずにはいられない。序盤3点から、一気に評価5に上り詰める作品だった。
宇海役の塩田みうは、ちょっと上野樹里に似ていた。

【5段階評価】5

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2025年1月 6日 (月)

(2909) 人生サイコウ!

【監督】藤澤浩和
【出演】山本博、ちすん、金子なな子、塩山義高、いしいそうたろう
【制作】2014年、日本

余命1年を宣告された青年の奮闘を描いたコメディ。

引っ込み思案な青年、渡辺紡(山本博)は、医者(いしいそうたろう)から余命1年と宣告される。それは、紡の母親(金子なな子)が、紡を発憤させるために仕組んだ狂言だった。それを真に受けた紡は、学生(鈴木玲央)のときに片思いで声もかけられなかった宮下千尋(ちすん)と結婚したり、動画配信でオリジナル曲をヒットさせたりと、人生を大転換させる。母親は狂言のことを言い出しづらくなってしまうが、医者が紡に真実をバラしてしまう。
引っ込みのつかなくなった紡だったが、自分のコンサートで、自分は死なないと明かすと、怒ったファンから逃げる。その様子を撮影クルーが追いかける。紡は、仲間の経営する地元で無名の商店街を走り回り、その様子をネットに流すことで、商店街の宣伝に一役買って出たのだった。紡と千尋の間には赤ん坊も産まれ、紡は大好きな町で暮らし続けるのだった。

30分ほどの短編映画。ちすんは、「ジブンレース」(2007)にも出演していた。医者役のいしいそうたろうは、デフォルメした佐藤浩市(「ザ・マジックアワー」(2008)でペーパーナイフを嘗めるシーン)のものまねで知られる芸人。

【5段階評価】3

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2025年1月 5日 (日)

(2908) 炎の肖像

【監督】藤田敏八、加藤彰
【出演】沢田研二、秋吉久美子、中山麻理、原田美枝子、地井武男、佐野周二
【制作】1974年、日本

芸能人の男性の女性関係とライブ映像を織り交ぜた作品。

男性歌手の鈴木二郎(沢田研二)は、小林絵里(中山麻理)と部屋で抱き合う。絵里は二郎に悪態をつく。部屋を出て道を一人歩く二郎に、トラック運転手の星野(地井武男)が声をかけ、助手席に乗せる。星野はフーテンのような二郎を気に入る。
帰宅した二郎のもとに父親(佐野周二)がやってくる。父親は若い女性、今西きりこ(秋吉久美子)を連れてきていた。きりこは、喫茶店で友人の小林ひろ(原田美枝子)を二郎に会わせる。ひろは、自殺した絵里の妹だった。二郎がひろをかわいいとからかうと、ひろは怒って店を出て行き、きりこも出て行く。駅の売店で働いているきりこを見つけた二郎は、仕事終わりのきりこを捕まえ、話をする。きりこは、嫌がるひろを二郎に会わせたのは自分だと話し、二郎は強引にきりこに口づけをする。
二郎はひろと二人で電車旅をする。きりこも来るはずだが来なかったのだ。二郎は、最後に絵里を抱いた部屋にひろを連れて行くが、ひろには手を出さず、モーターボートにひろを乗せて沖に出ると、ひろをボートに残して別のボートに無理矢理乗り込み、ひろを置き去りにする。
星野に再会した二郎は、星野の車で郡山まで行く。星野が運転席で妻と情事にふけるのを見た二郎は、家に戻る。家には父親ときりこがいた。父親は買い物に出かけ、二郎はきりこと抱き合う。
二郎はジュリーとしてライブに出演。何曲も披露するのだった。

物語の意味はよく分からず、何度か挟まるコンサートシーンにも有名曲はなく、退屈だった。最後に部屋の中に現れるゴキブリを二郎が手で潰し、それをきりこが指でつまんで放り投げるシーンが、本作一番のグロ映像。食堂の店員役で、樹木希林こと悠木千帆が出演。朝丘雪路もスナックママ役で出ていた。

【5段階評価】2

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2025年1月 4日 (土)

(2907) ベートーベン

【監督】ブライアン・レバント
【出演】チャールズ・グローディン、ボニー・ハント、ニコール・トム、ディーン・ジョーンズ、デビッド・ドゥカブニー
【制作】1992年、アメリカ

5人家族とセントバーナード犬との交流を描いたコメディ作品。次作は「ベートーベン2」(1993)。

ペットショップから二人組の泥棒ハーベイ(オリバー・プラット)とバーノン(スタンリー・トゥッチ)に盗まれたセントバーナードの子犬が、泥棒から逃げ出し、ニュートン家に迷い込む。父親のジョージ(チャールズ・ブロンソン)の反対をよそに、母親のアリス(ボニー・ハント)、長女のライス(ニコール・トム)、長男のテッド(クリストファー・キャスティール)、次女のエミリー(サラ・ローズ・カー)の賛成により、ニュートン家は子犬を飼うことにする。子犬はベートーベンと名付けられ、すくすくと成長。ベートーベンは、ライスの片思いの相手マーク(ロビ・デビッドソン)との会話のきっかけを作ったり、テッドをいじめているクラスメートを追い払ったり、プールで溺れたエミリーを助けたり、さらには嘘の投資でジョージを騙そうとしている詐欺師ブラッド(デビッド・ドゥブカニー)の邪魔をして詐欺を未然に防いだりと、家族のために活躍する。
獣医のヘルマン・バーニック(ディーン・ジョーンズ)は、新型銃の実験台にするため、大型犬のベートーベンを病気だと偽ってジョージから引き取るが、ヘルマンの嘘を見抜いたジョージは、家族五人と車でヘルマンのあとを付け、ベートーベンを閉じ込めている倉庫施設を突き止める。ジョージが倉庫に飛び込み、家族の助けもあって、ヘルマンと泥棒二人組をやっつける。ニュートン一家のお手柄はテレビで報道され、ライスは、マークから電話がかかってきて大喜び。ニュートン家は、ヘルマンが捕らえていた大勢の犬たちと一緒に暮らすのだった。

子供向けの微笑ましい動物コメディ。「ホーム・アローン」(1990)のように、間抜けな悪役をやっつける分かりやすい内容だった。

【5段階評価】3

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2025年1月 3日 (金)

(2906) 喜劇初詣列車

【監督】瀬川昌治
【出演】渥美清、佐久間良子、小松政夫、中村玉緒、川崎敬三、城野(じょうの)ゆき、西村晃
【制作】1968年、日本

幼なじみの女性の弟捜しに奮闘する国鉄乗務員の姿を描いたドタバタコメディ。「喜劇団体列車」(1967)の続作。

国鉄乗務員の上田新作(渥美清)は、電車の中で、小学校時代の幼なじみ、坂本美和子(佐久間良子)に再会。彼女は家族を地震で失っており、東京の印刷工場で働いていた弟が行方知れずになっていた。美和子は芸者をしており、新作は美和子の弟、研吉(小松政夫)を探してあげることにする。新作の妻、幸恵(中村玉緒)は、新作の浮気を疑う。
新作は研吉を尋ね当てるが、研吉は仕事を辞めてフーテン(ぶらぶらと日常を過ごす人のこと)になっていた。新作は研吉に生活を改めて姉を安心させるよう説得。研吉は新作に、亡くした父親を見出し、心を入れ替える。新作は研吉を家に連れ帰る。新作が精神病にかかったのではという幸恵の疑いは晴れる。研吉は職場仲間だった細川房子(城野ゆき)とよりを戻し、結婚を誓い合う仲となる。新作の弟で新幹線乗務員の夏雄(川崎敬三)の計らいで、新作一家と研吉、房子は伊勢に初詣に出かける。研吉と房子は初詣を取材するテレビクルーにインタビューされ、美和子はテレビ越しに研吉の姿を見て、喜ぶのだった。

東映列車シリーズの3作目だが、どんどんと品質が劣化していき、本作はドタバタナンセンスギャグが多めのくだらない内容だった。1967年前後の渥美清は、年に何本も映画に出演しているが、粗製濫造という言葉が頭に浮かんでしまった。1作目はよかっただけに、残念。この反省の上に「男はつらいよ」シリーズが生まれたのかもしれない。

【5段階評価】2

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2025年1月 2日 (木)

(2905) 喜劇団体列車

【監督】瀬川昌治
【出演】渥美清、佐久間良子、ミヤコ蝶々、笠智衆、城野(じょうの)ゆき、由利徹、原直人
【制作】1967年、日本

四国の松山で働く国鉄駅員の恋と仕事を描いたコメディ作品。「喜劇急行列車」(1967)の続作。次作は「喜劇初詣列車」(1968)。

助役昇格試験を三度も落ちている国鉄駅員の山川彦一(渥美清)は、電車に一人で乗っていたという小さい男の子、志村敬一(原直人)の世話を任される。敬一を宇和島まで送り届けた彦一は、迎えに来た母親の小百合(佐久間良子)に一目惚れする。彦一の母親のお杉(ミヤコ蝶々)は、彦一に見合いを勧めるが、彦一が見向きもしないため、見合いであることを伏せて、見合い相手の日高邦子(城野ゆき)に会わせる。邦子の父、友造(笠智衆)は、40年間国鉄に勤め、四度も表彰を受けた職員だったが、助役にはなれず、いまはロープウェイの駅長をしていた。彦一は邦子には興味を示さず、心は小百合にあった。彦一は、四度目の助役試験の勉強にかこつけて、中学教師の小百合に授業を請い、小百合との仲を深める。彦一は一次試験に合格するが、面接試験の前日に、高熱を出した敬一を夜通し看病したため、試験に遅れ、(結果的には国鉄の赤字対策を問われて何も答えられなかったので、遅刻が理由ではないが)助役試験に落ちる。
彦一は、助役試験に合格した若い職員の太宰(大辻伺郎(しろう))が飲み屋で彦一と友造を馬鹿にしたことに腹を立て、太宰を友造の家に連れて行って、友造の家に飾られた表彰状を見せ、友造に比べればお前なんぞ鼻垂れ小僧だ友造に謝れ、と太宰を叱る。それを見ていた邦子は、彦一の誠実さに惚れ、妻になることを決意する。彦一の職場で企画された団体列車旅行に、邦子は友造と参加。小百合も敬一を連れて参加し、彦一は小百合から求婚されることを夢見るが、小百合は彦一に好意を持ちながらも、以前から話のあった別の東京の男(南広)との結婚を決めたことを彦一に報告。彦一は落胆しながらも、小百合の心遣いに感謝する。
彦一はようやく助役試験に合格。彦一は邦子と結婚しており、二人の双子の赤ちゃん(渥美清、二役)もいた。助役の研修のため、船で大阪に向かった彦一は、小百合と敬一、その夫の乗る船とすれ違い、互いに手を振り合うのだった。

前作に比べると、ややコメディタッチの悪乗り(彦一の父親の遺影も渥美清の写真になっているなど)が目立った。小百合とは結ばれず邦子と結ばれるというのも予定調和の展開。Wけんじが漫才師役で出てきて、ちょっとした漫才ネタで彦一にからむが、それがまた、見事なほど面白くなかった。ただ、二人のやる「馬鹿だなぁ」というネタが、ダチョウ倶楽部のギャグの元ネタであることを本作で知った。

【5段階評価】3

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2025年1月 1日 (水)

(2904) 喜劇急行列車

【監督】瀬川昌治
【出演】渥美清、佐久間良子、楠トシエ、鈴木やすし、大原麗子、石崎吉嗣
【制作】1967年、日本

特急列車の車掌の働きぶりを描いたコメディ作品。

専務車掌の青木吾一(ごいち)(渥美清)は、東京発長崎行きの特急さくらの車掌を務める。客の中には社内で騒いで酒盛りをする女性たちや新婚夫婦、スリ(三遊亭歌奴)などが乗り込んでいて大騒ぎ。乗客の中に、吾一がかつて恋心を抱いていた塚田毬子(佐久間良子)がいた。毬子は結婚していたが、夫(江原真二郎)に別れを告げる電報を打つよう吾一に頼む。長崎で毬子に出くわした吾一は、彼女と長崎の町を回り、自分の家族の話をする。
吾一は、妻のきぬ子(楠トシエ)と四人の子どもと暮らしていた。吾一の服のポケットに毬子からの手紙が入っているのを見つけたきぬ子は、吾一の浮気を怪しみ、吾一の乗車する特急富士に乗り込む。列車の中には、心臓病をかかえ、手術に臨もうとしている電車好きの少年(石崎吉嗣)がおり、吾一は、寝台で眠れずにいた少年を勇気づける。列車の中で乗客の一人(桑原幸子)が産気づき、吾一は産婆の資格を持つきぬ子に、出産の世話を頼む。無事に男の子が産まれ、吾一はきぬ子をねぎらう。きぬ子もまた、吾一の働きぶりを目の当たりにし、亭主を見直す。終点の西鹿児島駅で吾一は毬子と再会。毬子は夫とよりを戻しており、吾一ときぬ子は安心する。吾一の後輩の古川勇作(鈴木やすし)は、売り子の洋子(大原麗子)と結婚することを吾一に報告。吾一ときぬ子は祝福するのだった。

なんてことはない話をつなぎ合わせたような内容。ものすごい感動があるわけでもなく、ほのぼのとした肩肘張らない娯楽作品。日本国有鉄道の協力のもと、車掌の業務の実態が描写されており、鉄道ファンには楽しいかもしれない。

【5段階評価】3

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