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2024年11月

2024年11月30日 (土)

(2872) キングダム 運命の炎

【監督】佐藤信介
【出演】山﨑賢人、吉沢亮、清野菜名、大沢たかお、杏、佐藤浩市、山本耕史、橋本環奈、三浦貴大
【制作】2023年、日本

嬴政(えいせい)(吉沢亮)が治める秦国に、趙の軍が攻めてくる。秦国は王騎(大沢たかお)を軍議に招く。王騎は嬴政に中華を治める覚悟を問う。嬴政はかつて闇商人の紫夏(しか)(杏)の手引きで趙から秦に逃げ込んだ過去があり、追っ手の攻撃によって命を落とした紫夏に、偉大な王になることを誓っていた。王騎は大将軍を引き受け、趙軍を迎え撃つ。王騎は敵の右翼を指揮する馮忌(ふうき)(片岡愛之助)の首を取るため、信(しん)(山﨑賢人)率いる百人隊、飛信隊を差し向ける。飛信隊は31人を失いながらも、敵陣深く攻め込み、信が馮忌の首を取る。趙軍の趙荘(山本耕史)は軍を引くことを決断する。その夜、勝利を喜ぶ飛信隊の前に武神、龐煖(ほうけん)(吉川晃司)が現れる。信や羌瘣(きょうかい)(清野菜名)が挑みかかるが全く歯が立たない。龐煖こそが趙軍の総大将であり、王騎の因縁の敵なのだった。

敵を攻める戦略、戦術に重点を置いた内容。主人公の無敵アビリティが存分に発揮されるご都合主義な展開ではあるわけだが、それなりに見応えがあった。嬴政を秦に送り届けた末に紫夏が命を落とすシーンも、なんだか胸が熱くなり、俳優の演技力や演出のうまさを感じた。とにかく俳優が豪華な作品だ。

【5段階評価】4

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2024年11月29日 (金)

(2871) 岸辺露伴 ルーヴルへ行く

【監督】渡辺一貴(かずたか)
【出演】高橋一生、木村文乃、飯豊まりえ、長尾謙杜(けんと)、美波、安藤政信
【制作】2023年、日本

荒木飛呂彦の同名漫画の実写映画化作品。黒い絵の謎を追ってルーブル美術館を訪ねた漫画家の体験を描いている。

漫画家の岸辺露伴(高橋一生)は、取材のため、編集社の泉京香(飯豊まりえ)とともに美術品のオークションに参加。モリス・ルグランの「Noire(ノアール)」という真っ黒な絵を、黒ずくめの二人組と競り合った末、破格の150万円で競り落とす。露伴は絵を家に持ち帰るが、黒ずくめの男に絵を盗まれる。露伴が追いかけると、絵は道ばたに放置されていた。裏の紙が破られており、絵の裏には「これはルーブルで見た黒、後悔」と書かれていた。絵を取り戻した露伴は、次の取材先をルーブル美術館に決める。
若い頃の露伴(長尾謙杜)は、祖母の猷(ゆう)(白石加代子)の家に下宿していた奈々瀬(木村文乃)から、この世で最も黒い絵について聞いたことがあった。出迎えた美術館職員のエマ野口(美波)は、キュレーターで鑑定家の辰巳隆之介(安藤政信)を露伴に紹介。彼らは、山村仁左右衛門が書いた黒い絵があるという記録のあるZ-13倉庫に向かう。そこにはフェルメールの未公開の絵画があった。辰巳は贋作だ、と警備を担当する消防士に処分させようとするが、露伴は、それを制止すると、辰巳とルグラン、美術館の管理をしている消防士がぐるになって、ルグランの描いた贋作をオリジナルと偽って保管センターに送り、オリジナルを自分の絵の裏に隠してオークションで安く売りさばいていたのだと見抜く。すると、突然、消防士やエマ、辰巳らが幻覚に襲われたように混乱した行動を取り始める。倉庫には山村仁左右衛門の絵が置かれていた。山村の絵は、見た者の後悔や罪の意識を呼び起こし、現実化する能力があったのだ。露伴は、京香にエマを倉庫から助け出すよう指示。倉庫には斧を持った仁左右衛門が現れ、露伴に襲いかかるが、仁左右衛門の背後から奈々瀬が現れ、仁左右衛門を食い止める。露伴は特殊能力「ヘブンズ・ドア」を使って脱出に成功。倉庫の絵は焼け落ちる。
日本に戻った露伴は、奈々瀬に再会する。奈々瀬は、250年前を生きた仁左右衛門の妻だった。究極の黒を求めていた仁左右衛門は、奈々瀬が見つけた御神木の漆黒の樹液を集めるが、神木を穢した罪で奉行所に捕らえられてしまい、止めに入った奈々瀬が奉行所の役人に殴り倒され、怒り狂った仁左右衛門が斧で役人を殺し、その後、できあがったのが仁左右衛門の黒い絵だったのだ。露伴は奈々瀬と別れると、彼女への思いを胸に、漫画制作を続けるのだった。

勝手に岸田露伴を幸田露伴と勘違いし、歴史ドラマなのかと思ったら、全然違うどころか、漫画「ジョジョの奇妙な冒険」のスピンオフだった。物語はちょっとした推理もの仕立てになっていて、現実を超越した話ながらも筋が通っていた。おどろおどろしい話ではあるが、終始明るい泉京香が作品に花を添えていた。

【5段階評価】3

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2024年11月28日 (木)

(2870) 吾輩は猫である!

【監督】傘木望(のぞむ)
【出演】武田梨奈、黒田百音(もね)、津田寛治、芋生悠(いもうはるか)、松林慎司、大塩ゴウ
【制作】2021年、日本

一匹のオッドアイの白猫を巡って繰り広げられる攻防を描いたアクションサスペンス作品。複数の登場人物の視点で一つの物語を紡ぎ上げる面白い手法を採っている。

間宮美那(武田梨奈)が刑務所から出所すると、出迎えたアンナ(芋生悠)が美那にいきなり殴りかかる。迎えに来たカツオ(久保田康祐(こうすけ))が止めに入るが、記憶を失っている美那には何のことか分からない。美那はアンナとともに組織のもとに連れ戻される。組織「Stay JAPAN」のボス、トウドウ(松林慎司)は、美那にオンラインでの格闘技の試合出場を命じる。そこに、行方(津田寛治)という男が連れてこられる。組織の一人(篠田諒)が負債者の笹原(片山享)からカタとして預かってきたオッドアイの白猫も一緒だった。トウドウは猫の首を切り落として負債者を脅しに行けと命じる。すると突然、笹原の娘、すず(黒田百音)が部屋に現れ、逃走する。すずはカタに取られた猫の飼い主で、GPSを使って猫を追い、取り戻しに来たのだった。トウドウは行方に猫を殺せと命じ、それができない行方に暴行を加えるが、行方はトウドウに反撃して猫を連れて逃げる。スケートボードとパルクールの得意なすずは、猫を連れ去った行方を追いかける。
アンナは美那を更衣室に連れて行くと、暴行したことを謝罪。アンナは、自分と美那は恋仲で、組織の金を持ち逃げする計画を立てていた、と説明する。訳の分からない美那だったが、アンナに求められるまま、金庫の金を奪って逃走。出迎えた共謀者の男二人と、四人で金を分けることになるが、アンナが興奮して叫んだため、共謀者の一人がアンナを殺してしまう。もう一人の男(大塩ゴウ)はアンナの遺体を隠すことにし、三人はいったん組織の事務所に戻る。
行方は仲間の原口から、組織が行方の工場に行くと知らされる。行方は工場に向かい、元嫁のゆかり(藤田瞳子(とうこ))を連れて逃げようとするが、そこに組織の者が現れ、行方に襲いかかる。行方に追いつき、屋上から様子を見ていたすずも加担し、行方は組織の連中を追い払うが、猫は奪われてしまう。行方はすずに、なぜ猫に名前がないのか尋ねる。すずは、母親に名前を付けてもらいたかったが、母親は猫を毛嫌いしたのだと言う。行方は、組織を追おうとするすずを押しとどめ、猫を取り戻しに組織の事務所に向かう。ゆかりは、なぜ行方が猫を助けようとしているかを話す。ゆかりと行方には、さくらという病弱な娘がおり、タマという白猫をかわいがっていたが、亡くなってしまったのだ。行方は、白猫にたまの面影を見たのだろう。
事務所では、トウドウが猫を殺せと部下に命じるが、美那は猫を連れて逃げ出す。そこに行方が現れ、美那は行方に猫を託し、組織の者を倒す。行方も組織の者に追われて腹を刺されてしまい、建物の屋上に逃げ込んで倒れてしまう。そこに、猫を取り戻しに来たすずが現れる。すずが倒れた行方に駆け寄ると、トウドウが現れる。トウドウは行方の腹に刺さったナイフを抜いて行方に突き刺し、すずに襲いかかるが、行方は起き上がってトウドウにつかみかかり、トウドウを屋上から突き落とすと、そのまま息絶える。すずは、名前のなかった猫に、行方の亡くなった娘の名前、「さくら」と名付けるのだった。

序盤は滑舌の悪い安っぽい芝居で、映像の編集も今ひとつなので、これは駄作かなあ、MONDO TVだしなあ、と思って観ていたが、登場人物ごとに章を分けた構成で、次第に面白くなっていった。一人称視点のパルクールの映像や、空手経験のある武田梨奈と芋生悠のアクションは本格的だった。ただ、残念ながら低予算映画っぽい編集は、最後まで今ひとつのままだった。

【5段階評価】3

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2024年11月27日 (水)

(2869) 仕掛人・藤枝梅安2

【監督】河毛俊作
【出演】豊川悦司、片岡愛之助、佐藤浩市、椎名桔平、菅野美穂、一ノ瀬颯
【制作】2023年、日本

鍼医者を表の稼業とする仕掛人の活躍を描いた時代劇。池波正太郎の小説が原作。「仕掛人・藤枝梅安」(2023)の続編。

仕掛人の藤枝梅安(豊川悦司)と彦次郎(片岡愛之助)は、上方の旅の途中で一人の侍(椎名桔平)を見かける。彦次郎は、その侍は、彦次郎の妻おひろ(高橋真悠)を強姦し、自殺に追いやった極悪非道の男だと説明する。違和感を覚えた梅安は、梅安の師匠(小林薫)の墓参りをしているその侍に話しかける。侍の名は峯山又十郎と言い、彼には双子の弟、井坂惣一(椎名桔平、二役)がいた。おひろを襲ったのは惣一の方だった。惣一は5人のならず者を連れて商人の店を襲っては女と金を奪うという悪行三昧を続けていた。惣一から無心を繰り返されていた又十郎は、蔓(仕掛人に仕掛けを依頼する役割の人物)の一人、白子屋(しろこや)菊右衛門(石橋蓮司)に、惣一の仕掛けを依頼。白子屋は安い依頼額に渋い顔をしながらもそれを承る。梅安はかつて、白子屋から仕掛けの依頼を受けたことがあった。白子屋と又十郎が会っている様子を隣の宿から見ていた梅安は、白子屋が泊まるであろう祇園町の茶屋、菊屋に向かう。
白子屋は菊屋で、壮年の浪人、井上半十郎(佐藤浩市)と若い佐々木八蔵(一ノ瀬颯)に、惣一の仕掛けを依頼するが、あまりにも安い報酬に、半十郎は断る。立ち去る半十郎は、菊屋に向かう梅安とすれ違う。半十郎は梅安に見覚えがあった。梅安は、菊屋で白子屋に会う。白子屋は渡りに船とばかりに、惣一の仕掛けを梅安に持ちかけ、梅安はそれを引き受ける。梅安は彦次郎とともに惣一の取り巻きを次々と暗殺。梅安は惣一のねぐらの飲み水に毒を盛り、最後は建物の梁に縄を掛け、首をくくった惣一を彦次郎が吊り上げ、惣一を葬る。そこに半十郎と八蔵が現れる。半十郎は、梅安に恨みを盛っていた。梅安はかつて、半十郎の妻おるい(篠原ゆき子)に誘惑されて不倫の関係を持ったことがあった。そのことを夫に知られたおるいは、梅安と心中しようとし、それが果たせぬとなると梅安に自分を殺すよう頼み、梅安はおるいを殺したのだった。半十郎と八蔵は梅安と彦次郎に斬りかかろうとするが、そこに白子屋の手の者が現れ、梅安と彦次郎は混乱に乗じてその場を逃げることに成功する。
彦次郎の復讐を遂げた二人は江戸に戻る。半十郎と八蔵が命を狙いに来ると確信した梅安は、死を覚悟しながら、半十郎と八蔵を待ち受ける。屋根裏には彦次郎が隠れ、機をうかがう。その夜、半十郎と八蔵が梅安のねぐらに忍び込んでくる。彦次郎は毒の吹き矢を半十郎に放ち、半十郎の左目に毒矢が刺さる。梅安は八蔵に黒い布をかぶせ、鍼で八蔵を殺害。半十郎は毒に苦しみながらも梅安に斬りかかるが、彦次郎は二の矢を半十郎の首に放つ。半十郎の刃はふすまにひっかかり、半十郎は毒が回って絶命する。半十郎とともに死ぬことを覚悟した梅安だったが、生き延びるのだった。

重厚な人間ドラマと、派手すぎない仕掛人の腕捌きが見応えのある作品だった。前作では、次回予告みたいな興ざめのエピローグがエンドロール後にあったが、本作では「鬼平犯科帳 血闘」(2024)の長谷川平蔵(松本幸四郎)が登場。「また宣伝か」なのだった。

【5段階評価】4

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2024年11月26日 (火)

(2868) 仕掛人・藤枝梅安

【監督】河毛俊作
【出演】豊川悦司、片岡愛之助、天海祐希、菅野美穂、早乙女太一、高畑淳子、板尾創路、柳葉敏郎、田山涼成
【制作】2023年、日本

鍼医者を表の稼業とする仕掛人の活躍を描いた時代劇。池波正太郎の小説が原作。次作は「仕掛人・藤枝梅安2」(2023)。

鍼医者の藤枝梅安(豊川悦司)は、暗殺を請け負う仕掛人を裏稼業としていた。暗殺の依頼人を「起こり」、起こりから依頼を受ける者を「蔓(つる)」、蔓が殺害を依頼する者を「仕掛人」と言った。仕掛け人は、起こりが誰かを詮索しないのが暗黙の掟だった。梅安は、蔓の一人、嘉兵衛(柳葉敏郎)から、薬研堀にある大きな料理屋「万七」の女将、おみの(天海祐希)の仕掛けを依頼される。おみのは料理屋の主人、善四郎(田山涼成)の後妻(のちぞえ)で、前妻のおしず(小牧芽美)は死んでおり、それは梅安の仕掛けによるものだった。
梅安は万七に客として出向き、女中のおもん(菅野美穂)に金を渡して情報を得る。女将がおみのになってから、万七は料理の質が下がり、若い女中を雇って売春まがいのことをする店に変わってしまっていた。おみのの挨拶を受けた梅安は、おみのの顔を見て驚く(それがなぜかは後で分かる)。梅安の友で同業者の彦次郎(片岡愛之助)は、蔓の田中屋久兵衛(大鷹明良)から、大工の万作(六角精児)の殺害を依頼される。万作は、おみのに言い寄って自分を万七の主人にするよう脅迫していた。彦次郎は毒を塗った吹き矢で万作を暗殺する。
万作は元盗賊で、彦次郎は、自分も15年前に盗賊をしており、万作は当時の仲間だったこと、盗賊の頭、孫八(趙珉和(ちょうたみやす))が気に入らず、殺害して金を奪ったこと、孫八にはお吉(おきち)(凛美)という娘がおり、それがおみのであることを梅安に明かす。おみのは梅安の実の妹だった。梅安が若い頃、母親(天海祐希、二役)は梅安を捨て、お吉(田中乃愛(のあ))を連れて孫八と駆け落ちしていた。梅安がおみのの顔を見て驚いたのは、おみのが母親の生き写しだったからだった。
急病人を看てほしいと依頼され、常在寺に向かった梅安は、激しい暴行の跡のある少女、お千枝(井上小百合)を手当てする。梅安は、道中、彼の後を付ける浪人(早乙女太一)の気配を感じる。梅安は以前、彼が複数の侍を見事な剣術で切り捨てているのを目撃していた。梅安は、自分を尾行する浪人を巻き、逆に彼の後を付けて浪人の住み家を探し当てる。浪人は梅安を中に招き、ことの経緯を梅安に説明する。
彦次郎は、田中屋久兵衛から、石川友五郎という浪人の仕掛けを依頼される。それは梅安の後を付けていた浪人だった。久兵衛は、友五郎が悪人だと彦次郎に説明していたが、そうではなかった。田中屋に友五郎の仕掛けを依頼したのは、旗本の嶋田大学(板尾創路)であり、友五郎はその家来だった。嶋田は女中はおろか、家来の母子にまで手を出す下劣な男。お千枝は嶋田に手込めにされ、見かねた友五郎が、幽閉されたお千枝を連れて逃げ、嶋田は友五郎を殺そうと仕掛人を送り込んでいたのだ。梅安から事情を聞いた彦次郎は、田中屋久兵衛への怒りを露わにし、裏切りを決意する。
梅安は、よこしまな仕掛けを彦次郎に依頼した久兵衛を料理屋万七で暗殺。死んだ久兵衛を発見したおみのは、起こりである嶋田に謝罪するが、嶋田はすでに、友五郎を討つ軍勢を常在寺に送り込んでいた。友五郎は軍勢を迎え撃ち、彦次郎は陰から毒塗りの吹き矢で友五郎に加担する。友五郎は死闘の末、敵を全滅させ、戦いを見守っていたお千枝を抱きしめる。
嶋田は、万七で女中を抱いた後、眠り呆けていた。梅安は寝ている嶋田を暗殺。万七の廊下でおみのと出くわす。おみのは、夫を殺してくれたら万七の主人の座を譲ってもいいと梅安を誘惑する。妹の悪人ぶりを知った梅安は、「お吉」と呼びかけ、おみのの息の根を止める。おみのは死の直前、梅安が兄だと気づくのだった。梅安は、万七を去るとき、おみのが文鳥を飼っているのを見つけて目を見張る。梅安が少年の頃、お吉と文鳥を大事に飼っていた。梅安は、おみのが悪人の一面だけではなく、幼いころの思い出を大事にしていた別の面も持っていたことを知ったのだった。
嘉兵衛から残りの報酬を受け取った梅安は、おみの殺害の「起こり」は誰なのかを尋ねる。嘉兵衛の反応を見て、起こりはおみのの夫、善四郎だと確信した梅安は、妹への弔いとして、善四郎を暗殺。雪の降る大晦日をともに過ごした梅安と彦次郎は、友五郎とお千枝を匿うため、京都に向かう旅に出る。お伊勢参りの道中、彦次郎は、自分の妻と子どもを殺した人物(椎名桔平)を見つけ、彼を追うのだった。

必殺仕事人シリーズは、総じてお約束ごとの暗殺を繰り返す茶番劇が多かったので、本作もあまり期待せずに観たのだが、殺害の依頼者「起こり」が誰かを巡る推理ドラマのようなコクもあって、重厚なドラマによる佳作だった。兄が実の妹の息の根を止めるという悲哀は、「その男、凶暴につき」(1989)と共通していた。
見応えのある良作だったが、エンドロール後のエピローグが妙に長く、「次回、彦次郎、宿敵を討つ! お楽しみに!!」みたいな商業主義はさすがに下品で興ざめ。エピローグは、次作の宣伝ではなく、映画の余韻を高めることに使ってほしいものだ。

【5段階評価】4

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2024年11月25日 (月)

(2867) タイガー 伝説のスパイ

【監督】カビール・カーン
【出演】サルマーン・カーン、カトリーナ・カイフ、ランビール・ショウリー、ロシャン・セス、ギリーシュ・カルナード
【制作】2012年、インド

インドとパキスタンのスパイの恋の逃避行を描いたアクション映画。次作は「タイガー 甦る伝説のスパイ」(2017)。

インドのスパイ、タイガー(サルマーン・カーン)は、アイルランドのダブリンに赴き、情報の横流しの疑いのあるキドワイ教授(ロシャン・セス)の監視任務に就く。タイガーは、キドワイ教授宅の家事手伝いのゾヤ(カトリーナ・カイフ)と出会い、恋が芽生える。ところが、ゾヤはインドの敵国パキスタンのスパイだった。タイガーはゾヤにインドに寝返るよう説得するが、ゾヤは断る。タイガーはゾヤを殺さず、逃がす。
イスタンブールでゾヤに再会したタイガーは、組織を抜けて二人で逃亡することを持ちかける。インドのスパイ組織RAW、パキスタンのスパイ組織ISIの双方が二人を追うが、二人は神出鬼没の逃亡生活を続ける。両国の組織は初めて協力して捜査活動を行う。それは両国の融和を願うタイガーの思惑通りなのだった。

よくできた(面白い、というだけの意味ではなく、丁寧で凝った作りの)インド映画としては、有名な「ムトゥ 踊るマハラジャ」(1995)が印象にあるが、本作も素晴らしい作品だった。アクションシーンは建物の構造を生かしたパルクールが多用されており、銃撃戦が派手なだけのアクションとは一線を画している。世界を股に掛けた展開も豪華。物語も二転三転しながら進むので、主人公二人が互いを裏切ることなくハッピーエンドに向かう爽快さゆえの単純さに陥らない工夫が見られる。上のあらすじはかなり端折って書いているが、スパイとして自分の身分を偽りながら任務を続け、恋愛も許されないことへの葛藤も丁寧に描かれていた。アクション映画では派手さを狙いすぎて現実味が薄れてしらけてしまうこともあるが、カーアクションや、セスナでの逃走など、ぎりぎり現実的で見ていて楽しい。欠点が特に見当たらない作品だった。次作も楽しみだ。インド映画によくある集団のダンスシーンが何度か出るところは、好みが分かれるかもしれない。

【5段階評価】5

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2024年11月24日 (日)

(2866) 映画かいけつゾロリ ラララ♪スターたんじょう

【監督】緒方隆秀
【出演】山寺宏一(声)、生田絵梨花(声)、愛河里花子(声)、くまいもとこ(声)、梶裕貴(声)、吉野貴宏(声)
【制作】2022年、日本

原ゆたかの児童文学「かいけつゾロリ」が原作の劇場アニメ。スターを夢見る少女のオーディション挑戦と、応援する仲間たちを描いている。

路上ミュージシャンをしているヒポポ(生田絵梨花)は、自分の大きな口にコンプレックスがあり、自信を持てずにいた。ゾロリ(山寺宏一)の子分のイシシ(愛河里花子)とノシシ(くまいもとこ)の即興ラップを見て感激したヒポポは、一ヶ月後に行われる新人スターオーディションに、ユニットを組んで出てくれないかと、ゾロリたちに声をかける。ゾロリはヒポポが大声で歌えないことに気づき、ユニットを諦めるが、そこに妖怪学校の一団が現れたとき、驚いたヒポポは、思わず大きな悲鳴を上げる。それを聞いたゾロリは、ヒポポが大きな声が出せることを知り、妖怪学校のみんなに協力してもらって、ヒポポを特訓することにする。ゾロリはさらに、新曲でオーディションに挑むようにという厳しいお題を出す。ヒポポは見事にそれに答え、新曲を完成させる。
オーディション当日。直前にギターの弦が切れるというハプニングがありながらも、クモ女(武隈史子)が弦を張り直し、ヒポポは妖怪たちをバックにオーディションのステージに立つ。妖怪たちとイシシ、ノシシの悪乗りと暴走によってステージは台無しになるが、審査員長のチュンくん(うえだゆうじ)はヒポポの歌に可能性を見出す。2ヶ月後、ヒポポは「レディ・カバ」としてデビューを果たす。ヒポポはステージでゾロリへの感謝の曲を歌うのだった。

子ども向けのハッピーエンドの話ではあるが、途中でトラブルが起き続け、ヒポポの気持ちが沈んだりする場面もけっこうあった。歌を扱った作品は、だいたい感動的になるが、本作は歌詞がベタすぎるのか、そうでもなかった。霜降り明星の粗品が妖怪がしゃどくろ役、せいやが妖怪雷じじい役で出演している。

【5段階評価】2

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2024年11月23日 (土)

(2865) ビッグ・フィッシュ

【監督】ティム・バートン
【出演】ビリー・クラダップ、アルバート・フィニー、ユアン・マクレガー、ジェシカ・ラング、アリソン・ローマン
【制作】2003年、アメリカ

父親と、彼のほら話を信じない息子との心の絆を描いた作品。退屈な序盤を乗り切ると、クライマックスで大きな感動が押し寄せる。

ジョセフィーン(マリオン・コティヤール)と結婚したウィル・ブルーム(ビリー・クラダップ)は、結婚式での父親エドワード(アルバート・フィニー)の話が、自分が目立ちたいがための作り話であることにうんざりする。父親はウィルの幼少の頃から作り話をしており、ウィルは辟易としていたのだ。結婚式でウィルが父親を責めてから二人は疎遠になるが、エドワードが病で倒れ、ウィルは身重の妻を連れて実家に戻る。病床のエドワードは、ジョセフィーンにも得意の話を始める。ジョセフィーンは喜ぶが、ウィルは歓迎しない。ウィルは枕元で本当の話をしてくれと頼むが、エドワードは自分の話は実話だというばかり。
エドワードの家の近くに、眼帯の奥にガラスの義眼がある魔女(ヘレナ・ボナム・カーター)がいて、義眼を覗くと自分の死に様が見られるという話。スポーツも勉強も万能だった話。街に背丈が5メートルもある巨人(マシュー・マッグローリー)が現れ、エドワードが彼を説得して町を旅立つ話。旅の途中、誰も立ち入らない森を抜けた先にスペクターという町があり、そこに森に入って行方知れずになった詩人ノザー・ウィンズロー(スティーブ・ブシェミ)が住み続けていて、町の少女ジェニー(ヘイリー・アン・ネルソン)も歓迎してくれたが町を出た話。サーカス団で運命の女性(アリソン・ローマン)と出会い、彼女に会うためサーカス団で働くことにした話。サーカス団長(ダニー・デビート)に3年掛けてようやく彼女の名前がサンドラ・テンプルトンだと教えてもらって彼女に会いに行き、すでに別の男(デビッド・デンマン)と婚約していた彼女にアタックし続け、逆転でサンドラを射止めた話。結婚直後に兵役に就き、パラシュートで降下した中国で、双子の女性歌手の協力を得てサンドラのもとに戻った話。セールスマンとして活躍していた頃、銀行で詩人のノザーと偶然会い、彼が銀行強盗だと分かり、今の銀行が不況で苦しんでいる話を教えたらノザーはウォール街で大稼ぎをして、お礼に貰った1万ドルで家を買った話。ウィルはどれも信じていなかったが、実家にはエドワードの話が本当だと示す証拠品がいくつか見つかる。
ウィルは、魔女が住んでいるという家に行く。そこにはジェニー(ヘレナ・ボナム・カーター)が独りで住んでいた。彼女はスペクターでエドワードを迎え入れた少女だった。エドワードは大雨の日にスペクターに偶然迷い込み、町がすっかり廃れているのを知って、自分の伝手を頼りに町を再建。廃屋のような家に独りで住んでいたジェニーは、エドワードの献身的な支援を受け、彼に愛を感じるが、エドワードはジェニーの誘惑をかわしていた。ウィルは、エドワードが家族を大事にしていたことを知る。
エドワードの病状が悪化し、彼は病院に運ばれていた。ウィルはエドワードの枕元で看病する。エドワードは、魔女の義眼を通じて見た自分の死期の話はウィルにしていなかった。エドワードが口にした「川」ということばを頼りに、ウィルは、エドワードに代わって、エドワードの最期の話を始める。
看病をしていたウィルが朝目覚めると、エドワードはすっかり元気になっており、ウィルはエドワードを車椅子に乗せて病院を脱走。ウィルはエドワードを川に連れて行く。そこには、エドワードを知るかつての仲間が大勢集まっていて、みんな笑顔でエドワードを迎える。エドワードはウィルに抱えられながら、川の中で待っている妻サンドラ(ジェシカ・ラング)に最後の別れの挨拶をすると、川の中に横たわる。その瞬間、エドワードは大きな魚に変身して、川を泳ぎ去って行ったのだ。ウィルが話を終えると、エドワードは満足そうにそうだと言って、息を引き取る。
エドワードの葬式には、エドワードの話に登場した大勢の人達が実際にやってくる。ウィルとジョセフィーンは、エドワードの知人たちと思い出話に花を咲かせる。時が経ち、ウィルの息子もまた、エドワードのほら話を楽しそうに友だちに自慢し、ウィルもそれを肯定する。ウィルの家のプールには、エドワードの化身である大きな魚が泳いでいるのだった。

序盤は、ティム・バートン監督らしい、ファンタジーめいたシュールな展開が続き、訳が分からなくなって正直眠くなる。しかし、ここは我慢。クライマックスで、父親の話をほら話と毛嫌いしていたウィルが、父親のために自らあらん限りのほら話を語り出すシーンが圧巻。大きな感動が待っていた。ここで評価がぐっと跳ね上がった。
ジョニー・デップは出演していないが、ヘレナ・ボナム・カーターやディープ・ロイといったティム・バートン監督作品に共通する俳優が出演していた。

【5段階評価】4

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2024年11月22日 (金)

(2864) ゴジラvsコング

【監督】アダム・ウィンガード
【出演】レベッカ・ホール、カイリー・ホットル、アレクサンダー・スカルスガルド、ミリー・ボビー・ブラウン
【制作】2021年、アメリカ

巨大怪獣の戦いを描いたSF特撮アクション映画。「キングコング:髑髏島の巨神」(2017)、「ゴジラ キング・オブ・モンスターズ」(2019)の続編。次作は「ゴジラxコング 新たなる帝国」(2024)。

巨大企業エイペックス・サイバネティクス社の研究施設を突如、ゴジラが襲撃。エイペックスCEOのウォルター・シモンズ(デミアン・ビチル)は、地下空洞を研究している地質学者ネイサン・リンド(アレクサンダー・スカルスガルド)を訪ね、ゴジラを倒すために地下空洞を目指してほしいと依頼する。ネイサンは、モナークのバイオドームに収容されている巨大怪獣コングが地下空洞に案内してくれると考え、コングを監視しているアイリーン・アンドリュース博士(レベッカ・ホール)のもとを訪ねる。アイリーンはコングをドームから出すことに懸念を示しつつも、ネイサンの計画に同意。地下空洞と地表を繋ぐ洞窟があるとされる南極に向かう。途中でゴジラの襲撃に遭いながらもコングは南極に到達。アイリーンの養子で聴覚障害のあるジア(カイリー・ホットル)が手話でコングと会話し、コングを地下空間に向かわせることに成功する。コングは重力の反転した地下空洞に到達。ネイサンらを乗せた機体HEAVも、コングを追って地下空洞にたどり着く。地下空洞には未知の生物がひしめいていた。祭壇のような場所にたどり着いたコングは、ゴジラのヒレを素材にした斧を手に入れ、それを地面に穿たれた穴にはめ込み、エネルギーを充填しはじめる。同じくHEAVに乗っていたウォルターの娘マイア・シモンズ(エイザ・ゴンザレス)は、地下空間の地盤を勝手に採取し、データをエイペックスに転送する。
その頃、ゴジラが香港に上陸。ゴジラは地底に向かって熱線を吐き、地下空間に穴を穿つ。地下空間から脱走しようとしたマイアはコングにHEAVごと握りつぶされて死亡。コングは、斧を片手に穴から這い上がって香港に上陸し、ゴジラと戦い始める。ネイサン、アイリーン、ジアの乗ったHEAVも地上に到達。コングはゴジラとの死闘によって瀕死の状態になる。
エイペックスの陰謀を暴こうとしていたバーニー・ヘイズ(ブライアン・タイリー・ヘンリー)と、ゴジラの暴れる理由を探っていた少女マディソン・ラッセル(ミリー・ボビー・ブラウン)、その友人のジョシュ・バレンタイン(ジュリアン・デニソン)は、香港のエイペックス社に潜入。エイペックス社がキングギドラの神経回路を使った対ゴジラ兵器、メカゴジラを開発していることを知る。ウォルターは芹沢蓮(小栗旬)を使ってメカゴジラを起動。ところがメカゴジラは暴走し、操縦不能になってしまう。メカゴジラはコントロールルームにいたウォルターをなぎ倒し、施設を抜け出して圧倒的な力でゴジラを攻撃。ネイサンはHEAVのバッテリーを使って瀕死のコングに電気ショックを与え、コングは復活。ジアが手話でゴジラは敵ではない、とコングに伝え、コングはゴジラとともにメカゴジラと戦う。ジョシュはメカゴジラへのハッキングを試みるが失敗。しかし、コントロールパネルにバーニーの持っていた酒をかけて回路をショートさせ、メカゴジラの尾の武器を無力化する。コングとゴジラは協力してメカゴジラを破壊。ゴジラは海に帰っていく。コングは地表のバイオドームではなく地下空間に返され、そこで自由を謳歌するのだった。

敵同士で戦うゴジラとコングが、さらなる強敵メカゴジラに協力して挑み、勝利するという、王道の展開。ネイサン、アイリーン、マディソン、ウォルター、マイアといった人物の思惑がそれぞれ描かれ、一部わかりにくいところもあったが、ドラマとしても見応えがあった。ゴジラと他の怪獣が対決する作品は、展開がベタで高評価になりにくい面があったが、本作は近未来の兵器やギミックもかっこよく、特撮も模型のような安っぽさがなく、よくできていた。

【5段階評価】4

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2024年11月21日 (木)

(2863) 映画 この素晴らしい世界に祝福を! 紅伝説

【監督】金崎貴臣
【出演】福島潤(声)、高橋李依(声)、雨宮天(そら)(声)、茅野愛衣(声)、豊崎愛生(あき)(声)、渡辺明乃(あけの)(声)
【制作】2019年、日本

暁なつめのライトノベルが原作のアニメ「この素晴らしい世界に祝福を!」の劇場版。魔物に襲われた里を救う冒険者の活躍を描いている。

異世界で冒険者のパーティを組むカズマ(福島潤)、ダクネス(茅野愛衣)、めぐみん(高橋李依)、アクア(雨宮天)の4人のもとに、紅魔族のゆんゆん(豊崎愛生)が現れ、カズマの子どもが欲しいと宣言。聞くと、ゆんゆんの故郷、紅魔の里を襲う魔王を倒すのがカズマとの間に生まれた子どもだと言う。子どもの話は作り話だったと分かるが、カズマたちは紅魔の里に向かう。
紅魔の里に魔王軍のシルビア(渡辺明乃)が現れ、カズマを連れ去る。シルビアは、魔術師殺しの異名を持つ兵器の封印をカズマに解かせると、魔術師殺しと一体化し、巨大な合成獣となる。強大な力のシルビアになすすべのないカズマや里の人々だったが、カズマは、自らが犠牲となってシルビアに取り込まれ、シルビアを油断させて魔法を打ち込むという作戦を実行。カズマはシルビアとともに強力な魔法を浴びるが、アクアの魔法で幸運値を高めており、蘇生に成功する。シルビアを倒したカズマは、仲間たちとピクニックを楽しむのだった。

ゲームの世界を描いたライトノベルのアニメ。ダメ少年が美少女に囲まれて敵と戦うという、分かりやすいゲームファン、アニメファン向けの作品。全体的には他愛のない内容で、見終えるのに休憩を挟んでしまった。

【5段階評価】3

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2024年11月20日 (水)

(2862) デュエリスト/決闘者

【監督】リドリー・スコット
【出演】キース・キャラダイン、ハーベイ・カイテル、クリスティナ・レインズ、エドワード・フォックス、トム・コンティ
【制作】1977年、イギリス

19世紀を生きた二人の男の決闘を描いた歴史作品。

フランス軍のフェロー中尉(ハーベイ・カイテル)は市長の甥を決闘で負傷させ、謹慎を言い渡される。それをフェローに伝えたデュベール中尉(キース・キャラダイン)はフェローに逆恨みされ、決闘を挑まれる。デュベールはフェローの手に傷を与え、彼に医者(トム・コンティ)を差し向ける情けを見せるが、フェローはデュベールへの復讐心をたぎらせ、ことあるごとにデュベールに決闘を申し込む。時には戦場でともに敵と戦うこともあった。やがてデュベールはアデル(クリスティナ・レインズ)という女性と結婚する。結婚後もフェローはデュベールに決闘を申し込む。時が経って決闘の手段は剣から拳銃に替わり、二人は廃墟で二発ずつ相手を撃つというルールで決闘する。フェローは先制するが弾を撃ち尽くす。銃を向けるデュベールに、フェローは殺せと叫ぶが、デュベールは彼を生かし、妻の元に帰るのだった。

いわゆる騎士道精神を描いた作品だが、日本人からすると、知らない二名がよく分からない理由で決闘を続けるという話で、開始30分で「観るのやめようかな」と迷うぐらい、話に引き込まれなかった。映像は写実的だが、フランス人が英語でやりとりしている時点で作り物感丸出しだった。とは言え、一応は名匠リドリー・スコットの初監督作品ではある。

【5段階評価】2

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2024年11月19日 (火)

(2861) 危険な遊び

【監督】ジョセフ・ルーベン
【出演】イライジャ・ウッド、マコーレー・カルキン、ウェンディ・クルーソン、ダニエル・ヒュー・ケリー、クイン・カルキン
【制作】1993年、アメリカ

死をもてあそぶ少年を巡る人々の運命を描いた作品。

愛する母親を病気で失った少年マーク(イライジャ・ウッド)は、父親ジャック(デビッド・モース)の仕事の都合で、いとこのヘンリー(マコーレー・カルキン)の家に2週間滞在することになる。ヘンリーの父ウォレス(ダニエル・ヒュー・ケリー)、母スーザン(ウェンディ・クルーソン)、妹コニー(クイン・カルキン)はマークを歓迎。マークはスーザンに母親の面影を見出し、スーザンもマークに優しく接する。
ヘンリーはマークを遊びに誘い、始めは楽しむ二人だったが、ヘンリーは改造銃で犬を殺したり、大人の格好をさせた人形を道路に落とて大事故を引き起こしたりと、死を楽しむかのような行き過ぎた遊びを始める。ヘンリーの弟リチャードは風呂で溺死しており、マークはそれもヘンリーの仕業と考えるようになる。
ヘンリーがコニーを事故に見せかけて殺そうとしていると考えたマークは、ヘンリーがコニーと池にスケートに行っていると聞き、あわてて池に向かう。ヘンリーはコニーと手を繋いで猛スピードで池を滑ると、コニーを立ち入り禁止の氷の薄い部分に放り出す。すると、コニーの周囲の氷が割れ、コニーは池の中に落ちてしまう。大人の救出によりコニーは助かるが、ヘンリーがコニーを殺そうとしていると確信したマークは、自分の見たことをスーザンに話す。スーザンはマークの話を拒絶するが、気になったスーザンは、ヘンリーの秘密基地となっている小屋を調べる。すると、中からスーザンの探していた、リチャードの形見のアヒルのおもちゃが出てくる。スーザンはヘンリーを怪しむ。
スーザンはヘンリーに話があると話しかける。ヘンリーは散歩しながら話そうと言って、スーザンがよくたたずむ崖の方に歩いて行く。それを見たマークは家を飛び出してヘンリーとスーザンを追いかける。スーザンは道中でヘンリーに、リチャードを殺したのかを問う。ヘンリーはだとしたら、と問いかけ、逃げ出す。追いかけたスーザンが崖の上にたどり着くと、背後からヘンリーが現れ、スーザンを崖から突き飛ばす。スーザンは崖からずり落ちる。ヘンリーは崖の上から岩を抱え上げ、スーザンめがけて落とそうとする。そこにマークが現れてヘンリーに飛びつき、二人はつかみ合いとなる。崖を這い上がったスーザンは、落下寸前の二人を掴み上げようとする。崖っぷちで腹ばいになったスーザンの左手にはヘンリーが、右手にはマークがぶら下がった状態になり、ヘンリーはマークを掴んだ手を離して自分を助けてくれと母親に懇願する。スーザンはどちらも助けようとするが、マークが落下寸前となる。スーザンはヘンリーを掴む手を離し、両手でマークを掴む。ヘンリーは崖から落下し、絶命する。生き残ったマークだったが、もう一度機会があったらスーザンはヘンリーを助けるのか、ずっと疑問として胸に残るだろうと考えるのだった。

本作は、いつもは観ない「午後のロードショー」での放送。「ホーム・アローン」(1990)のマコーレー・カルキンが出演するというのと、「衝撃のクライマックス」という釣りに釣られて鑑賞。いわゆる「トロッコ問題」を突きつけられた母親が、自分を殺そうとした実の子を見捨てるという内容。崖の上で二人をスーザンがそれぞれの手で掴むという状況設定はご都合主義全開だったが、そこはご愛敬。子どもの残酷な狂気が露わになっていく過程を、マコーレー・カルキンが演じるのも見応えがあり、ホラー映画のような趣もある佳作だった。
内容は面白かったのだが、ただ、やはり午後のロードショー。崖の上でスーザンとマークが抱き合うところで「このあとは」という番組宣伝テロップがでかでかと登場。それやられると、この後は何も起きないんだな、ってわかっちゃうじゃない。ホント勘弁してほしい。
ちなみに、エバンス家の三人兄弟ヘンリー、リチャード、コニーを演じたマコーレー・カルキン、ロリー・カルキン、クイン・カルキンは、実の兄弟。

【5段階評価】4

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2024年11月18日 (月)

(2860) アーヤと魔女

【監督】宮崎吾朗
【出演】平澤宏々路(声)、寺島しのぶ(声)、豊川悦司(声)、濱田岳(声)、シェリナ・ムナフ(声)
【制作】2020年、日本

魔女の家で暮らす少女の生きるさまを描いた、スタジオジブリ初の3DCGアニメ作品。

赤い髪の魔女(シェリナ・ムナフ)が、12人の魔女を振り切ったら迎えに来るという書き置きを残し、赤ん坊の女の子を孤児院に置いていく。園長(木村有里)は女の子にアーヤ・ツールと名付け、アーヤは元気に育つ。やがて魔女のベラ・ヤーガ(寺島しのぶ)と魔法使いのマンドレーク(豊川悦司)がアーヤを引き取る。アーヤは仲良しのカスタード(齋藤優聖)と離れることを悲しみつつ、孤児院を後にする。
何事にも前向きなアーヤは、ベラ・ヤーガに魔法を教えて貰おうとするが、ベラ・ヤーガはアーヤをこき使うばかり。アーヤは人の言葉を話す黒猫トーマス(濱田岳)を味方に付け、魔法を使ってベラ・ヤーガを困らせる。怒ったベラ・ヤーガはアーヤにミミズの罰を与えようとするが、アーヤはそのミミズを壁の穴から追い出し、ミミズはマンドレークの部屋に入っていく。怒ったマンドレークはベラ・ヤーガを懲らしめ、ベラ・ヤーガはアーヤに魔法を教えるようになる。アーヤはベラ・ヤーガとマンドレークとうまく暮らすようになり、やがて、母親がカスタードを連れてアーヤに会いに来るのだった。

アーヤの母親は何から逃げていたのか、ベラ・ヤーガがなんでマンドレークに叱られるのか、マンドレークは何がしたい人なのか、なんだかよく分からないまま、唐突に終わる。何が言いたいのかよく分からない作品だった。ジブリ作品ということで、いつ面白くなるんだろうと思いながら観るのだが、最後まで盛り上がりに欠けた。3DCGによる世界観はリアルで楽しいが、観る側も目が肥えてしまっているので、驚きはない。想像を超えるような魔法の世界の映像とは言えず、視覚面の魅力も乏しかった。

【5段階評価】2

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2024年11月17日 (日)

(2859) アラジン

【監督】ガイ・リッチー
【出演】メナ・マスード、ナオミ・スコット、ウィル・スミス、マーワン・ケンザリ、ナビド・ネガーバン
【制作】2019年、アメリカ

盗賊の青年と王女の恋の行方を描いた作品。ディズニーアニメ「アラジン」のリメイク。

盗賊の青年アラジン(メナ・マスード)は、お忍びで街に出ていたアグラバーの王女、ジャスミン(ナオミ・スコット)と出会い、お互い好意を持つ。大臣のジャファー(マーワン・ケンザリ)は、国王サルタン(ナビド・ネガーバン)の方針に反し、他国との交戦を狙っていた。ジャスミンは自らが王となって国民の平和を守ろうと考えていたが、アグラバーでは女性は王になれず、王女は他国の王子と結婚するという決まりがあった。アラジンは王宮に忍び込み、飼っている猿のアブーが盗んでしまったジャスミンの腕輪をジャスミンに返す。ジャファーは忍び込んだアラジンを捕らえ、王女を手に入れたいなら、洞窟に眠る魔法のランプを取ってこいと命じる。アラジンは洞窟の中で空飛ぶ絨毯と魔法のランプを手に入れる。ジャファーは隙を突いてランプを横取りしようとするが失敗する。
アラジンによって魔法のランプから出た魔人ジーニー(ウィル・スミス)は、3つの願いを叶えるとアラジンに告げる。ジャスミンが王子としか結婚できないと知ったアラジンは、自分を王子にするよう願い、アラジンは架空の国アバブワの王子アリに扮してサルタンとジャスミンの前に現れる。ジャファーはアリを王宮から追い出そうとするが、アラジンは逆に、ジャファーが悪巧みを働いているとサルタンに進言。サルタンはアラジン扮するアリ王子に感謝するが、アラジンは自分が実は盗賊であることが言い出せなくなってしまう。
ジャファーは牢に収監されるが、ペットのインコ、イアーゴ(アラン・テュディック)の協力により脱出。盗賊あがりのジャファーはアラジンのランプを盗み、ジーニーを呼び出してアグラバーの王に就く願いを叶えさせると、2つめの願いにより最強の魔法使いになる。アラジンは極寒の地の果てへ飛ばされるが、魔法の絨毯により王宮に戻ると、ジャファーに向かって、どんなに願いを叶えてもジーニーを超えることはできない、お前は二番手どまりだ、と挑発。ジャファーは自分を宇宙最強にするよう最後の願いをかける。ジャファーは最強の魔人となるが、それはランプの中でしか生きられないという宿命を負うことでもあった。ジャファーはランプの中に吸い込まれてしまう。ジーニーはそれを地平線の彼方へ投げ飛ばす。アラジンは自分の正体をサルタンとジャスミンに明かし、謝罪すると、最後の願いとして、ジーニーに自由の身を与える。ジーニーはランプの精から普通の人間となり、ジャスミンの侍女ダリア(ナシム・ペドラド)と結婚。後に二人の子を儲ける。サルタンは王位をジャスミンに譲り、ジャスミンは王宮を去るアラジンを呼び止める。二人は結婚し、人々は二人を祝福するのだった。

勧善懲悪のおとぎ話。映像はよくできていて痛快。魔法の精ジーニーが、侍女を好きになるという本作オリジナルの設定により、ジーニーの人間味がより増していた。

【5段階評価】4

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2024年11月16日 (土)

(2858) 釣りバカ日誌14 お遍路大パニック!

【監督】朝原雄三
【出演】西田敏行、三國連太郎、浅田美代子、高島礼子、三宅裕司、谷啓、國村隼、小野武彦
【制作】2003年、日本

釣りバカ日誌シリーズ第16弾。「釣りバカ日誌13 ハマちゃん危機一髪!」(2002)の続編。次作は「釣りバカ日誌15 ハマちゃんに明日はない!?」(2004)。

鈴木建設で長く営業三課長を務めていた佐々木和男(谷啓)が次長に昇格。新課長にエリートコースを行く岩田千吉(三宅裕司)が着任する。岩田は、営業三課の問題社員、ハマちゃんこと浜崎伝助(西田敏行)の素性を知ろうと飲みに連れて行く。岩田は、かつて恋心を抱いたみち子(浅田美代子)がハマちゃんの妻となっていることを知り、驚く。
鈴木建設の社長、スーさんこと鈴木一之助(三國連太郎)は、釣りの師匠であるハマちゃんの家で、お遍路の旅に出たいと話し、ハマちゃんを誘う。お遍路には興味のないハマちゃんだったが、土佐での釣り目当てに無理矢理休みを取ってスーさんに同行。二人は高知でトラックドライバーをしている勝ち気な女性、中浜みさき(高島礼子)と知り合う。みさきは夫と離婚しており、引きこもりがちな一人息子、良介(金井史更(しこう))の育て方を悩んでいた。ハマちゃんは、テレビゲームばかりしているという良介を釣りに誘い、良介は釣りを楽しむ。みさきはハマちゃんに感謝する。みさきは上京の折にハマちゃんの職場を訪ねるが、ハマちゃんは出張で不在。ハマちゃんは電話越しにみさきの相手を岩田に頼む。岩田は仕事をそっちのけにしてみさきの相手をする。みさきにすっかり惚れ込んだ岩田は高知に出向いてみさきにプロポーズ。みさきは岩田の強引なプロポーズを受け入れる。エリートコースにいた岩田だったが、鈴木建設を退職して高知でみさきと暮らすことになり、スーさんは岩田の寿退社を喜ぶ。ハマちゃんは岩田とみさきの話を八こと太田八郎(中本賢)にしてやるのだった。

高知のタクシー運転手役で間寛平、お遍路を巡る元経営者役で笑福亭仁鶴がゲスト出演。よゐこの濱口優、有野晋哉や、松村邦洋もちょい役で出演していた。

【5段階評価】3

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2024年11月15日 (金)

(2857) 釣りバカ日誌13 ハマちゃん危機一髪!

【監督】本木克英
【出演】西田敏行、三國連太郎、鈴木京香、丹波哲郎、浅田美代子、中本賢、小澤征悦、杉浦直樹
【制作】2002年、日本

釣りバカ日誌シリーズ第15弾。「釣りバカ日誌12 史上最大の有給休暇」(2001)の続編。次作は「釣りバカ日誌14 お遍路大パニック!」(2003)。

鈴木建設社長のスーさんこと鈴木一之助(三國連太郎)のもとに、設計部の美女社員、桐山桂(かつら)(鈴木京香)が直訴に来る。富山の黒部天狗堂の会長、黒部五郎(丹波哲郎)が出してきたデザイン画通りの建築物を設計するよう指示されたが、それを断りたいというのだ。デザイン画はひどいできで、営業を担当したハマちゃんこと浜崎伝助(西田敏行)は、スーさんの指示で、桂とともに富山に出張に行くことになる。ハマちゃんと桂は、押し出しの強い黒部会長に面会。桂は会長のデザイン画を撤回し、自分の設計案で行かせてほしいと提案。会長はそれを飲む。桂の強い意志に感心した会長は、自分のどら息子の嫁に来てほしいと考え、ハマちゃんに縁談をまとめるよう強引に指示する。一方の桂は、富山で彫刻家の鮎川透(小澤征悦)と出会い、好意を持つ。
ハマちゃんは黒部会長の息子との見合いの話を桂にしようとするが言い出せず、逆に黒部天狗堂の浅利部長(岡本信人)が催促のためスーさんのもとに乗り込んでくる。スーさんとハマちゃん、桂は、黒部会長のもとに向かい、縁談を断ることにする。すっかり乗り気の黒部会長を前に、ハマちゃんが話を切り出せずにいると、そこに会長の息子、海彦(パパイヤ鈴木)が現れる。ところが海彦はすでに結婚して子どもまでいた。知らされていなかった会長は息子に激怒するが、孫ができたことにご満悦。桂の縁談の話は無事に撤回される。桂は透と付き合うことになり、ハマちゃんとスーさんは富山湾でマダイ釣りに興じるのだった。

前作で家族ができた八こと太田八郎(中本賢)はあっさり本作では離婚していた。前作からタイトルに長い副題が付くようになったが、史上最大だの危機一髪だの、大仰な言葉の割に大した話ではなく、娯楽作品に目くじらを立てることはないものの、なんだか品がなくなってきたようにも感じるのだった。

【5段階評価】3

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2024年11月14日 (木)

(2856) 釣りバカ日誌12 史上最大の有給休暇

【監督】本木克英
【出演】西田敏行、三國連太郎、浅田美代子、宮沢りえ、青島幸男、吉岡秀隆、中本賢、中村梅雀
【制作】2001年、日本

釣りバカ日誌シリーズ第14弾。「釣りバカ日誌イレブン」(2000)の続編。次作は「釣りバカ日誌13 ハマちゃん危機一髪!」(2002)。

スーさんこと鈴木一之助(三國連太郎)が社長を務める鈴木建設から、常務の高野研一郎(青島幸男)が退職。故郷の萩で晴耕雨読ならぬ晴釣雨読の生活を送ると言う。鈴木建設フィッシングクラブの会長でもあった高野を、副会長のハマちゃん(西田敏行)は盛大に見送る。
山口への出張が決まったスーさんは、ハマちゃんを誘い、ハマちゃんは無理矢理休みを取って萩に行く。スーさんとハマちゃんは高野の家に向かうが、高野は入院しており、高野の姪の木戸梢(宮沢りえ)の導きで二人は高野を見舞う。ハマちゃんとスーさんは日本海で釣った魚で入院中の高野に料理を振る舞うが、高野には悪性の腫瘍があり、命を落としてしまう。ハマちゃんとスーさんは葬式に出席。梢はスーさんの弔辞に涙する。梢は高野を担当した医師、上野普(吉岡秀隆)と付き合うようになり、結婚の相談を始めるのだった。

ハマちゃんの近所の八こと太田八郎(中本賢)が外国人のパトリシア(アルベリータ・フルタ)と結婚。その子、小百合(高橋成子)も鯉太郎(菅原隆一)の友だちとして登場人物に加わり、シリーズの人物の相関関係に変化が出ていた。

【5段階評価】3

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2024年11月13日 (水)

(2855) 釣りバカ日誌イレブン

【監督】本木克英
【出演】西田敏行、三國連太郎、浅田美代子、桜井幸子、村田雄浩、余貴美子、中本賢、中村梅雀、柴俊夫
【制作】2000年、日本

釣りバカ日誌シリーズ第13弾。「花のお江戸の釣りバカ日誌」(1998)の続作。次作は「釣りバカ日誌12 史上最大の有給休暇」(2001)。

鈴木建設のダメ社員、ハマちゃんこと浜崎伝助(西田敏行)は、同じ営業三課の女性社員、磯村志乃(桜井幸子)から、飼っているウサギの引き取り手を探していると相談を受け、釣りの弟子の一人、資材部の宇佐美吾郎(村田雄浩)を紹介。宇佐美はいそいそとウサギを引き取る。後日営業三課を訪れた宇佐美は、実家でウサギを食べたと報告。それを聞いた志乃はショックで気を失う。宇佐美はそれを機に沖縄への転勤を希望し、沖縄勤務となる。宇佐美は沖縄の小型漁船「サバニ」を手に入れ、それを知ったハマちゃんはうらやましがる。
鈴木建設の社長、スーさんこと鈴木一之助(三國連太郎)は風力発電の視察で沖縄に行くことになり、ハマちゃんがお供することになる。スーさんは会社の経営危機で大胆なリストラを実施するかどうかの決断を迫られており、沖縄でのトローリングにも気乗りしない。スーさんの利用したタクシーの運転手、知念玉恵(余貴美子)がタクシー会社の社長だったことから、スーさんは経営者として親近感を感じ、社員を大事にしていると話す玉恵に共感する。会社に戻ったスーさんは、リストラは実施しないと会議で宣言。出席者から拍手を受ける。
一方のハマちゃんはスーさんのおとももそこそこに、宇佐美のサバニで釣りを楽しむが、エンジントラブルと悪天候で遭難してしまう。通りがかった船が二人を救助し、ハマちゃんはスーさんに四日遅れて帰京する。ハマちゃんが職場に戻ると、志乃が宇佐美と婚約し、退職することを報告。営業三課のみんなで志乃を祝福する。ハマちゃんは宇佐美を看病するため無断欠勤しており、そのかどで懲罰委員会にかけられるが、処分は保留となる。ハマちゃんが釣りをしているとお祭り(別の人と釣り糸がからまること)になり、その相手はスーさん。お祭りになった二人の釣り糸の先には立派な魚がかかっているのだった。

本作は、ハマちゃんとスーさんがあまり仲よくしておらず、スーさんが鈴木建設の経営再建という重めの課題に悩んでいることもあって、全体のトーンがやや暗めだった。そんな中で素朴な吾郎と清楚な志乃との婚約が、作品の清涼剤となっていた。

【5段階評価】3

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2024年11月12日 (火)

(2854) 花のお江戸の釣りバカ日誌

【監督】栗山富夫
【出演】西田敏行、三國連太郎、黒木瞳、酒井法子、中村梅雀、山田純大
【制作】1998年、日本

釣りバカ日誌シリーズ第12弾。時代劇になった特別編。「釣りバカ日誌10」(1998)の続作。次作は「釣りバカ日誌イレブン」(2000)。

釣り好きの素浪人、浜崎伝助(西田敏行)は釣りがきっかけで庄内藩の江戸家老、鈴木一之助(三國連太郎)と出会う。伝助は夜目が効き、家老を襲おうとしている二人組をめざとく見つけ、釣り竿で追い払う。伝助は庄内藩の士官募集に参加し、採用される。伝助は仕事はまるでできないが、なぜか仲間から慕われ、一之助の娘の小浪(こなみ)(黒木瞳)も伝助を慕うようになる。
一之助は国家老の計略により蟄居を申し渡され、一之助は庄内に戻ることにする。一之助は夜目の効く伝助をお供にし、付き人の数馬(山田純大)、小浪とともに庄内に行く。藩主(市川團十郎)は不明を詫び、一之助は改めて江戸家老を務めることになり、江戸に戻る。一之助は伝助に五十石の褒美を取らせようとするが、伝助は自分にその資格はないと断る。一之助に欲しいものは何もないのかと問われた伝助は、小浪殿を嫁にしたいとおずおずと申し出る。そこに現れた小浪は伝助の求婚を喜び、二人は晴れて夫婦となる。二人は子宝に恵まれ、時は移り、ハマちゃんとスーさんは今日も二人で釣りに興じるのだった。

双子の茉奈・佳奈姉妹や、ダチョウ倶楽部、大木こだまひびきなどがゲスト出演。レギュラーシリーズの重役たちも家臣役で登場。にぎやかな作品になっていた。伝助の妻、みち子に相当する役はおらず、妹のお美津(酒井法子)が同居している設定になっていた。

【5段階評価】3

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2024年11月11日 (月)

(2853) 釣りバカ日誌10

【監督】栗山富夫
【出演】西田敏行、三國連太郎、金子賢、宝生舞、浅田美代子、中村梅雀、夏八木勲
【制作】1998年、日本

釣りバカ日誌シリーズ第11弾。「釣りバカ日誌9」(1997)の続編。次作は「花のお江戸の釣りバカ日誌」(1998)。

鈴木建設の社長、スーさんこと鈴木一之助(三國連太郎)は、重役陣との意見の食い違いを機に、社長を辞すると宣言。釣り三昧の生活に入ろうとするが、スーさんの師匠である鈴木建設の平社員ハマちゃん(西田敏行)は、定年後も再就職して働かざるを得ないサラリーマンの苦難を説き、スーさんは求人募集を見てビルメンテナンス会社に再就職する。スーさんの指導係になったのは、ミュージシャン志望の青年、富田松五郎(金子賢)。彼もスーさん同様、ハマちゃんの釣りの弟子で、恋人の岩下みどり(宝生舞)と同棲生活をしていた。
スーさんのビルメンテナンスの職場が、鈴木建設になり、スーさんはマスクとサングラスで正体を隠そうとするが、会社にばれてしまい、社長職に復帰することになる。みどりは松五郎の子どもを身ごもるが、結婚の意志の見えない松五郎にしびれを切らし、実家の北九州に帰ってしまう。北九州への出張が決まっていたハマちゃんは、みどりに会いに行くよう松五郎を説得。みどりの父親、耕作(夏八木勲)に一度は追い返されたものの、無事に結納にこぎ着ける。スーさんとハマちゃんは北九州の海で釣りを楽しむのだった。

若い男女の恋と、スーさんの辞任劇を掛け合わせた展開。秘書室長の草森役が、角野卓造から中村梅雀に交代していた。結納式の余興で、高木ブーがゲスト出演。原作者のやまさき十三と北見けんいちも出演者のクレジットに登場していた。

【5段階評価】3

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2024年11月10日 (日)

(2852) 釣りバカ日誌9

【監督】栗山富夫
【出演】西田敏行、三國連太郎、浅田美代子、小林稔侍、風吹ジュン、西谷卓統
【制作】1997年、日本

釣りバカ日誌シリーズ第10弾。「釣りバカ日誌8」(1996)の続編。次作は「釣りバカ日誌10」(1998)。

鈴木建設の営業部長(三谷昇)が退職。後任にハマちゃん(西田敏行)の同期の馬場(小林稔侍)が就く。馬場はシングルファーザーで、引きこもりがちな息子の誠(西谷卓統)の扱いに悩んでいた。馬場の営業を、釣りつながりの人脈で支援したハマちゃんは、そのお礼にと、馬場の行きつけのスナックに誘われる。馬場はスナックのママ、庄野茜(風吹ジュン)に惚れていた。ハマちゃんは馬場の恋を応援するが、茜は店をたたんで鹿児島の川内に帰ることになり、馬場は茜を一度は諦める。ところが、鈴木建設社長のスーさんこと鈴木一之助(三國連太郎)とハマちゃんとともに社用で川内に向かった馬場は、偶然茜と再会。馬場は会社を辞めて茜と結婚する決意をする。馬場の息子、誠も鹿児島行きを承諾。スーさんとハマちゃんは誠に釣りの手ほどきをし、誠もそれを喜ぶのだった。

ハマちゃんの同期の男の再婚を巡るお話。川内の漁師役として、田尾安志がちょい役で出演していた。

【5段階評価】3

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2024年11月 9日 (土)

(2851) 釣りバカ日誌8

【監督】栗山富夫
【出演】西田敏行、三國連太郎、室井滋、柄本明、谷啓、西山由海、ビートきよし、竜雷太、小野寺昭
【制作】1996年、日本

釣りバカ日誌7シリーズ第9弾。「釣りバカ日誌7」(1994)の続編。次作は「釣りバカ日誌9」(1997)。

鈴木建設の社長、スーさんこと鈴木一之助(三國連太郎)は、秘書の榊真理(西山由海)の実家に、旧友の三回忌で線香を上げに行く。そこに真理の姉で内科医の和美(室井滋)が現れ、スーさんに大腸疾患の気配を感じて強引に検査を決める。和美はスーさんの大腸に見つかったポリープを切除し、スーさんはそのお礼にと、和美を釣りに誘う。釣りには、スーさんの釣りの師匠、ハマちゃん(西田敏行)と、その友人の博士、湯川省平(柄本明)が同行。和美は省平が気になり、スーさんを通じて後日デート。二人はゴールインする。
福島県のいわきで行われた結婚式に出席したスーさんとハマちゃんは、そのまま山奥の渓流釣りに向かうが、スーさんが足を滑らせてしまい、悪天候も重なって山を下りられなくなってしまう。山小屋で一夜を明かした二人は、捜索隊が出ていることを知り、二人でいることがバレないよう、スーさんだけが救助されるが、会社から救助に来ていた佐々木課長がハマちゃんを発見。仕事をさぼって釣りをしていたことにより、ハマちゃんは懲罰委員会にかけられる。そこに、鈴木建設が800万ドルの城を寄付したベルギーの町の町長が訪問。町長が釣り好きであることを知ったスーさんは、町長の相手をハマちゃんに依頼。スーさんとハマちゃんは、ベルギーの町長が持っていたタナゴ釣り用の道具をきっかけに、二人でタナゴ釣りを楽しむのだった。

女医と変わり者の宇宙学者との恋、スーさんとハマちゃんの遭難の二つの話題が展開。どちらもおおごとにはならず、ほのぼのとした内容だった。

【5段階評価】3

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2024年11月 8日 (金)

(2850) 釣りバカ日誌7

【監督】栗山富夫
【出演】西田敏行、三國連太郎、浅田美代子、名取裕子、寺尾聰、山岡久乃、竜雷太
【制作】1994年、日本

釣りバカ日誌シリーズ第8弾。「釣りバカ日誌スペシャル」(1994)の続編。次作は「釣りバカ日誌8」(1996)。

福井県の東尋坊で、スーさん(三國連太郎)とハマちゃん(西田敏行)が釣りを楽しんでいるところに、美しい女性、田上彩子(名取裕子)が現れる。彩子はスーさんに釣りを教わり、意気投合するが、名前も名乗らないまま帰っていく。彩子は、教え子と浮気した夫(寺尾聰)と離婚しており、福井に住む夫に娘を会わせに来ていた。
東京に戻り、歯痛で通りがかりの歯医者に駆け込んだスーさんは、歯科医の彩子と偶然の再会。彩子は再会を喜び、スーさんは次の土曜に彩子と釣りの約束をする。スーさんは、ハマちゃんからも釣りの誘いを受けるが、その日は香港出張だと嘘をつき、彩子と二人で釣りに出かける。ところが向かいの船にハマちゃんが乗っており、スーさんの嘘がばれてしまう。ハマちゃんはスーさんの裏切りに腹を立て、酔った勢いでスーさんに絶交を宣言する。
宣言はしたものの、スーさんという無二の親友を失ったハマちゃんはすっかり意気消沈。社長宛にファックスで辞表を提出し、社長室にいるスーさんの前で、自分は友人を失って抜け殻のようになってしまったと話す。スーさんはファックスで改めてハマちゃんに詫びを入れ、ハマちゃんとスーさんは仲直り。二人は夜のメバル釣りに彩子を誘い、盛り上がる。
彩子は夫とよりを戻すことにし、スーさんにそれを報告。彩子が福井に行ってしまうことに寂しさを覚えつつも、スーさんは彩子を見送る。ハマちゃんの家では彩子の門出を祝う宴会が開かれ、ハマちゃんとスーさんはまた仲よく釣りに興じるのだった。

離婚した夫婦の復縁と、スーさんとハマちゃんの絶交と仲直りという二つの話題が進行。みち子役が石田えりから浅田美代子に代わった。ちょい役として、福井の漁師役で中野浩一、彩子の患者役で羽賀研二、宴会のギター役で松崎しげるが出演していた。

【5段階評価】3

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2024年11月 7日 (木)

(2849) 釣りバカ日誌スペシャル

【監督】森﨑東
【出演】西田敏行、三國連太郎、石田えり、谷啓、富田靖子、加勢大周、田中邦衛
【制作】1994年、日本

釣りバカ日誌シリーズ第7作。「釣りバカ日誌6」(1993)の続編。次作は「釣りバカ日誌7」(1994)。

鈴木建設のダメ社員、ハマちゃんこと浜崎伝助(西田敏行)の上司である佐々木和男(谷啓)の娘、志野(富田靖子)が、大物宝石商、山内(やまのうち)昭男(西村晃)の息子、健吾(加勢大周)に見初められる。鈴木建設の社長、スーさんこと鈴木一之助(三國連太郎)は、友人の山内から相談を受け、佐々木課長を山内に紹介。健吾と志野は見合いの形で初デートする。志野の幼なじみで酒屋に勤める武(大森嘉之)は、志野が見合いをしたと知り、志野を追って健吾とのデートの現場に現れ、自分は志野が好きだが諦めると言って、ブルーハーツの「ラブレター」の入ったプレーヤーを志野に渡して立ち去る。志野は健吾に「ごめんなさい」と謝り、健吾の元を去って武のもとに向かう。縁談は破談となる。
伝助が小諸に出張中、スーさんは、愚痴を聞いて貰おうとハマちゃんの家を訪ねる。ハマちゃんの妻のみち子(石田えり)は、スーさんを招き入れるが、酔っていたスーさんはそのまま寝てしまう。翌朝、スーさんは帰り際、みち子に、ハマちゃんに余計な誤解を与えないよう、泊まったことは内緒にしようと告げる。ところが出張から帰ってきたハマちゃんは、近所の自転車屋の田宮辰夫(田中邦衛)から、スーさんが今朝ハマちゃんの家から帰って行ったと告げ口。ハマちゃんはみち子が浮気をしたと勘違い。みち子は騙そうとしたことを謝罪しつつも、祖父の米寿祝いで出雲の実家に向かう。みち子に「ハマちゃんが許してくれるまで実家にいる」と言われ、ハマちゃんはショックで仕事が手に付かなくなり、社長室のスーさんに辞表を提出。スーさんはみち子を迎えに行くようハマちゃんに告げる。出雲に向かったハマちゃんはみち子と仲直り。追ってきたスーさんとともに隠岐の島沖でマダイ釣りに勤しむのだった。

佐々木課長の娘の恋と、みち子の浮気疑惑の二つの話が進行。どろどろしない分かりやすい内容だった。

【5段階評価】3

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2024年11月 6日 (水)

(2848) ノー・セインツ 報復の果て

【監督】アルフォンソ・ピネダ・ウロア
【出演】ホセ・マリア・ヤスピク、シャニン・ソサモン、ニール・マクドノー、ロン・パールマン、ティム・ロス
【制作】2022年、アメリカ、メキシコ

さらわれた息子を取り返すために奮闘する暗殺者を描いたバイオレンスアクション作品。

拷問師の異名を持つ暗殺者、ネト・ニエンテ(ホセ・マリア・ヤスピク)が刑務所を出所。ネトは愛する息子フリオ(ケイドリッヒ・セラティ)に会いに行く。フリオは父親のネトが大好きだったが、妻のナディア(パス・ベガ)には新しい男ビンセント(ニール・マクドノー)がおり、ネトは追い返される。ビンセントは裏稼業に手を染める悪人だった。ビンセントはナディアを殺してフリオを誘拐し、メキシコに逃走。ネトはストリップバーで働くイネズ(シャニン・ソサモン)を金で雇い、妻の役をさせてメキシコ入りする。
ネトはイネズの協力を得てビンセントを捕らえ、非情な拷問を加えてフリオの居場所を突き止める。フリオは少年趣味のあるサンズ(ロン・パールマン)のもとに送り込まれていた。ネトはサンズのアジトに侵入するが、サンズの手下に捕まる。サンズはフリオを井戸の上に逆さ吊りにしてネトを待ち構えていた。ネトに娘を殺された恨みを持つサンズは、ネトの自由を奪った状態で、逆さ吊りにしたフリオを井戸に沈める。ネトは自分を取り押さえているサンズの手下を倒し、自分に突き立てられたナイフを投げつけてサンズを倒すが、井戸に沈められたフリオはすでにこの世を去っていた。ネトはフリオの亡骸を抱きかかえ、サンズのアジトを立ち去る。イネズを連れて息子の墓参りを終えたネトは、フリオの誘拐に関わった者への復讐を始めるのだった。

知らないタイトル。知らない俳優。ムービープラスの無料放送。正直、あまり期待せずに観始めたのだが、映画らしい渋さのある見応えたっぷりの作品だった。主演のホセ・マリア・ヤスピクは、日本ではほとんど知名度がないと思うが、ダミ声の渋い声、作中でも腕立て伏せを何度もしている鍛えられた肉体。世の中にはまだまだこういう俳優がいるんだなあと感激。子どもを救えず死なせてしまうというバッドエンドには賛否両論あるだろうが、「どうせ主人公の子どもだし助かるんでしょ」みたいな作品がぶっちゃけ多い中では、こういうのもありだろう。無料放送の中では大当たりの作品だった。

【5段階評価】4

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2024年11月 5日 (火)

(2847) ザ・レイク

【監督】リー・トーンカム
【出演】ティラパット・サジャクン、スシャー・マーナイン、タナチャット・トゥンヤチャット
【制作】2022年、タイ、オーストラリア

巨大な怪獣に襲われる人々を描いたモンスターパニック作品。

タイの湖から、巨大な怪獣が出現。リン(スシャー・マーナイン)の娘メイ(ウィラワン・チャットボリラック)は巨大な卵を見つけ、家に持ち帰るが、リンが捨ててこいと反対し、メイは卵を持って外に出たまま行方不明になる。リンは弟のケン(タナチャット・トゥンヤチャット)とメイを探しに出る。水辺で子供のサンダルを見つけたケンが怪獣に襲われる。肩に深い裂傷ができたケンは病院に運ばれ、縫合処置を受けるが意識を失う。
ジェームス警部(ティラパット・サジャクン)は指揮官(ビタヤ・パンスリンガム)から怪獣を追う任務を命じられる。その直後、ジェームスは娘のパム(スパンサ・ウェドカマ)の学校から呼び出され、停学処分になったパムを車に乗せたまま、事件を追うことになる。目を覚ましたケンは怪獣と意識が同化し、怪獣の位置が分かるようになる。指揮官らはケンを頼りに怪獣を捕らえることに成功する。
一方のジェームスは、卵とともにメイを発見。メイと卵を車に乗せるが、そこに巨大な怪獣が現れる。怪獣は卵を取り返そうとしていた。車に乗っていたパムは怪獣に襲われ、命を落とす。巨大怪獣は、指揮官に捕らえられた怪獣(巨大海獣の子供)を取り戻すため、町を襲う。ケンは捕らえられた怪獣を乗せた車を運転して町から離れ、人々を守る。
5年後。ジェームスはパムを殺した怪獣への復讐の念をたぎらせ、鍵を握るメイを追い続けていた。ジェームスは、メイが怪獣と触れ合っているところを目にする。ジェームスはメイの前に現れ、怪獣を呼び出せ、と詰め寄る。そこに怪獣が現れ、ジェームスを襲う。メイは怪獣に帰るよう命じるが、ジェームスは爆弾を使って怪獣を倒そうとする。そこに巨大怪獣が現れ、メイは倒された怪獣を庇う。ジェームスは怪獣への復讐を諦め、メイの指さす山に向かう。メイは学校の洗面所で嘔吐する。嘔吐したのはうごめく水生生物だった。山の中の洞窟を探索したジェームスは、仏像と壁画を見つける。壁画は、人類と怪獣が古くから関わりを持っていることを示していた。ジェームスの背後に、巨大怪獣が現れるのだった。

タイ映画を本ブログで扱うのはおそらく初めて。怪獣の映像は文句なしのできばえ。巨大な怪獣が車の窓越しに動いたり、子供を守るために自らが怪獣の注意を引こうとする様子は、「ジュラシック・パーク」(1993)を彷彿とさせるというか、ほぼそのまんま。卵や子供を守ろうとするという設定も、「ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク」(1997)と同じ。街に巨大な怪獣が現れるという設定は「グエムル 漢口のの怪物」(2006)にも似ていた。現代の巨大怪獣を描くと、これが標準形ということかもしれない。
一方で、本作は怪獣がなかなか人を襲わない。また、物語がなんだか文学的で、モンスターパニック映画の分かりやすい興奮を感じるには、中だるみ感がすごかった。怪獣が迫っているのに、パニックにならずに淡々と人々が歩いていたり、怪獣の卵が動いていて巨大怪獣に迫られているのになんだか落ち着いて興味なさそうなメイだったり、作り方次第で面白くも退屈にもなるんだから、映画作りというのは、絶妙なバランスが必要なんだと改めて感じた。

【5段階評価】3

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2024年11月 4日 (月)

(2846) Le Grand Bain (Home Swim Home)

【監督】バレリー・ルロワ
【出演】バレリー・ルロワ、ジェメル・バレク、ピエール・ゼニ
【制作】2016年、フランス

アパートの自室で水泳教室をすることになった女性のお話。16分の短編映画。

離婚して旧姓に戻したミア・マレ(バレリー・ルロワ)は、アパートで一人暮らしを始める。管理人のレネ(ジェメル・バレク)は彼女が大学の水泳選手権のトロフィーを捨てようとしているのを見て、泳ぎを学びたかったと話す。マレは自室で水泳を教えることにする。翌日、レネは下の階に住むパオロ(ピエール・ゼニ)を連れてくる。マレは二人に息継ぎのしかたを教え、次第に生徒が増えていく。ある日、役所からオリビエ(オリビエ・ルイダベット)がやってくる。マレは体育館で教室を開くことになり、ミアの母親(ベアトリス・クレメント)も参加するのだった。

狭い部屋で水着姿のご老人が大勢エア水泳をするというシュールな話。体臭がすごそう、とか余計なことが気になった。特にオチらしいオチもなく、ほのぼのとした作品だった。

【5段階評価】2

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2024年11月 3日 (日)

(2845) ワイルド・スピード/スーパーコンボ

【監督】デビッド・リーチ
【出演】ドウェイン・ジョンソン、ジェイソン・ステイサム、バネッサ・カービー、イドリス・エルバ、ヘレン・ミレン
【制作】2019年、アメリカ

人類を滅亡させるウィルスを巡る戦いを描いたアクション作品。「ワイルド・スピード」シリーズのスピン・オフ。

MI6の女性隊員ハッティ・ショウ(バネッサ・カービー)は、仲間とともにテロ組織エティオンが開発したウィルス「スノーフレーク」を確保。そこに人体改造を施したブリクストン(イドリス・エルバ)が現れ、超人的な力でMI6の隊員を倒す。ハッティは咄嗟に自らの体内にウィルスを取り込み、逃走する。ブリクストンはハッティがMI6を裏切り仲間を殺してウィルスを奪い去ったように情報操作する。
娘のサマンサ(エリアナ・スア)と暮らすルーク・ホブス(ドウェイン・ジョンソン)は、ロック(ライアン・レイノルズ)からハッティの確保を依頼され、引き受ける。ルークは、犬猿の仲のデッカード・ショウ(ジェイソン・ステイサム)と組むことになる。ルークはハッティを発見し、確保。合流したデッカードは、ハッティは自分の妹だと明かす。そこにブリクストンが二人の手下を連れてビルの窓を破って乱入し、ハッティを奪い去る。ルークとデッカードはブリクストンを追ってハッティを奪い返し、可変型バイクで追ってくるブリクストンから何とか逃げ切る。
3人はエティオンの施設に侵入してウィルスを体内から取り出す装置を入手するが、脱出の際の衝撃で装置は壊れてしまう。ルークは、故郷のサモアに向かい、兄のジョナ(クリフ・カーティス)に装置の修理を依頼。サモアの仲間とともにブリクストンの襲撃に備える。ルークとデッカードは、現れたブリクストンの部隊からウィルス除去中のハッティを守りつつ、ブリクストンと死闘を繰り広げ、ハッティのウィルス除去に成功。ブリクストンを用なしと見なしたエティオンはブリクストンの廃棄処理を決定。ブリクストンの体内の回路は切られ、ブリクストンは断崖から海に落下する。ルークはサマンサをサモアに連れて行き、自分の母親(ロリ・ペレニス・ツイサーノ)に会わせる。ルークには新たな依頼がロックから舞い込むのだった。

近代的な兵器や自動車、自動操縦のバイクなど、楽しくかっこいいギミックがたくさん登場。アクション映画としてよくできていた。作中、ジェイソン・ステイサムが出演している「ミニミニ大作戦」(2003)のネタが出たり、ゲーム・オブ・スローンズの話が出たりしていた。

【5段階評価】4

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2024年11月 2日 (土)

(2844) デス・ウィッシュ

【監督】イーライ・ロス
【出演】ブルース・ウィリス、カミラ・モローネ、ビンセント・ドノフリオ、エリザベス・シュー、ディーン・ノリス
【制作】2018年、アメリカ

妻を強盗に殺された医師が犯罪者に復讐を遂げるさまを描いたアクションサスペンス映画。「狼よさらば」(1974)のリメイク。

シカゴで救急医療に携わる外科医、ポール・カージー(ブルース・ウィリス)は、大学進学が決まったばかりの娘ジョーダン(カミラ・モローネ)と、愛する妻ルーシー(エリザベス・シュー)と幸せに暮らしていた。ある日、ポールの不在中にカージー家に三人組の強盗が入り、妻は殺され、娘は昏睡状態となる。復讐心をたぎらせるポールは、担ぎ込まれた犯罪者の持っていた銃を盗み、フードを被ってスラム街を歩き、カージャックを働いていた犯罪者を撃ち殺す。その様子を撮影した目撃者がSNSに動画をアップし、彼は死神とあだ名され、町の噂になる。ポールは、病院に運ばれてきた重傷の犯罪者が、以前会った車の運転係ミゲール(ルイス・オリバ)であることに気づく。ポールは、ミゲールが盗まれたポールの腕時計をつけているのに気づく。ポールは彼の携帯を見つけ、遺体の指紋を使って携帯にアクセス。ポールの家の住所の写真が収められていたことから、ポールは、ミゲルが犯罪に加担していたことを確信する。ミゲルの携帯から、盗品を売りさばく店を探し当てたポールは、店主(イアン・マシューズ)を銃で脅して盗品を奪い返すと、店主からの連絡でやってきた強盗の一人フィッシュ(ジャック・ケシー)を撃ち、共犯者ジョーの名前と居場所を聞き出すと、反撃してきたフィッシュを撃ち殺す。ポールはジョー(ロニー・ジーン・ブレビンズ)の働く自動車整備工場に向かい、注射と薬液でジョーを拷問し、もう一人の共犯者ノックスの名を聞き出すと、ジャッキアップした車をジョーに落下させて殺害する。
ポールの携帯にノックスの方から連絡が入り、クラブハウスに来るよう言われる。ポールとノックス(ボー・ナップ)はクラブハウスのトイレで撃ち合いになるが、互いに致命傷は与えられず、ポールは逃走。ノックスは被害者として病院に運ばれる。ポールの家族を襲った強盗を追っていたレインズ刑事(ディーン・ノリス)は、死神と噂される男がポールだと気づく。ポールの弟フランク(ビンセント・ドノフリオ)は、捜査の手がポールに及んでいることを知り、ポールの家を訪ねる。家の中は荒れ、半地下の部屋には銃弾や銃を整備した痕跡があった。フランクはポールが死神であることを確信し、帰宅したポールを問い詰める。そこに、昏睡状態だった娘が意識を取り戻したと病院から連絡が入る。
ジョーダンは退院することになり、ポールはジョーダンを車椅子に乗せてエレベータに乗る。すると、ノックスがエレベータに駆け込んでくる。クラブハウスで撃ち合った二人だったが、互いに気づいたそぶりを見せず、ノックスは車椅子に乗ったジョーダンに優しい言葉を掛ける。去り際、ノックスは「またな、カージー先生」と告げる。ポールは、彼が復讐に来ることを悟る。
ポールは自動小銃を正規購入。自宅での退院祝いを終え、フランクが車で帰ったあと、ポールは家に賊が侵入したことに気づく。ポールはジョーダンを階段下の物置に隠れさせると、侵入してきた賊の二人を射殺。ノックスは半地下の部屋で待ち構えていたが、ポールは買ったばかりの自動小銃で反撃し、ノックスを葬る。レインズはポールの行為を正当防衛と認め、今後は医師として人命を救うように告げると、ポールへの疑いを呑み込み、カージー家を立ち去る。シカゴの犯罪発生率は減少傾向になり、ポールは町で悪さをする少年に、指鉄砲で撃つまねをするのだった。

銃による過剰防衛や復讐による犯罪者殺害を美化するような内容で、シリアスだが重厚な人間ドラマというよりは安っぽいアクション映画の部類。賛否は分かれるだろうが、これも映画だ。変に悪人を殺さずにおいたりせず、ずばっととどめを刺す勧善懲悪の分かりやすい作品。

【5段階評価】3

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2024年11月 1日 (金)

(2843) デイナの恐竜図鑑

【監督】J・J・ジョンソン
【出演】ミケーラ・ルーチ、サーラ・チャウドリー、エバン・ウィッテン、リッチー・ローレンス
【制作】2020年、カナダ

恐竜を見ることができる能力を持つ少年少女たちの冒険を描いた作品。

恐竜好きの少女デイナ(ミケーラ・ルーチ)は、恐竜を現実に見ることができる能力を授かる恐竜図鑑を持っていた。デイナの血の繋がっていない姉サーラは、父親(アーミッシュ・パテル)と義母(ニコラ・コレイア=ダミュード)とデイナのいる今の家で暮らすか、父親と離婚した実の母親の元で暮らすかを悩んでおり、迷った末、実の母親と暮らすことに決める。デイナの近所に、恐竜好きの少年マテオ(エバン・ウィッテン)と兄のハディエル(リッチー・ローレンス)の一家が引っ越してくる。マテオとハディエルは実の兄弟ではなく、二人の関係はぎくしゃくしていた。デイナはハディエルとマテオを恐竜の謎を追う冒険に誘い、マテオはティラノサウルスのママと仲よくなる。マテオはティラノサウルスの赤ちゃんを家に連れ帰り、それをサーラも目にする。4人はティラノサウルスの赤ちゃんを母親の元に返すが、今度はデイナがケツァルコアトルスにさらわれ、卵から孵ったばかりのケツァルコアトルスの赤ちゃんの餌にされそうになる。サーラとマテオ、ハディエルは協力してデイナを救出。互いに助け合ったマテオとハディエルは兄弟の絆を強める。デイナと距離を置いていたサーラも、冒険を通じて姉妹が助け合うことの大事さに気づき、デイナのいる今の家で暮らし続けることにする。四人は仲よく恐竜の冒険に繰り出すのだった。

子どもの恐竜の化石が少ないことに疑問を持ったデイナが、冒険を通じて、大きさが違い別の名前を付けられているが、実は別の成長過程にある同種の恐竜(いわば出世魚のような状態)であるという仮説にたどり着くという話を描きつつ、サーラとデイナ姉妹、ハディエルとマテオ兄弟が、信頼関係を深めるという物語になっている。恐竜の教育的要素もあり、本作はEテレでの放送。CGで描かれる恐竜は、「ジュラシック・パーク」(1993)と比べると見劣りしてしまうが、それなりのできばえだった。

【5段階評価】3

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