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2024年10月

2024年10月31日 (木)

(2842) 奇跡のリンゴ

【監督】中村義洋
【出演】阿部サダヲ、菅野美穂、山崎努、伊武雅刀、原田美枝子、池内博之、笹野高史
【制作】2013年、日本

リンゴの無農薬栽培に挑んだ農家を描いた作品。実話に基づいている。

子どもの頃から物を分解して真理を探究するのが好きだった三上秋則(阿部サダヲ)は、リンゴ農家、木村征治(山崎努)の一人娘、美栄子(菅野美穂)と結婚。婿養子に入る。美栄子は、リンゴ栽培に欠かせない農薬に過敏な体質で、それを知った秋則は、無農薬栽培に挑む。征治は秋則を応援し、美栄子も献身的に協力。三人の娘を儲けながらもリンゴ栽培は成功せず、家は貧乏暮らし。長女の雛子(畠山紬)はストレスで熱を出して倒れてしまう。秋則は自殺を決意して森に入るが、森の中で、立派に育ったクルミの木を見つける。木の根元の土の豊かさを知った秋則は、リンゴの木は単独で育つのではなく、これまで地面の雑草を刈って虫取りをしていたのは誤りだったことに気づく。秋則は雑草を刈らず、畑はジャングルのようになるが、そこにいろいろな生き物が住み着き、益虫が害虫を退治するようになる。11年目にしてようやくリンゴの木は花を付け、小さいながらも実がなる。翌年からは大きなリンゴが収穫できるようになり、秋則には無農薬のおいしいリンゴを求める客が付くようになるのだった。

苦しみながらも最後に成功が待っているという美談。ベタな美化された話だけに、俳優は芝居が臭くならないように演技する必要があり、けっこう実力を問われる。山崎努は控えめに演技しながら不自然さがなく、やはり名優だった。それに比べると、阿部サダヲや、秋則の父親役の伊武雅刀はちょっと演技に力を入れすぎだった。

【5段階評価】3

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2024年10月30日 (水)

(2841) 泥棒と殿様

【監督】津島勝
【出演】橋爪淳、火野正平、夏八木勲、佐藤綾
【制作】2000年、日本

山本周五郎の小説の映像化作品。屋敷に忍び込んだ泥棒とそこに幽閉された若殿の織りなすドラマを描いている。

ある夜、伝九郎(火野正平)は、泥棒のため屋敷に忍び込む。そこは建具ががたついた荒れた家で、中には絶食状態で床に入っている男、成信(しげのぶ)(橋爪淳)が寝ていた。伝九郎は、家の中に金はおろか食べるものすらなく、寝ている男が何も食べておらず座して死を待つのみだと知り、屋敷を去る。翌朝、屋敷の男が目覚めると、伝九郎は食事の準備をしていた。成信が飢え死にを待つだけなのを放っておけなかったのだ。成信は松平藩の大炊頭(おおいのかみ)成豊(しげとよ)の次男だったが、長男との家督争いに巻き込まれ、屋敷を追放されていた。そうとは知らない伝九郎は、成信を常識知らずのおかしな男と考え、ドジョウ取りやキノコ狩りに連れ出す。成信は伝九郎からいろいろなことを教わり、伝九郎との暮らしを楽しみ始める。伝九郎は幼いころから不遇をかこっており、妻には男ができて逃げられ、幼い息子、新吉(山本愉和)を寒い夜に衰弱死させていた。仕方なく初めて盗みに入ったのが、成信の屋敷だったのだ。
成信は、つまらない家督争いに嫌気がさし、伝九郎と二人で旅暮らしをすることにする。ところが、成信を城に呼び戻し、政(まつりごと)にかかわってほしいと願う梶田重右衛門(夏八木勲)は、家来の鮫島平馬(中川浩三)を使って伝九郎を屋敷に招き入れ、成信に城に戻ってもらいたいことを伝える。伝九郎は、成信とともに生きることに憧れながらも、成信が殿様として生きる方がよいことを認める。成信は、自炊して伝九郎に夕餉をふるまうと、伝九郎に別れを告げ、重右衛門のもとに向かうのだった。

本作はどうやら映画ではなく、教育用の映像作品だったようだ。しかし、せっかく観たので記録しておく。有名な俳優も起用されていた。原作も青空文庫で読める。原作に忠実な作品だった。

【5段階評価】3

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2024年10月29日 (火)

(2840) キングダム2 遙かなる大地へ

【監督】佐藤信介
【出演】山﨑賢人、清野菜名、吉沢亮、大沢たかお、橋本環奈、豊川悦司、小澤征悦
【制作】2022年、日本

原泰久の漫画の実写映画化作品。キングダム」(2019)の続編。次作は「キングダム 運命の炎」(2023)。

農民兵の信(しん)(山﨑賢人)は、秦の嬴政(えいせい)(吉沢亮)とともに天下を取り、大将軍となることを夢見ている。彼は秦の麃公(ひょうこう)(豊川悦司)の軍勢に加わることになる。伍(五人組)を組むことになり、あぶれ者になった信は、旧友の兄弟の尾平(岡山天音)と尾到(三浦貴大)と、無口な羌瘣(きょうかい)(清野菜名)とともに、残り者ばかりと組んでいる伍長、澤圭(たくけい)(濱津隆之)と伍を組む。信らは千人隊長の縛虎申(ばくこしん)(渋川清彦)の配下となる。特攻好きの縛虎申は、敵兵の魏軍が陣取る丘の突破を試みる作戦をとる。信は先陣を切って敵兵の中に飛び込み、奮闘するが、魏軍の戦車団の前に、善戦しつつも敗走することになる。仲間を先に逃がした信は、残った羌瘣と互いにかばい合いながら敵兵を退け、何とか逃げ切る。信は、羌瘣が姉の復讐のために戦いに身を投じていることを知る。
信と羌瘣は生き残った仲間と合流し、少数の兵で、丘の上に陣取る魏国の副将、宮元(きゅうげん)(高橋努)の陣を目指す。信たちの奮戦に勝機を見出した麃公は、全軍を突撃させる。信たちの少数兵に縛虎申たちが合流。縛虎申は矢傷でボロボロになりながらも宮元を討つと、絶命する。麃公は野生の本能の赴くまま、知略に長けた魏国の総大将、呉慶(小澤征悦)の陣営に突入。呉慶を一騎打ちの末、討ち取る。信は大将軍の存在感に打ち震える。生きて帰った信は百人将に出世。大将軍になる修行のため、王騎(大沢たかお)のもとへ赴くのだった。

蛇甘(だかん)平原の二つの丘を舞台に繰り広げられる戦いに信が初めて挑む様子が描かれている。戦闘シーンの迫力はそれなりではあるが、主人公無双アビ全開で、複数の敵キャラが一撫でで倒されていく。味方のサブキャラもアビ全開。終始腰の引けた尾平すら、足を負傷しつつもやられない。漫画かよっていう(いや原作、漫画なんですけども)。そんなことを気にして観てはいけない作品だった。前作は重要キャラだった河了貂(橋本環奈)は、都で信の帰りを待つだけの役どころだった。

【5段階評価】3

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2024年10月28日 (月)

(2839) 死亡の塔

【監督】ウー・スー・ユエン
【出演】タン・ロン、ブルース・リー、ウォン・チェン・リー、ロイ・ホラン、ロイ・チャオ、ホー・リー・ヤン
【制作】1980年、香港

父と兄の死の謎を追う弟の死闘を描いたカンフー映画。「死亡遊戯」(1978)の続編。

カンフーの達人の知人チン・クー(ウォン・チェン・リー)の死の知らせを受けたビリー・ロー(ブルース・リー、タン・ロン)は、チン・クーの養女メイがいるという日本に飛ぶ。メイがチン・クーから託されたという箱を受け取ったとき、賊に襲われる。ビリーは賊を退ける。ビリーはチン・クーの葬儀に出席するが、遺体には近づけず、棺の埋葬の時、ヘリコプターが現れ、棺を奪い去ろうとする。ビリーは棺に飛びつくが、ヘリから刀剣を放たれ、ヘリから落下して絶命する。それを知ったビリーの弟、ボビー(タン・ロン)は、チン・クーの棺が奪い去られ、兄が死んだ謎を追って日本に渡る。チン・クーに繋がる「死の宮殿」に向かったボビーは、宮殿の主、ルイス(ロイ・ホラン)に会う。ルイスは部下(ト・ワイ・ウォ)に殺されてしまう。ボビーはその部下を追い、死の宮殿を発見。中には強敵がボビーを待ち構えていた。ボビーは次々と強敵を倒し、中に進むと、死んだはずのチン・クーが現れる。彼は麻薬の密売に手を染めており、警察の目を欺くために自分が死んだことにし、棺を目に触れさせないよう奪われたように見せていた。ボビーはチン・クーと死闘を演じ、チン・クーを倒すのだった。

生前のブルース・リーの映像をつぎはぎで使った作品。物語はもはやどうでもよく、タン・ロンのカンフーアクションを楽しむ作品。ブルース・リーが日本のネオン街を歩くシーンがあるが、戦闘シーンは急にちゃちなセットに変わり、タン・ロンがビリーを演じている。そのタン・ロンが弟のボビー役も演じていて、とても紛らわしい。
とは言え、アクションシーの迫力はなかなかのできばえで、ジャッキー・チェンとはまた違う、カンフーアクションの一つの完成形だろう。ジャッキー・チェン主演の「サイクロンZ」(1988)が、死亡の塔の地下施設の赤い水など、本作の影響を受けているようにも見えた。

【5段階評価】3

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2024年10月27日 (日)

(2838) 愛2007

【監督】後藤淳平
【出演】福徳秀介、後藤淳平、山内健二、愛川ゆず季、川島邦裕、川原克己、竹若元博、木村明浩
【制作】2007年、日本

恋人を寝取られた男が相手の男と巻き起こす騒動を描いたコメディ作品。

引っ越し会社の社員、橋爪(福徳秀介)は、後輩の早瀬(山内健二)から、バイトの勝田(すぐるだ)(後藤淳平)が橋爪の恋人、愛(愛川ゆず季)とホテルに入っているところを見たという話を聞かされる。勝田は逃げ、橋爪は追いかける。勝田が橋爪から逃げ続けている間に、早瀬が愛を彼女にしてしまうのだった。

野性爆弾や天竺鼠、バッファロー吾郎などが出演。出演陣は楽しいが、内容は特に面白くもなかった。全編を通じて全員が甲高い声でしゃべるという演出になっているが、その意味も不明だった。鎌鼬(かまいたち)の山内健司が出演しているが、クレジットでは「山内健二」となっている。誤字なのか、映画用の芸名なのか。よく分からなかった。

【5段階評価】2

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2024年10月26日 (土)

(2837) Beyond

【監督】ジェレミー・ハッコーン
【出演】エイダン・フリン、マイケル・デイン、ジョリーン・ケイ
【制作】2016年、アメリカ

落石事故に遭った家族の救出劇を描いた作品。11分の短編映画。

少年レオ(エイダン・フリン)は、父親(マイケル・デイン)の運転する車で、母親(ジョリーン・ケイ)と家族3人で砂漠をドライブしていた。レオは車を運転したがるが、父親は認めない。すると突然、落石が目の前に起き、車は巨大な岩の下敷きになってしまう。父親は気を失っており、エンジンからは出火。ドアは岩が邪魔で開かず、レオは後ろの窓からなんとか抜け出すが、母親は出られない。レオは、近くにあった無人のショベルカーに乗り込み、それを運転して岩をどかし始める。岩が動いた衝撃でガソリンが漏れ出し、気づいた父親はレオに逃げろと叫ぶが、レオはショベルカーを操ってドアをふさぐ岩をどかす。父親が渾身の力でドアをこじ開け、3人は間一髪で爆発炎上を逃れる。3人は近くにあった車に乗り込み、ドライブを続ける。レオは父親の膝の上でハンドルを握り、ご機嫌なのだった。

短編映画にしては、きちんとした特撮を使った作品。コンパクトだが手に汗握る内容だった。まあ、無人のパワーショベルが置いてあって、鍵もつけっぱなしで、子どもが操縦できるというのは、できすぎな話ではあるが。

【5段階評価】3

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2024年10月25日 (金)

(2836) ガマゴリ・ネバーアイランド

【監督】天野千尋
【出演】内田流果、大谷澪、川田(ガレッジセール)、ゴリ(ガレッジセール)、間寛平、落合恭子
【制作】2012年、日本

大人になりたくない少年の不思議な体験を描いた作品。

11歳の小学生、青海竜郎(内田流果(るか))は、友だち3人と一緒に、離れ小島にある、幽霊が出ると噂の神社に行く。漁師の父親(間寛平)には、島には子どもだけで行くなと言われていた。神社に着いた4人は、神社の娘だというヒナコ(大谷澪)に出会う。4人はヒナコと一緒に遊ぶ。かくれんぼをしているとき、竜郎はヒナコに誘われ、二人で縁の下に隠れる。竜郎はそこで、父親にきつい仕事の手伝いをさせられており、大人になりたくないとこぼす。ヒナコは自分は島から出られず大人にもなれないと話し、竜郎に、二度と島に来てはいけないと言って、竜郎の手のひらに口づけをする。(そんなことをされたらまた来たくなるに決まっているんだが。)手には御朱印のような模様がついていた。
竜郎はまた神社に行こうとするが、友だちは誰も一緒に行ってくれず、しかも誰もヒナコのことを覚えていなかった。竜郎は一人で神社に行くが、ヒナコはおらず、竜郎は、以前ヒナコと隠れた縁の下に座り込む。夜になり、竜郎の家族や近所の人達が神社に竜郎を探しに来る。竜郎は耳を塞いでうずくまる。
夜が明け、竜郎が家に帰ると、父親はすっかり老人になっていた。驚いた竜郎はともやんの家に駆け込むと、そこにいた男(ゴリ)(おそらく大人になったともやん)は、「タッツン、もうそろそろ大人になりん」と話す。車のサイドミラーには、大人になった竜郎(川田)の姿があった。竜郎は大人の心になれないまま、長い間過ごしていたのだ。父親は神社にお参りをして竜郎の帰りを待っていた。目が覚めた竜郎は、漁の準備をして船を出す。離れ小島に近づくと、ヒナコが大きく手を振り、大人になった竜郎を応援するのだった。

蒲郡市を舞台にした、浦島太郎的なファンタジー作品。ホラー映画にもなりうる内容だが、怖さはない。稲葉正吉(しょうきち)蒲郡市長が地元漁師の役で出演している。

【5段階評価】3

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2024年10月24日 (木)

(2835) ローグ

【監督】M・J・バセット
【出演】ミーガン・フォックス、フィリップ・ウィンチェスター、ジェシカ・サットン、イザベル・バセット、アダム・ディーコン
【制作】2020年、アメリカ、南アフリカ、イギリス

テロリストに誘拐された知事に娘を救出する傭兵チームの死闘を描いたアクション映画。

傭兵を率いる女性リーダー、サム・オハラ(ミーガン・フォックス)は、誘拐された知事の娘アシリア・ウィルソンを救出する任務を請け負い、ザラーム(アダム・ディーコン)率いるテロリスト部隊から、知事の娘(ジェシカ・サットン)を含む三名を救出。仲間の犠牲を出しながらも、ザラームたちの執拗な追撃を振り切る。救出した女性の一人(キャリ・テイラー)は川でワニに襲われてしまい、残った一団はは無人の建物を発見し、立てこもる。そこはライオン飼育施設だったが、一頭のメスライオンが檻から逃げており、施設の人々は皆殺しにされていた。サムの仲間もメスライオンの餌食になっていく。発電機を復活させて無線が使えるようになったサムは、救援を要請。ヘリの到着する夜明けまで耐えることになる。そこに、サムらの居場所を突き止めたザラームの部隊がやってくる。サムやジョーイ(フィリップ・ウィンチェスター)は仲間を失いながらも必死に応戦。隠れてばかりいたアシリアも敵の一人を殺す。ザラームは少女テッサ(イザベル・バセット)を人質にすると、アシリアを差し出すようサムに要求。サムは、アシリアは納屋にいると言って、ザラームを納屋に連れて行く。サムとザラームが納屋に入ると、中からメスライオンが現れ、ザラームに襲いかかり、ザラームは殺される。別の場所にいたジョーイは、2匹の子ライオンを発見。子ライオンの声を聞いたメスライオンは、サムには目をくれず、子ライオンを連れて去って行く。生き残ったサム、ジョーイ、アシリア、テッサの頭上に救出ヘリが現れるのだった。

人間とライオンを同時に登場させる点が独特だが、人が次々と死んでいく安物映画の典型のような作品。ライオンはCGだが、迫力はまあまあ。なぜメスライオンが自然の中に戻らず、人の気配がして爆発炎上した場所に居続けるのか、という謎が提示され、最後に子ライオンを救うためだった、という種明かしがある点はよかった。銃撃戦もそれなりの迫力だったが、主人公アビリティ全開でサムはほぼ無傷。瀕死で歩くことすらできない状態だったジョーイも、いつの間にか復活。ご都合主義に満ちた娯楽作品だった。
なお、プロローグとして檻からライオンが逃げ出し、人々に襲いかかるシーンがあり、その後にテロリストのアジトに主人公たちが乗り込むのだが、テロリストたちも動物の牙などを扱っており、少女たちもちょうどライオンが入れられていたような檻に閉じ込められていたりするので、初見では、主人公たちの乗り込んだアジトが、ライオンの逃げ出した施設なのかと勘違いさせられた。ライオンが逃げ出した施設は、テロリストから逃げた主人公たちが立てこもる施設のほうだった。こういうちょっとしたところも雑だった。

【5段階評価】2

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2024年10月23日 (水)

(2834) 那覇 NAHA なーふぁ!

【監督】喜屋武靖
【出演】高原亜里沙、松江海音、吉田妙子、中西捷仁、ジェシー・ホワイトヘッド、崎濱祥子、川田広樹、小嶺和佳子
【制作】2014年、日本

沖縄の高校生の奮闘ぶりを描いた作品。3話のオムニバス形式になっている。

一話目は「公設市場でユイユイユイ!」。公設市場でバイトをしている女子高生の島袋夏海(高原亜梨沙)は、卒論制作のため沖縄に来た大学生の遠藤竜一(松江海音(かいと))に片思い。昔、好きな男性に告白できなかったことを後悔していた山城節子(吉田妙子)は、夏海を応援。夏海は竜一に好きだと告白。竜一はまた沖縄に帰ってくると約束して去って行く。
二話目は「あまくま那覇まちロング・ウェイ」。元映画研究部部長の高校3年生、大城隼人(中西捷仁(はやと))は、人捜しをしている外国人、ジョージ・ワタワース(ジェシー・ホワイトヘッド)を手助けする。探す相手はジョージの祖父と並んで60年前の写真に写っている女性。事情通のタクシー運転手、高良昇(空馬良樹(くうばよしき))から、沖縄の歴史を見守ってきた我那覇朝忠(ちょうちゅう)(宮里榮弘)を紹介され、二人は捜していたセリーヌを見つける。セリーヌは山城節子で、ジョージの祖父ロバートは、セリーヌが昔好きだった男性だった。
三話目は「Shall we 古武術?」。ダンス部の金城結(崎濱祥子)は、県大会の選抜メンバー発表の日を迎える。親友の西原さやか(屋比久華乃(やびくかの))は選ばれるが、結は選抜から漏れる。落ち込む結を、父親の聡明(としあき)(川田広樹)はパフェをごちそうして励ます。母親の礼子(小嶺和佳子)は、聡明が古武術を習っている道場に結を連れて行く。結は、弱音を吐かずにがんばっている聡明を見て元気をもらうのだった。

3作が少しずつ重なる、オムニバス映画らしい作品。なっちゃん役の高原亜梨沙は、井上晴美に似ていた。

【5段階評価】3

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2024年10月22日 (火)

(2833) ジブンレース

【監督】藤原一裕
【出演】藤原一裕、栗山直人、昼メシくん、ちすん、たくませいこ、井本貴史
【制作】2007年、日本

自分で作ったルールでレースをする男を描いた作品。

目覚まし時計のアラームが鳴る前に起きた男、南光寺(藤原一裕)は、「100万円もらえたこと」と叫ぶ。彼は小学生(安保泰我(あんぼたいが))の頃から何をやっても駄目だった。僧侶のくせに花札狂いで負けてばかりの父親(昼メシくん)から「自分の中で一番やったらええねん、他人と比べたらあかん」と励まされる。それから彼は、学校から家まで石ころを蹴って帰ったり、白線の上だけを歩いたり、空き缶をゴミ箱に投げ入れたり、といったルールを自分で決めては、それを達成すると「100万円もらえたこと」にするようになる。
ある日、ハンバーガーショップに入った南光寺は、店員(ちすん)にハンバーガーを注文。すると、隣に来た男(栗山直人)が自分より多い数の注文をする。南光寺は横の男より多く注文するというレースを始めるが、男は仲間の分を大量に頼みはじめ、南光寺は負けてしまう。1,000円しか持っていなかった南光寺は警察を呼ばれてしまう。警官(水野透)は白線の上だけを歩く南光寺を見て、「自分、気持ち悪いな」と言って笑い、南光寺も笑うのだった。

自転車で足を地面についたら負けとか、勝手に自分にルールを課すという小学生ネタを大の大人がやっているという設定の他愛のない作品。ハンバーガーショップ店員役のちすんが可愛いなあ、ぐらいが見所か。

【5段階評価】2

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2024年10月21日 (月)

(2832) 特攻大作戦

【監督】ロバート・アルドリッチ
【出演】リー・マービン、チャールズ・ブロンソン、ジム・ブラウン、ジョン・カサベテス、テリー・サバラス
【制作】1967年、イギリス、アメリカ

兵士として鍛え上げられた囚人たちの死闘を描いた戦争映画。

有能だが軍規違反の多いジョン・ライズマン少佐(リー・マービン)は、服役中の凶悪犯12人を率いて秘密任務を遂行するという命令を下される。刑務所に向かったライズマンは、手始めに反抗的な態度の囚人フランコ(ジョン・カサベテス)を腕力でねじ伏せ、力を見せつけると、刑罰を減免する代わりに自分の部下になるよう囚人たちを説得。囚人たちは誘いに乗る。ライズマンは囚人兵たちに兵舎を作らせ、訓練を始める。ライズマンのことを気に入らないブリード大佐(ロバート・ライアン)は、ライズマンの任務を中止に追い込もうとするが、ライズマンは鍛えた囚人たちの能力を認めさせるため、軍事演習でブリード大佐の軍勢を制圧することを宣言し、見事に成功させる。
彼らの本番の任務は、ノルマンディー上陸作戦の直前に、ドイツ将校が集う保養所を襲撃するという作戦の実行だった。ライズマンは囚人兵を率いて任務を開始。何人もの死者を出しながらも、作戦を成功させる。生き残った囚人兵は、作戦の中心的な役割を担ったウラディスロー(チャールズ・ブロンソン)だけだった。ライズマンとウラディスローは病室のベッドに並んで入院し、ウォーデン少将から、さらなる任務を期待されるのだった。

偉そうな上官をやりこめるようなコミカルな演出を織り交ぜながら話は進み、クライマックスは保養所襲撃任務は囚人兵もドイツ兵も何人も死んでいくシリアスな戦闘シーンになる。黒人兵(ジム・ブラウン)が一人いて最後に犠牲になったり、精神を病んだ兵士(テリー・サバラス)が味方に始末されたり、といった演出はあるが、大したメッセージ性や史実を伝えるドキュメンタリー性などはない、純粋な娯楽作品だった。

【5段階評価】3

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2024年10月20日 (日)

(2831) 歴史の時間

【監督】ふるいちやすし
【出演】遠藤かおる、二宮芽生、西野友唯、森奏恵
【制作】2016年、日本

新たに着任した歴史の教師と女子生徒のやりとりを描いた作品。

飯能市の飯能北高校に、新たに歴史教師の岡田タケシ(遠藤かおる)が着任。授業開始早々、岡田が平安時代の歴史を教えようとすると、生徒の一人、カワイ奈緒(二宮芽生)が、ソノダユウリ(西野友唯)と教卓の前にやってきて新聞を叩き付け、昨日から遡って歴史を教えてくれ、と要求し、岡田は困惑する。奈緒は歴史が嫌いかと思ったらそうではなく、むしろ歴史研究部の部長をしており、ユウリは副部長。奈緒は自分の歴史が残らないことが不満で、山に穴を掘ってそこに埋まって一万年後に発掘され、歴史に残りたいという考えを話す。
歴史の授業を奈緒とユウリが揃って欠席し、岡田は二人が気になり、授業を自習に切り替えて、奈緒が穴を掘っていると岡田に示した場所を尋ね当てる。そこには、掘った穴に落ちて足を骨折した奈緒と、そのそばで泣いているユウリを発見。岡田は奈緒を救出。私って何、と泣きながら尋ねる奈緒に、岡田は、僕にも僕が何かなんて分からない、と答える。
岡田は歴史の授業に再び臨むと、教科書の2,000ページ、とありもしないページを指定し、生徒とともに、自分たちが歴史を作るんだと叫ぶのだった。

奈緒が歴史の先生を3人もやめさせているという、ホラー映画のような設定が出てくるが、大した種明かしもなく終わる。吉本興業の、地元映画を作るプロジェクトの一環で作られた30分ほどの小品。無名の俳優が多いが、ハイキングウォーキングが二人で出演していた。

【5段階評価】2

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2024年10月19日 (土)

(2830) SPOTLIGHT

【監督】浜崎綾
【出演】渡辺直美、君嶋麻耶、木村祐一、小林星蘭、百田夏菜子、柏木由紀
【制作】2012年、日本

ダンサーを夢見る太った女性の姿を描いた作品。

キャバレー「夢のしずく」で雑用係のバイトをしている鴨下蘭(渡辺直美)は、ダンサーを夢見ていたが、練習に身が入らず、太り気味。ある日、楽屋に少女(小林星蘭)が勝手に入り込み、蘭にちょっかいを出し始める。子ども特有の遠慮なしの発言に、蘭はむかつきながらも、少女と仲よくなる。店長(木村祐一)はダンサー追加のオーディションをすることにし、蘭も手を挙げるが、毎回オーディションに落ちている蘭に、店長は今度落ちたら首だと通告する。そんなとき、店に男性スタッフとして大塚稔(君嶋麻耶)が新たに採用される。稔は蘭が高校時代に振ったことのある同級生だった。蘭は高校時代、ダンスができてスタイルもよかったためモテモテで、将来は東京でダンサーになる夢を持っており、夢のない稔を振ったのだ。蘭が太って激変したせいか、稔が蘭に気づいた様子はなく、蘭も自分の正体を明かさず、オーディションに挑む。稔や少女の応援もあり、蘭は精一杯ダンスを披露するが、オーディションには落選。店を出ることが決まる。稔は蘭が同級生だったことに気づいており、蘭が前より魅力があると蘭を励ます。店を出る日、店長は少女の正体を明かす。少女は昭和25年頃に、ダンサー志望の母親の心中により、この世を去った、いわば幽霊だった。以来、少女に気に入られたダンサー志望者は成功するというのだ。店長は、蘭は例外か、と言いつつも、蘭の肩を叩いて激励する。蘭は将来の自分への期待に胸を膨らませるのだった。

フレンチ・キスの柏木由紀、高城(たかじょう)亜樹、倉持明日香や、ももいろクローバーZの百田夏菜子、玉井詩織、有安杏果(ありやすももか)らが出演。話は単純だが、出演者はそれなりに豪華だった。少女役の小林星蘭の演技力がずば抜けているのが素人目にもわかった。

【5段階評価】3

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2024年10月18日 (金)

(2829) マネー・ピット

【監督】リチャード・ベンジャミン
【出演】トム・ハンクス、シェリー・ロング、アレクサンダー・ゴドノフ
【制作】1986年、アメリカ

おんぼろの邸宅を買った二人の騒動を描いたコメディ。

世界で活躍する指揮者マックス(アレクサンダー・ゴドノフ)と離婚したバイオリニスト、アンナ(シェリー・ロング)は、弁護士のウォルター・フィールディング(トム・ハンクス)と交際中。マックスの海外赴任中にマックスの家で同棲していた二人だったが、マックスが帰国したため、新たな家を探すことにし、ウォルターは知人の不動産屋(ジョシュ・モステル)に相談。彼から100万ドルする大邸宅が20万ドルで手に入ると知らされ、下見の上、購入する。ところがその家は想像以上におんぼろで、階段は壊れる、ドアは外れる、雨漏りはする、床は抜ける、電気のコードは発火する、とトラブルだらけ。ウォルターは工事業者に修理を依頼する。工事業者は2週間で直すと言ったものの、4ヶ月経っても工事は続く。
ウォルターの不在中、アンナはマックスに誘われ、彼の家で過ごし、朝、気がつくとマックスのベッドで寝ていた。アンナはウォルターに正直にマックスの家に行って寝てしまったと話すが、ウォルターはアンナの浮気を激怒。アンナもウォルターの心の狭さに嫌気が差し、二人は家の修理が終了したら家を売却してお金を折半することにする。二人は別々に家を出て行く準備を始める。ようやく工事が終わり、家は見事に生まれ変わる。ウォルターはアンナを愛し続けることを誓い、アンナも喜ぶ。二人は邸宅で結婚式を挙げ、マックスが結婚行進曲を指揮し、仲間たちが盛大にお祝いするのだった。

いわゆるドタバタコメディで、家の壊れ方が常識外れで作り物感が満載。スティーブン・スピルバーグ総指揮ということで期待したが、ばかばかしいほうに振れてしまっていた。アメリカ映画でありがちな下ネタ風の演出はなかったが。

【5段階評価】3

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2024年10月17日 (木)

(2828) きっと いつの日か

【監督】日暮英典
【出演】塩野瑛久、吉田朱里、伊藤洋三郎、多田木亮佑
【制作】2015年、日本

パイロットに憧れていた青年と父親との交流を描いた作品。

パイロットに憧れて渡米した青年、悠希(塩野瑛久(あきひさ))は、夢が叶わず帰国する。酒浸りになっている悠希を、父親の俊雄(伊東洋三郎)は叱咤するが、悠希は反発し、家を出て一人暮らしを始める。悠希が運送のバイトをしていると、俊雄の知人の遠藤(多田木亮佑)が訪ねてくる。遠藤は川崎重工に勤めており、悠希に、飛行機を製造している職場を見学させる。遠藤は悠希に採用試験を受けることを勧め、悠希は試験を通り、飛行機製造に関わるようになる。
俊雄は、工場で働いているときに持病が悪化して倒れ、入院する。娘の捺実(なつみ)(吉田朱里(あかり))は悠希に会い、父の着替えを持って看病に行くよう伝える。悠希が着替えを取りにしぶしぶ実家に戻ると、着替えの入ったバッグと、俊雄と幼い悠希が写っている写真や、俊雄の日記があった。悠希は、父親が悠希の夢を応援していたことを知る。父親に合わす顔のない悠希は見舞いには行けずじまいだった。悠希に厳しく当たりすぎたかと悩みながら退院した俊雄は、職場から物音がするのに気づく。中に入ると、悠希が俊雄の夢だった空飛ぶ自動車の製造の準備をしていた。悠希は改めて父親に「ただいま」と声をかけるのだった。

各務原市を舞台にした親子の小さな物語。悠希が父親の病院に向かって走るシーンは、ちょっとホロリとした。

【5段階評価】2

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2024年10月16日 (水)

(2827) 日曜日、すずは口笛を吹いた

【監督】古勝敦
【出演】白石南帆、葉山奨之、山口智充、元ちとせ
【制作】2014年、日本

奄美大島の女子中学生の不思議な体験を描いた作品。

奄美大島の市立金久中学に通う中2のすず(白石南帆)が、遅刻しそうになりながら学校まで走っていると、機織りの音が聞こえ、不思議な感覚にとらわれる。学校には教育実習生の渡利先生(葉山奨之(しょうの))が赴任。すずは渡利先生に初めての感情を抱く。担任(武田幸三)の提案で、渡利先生との思い出作りのために、クラスで加計呂麻(かけろま)にハイキングに行くことになり、そこで渡利先生と二人になったすずは、渡利先生から「ありがとう。また会えてよかったよ」と告げられる。渡利先生の手からは、奄美の機織りの音が伝わってくる。気がつくと、すずは通学の途中で
機織りの音が聞こえた場所に立っていた。クラスメートに聞いても、教育実習生のことは誰も知らない。すずは奄美の日常に戻る。すずは、海岸わきの道路で空を見上げ、口笛を吹いてみるのだった。

冒頭で、ハブの王様ユアンとクロウサギの姫アキナの神話のような物語が語られる。渡利先生がユアンで、すずがアキナであり、二人が現在の奄美大島で再会するというファンタジーものだが、物語というよりは、奄美大島を舞台に映画を作ってみました、ということに重きが置かれた作品だろう。渡利先生役の葉山奨之は、きゃりーぱみゅぱみゅの旦那。

【5段階評価】2

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2024年10月15日 (火)

(2826) アイス・ロード

【監督】ジョナサン・ヘンズリー
【出演】リーアム・ニーソン、アンバー・ミッドサンダー、マーカス・トーマス、ベンジャミン・ウォーカー、ローレンス・フィッシュバーン
【制作】2021年、アメリカ

けんかっ早い性格のマイク・マッキャン(リーアム・ニーソン)は、障害を持つ弟ガーティ(マーカス・トーマス)を支えながら暮らしており、職探しに苦労していた。カナダにあるカトカ社の鉱山で爆発事故があり、多くの鉱員が閉じ込められてしまう。酸欠の恐れのある鉱員の救援のため、岩盤に穴を開ける装置「ウェルヘッド」の運搬が必要となる。そのためにはアイス・ロードと呼ばれる、冬季だけ凍る氷の道を、トレーラーで運ぶ必要があった。熟練者のジム・ゴールデンロッド(ローレンス・フィッシュバーン)は、3台のトレーラーで同じ装置を輸送し、途中でトラブルがあっても1台がたどり着けばよいとする計画を立てる。1台にはマイクとガーティ、1台にはジム、もう1台には、落盤現場に閉じ込められた兄を持つ先住民の女性タントゥー(アンバー・ミッドサンダー)と、保険会社のトム・バルネイ(ベンジャミン・ウォーカー)が乗り込む。
アイス・ロードを3台で進んでいると、ジムのトラクターがエンジン不調を起こして停止。ワイヤーで牽引しようとするが積み荷ごと氷に沈み、ワイヤーに脚を巻き込まれたジムがトラクターごと沈んでしまう。バルネイは、ジムといざこざのあったタントゥーがエンジンに細工をしたところを見たと証言。マイクはタントゥーは拘束する。ところが、バルネイはマイクとガーティをトレーラーの中に閉じ込め、ダイナマイトを仕掛けると、拘束されたタントゥーを乗せた別のトラクターで出発してしまう。ジムのエンジン停止もバルネイの仕込んだことだった。マイクとガーティは協力してトレーラーを抜け出すと、マイクがダイナマイトを投げ捨て、何とか爆死を逃れる。積み荷を乗せたトレーラーは沈んでしまい、マイクとガーティはトラクターに乗り込んでバルネイの後を追う。
鉱山では、生産ノルマの達成のため、従業員を買収してメタンガスの検知を止めて無理な掘削をしていた。その証拠隠滅のため、従業員を酸素不足で見殺しにするという計画が立てられており、バルネイはカトカ社の現場責任者(マット・マッコイ)とグルになって、ウェルヘッドの運搬を失敗に終わらせようとしていた。バルネイは、気絶したタントゥーを運転席に乗せ、トレーラーを崖から落とそうとするが、気づいたタントゥーがバルネイを突き落としてトレーラーを事故現場に走らせる。マイクとガーティはタントゥーに追いつき、三人で協力してウェルヘッドを運搬しようとするが、バルネイがそれを妨害。ガーティとタントゥーがトレーラーを運転し、マイクはもう一台のトラクターに乗ったバルネイと格闘の末、わざと氷が割れるように仕向けてトラクターを走らせ、自らトラクターから飛び降りる。トラクターはバルネイを乗せたまま氷の下へ沈む。
ガーティとタントゥーのトレーラーは、なんとか吊り橋を渡り切るが、吊り橋は落下し、トレーラーはスリップして後退しはじめる。ガーティはトレーラーの後退を防ぐために吊り橋のゲートを閉めるが、ゲートとトレーラーに体が挟まれてしまい、追いついたマイクに抱かれたまま息を引き取る。マイクはタントゥーとともにトレーラーを運搬して事故現場に到着。鉱員は無事に救出され、現場監督の悪事は暴かれる。マイクは、ガーティの夢だったトラクターを手に入れ、スポーツ用品の運搬という平和な仕事に就き、タントゥーはそれを祝福するのだった。

とある鉱山の落盤事故と、とある企業の不正隠蔽という、こじんまりした物語だが、次々と訪れる危機には迫力があり、素直にハラハラドキドキした。ローレンス・フィッシュバーンが序盤で死ぬ、という衝撃の展開は、「ディープ・ブルー」(1999)で序盤に主役級のサミュエル・L・ジャクソンが死ぬという展開と似ていた。タントゥー役のアンバー・ミッドサンダーの愛嬌のある顔立ちも見所。

【5段階評価】3

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2024年10月14日 (月)

(2825) The Runner

【監督】ホセ・ルイス・モンテシノス
【出演】ミゲル・アンヘル・ジェナー、ルイス・アンテス
【制作】2014年、スペイン

元社長と解雇された元社員との勝負を描いた作品。13分の短編映画。

初老の男(ミゲル・アンヘル・ジェナー)がランニングをしていると、スーツ姿の男(ルイス・アンテス)に声をかけられる。彼の名はパブロ。初老の男は起業家だったが事業に失敗し、300人の雇用者を解雇したことがあり、パブロはその一人だった。恨みごとを言われたと思った初老の男は、自分は事業に繰り返し失敗して、現在は職もなく離婚も経験して惨めな生活を送っていると境遇を語る。パブロは、別事業の立ち上げに関わってそれがうまく行き、今では高級車に乗って大きなクルーザーも手に入れた、と話す。パブロが港に泊まるクルーザーの一つに目をやると、そこにはサングラスをかけた女性と少女、そして船の手入れをしている男性が乗っている。パブロの妻と娘、そして雇った船長だと言う。パブロが手を振ると少女が手を振り返す。パブロは初老の男に、職がないのなら、運転手を探しているので、徒競走で勝ったら運転手の職を与えると持ちかける。初老の男はプライドが許さないと言って話を断ろうとするが、運転手の好遇を聞かされ、勝負に応じることにする。初老の男は必死に走り、ゴールのポールにたどり着くが、パブロは全く走っていなかった。彼はクルーザーのオーナーではなく、運転手だった。初老の男があっけにとられてポールに目をやると、運転手付きレンタカーの運転手募集の張り紙があった。パブロの話は、半分は嘘だったが、運転手を募集しているという話は本当だったのだ。初老の男は、張り紙に付いている連絡先の電話番号のメモを手にするのだった。

ちょっとしたどんでん返しが楽しい作品。まあ、独りで走っていたら、途中でパブロが走っていないことぐらい気づくだろ、というのはあるのだが。

【5段階評価】3

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2024年10月13日 (日)

(2824) ガンズ・アンド・キラーズ

【監督】ブレット・ドノフー
【出演】ニコラス・ケイジ、ライアン・キーラ・アームストロング、ノア・ル・グロー、ニック・サーシー、ケリー・クヌーペ
【制作】2023年、アメリカ

妻を殺された男の復讐劇を描いた西部劇。

雑貨店を営むコルトン・ブリッグス(ニコラス・ケイジ)は、愛する妻ルース(ケリー・クヌーペ)と12歳の娘ブルック(ライアン・キーラ・アームストロング)と暮らしていた。コルトンとブルックが家を出ている間に、ルースが四人組の悪党に襲われ、殺される。ボスのジェームス・マカリスター(ノア・ル・グロー)は、子ども(エベレット・ブランク)の頃に父親(コービー・グリーゼンベック)をコルトンに殺された過去を持っていた。妻の死を知ったコルトンは、ブルックを連れて復讐の旅に出る。コルトンは、マカリスターらを追っていた保安官のジャレット(ニック・サーシー)を拘束して犯人の情報を聞き出す。
マカリスター一味はサンタローザという町でコルトンを待ち受ける。相手の顔を知らないコルトンは、ブルックだけを町に行かせ、様子を探ろうとするが、マカリスターに気づかれ、ブルックは捕らわれてしまう。それを察したコルトンは、単身で町に乗り込むと、見張りをしていたビッグ・マイク(アブラハム・ベンルービ)を倒す。コルトンは、さらに彼を追ってきたブーツ(シャイロー・フェルナンデス)を倒すが、ユースティス(クリント・ハワード)に腕を撃たれる。マカリスターは、ブルックを人質にして、ユースティスがブルックに銃を向けた状態でコルトンに果たし合いを挑む。コルトンがマカリスターを撃てばユースティスがブルックを撃つという状態で、コルトンは迷わずユースティスを撃ったため、マカリスターはコルトンを撃ち、銃弾が胸を貫く。復讐を果たしたマカリスターは喜ぶが、父の銃を手にしたブルックがマカリスターを撃ち殺す。コルトンは娘に見守られて息を引き取る。遅れてやってきたジャレットは、コルトンが妻を殺した凶悪犯を追った結果殺されたということにし、コルトンとブルックがジャレットらを拘束した罪をなかったことにするのだった。

感情を失った男が感情を失った娘と、殺された母親の復讐を遂げるという、ややぶっとんだ設定の作品。作品のテーマに重みが感じられず、「これはライアン・キーラ・アームストロングを売り出すアイドル映画みたいなものなのか」と思ったりもしたが、そうでもないようだった。子役ながらライアン・キーラ・アームストロングの凜とした顔立ちは際立っており、大物女優になる予感たっぷり。悪者役のノア・ル・グローの目つきは、柳楽優弥と通じていた。

【5段階評価】2

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2024年10月12日 (土)

(2823) カンニング・モンキー/天中拳

【監督】チェン・チーホワ
【出演】ジャッキー・チェン、リー・マンチン、リー・ハイロン、ディーン・セキ、カム・コン、ジェームス・ティエン
【制作】1978年、香港

不老長寿の薬を奪おうとする悪党と警備隊との戦いを描いたカンフーコメディ。

カンフーの達人を夢見ている青年コウ(ジャッキー・チェン)は、ムチの達人(マー・ユーロン)が命と引き換えに倒した悪人(リー・ミンラン)を役人に突き出し、大金を得る。コウは不老長寿の薬を狙う占い師ミャオ(リー・チーリン)に命を狙われるが、マオ大人(リー・マンチン)が彼を助ける。コウは、マオの指令で、不老長寿の薬を守っている警備隊のファン(リー・ハイロン)のお供をする。コウはマオ大人とマオの弟子、屁っこき(ディーン・セキ)からカンフーの技を伝授され、訓練を積み、カンフーの腕を上げていく。ファンたちは、不老長寿の薬を狙う悪党を次々と倒していく。コウは、屁っこきがばらまいた極意書を盗み読み(カンニング)しながら、最後の強敵、二十三面相のウーダン(カム・コン)を倒す。実は不老長寿の薬など存在せず、それを誘いにして悪党を一網打尽にするというマオの作戦だった。コウはがっかりしながらも、屁っこきと愉快に笑い合うのだった。

ジャッキー・チェンのコミカルなカンフーの典型とも言える内容。師匠を殺された復讐のような重いテーマではなく、はじめはからっきし弱い主人公が、修行を続けて力を付けていく。女性の武術家がたくさん出てくる華やかさもある。一方で、戦闘シーンは曲芸のようで真剣さはなかった。座頭市やポパイのパロディが登場したりする。主題歌のカンニング・モンキーは、ゴダイゴが歌っているように聞こえるが、別人のシャイ。しかし作曲は武川行秀、編曲はミッキー吉野だった。

【5段階評価】3

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2024年10月11日 (金)

(2822) 婚期

【監督】吉村公三郎
【出演】京マチ子、若尾文子、船越英二、野添ひとみ、高峰三枝子、北林谷栄
【制作】1961年、日本

兄嫁と未婚の義妹たちとのいさかいを描いたコメディ作品。

29歳で未婚の唐沢波子(若尾文子)と、その妹で同じく未婚の25歳、鳩子(野添ひとみ)は、離婚して一人暮らしの長女、冴子(高峰三枝子)の家を訪ね、結婚願望を口にする。波子と鳩子は、兄の卓夫(船越英二)と兄嫁の静(京マチ子)と同居していたが、二人は静のことを毛嫌いしており、家政婦の婆や(北林谷栄)のことも口汚く罵っていた。波子と鳩子は静を家から追い出そうと、卓夫が浮気して外に子どもがいるという怪文書を静に送りつけたり、外から嫌がらせ電話をかけたりし、心配になった婆やは警察に相談するほど。実際に卓夫は二股どころか三つ股をかけており、怪文書もあながち嘘ではないという始末。耐えかねた静は家を出て、友人の玉枝(倉田マユミ)の家の世話になる。やがて卓夫が迎えに来ると、静は機嫌を取り戻し、二人で散歩に出かけるのだった。

口喧嘩の気っぷのいいやりとりは、演技としては見応えがあるが、あまり気持ちのいいものでもなく、ブラックコメディめいていた。若い頃の若尾文子の美しさが見所だが、本作は性格の悪い女性の役だった。

【5段階評価】2

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2024年10月10日 (木)

(2821) 成龍拳

【監督】ロー・ウェイ
【出演】ジャッキー・チェン、シュー・フォン、ジュエ・リンロン、シェン・イー・ロン、ワン・ユエ
【制作】1977年、香港

両親を殺された青年が、失った恋人を求める過程を描いたカンフー映画。

奇峯家山荘で太胡(タイフー)砦の総督(マー・チー)が還暦を迎え、祝賀会が開かれる。美しい次女のチェンチェン(ジュエ・リンロン)は恋人のシャオレイ(ジャッキー・チェン)に会いに行くが、シャオレイはチェンチェンがシャオレイの子を身ごもっていると知りながら、自分は他の女と寝た、お前の子など誰の子か分かるものかと言ってチェンチェンを追い返す。祝賀会に現れたシャオレイは、客たちを罵って追い返す。シャオレイの父の総督は怒るが、シャオレイは、凶悪な盗賊、花蜂党(みつばちとう)がレイ家を襲いに来る情報を耳にし、周囲の人々を逃がそうとしていたのだった。シャオレイはチェンチェンを親友のシーカン(シェン・イー・ロン)に託し、わざと自分から離れるように仕向けていた。総督やシャオレイの母親(チャン・シンチア)や部下たちは、現れた花蜂党と戦うが、ボスのディン・チャンイェン(シュー・フォン)は武術の達人で、シャオレイも歯が立たず、両親や部下は皆殺しにされてしまう。ディンは15年前に両親を総督に殺され、その恨みを晴らしたのだった。ディンは同じ苦しみを味わわせると言ってシャオレイを殺さないことにする。
チェンチェンは暴漢に襲われそうになるが、シーカンがチェンチェンを助ける。シーカンはシャオレイの真意をチェンチェンに告げないまま、傷心のチェンチェンを連れて旅に出る。シャオレイは手違いから血雨党(りゅうけつとう)に襲われるが、飛龍警備隊の隊長ルン・スー(ワン・ユエ)に助けられる。ルンは宝石を盗んだシーカンを追っていると話すが、シーカンを信用しているシャオレイはその話を疑う。両親を失ったシャオレイはチェンチェンとの再会を願うようになり、ディンは、自分も女なのにシャオレイが自分に名前も聞かないと嫉妬の念を抱くようになる。
ルンの隊が血雨党に襲われ、ルンを兄と慕うようになったシャオレイは血雨党と戦うが、重傷を負う。そこにディンが助けに入る。ディンは負傷したシャオレイを引き取ろうとし、一度は断るルンだったが、ディンにシャオレイを託すことにする。ルンは王族に事態の報告に行くが、王族の長はシーカンだった。彼は血雨党の首領だった。シーカンは血雨党による支配の邪魔になる総督と飛龍警備隊を全滅させようとしており、ルンはシーカンに殺される。シーカンは、チェンチェンに、シャオレイは死んだと嘘をつき、チェンチェンに自分との結婚を同意させる。
ディンはシャオレイに成龍拳を伝授し、送り出す。シャオレイはシーカンの前に現れ、死闘の末、シーカンを倒す。シャオレイとチェンチェンは再び結ばれ、ディンは一人去って行くのだった。

親の仇討ちかと思いきや、自分を裏切り恋人を奪おうとした親友シーカンへの復讐という複雑な物語。カンフーシーンはシリアスで、ジャッキー・チェンらしいコミカルさはない。そうなると、見所のはずの戦闘シーンは長くてかったるかった。逆再生を使った特撮はこの時代らしい工夫で面白かったが。シーカン役のシェン・イー・ロンは、筋肉質の逆三角形の肉体美を持ち、蹴りの脚の上がる高さも高く、明らかに武術に覚えのある俳優だった。

【5段階評価】2

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2024年10月 9日 (水)

(2820) 最高殊勲夫人

【監督】増村保造
【出演】若尾文子、川口浩、船越英二、丹阿弥谷津子、北原義郎、近藤美恵子、宮口精二
【制作】1959年、日本

三姉妹と三兄弟の結婚の行方を描いたコメディ作品。

三原二郎(北原義郎)と野々宮梨子(近藤美恵子)が結婚。二郎の兄、一郎と梨子の姉、桃子(丹阿弥谷津子)も結婚していた。一郎が社長を務める会社を牛耳って、裕福な生活を確保したい桃子は、三原家の三男、三郎(川口浩)と、桃子と梨子の妹、三女の杏子(若尾文子)を結婚させようとする。三郎と杏子は、姉の思い通りになるものか、と互いに別の人と結婚しようとするが、最後は互いに惹かれ合い、結婚することにするのだった。

OLがサラリーマンと結婚しようとする姿を面白おかしく描いている。微笑ましいと言えば微笑ましいし、えげつないと言えばえげつない。公開当時24歳の若尾文子の可愛らしさが際立っていた。

【5段階評価】3

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2024年10月 8日 (火)

(2819) モンタナの風に抱かれて

【監督】ロバート・レッドフォード
【出演】ロバート・レッドフォード、クリスティン・スコット・トーマス、スカーレット・ヨハンソン、サム・ニール
【制作】1998年、アメリカ

馬で事故を起こした少女を連れて牧場に向かった母親と、牧場で働く男との交流を描いた作品。

馬術が好きな少女グレイス・マクリーン(スカーレット・ヨハンソン)は、親友のジュディス(キャサリン・ボスワース)と二人で乗馬を楽しむが、雪の積もった坂で馬が転倒。馬ごと車道を走るトラックに轢かれ、ジュディスは死亡し、グレイスは右脚を切断する大けがをする。グレイスの愛馬ピルグリムも安楽死をさせたほうがよいほどの重傷を負うが、グレイスの母親アニー(クリスティン・スコット・トーマス)は安楽死を断る。ピルグリムもグレイスも深いトラウマを負ってしまうが、アニーは馬の再生に詳しいトム・ブッカー(ロバート・レッドフォード)という男を見つけ、ピルグリムとグレイスを馬に乗せて、トムの牧場に向かう。トムはアニーの熱意に押され、暴れ馬のようになっているピルグリムの再生に挑戦する。
牧場で暮らすうちに、グレイスは元気を取り戻していき、アニーはトムに好意を抱くようになる。ピルグリムがトムを信用するようになった頃には、アニーとトムは密かに口づけを交わす関係となる。そこに、アニーの夫ロバート(サム・ニール)がやってくる。ロバートは、アニーがロバートを伴侶とし続けることに悩んでいることを見抜いていた。ロバートはグレイスと一足先に帰り、アニーにアニー自身の人生の選択を託す。アニーはトムに離れたくないと抱きつくが、トムとともに生きる道を諦め、家族の待つニューヨークに帰ることを決めるのだった。

負傷した馬の再生を丁寧に描いた作品。だが、170分もあり、ちょっと長かった。アニーのトムへの恋は要するに、旅先で素敵な人に出会って好きになってしまいました、という単なる浮気なので、あまり応援する気にはなれなかった。公開当時14歳のスカーレット・ヨハンソンの演技力は見所。

【5段階評価】3

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2024年10月 7日 (月)

(2818) 名探偵コナン 水平線上の陰謀

【監督】山本泰一郎
【出演】高山みなみ(声)、山崎和佳奈(声)、神谷明(声)、林原めぐみ(声)、山寺宏一(声)、榊原良子(声)
【制作】2005年、日本

アニメ「名探偵コナン」シリーズ第9弾。豪華客船内で起きた殺人事件の謎を追う。「名探偵コナン 銀翼の奇術師」(2004)の続作。次作は「名探偵コナン 探偵たちの鎮魂歌」(2006)。

コナン(高山みなみ)や蘭(山崎和佳奈)の乗った豪華客船「アフロディーテ号」内で殺人事件が発生。客船に乗り込んでいたシナリオライターの日下ひろなり(山寺宏一)は、客船の設計グループのサブリーダー、秋吉美波子(みなこ)(榊原良子)に電話でシナリオを話して聞かせるふりをして録音済の音声を流すというアリバイ工作を仕掛けると、八代商船の社長、八代貴江(たかえ)をナイフで襲い、さらには八代グループ会長の八代延太郎(岡部政明)を格闘の末、海に突き落とす。コナンは日下の電話トリックを見破り、彼を犯人だと指摘。日下は八代グループの陰謀によって殺された設計グループのリーダー、八代英人の息子だった。日下はボートで逃走するが、コナンらが追いかけ、彼を捕まえる。事件は解決したかに思えたが、さらに客船で爆発が起きる。真犯人は美波子だった。彼女は日下が貴江と延太郎を殺す計画を立てていることを知り、彼に先回りして貴江や延太郎を殺害していた。船に残っていた毛利小五郎(神谷明)はそれを見抜き、美波子は逮捕される。蘭が沈没寸前の客船内に取り残されていることに気づいたコナンは、蘭の居場所を突き止め、彼女を救い出すことに成功するのだった。

名探偵コナンシリーズには珍しく、日下が犯行を行うシーンが描かれる倒叙形式で進行するが、最後にどんでん返しが待っていた。推理ものとしてはなかなかのできばえ。最後の蘭の救出劇はお約束だったが、それなりの盛り上がりだった。本作は、テレビでなかなか再放送しないので、Amazonプライムで鑑賞。ようやくシリーズ過去作の未鑑賞作品の穴が埋まった。

【5段階評価】3

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2024年10月 6日 (日)

(2817) 釣りバカ日誌6

【監督】栗山富夫
【出演】西田敏行、三國連太郎、石田えり、久野綾希子、豊川悦司、塩見三省
【制作】1993年、日本

釣りバカ日誌」シリーズ第6弾。「釣りバカ日誌5」(1992)の続編。次作は「釣りバカ日誌スペシャル」(1994)。

ハマちゃん(西田敏行)はスーさん(三國連太郎)を釜石の釣りに誘い、スーさんは釜石で講演をすることになったため、二人はスーさんの運転で釜石に向かう。朝方の釣りを終えた二人は、宿泊予定の宿に向かうが、スーさんが運転手でハマちゃんが社長だと間違えられてしまう。仲居の本間澄子(久野綾希子)がスーさんの世話係になり、ハマちゃんが鈴木建設社長として講演をしている間、スーさんは澄子と遠野の二人旅を楽しむ。
澄子の娘、佳奈(喜多嶋舞)が結婚することになり、披露宴に呼ぶ人数の少なさに悩んでいたことから、澄子はスーさんに相談。スーさんはハマちゃん夫婦や釣り船太田丸の仲間を呼ぶ。ところが、スーさんを取材したことのある記者の立花(豊川悦司)が、スーさんとハマちゃんの入れ替わりを見抜いてしまう。澄子はショックを受けるが、スーさんが披露宴の乾杯の挨拶で澄子だけに分かるよう謝罪し、澄子はスーさんに改めて感謝の言葉を述べる。披露宴を終えてほっとしたハマちゃんは、仲間の八郎(中本賢)たちと釣りに出かけ、スーさんも合流するのだった。

今回のマドンナ役は久野綾希子。ハマちゃんではなくスーさんといい関係になるというのが特徴的。ハマちゃんとスーさんの立場が入れ替わる(ハマちゃんは運転手ではないので厳密には入れ替わりではないが)という設定は、コメディとしては面白かった。ただ、序盤でスーさんとハマちゃんの関係がギスギスしており、平社員と社長でありながら朗らかな人間関係を構築しているという本作の魅力が失せ、見ていてストレスだった。なお、分かりづらいが、原田泰造と堀内健が営業三課の社員役で出演している。セリフはなく、後方にかろうじて映っている程度。

【5段階評価】3

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2024年10月 5日 (土)

(2816) 釣りバカ日誌5

【監督】栗山富夫
【出演】西田敏行、三國連太郎、石田えり、乙羽信子、上野友、谷啓、戸川純
【制作】1992年、日本

釣りバカ日誌」シリーズ第5弾。「釣りバカ日誌4」(1991)の続編。次作は「釣りバカ日誌6」(1993)。

鈴木建設のダメ社員、ハマちゃんこと浜崎伝助(西田敏行)は、生まれたばかりの息子、鯉太郎(上野友)を溺愛。ハマちゃんの母親、浜崎たき(乙羽信子)が家を訪ねてきて、ハマちゃんの釣りの弟子、スーさん(三國連太郎)と子育ての方針でいがみ合う。鯉太郎の世話をする人がいなくなり、ハマちゃんは鯉太郎を会社に連れて行くが、目を離した隙に鯉太郎がいなくなり、ハマちゃんが火災報知器を鳴らすなどして会社は大混乱。無事に鯉太郎は見つかるが、混乱の責任をとらされる形で、ハマちゃんは丹後半島に飛ばされ、鈴木建設が行っているスッポン養殖事業を担当する。丹後の素晴らしい環境に惚れ、家族で移住することにしたハマちゃんだったが、スッポンの世話をミスしてスッポンが全滅してしまい、ハマちゃんはもとの営業三課に勤めることになるのだった。

感動的な話は特にないドタバタコメディ。だんだん中身がなくなってきたように感じる。20作以上あるシリーズだが、この先楽しめるだろうか。

【5段階評価】2

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2024年10月 4日 (金)

(2815) 釣りバカ日誌4

【監督】栗山富夫
【出演】西田敏行、三國連太郎、石田えり、尾美としのり、佐野量子、谷啓、中本賢
【制作】1991年、日本

釣りバカ日誌」シリーズ第4弾。「釣りバカ日誌3」(1990)の続編。次作は「釣りバカ日誌5」(1992)。

ハマちゃんこと浜崎伝助(西田敏行)の職場に、社長のスーさんこと鈴木一之助(三國連太郎)の甥、宇佐美和彦(尾美としのり)が配属。和彦はハマちゃんがよく使う釣り船の主人、八郎(中本賢)の妹、太田町子(佐野量子)に一目惚れ。八郎に交際を認めてもらえなかった和彦は、会社にファックスで辞表を提出し、町子を連れて和歌山に駆け落ちする。
それを知ったスーさんはハマちゃんに二人を連れ戻すよう頼み、自身も和歌山に飛ぶ。スーさんは和彦と町子の覚悟を見て、二人を応援することを決める。二人の披露宴の日。ハマちゃんの妻、みち子(石田えり)が産気づき、ハマちゃんは披露宴会場を抜け出して出産に立ち会う。興奮したハマちゃんは貧血で倒れ、駆けつけたスーさんが代わりに立ち会う。生まれたのは男の子で、ハマちゃんとみち子は鯉太郎と名付けるのだった。

スーさんの甥、和彦の恋物語と、みち子の出産が話題の中心。公開当時23歳の佐野量子の、まさにアイドルという可愛らしさが見所。おニャン子クラブの内海和子もOL役で出演している。

【5段階評価】3

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2024年10月 3日 (木)

(2814) 釣りバカ日誌3

【監督】栗山富夫
【出演】西田敏行、三國連太郎、石田えり、五月みどり、谷啓、戸川純、TARAKO
【制作】1990年、日本

釣りバカ日誌」シリーズ第3弾。「釣りバカ日誌2」(1989)の続編。次作は「釣りバカ日誌4」(1991)。

星が浦で釣りをすることにしたハマちゃんこと浜崎伝助(西田敏行)と、スーさんこと鈴木一之助(三國連太郎)は、佐原雪子(五月みどり)という女性と同船することになる。雪子は、スーさんが兵役に就いていた頃に恋仲にあった女性の娘だった。亡くなった母親から、スーさんのことを聞いていた雪子は、スーさんが自分の父親のように思え、ハマちゃんに相談。早とちりしたハマちゃんは、雪子とスーさんを家に招いてスーさんに自分が実の父親だと告白させようとするが、それは勘違いだった。それでもスーさんは、自分の娘だったら嬉しいと雪子に告げ、雪子は喜ぶ。
星が浦では、スーさんが社長の会社、鈴木建設によるリゾート開発計画が進められていたが、ハマちゃんと雪子は建設に反対。スーさんはリゾート開発計画中止を決める。会社の計画に対する反対運動をしたかどで、ハマちゃんは2週間の出社停止となるが、ハマちゃんはスーさんと釣りを堪能。妻のみち子(石田えり)との間に子どもができないことに悩んでいたハマちゃんだったが、ついにみち子が懐妊するのだった。

ほろりと感動するような場面も特になく、大した事件のないドタバタコメディ。「ちびまる子ちゃん」の声でおなじみのTARAKOがOL役で出演しているのが密かな見所。ひょうきんで愛らしい演技を見せていた。

【5段階評価】2

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2024年10月 2日 (水)

(2813) AVA/エヴァ

【監督】テイト・テイラー
【出演】ジェシカ・チャステイン、コリン・ファレル、ジョン・マルコビッチ、コモン、ジーナ・デイビス、ジョアン・チェン、ジェス・ワイクスラー、ダイアナ・シルバーズ
【制作】2020年、アメリカ

アルコール依存症だった女性暗殺者の苦悩を描いたアクション作品。

優秀だがアルコール依存症に苦しんだ過去を持つ女性暗殺者、エバ(ジェシカ・チャステイン)は、組織から新たな暗殺任務を受けるが、手違いにより身分を怪しまれ、敵に囲まれるがなんとか窮地を脱する。エバの育ての親、デューク(ジョン・マルコビッチ)は、手違いはエバ殺害のための故意によるものであることを突き止め、上司のサイモン(コリン・ファレル)にエバ殺害指令を停止するよう詰め寄るが、サイモンはデュークを倒し、重りをつけて湖に沈め、その映像をエバに送りつける。サイモンは自らエバを倒しに行くが、エバは返り討ちにする。不仲だった母親(ジーナ・デイビス)や妹のジュディ(ジェス・ワイクスラー)との関係を取り戻したエバは、妹に自分の隠し資産を手渡し、身の安全を確保するため海外に逃げるよう告げると、その場を立ち去る。その背後には、サイモンの娘カミーユ(ダイアナ・シルバーズ)が、父の恨みを晴らさんと後をつけているのだった。

俳優は豪華だが、内容の厚みを感じられず、手に汗握る感もなかった。「ゼロ・ダーク・サーティ」(2012)や「タミー・フェイの瞳」(2021)のオスカー女優、ジェシカ・チャステインがアクションに本格的に挑んでいる姿は貴重だが、戦闘シーンの映像は、群がる敵を手際よく銃撃と打撃で一人また一人と倒していったり、激しい音楽と明滅するライトの中で店の警備スタッフを格闘で次々なぎ倒したりと、極めてありきたり。デュークが殺される意味もよく分からず、話を盛り上げるためだけに人が死ぬと、逆に冷めてしまうという、いかにもテレビ東京が放送しがちなアクション映画だった。

【5段階評価】2

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2024年10月 1日 (火)

(2812) マネーボール

【監督】ベネット・ミラー
【出演】ブラッド・ピット、ジョナ・ヒル、クリス・プラット、フィリップ・シーモア・ホフマン、リード・トンプソン、ロバート・コティック
【制作】2011年、アメリカ

実在した大リーグのGM(ゼネラル・マネージャー)の活躍を描いた作品。

5拍子そろった選手としてスカウトされ、大学進学の道を諦めて大リーガーになったものの、活躍できずに引退したビリー・ビーン(ブラッド・ピット)は、アスレチックスのGMとなる。資金力のなさに辟易していたビリーは、インディアンズでイェール大学経済学部卒のピーター・ブランド(ジョナ・ヒル)という理論派に出会い、彼の野球観に惚れ、引き抜く。統計学に基づく選手補強を行い、はじめはアート・ハウ監督(フィリップ・シーモア・ホフマン)と折り合いがつかずに連敗を重ねるが、ビリーが選手起用に強く関与してからは調子が上向きになり、前人未踏の20連勝を成し遂げる。しかし、ワールドシリーズのプレーオフ、地区優勝決定戦でツインズに破れ、ワールドシリーズ優勝はかなわなかった。
ビリーはボストン・レッドソックスから1,250万ドルという破格の契約額でGM就任を打診されるが、人生を金で決めて失敗した過去を繰り返さないことにしたビリーはアスレチックスに残ることを決めるのだった。

名優が出て、感動の実話で、落ち目の選手が活躍するスポーツの映画で、面白くない要素は何もないのだが、あくびの出る退屈な作品だった。交渉のシーンが多いのと、野球選手に関する予備知識がないためか、選手のトレードが記号的な話にしか見えなかったのが理由だろう。イチローの映像がちょっとだけ出てくるのでお見逃しなく。

【5段階評価】2

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