(2738) CUBE
【監督】ビンチェンゾ・ナタリ
【出演】モーリス・ディーン・ウィント、ニッキー・グァダーニ、ニコール・デ・ボア、デビッド・ヒューレット
【制作】1997年、カナダ
複数の立方体の部屋からなる建物に閉じ込められた人々の脱出劇を描いたカルト映画。日本でも「CUBE 一度入ったら、最後」としてリメイクされている。
6面全部に扉のある立方体の中に閉じ込められた人々。部屋にはところどころ罠が仕掛けられており、不用意に移動するとむごたらしい死が待っている。黒人警官のクエンティン(モーリス・ディーン・ウィント)がリーダーとなり、女医のハロウェイ(ニッキー・グァダーニ)、数学科の女子大生レブン(ニコール・デ・ボア)、脱獄7回の経験者レン(ウェイン・ロブソン)、愛想のない会社員ワース(デビッド・ヒューレット)が行動をともにする。レンは早々に罠にかかって死亡。途中で精神障害を持った青年カザン(アンドリュー・ミラー)が加わる。はじめはみんなを奮い立たせていたクエンティンだったが、次第にワースやハロウェイ、カザンに対して攻撃的になっていく。扉の先に書かれた3つの三桁の数字を手掛かりに、レブンが謎を解き始める。ワースが外壁の設計者だと分かり、一同はついに建物の端の部屋にたどり着く。衣服をロープ代わりにしてハロウェイが外の様子を確認するが、ロープを支えきれず、ハロウェイが落ちそうになる。クエンティンが身を乗り出してハロウェイの手をつかむが、疑心暗鬼に陥っていたクエンティンは、ハロウェイを落下させ、仲間には手が滑ったと嘘をつく。
仮眠の最中、クエンティンはレブンをそっと起こし、ワースとカザンを置いて移動しようと持ち掛けるが、レブンは拒否。そこにワースとカザンが追いつくと、クエンティンはワースをスパイ扱いして殴りつけ、下の部屋に突き落とす。そこにはレンの死体があった。彼らはもとの部屋に戻ってきていた。ワースは、部屋自体も動いていることに気づく。レブンは数字の因数の数がカギであることを解き明かす。カザンはサバン症候群で、因数の数を瞬時に言うことができた。一同はカザンに因数の数を言わせて部屋を進んでいく。クエンティンが凶悪な態度をむき出しにするようになったため、ワースはレブン、カザンと協力してクエンティンを下の部屋に落下させる。ついに彼らは外壁に通じる通路の役割を果たす部屋にたどり着き、外に通じる扉を開く。その時、追ってきたクエンティンが現れ、扉を開けるバーでレブンを突き殺し、ワースの腹も刺す。カザンは出口に向かい、クエンティンもそれを追うが、まだ息のあったワースがクエンティンにしがみつき、クエンティンは動き出した部屋と外壁に挟まれて死亡する。ワースは部屋の中に倒れ、カザンたった一人が、光に包まれた屋外に進むのだった。
非現実的な設定の中でのパニック・スリラー。細い金属線で「バイオハザード」のレーザー・トラップのように体が切り刻まれたり、顔が薬品で焼けただれたり、と残酷な描写もあり、ハラハラドキドキする展開。なぜこのような建物があり、誰が何の目的でここに人を送り込んだのか。その説明は一応なされるが、さほど深刻に考えてはいけない。特殊な状況は受け入れたうえで作品にのめり込む必要がある。クエンティンが最後に追いついてくるあたりは、盛り上げようとするのはわかるが、ちょっとやりすぎ。ただ、ワースやレブンが本当に死んだのかは明らかではなく、もしかすると続編で登場したりするのかもしれなかった。
「SAW」シリーズもそうだが、こういったカルト映画はなかなかテレビ放送されることはないので、今回放映してくれたテレビ大阪のシネマクラブに感謝。ただ、いつも字幕がないのと、エンディング間際で次回告知のテロップを出すのだけはなんとかしてほしい。本作は興味があったのであえて観たが、他の作品は正直、二か国語で字幕なしだと分かった段階で観ずに消去している。次回告知を終わり際に出すのも、「ああ、ここで終わりか」って分かって極めて興ざめなので、本当にやめてほしい。エンドロールも流してくれとまでは言わないので。(このことを知り合いのテレビ大阪の人に言ったら「投書したほうがいい」と言われました(笑)。ごもっとも。)
【5段階評価】4
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