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2024年7月12日 (金)

(2731) 鬼畜

【監督】野村芳太郎
【出演】緒形拳、岩下志麻、小川真由美、蟹江敬三、岩瀬浩規、吉沢美幸、石井旬、鈴木瑞穂、大竹しのぶ、田中邦衛
【制作】1978年、日本

松本清張の小説の映画化作品。三人の隠し子を押し付けられた男と妻のとった所業を描いている。

貧乏暮らしをしている菊代(小川真由美)は、6歳の長男、利一(りいち)(岩瀬浩規)、3歳の長女、良子(よしこ)(吉沢美幸)、まだ幼い次男の庄二(石井旬)を連れて、川越の印刷所、竹下印刷に向かう。そこでは竹中宗吉(緒形拳)、妻のお梅(岩下志麻)、従業員の阿久津(蟹江敬三)が働いていた。菊代は宗吉の妾で、十分な養育費がもらえず怒鳴り込みに来たのだった。お梅は驚き、夫をひっぱたく。菊代はお梅と宗吉に目いっぱい悪態をつくと、子供を残して失踪する。お梅は子供たちを露骨に毛嫌いし、邪険に扱う。次男の庄二は栄養不足で衰弱しており、宗吉は病院に運び込むが死亡する。お梅は一人片付いてよかったと宗吉に話し、宗吉は言葉を失う。庄二は死ぬ間際、印刷用のシートが覆いかぶさった状態だった。お梅の仕業かもしれなかった。
宗吉はお梅の圧力に屈するように、長女の良子を連れて東京に行き、良子がまだ父親の名前や住所を言えないことを確認した後、良子を東京タワーの展望台に置き去りにして家に帰る。利一は良子がいなくなった理由が尋常ではないことを薄々感じているようだった。お梅は利一が誰かに何かを話すのではないかと怯える。お梅は宗吉に青酸カリを渡し、少しずつ飲ませればわからないと宗吉に告げる。宗吉は利一を上野に連れていき、青酸カリをアンパンにまぶして利一に食べさせようとするが、利一は気づいたのか途中で吐き出し、毒殺は未遂に終わる。
お梅は、断崖から海に突き落とせば発見が遅れると言い、利一の服のタグを取り外して身元が調べられないようにする。宗吉は利一を連れて旅に出る。石川の東尋坊まで行ったが息子を突き落とすことはできず、二人は能登に向かう。能登の海辺で、宗吉は眠りこけた利一を抱きかかえると、海に落とし、立ち去る。
幸い、利一は海に落ちず、救助される。利一は婦警(大竹しのぶ)から優しく話しかけられ、事情を聴かれるが、利一は名前も住所も父親の名前も答えない。しかし、利一が持っていた石けり用の石が、石版印刷用の石の欠片だったことから、竹下印刷につながり、宗吉は刑事(鈴木瑞穂)に連れられて石川に向かい、利一と対面する。利一は、宗吉を見ても「父ちゃんじゃない。知らないおじさんだ」と言い続ける。宗吉は利一の足元に縋り付き、号泣しながら勘弁してくれ、と詫びる。宗吉は逮捕され、利一は石川県の児童相談所に預けられるのだった。

子供を殺すというショッキングなテーマを扱った作品。育児放棄という社会問題を取り上げた作品でもあった。岩下志麻の鬼のような児童虐待ぶりは迫力があり、緒形拳による気弱で不安定な宗吉の演技も見ごたえがあった。公開当時21歳の大竹しのぶの婦警さん役が作品に花を添えていた。

【5段階評価】4

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