(2680) ジェイコブス・ラダー
【監督】エイドリアン・ライン
【出演】ティム・ロビンス、エリザベス・ペーニャ、ダニー・アイエロ、マコーレー・カルキン
【制作】1990年、アメリカ
ベトナム帰還兵の精神的な苦しみを描いた作品。
1971年10月6日、メコン川デルタ地帯。修士卒で仲間から教授と呼ばれている米兵ジェイコブ・シンガー(ティム・ロビンス)らは、ベトナム戦争に従軍中、戦闘状態に入る。仲間が何人か錯乱状態になり、ジェイコブは大混乱から逃れるが、正面から来た何者かに腹部を刺され、意識を失う。気が付くと、彼は電車の中でまどろんでいた。家では恋人のジェジー(エリザベス・ペーニャ)が彼を待っていた。彼には妻サラ(パトリシア・カレンバー)と三人の息子がいたが、ジェジーと同棲しているのだった。末っ子のゲイブ(マコーレー・カルキン)は事故死しており、ジェイコブは彼の写真を見て涙ぐむ。ジェイコブは電車に引かれそうになったり、車に追われたりし、悪魔に追われているような感覚に悩まされる。戦友のポール(プルイット・テイラー・ビンス)も同じ悩みを彼に打ち明けるが、彼は直後に車の爆発で死亡。葬儀で集まった戦友たちは、ベトナム戦争で何かの人体実験が行われたのではないかと話し合い、弁護士のギャリー(ジェイソン・アレクサンダー)に相談。ギャリーは一度依頼を引き受けるが、その後、断りの連絡を入れてくる。ジェイコブはギャリーに抗議するが、はねつけられる。すると、突然、黒ずくめの男たちに車に拉致され、過去を探るなと脅される。車から逃げ出したジェイコブは病院に運び込まれ、怪しい廃墟のようになった場所に連れ込まれる。そこにジェイコブの治療を担当していた整体師のルイス(ダニー・アイエロ)が現れ、彼を車いすに乗せて救い出す。彼の整体により、ジェイコブは再び歩けるようになる。
帰宅したジェイコブのもとに、ベトナムの件を知っているという化学者から会いたいと連絡が入る。化学者の名はマイケル(マット・クレイブン)。マイケルはジェイコブを人気のないところに連れていくと、自分のかかわった人体実験について話し出す。マイケルは、米兵を興奮させて攻撃的にする薬「ラダー」を開発し、米兵に投与。その結果、米兵は互いに殺し合ったのだと言う。ジェイコブを刺したのも、敵兵ではなく仲間だった。話を聞いたジェイコブは、サラたちと住んでいた家に向かう。中には人の住んでいる気配があり、階段にはゲイブが座っていた。ジェイコブがゲイブに近づくと、ゲイブは彼を二階へといざない、光に包まれる。ジェイコブは、ベトナムの野戦病院のベッドの上におり、息を引き取る。ベトナム戦争でBZという幻覚剤が実験的に兵士に使われたという報告があるが、国防省は否定したのだった。
どこが現実でどこが幻覚か、よくわからないまま話が進むのだが、結果的に、ジェイコブはベトナムで戦死しており、帰国後のことは全てが死ぬ間際に彼が見た幻だったということがわかる。ところどころ現実を超越したシーンがあることについて、すべて説明がつく形だ。「ホーム・アローン」でスターとなったマコーレー・カルキンが、主人公の末っ子役として重要な役どころを演じているが、本作ではクレジットなしである。
【5段階評価】4
| 固定リンク
コメント