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2024年5月

2024年5月31日 (金)

(2689) ドラえもん のび太と竜の騎士

【監督】芝山努
【出演】大山のぶ代(声)、小原乃梨子(声)、堀秀行(声)、肝付兼太(声)、野村道子(声)、たてかべ和也(声)
【制作】1987年、日本

「ドラえもん」シリーズ第8作。地底人と出会った主人公たちの活躍を描く。「ドラえもん のび太と鉄人兵団」の続作。

今でも恐竜がいると信じるのび太(小原乃梨子)は、いるはずがないというスネ夫(肝付兼太)やジャイアン(たてかべ和也)に馬鹿にされる。ドラえもん(大山のぶ代)のひみつ道具で地下の洞窟に行ったのび太は、しずかちゃん(野村道子)を洞窟に誘い、スネ夫とジャイアンも付いてくる。スネ夫は地下で大量の恐竜を発見。深追いするうち、地底人に遭遇する。のび太たちはスネ夫を探しに行き、河童型の人食い地底人につかまってしまうが、恐竜型の地底人の騎士バンホー(堀秀行)に助けられる。地底人はタイムマシンの戦艦を作り、古代に起きた恐竜の絶滅を食い止めようとするが、地球に彗星が衝突し、作戦は失敗。ドラえもんはひみつ道具を使って絶滅に瀕する恐竜を育てることのできる地下空間を作り、地底人と別れるのだった。

スネ夫が物語の中心人物となっている珍しい作品。ドラえもんが地底の恐竜を守る重要な役割を担っていたという、スケールの大きな話になっている。本作はアマゾンプライムで鑑賞。

【5段階評価】3

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2024年5月30日 (木)

(2688) ぼくの歌が聞こえたら

【監督】ヤン・ジョンウン
【出演】チャンヨル、チョ・ダルファン、キム・ジヒョン
【制作】2022年、韓国

箱の中でしか歌えない歌手とプロデューサーの旅を描いた作品。

若手発掘の才能はあるが運のないプロデューサー、ミンス(チョ・ダルファン)は、ある日、小屋の中でギターを奏でながら歌う青年、チフン(チャンヨル)に出会う。彼の才能にほれ込んだミンスは、韓国各地10か所を歌いながら回る契約をチフンとかわし、旅に出る。チフンは、子供の頃のトラウマから人前で歌うことができず、冷蔵庫の梱包用の段ボールの中で歌う。路上ライブを経験した後、麗水(ヨス)を訪れたチフンは、ホールで盲目の女性歌手ナナ(キム・ジヒョン)から、セッションの誘いを受ける。チフンは、リハーサルで見事な歌声を披露。しかし本番ではピアノを前にしたまま歌えなくなってしまい、ステージは台無しとなる。ミンスはチフンを責めず、優しく見守りながら旅を続ける。最後に訪れたのは、音楽好きが集まったキャンプ地。ミンスは、みんなに交じって歌うことをチフンに勧めるが、チフンは踏ん切りがつかない。ミンスは契約は果たされたので独り立ちするといい、と言って契約書を焼き捨てる。チフンはミンスを無責任だと責め、やけ酒をあおる。気が付くと彼はステージのお立ち台の上におり、周りを音楽好きたちが囲んでいた。チフンは過去を捨て去り、大声で叫ぶとギターを奏で、周囲の称賛を浴びる。お立ち台の下ではミンスが見守っていた。殻を破ったチフンはオーディションに臨み、デビューへの道を歩み始めるのだった。

嫌な人はほとんど出てこない罪のない作品。いつになったらチフンが殻を破るのかな、というところだけが見どころ。そして予定通り、最後に殻を破る。それを象徴するシーンが、大勢のドラマーととともに、チフンがドラムやギターを演奏しながら歌うシーンなのだが、最大の見せ場のはずのこのシーンが、なんだかダサくてかっこよくなかった。映画としてはありきたりな内容だった。

【5段階評価】2

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2024年5月29日 (水)

(2687) 幸運の壺 Good Fortune

【監督】小川通仁
【出演】ほっしゃん。、麻生久美子、戸田恵子、佐津川愛美、前田公輝、藤森慎吾、麿赤児
【制作】2011年、日本

マンションの管理人から幸運の壺を受け取った売れない役者の運命を描いたコメディ作品。

ちょい役ばかりの売れない役者、袴田良作(ほっしゃん。)は、妻の麻美(麻生久美子)に罵倒される日々。ある日、良作はマンションの管理人、上野しのぶ(戸田恵子)から幸運の壺を渡され、部屋に飾る。その日も良作は麻美に罵倒されてもみ合いになり、麻美は転んだ拍子に頭をテーブルの角にぶつけて死んでしまう。良作は自分が殺したと疑われるのを恐れ、麻美を家にあった中世の甲冑の中に隠す。良作の妹、エリカ(佐津川愛美)が彼氏の小澤翔(前田公輝)や友達を良作の家に連れてきて鍋パーティを始め、良作は何とか彼らを追い返す。良作は麻美を隠した甲冑を部屋から運び出そうとするが、管理人に見とがめられ、ベランダからロープで降ろそうとしたところを翔に見つかり、麻美の死体を甲冑に隠していたことがばれてしまう。翔は自分も殺されると怯え、後ずさりしたはずみで幸運の壺を置いた棚にぶつかり、頭に壺が落ちてきて死んでしまう。そこにエリカがやってくる。二人が殺人の疑いをかけられるのを恐れ、途方に暮れていると、マンションが警察に包囲される。良作の一つ下の階に爆弾魔(藤森慎吾)が住んでおり、彼が逮捕されたのだった。すると、階下で爆発が起き、立てていた甲冑が倒れて、その衝撃で麻美が息を吹き返す。良作は、一連の騒ぎの経験が演技に生かされ、役者として成功し始める。実は陰で良作を応援していた麻美はそれを喜ぶ。管理人の渡した壺は、実は監視カメラだった。上野しのぶは住人の生活をのぞき見しながら、それをもとにした小説を書き、売れっ子になるのだった。

どういう結末を迎えるのかが気になる展開。これは最後に妻が生き返るな、と思っていたらそうなったり、壺が監視カメラというのが想像の範囲内だったり、ヨネスケの「突撃! 隣の晩ごはん」を取り込んでドタバタ感を出したり、いろいろベタな内容ではあったが、飽きずに観られる作品だった。

【5段階評価】3

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2024年5月28日 (火)

(2686) ジェロニモ

【監督】ウォルター・ヒル
【出演】マット・デイモン、ウェス・ステュディ、ジェイソン・パトリック、ジーン・ハックマン、スティーブ・リービス
【制作】1993年、アメリカ

アメリカ陸軍に抵抗をつづけた伝説の先住民を描いた伝記的作品。

語り手は米軍に入りたてのブリットン・デイビス少尉(マット・デイモン)。彼はチャールズ・ゲイトウッド中尉(ジェイソン・パトリック)とともに、抵抗を続けていた先住民族アパッチのリーダー的存在、ジェロニモ(ウェス・ステュディ)の投降を受け入れる。ゲイトウッドやジョージ・クルック准将(ジーン・ハックマン)はジェロニモに敬意を示す。しかし、居住地でアパッチのまじない師とのいざこざから、アパッチと米軍が衝突し、ジェロニモは再び居住地から脱走。クルック准将は辞任し、マイルズ准将(ケビン・タイ)が後任となる。
マイルズはジェロニモ逮捕を強硬に進め、ゲイトウッドを使ってジェロニモに好条件を提示して投降を促すよう画策。ゲイトウッドはデイビスや辞任した老兵アル・シーバー(ロバート・デュバル)、チリカワ族の斥候軍曹チャト(スティーブ・リービス)を連れて、ジェロニモを探す。途中、テキサスから先住民を殺戮する賞金稼ぎ集団との戦いでシーバーは死亡。ゲイトウッドとチャトはジェロニモの潜伏する丘にたどり着く。ゲイトウッドとジェロニモは話し合い、平和の道を選ぶ。ジェロニモは米軍に投降するが、マイルズはジェロニモに提示した条件を反故にし、ジェロニモらを収監。憤慨したデイビスはマイルズに抗議した後、辞職する。米軍の卑怯なやり方を、ジェロニモは神のなした不条理として静かに受け入れるのだった。

ジェロニモを演じたウェス・ステュディの堂々とした存在感は、見応えがあった。先住民族の話は日本人にはなじみがないが、不当な扱いを受けた理不尽さは十分に感じ取れた。斥候として米軍に仕えた先住民族もおり、彼らもまた、不遇な扱いを受けたことにも触れられている。こうした歴史は様々な解釈があるわけだが、その一端に触れられたのは勉強になった。アパッチとかジェロニモとか、聞いたことはあっても意味はあまりわかってなかったもんな。

【5段階評価】3

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2024年5月27日 (月)

(2685) パリで一緒に

【監督】リチャード・クワイン
【出演】オードリー・ヘップバーン、ウィリアム・ホールデン、トニー・カーティス、グレゴワール・アスラン、ノエル・カワード
【制作】1964年、アメリカ

脚本家の男性と女性タイピストの恋を描いたコメディ作品。

映画脚本家のリチャード・ベンソン(ウィリアム・ホールデン)のもとに、タイピストとして雇われたガブリエル・シンプソン(オードリー・ヘップバーン)が現れる。リチャードは「エッフェル塔を盗んだ女」という魅力的なタイトルまでは決めていたものの、そこから1ページもかけずにいたが、ガブリエルに着想を得て物語を語り始める。ガブリエルにフィリップ(トニー・カーティス)という恋人がいるのを知ったリチャードは、自分が主役となり、フィリップからガブリエルを奪って恋をするという脚本を作る。脚本の中では、リチャードはフィリップに撃たれて死んでしまう。ガブリエルはそれを悲しむが、リチャードは金のためだと言って脚本を仕上げる。夜が明け、ガブリエルはリチャードのもとを去っていた。リチャードは彼女を探し、フィリップとデート中のガブリエルを発見。リチャードはフィリップを殴り倒してガブリエルを奪う。リチャードとガブリエルは走って逃げた先で熱い口づけをかわすのだった。

要するにどたばた喜劇だった。おじさんが初対面のタイピストに会うなりキスし、タイピストは嫌がるそぶりもなく彼の錯乱したような脚本づくりに協力。二人は結ばれました、という、「麗しのサブリナ」や「昼下がりの情事」、「パリの恋人」同様、オードリー・ヘップバーンを主演にしておじさんの夢想を映画にした内容だった。
作中、「フランケンシュタイン」や「マイ・フェア・レディ」、「白鯨」、「甘い生活」、「ティファニーで朝食を」といった名画(個人的に「甘い生活」は全く面白くなかったが)の作品名が登場する。オードリー・ヘップバーンの出演作もあるので、ちょっと面白い。

【5段階評価】2

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2024年5月26日 (日)

(2684) Crazy Hair

【監督】クリストフ・デラム
【出演】ギョーム・ビリー、ファニー・コタンソン、ギャランス・クラベル
【制作】2018年、フランス

実の母親に会いに行く男の物語。16分の短編映画。

妻イサ(ギャランス・クラベル)と二人の小さな娘がいるマルコ(ギョーム・ビリー)は、実の母親に会おうとしていた。車の中で妻に励まされ、母親が経営している美容室「クレイジー・ヘア」に悩みながらも踏み込む。車の中で練習したように、「母さん、僕だ。手紙読んだ?」と話しかけるつもりが、店に入るなり卒倒し、起き上がると散髪を頼んでしまう。美容師(ファニー・コタンソン)は彼の洗髪を始める。身の上話で、美容師がかつてダンサーだったことが分かる。妻が子供を連れて店に入り、夫の代わりに話しかけようか聞くが、夫は拒絶。子供がトイレを借りると店を出ていく。マルコはようやく、児童福祉局から連絡をもらっていないか、と切り出すが、美容師は動揺しながらも何のことかわからないといい、そそくさと理髪を済ませる。しかし、会計のときに彼女は涙声で「17歳だったの、わかる? 」と告げる。マルコは母親をハグすると、店を出ていくのだった。

最後のやりとりで、美容師は17歳で身ごもってしまい、子供を捨てるしかなかったのだと分かる。不器用な二人ではあったが、マルコは自分が家族とともに暮らせているのだと母親に伝えられたのだろう。作中、マングースが出てきて、マルコはマングースに目をえぐられる夢を見るという話をするのだが、その含意がわからなかった。マングースに子供を捨てるような生態でもあるのだろうか。

【5段階評価】3

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2024年5月25日 (土)

(2683) トイレット

【監督】荻上直子
【出演】アレックス・ハウス、もたいまさこ、タチアナ・マズラニー、デビッド・レンドル、ガブリエル・グレイ
【制作】2010年、日本、カナダ

アメリカの3人兄弟と日本人の祖母との心の交流を描いた作品。

研究施設に勤めるプラモデルオタクのレイ(アレックス・ハウス)は、ピアノの才能がありながらパニック障害を持って引きこもりの兄モーリー(デビッド・レンドル)、生意気な大学生の妹リサ(タチアナ・マズラニー)と、母親の葬儀に出ていた。残されたリサとモーリーの家には、母親が日本から連れてきた「ばーちゃん」(もたいまさこ)がおり、モーリーとばーちゃんの相手に困ったリサは、一人暮らしのレイを家に呼び寄せる。レイはいやがるが、家が火事になり同居を余儀なくされる。ばーちゃんは孫たちと全く会話をせず、外出もしなかった。レイは、ばーちゃんがトイレから出るたびに深いため息をつくことが気になり、同僚(ガブリエル・グレイ)から、日本のトイレの自動洗浄機能の高性能ぶりを教えられる。引きこもりのモーリーは、母親のミシンを見つけ、ばーちゃんに使い方を見せてもらい、自らスカートを縫う。彼はそれをはくとパニックを起こさずにピアノを弾くことができるようになる。レイは、ばーちゃんがエアギター番組を見ているのに付き合ううち、自分を表現する方法としてエアギターに打ち込むことで、自分に自信を持つようになる。
ばーちゃんと三人は一緒にギョーザパーティを開き、心を通わせ始める。レイはばーちゃんが自動洗浄機能付きトイレが好きであることを確認すると、欲しかったプラモデルを諦め、3,000ドルでTOTOウォシュレットを購入する。しかし、ばーちゃんは入院してしまう。モーリーは再びピアノコンテストに挑むが、ステージ上でパニック障害が起きてしまう。それを見ていたばーちゃんは、車いすから立ち上がり、「モーリー、クール」と呼びかけてサムアップする。落ち着きを取り戻したモーリーは素晴らしい演奏を披露し、大喝采を浴びる。ばーちゃんは帰らぬ人となり、遺灰は母親の墓に撒かれるが、レイは遺灰をガラス瓶に入れて持ち帰る。レイは設置されたウォシュレットを初体験する。感動の後、ばーちゃんを亡くした悲しさから嗚咽し、トイレットペーパーで鼻を噛もうとしたとき、遺灰の瓶がトイレに落ち、流れ去ってしまうのだった。

かもめ食堂」や「めがね」の荻上直子監督らしい作品。外国人との心もとないやりとりや、料理を通じて心を通わせ合うという展開は、「かもめ食堂」と共通で、言葉を超えて交流していくさまは面白い。一方で、金を貸してくれという言葉をなぜか理解したりする辺りは作り物感があり、バス停のベンチに座り続けている女性(サチ・パーカー)の存在や、レイとリサやモーリーと血のつながりがないことが判明するという展開が、物語にどう生かされているのかはよくわからなかった。遺灰が流れるおちも、必要だったのか不明瞭で、ほっこりもしなければ膝を打つような痛快さもない、ぼんやりした終わり方。作中、一度しかセリフがなく、ずっと話さないもたいまさこを観ながら、こういう役どころは楽なのか大変なのかが気になったのだった。

【5段階評価】3

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2024年5月24日 (金)

(2682) Octopus

【監督】エンギン・エルデン
【出演】ユスフ・バイラクタル、リディア・アクス
【制作】2019年、トルコ

魚釣りに挑む男の子と女の子を描いた作品。12分の短編映画。

海辺で遊ぶ少年エフェ(ユスフ・バイラクタル)とエジェ(リディア・アクス)は、大人に負けじと魚釣りをしようとするが、海に向かう船に親は乗せてくれない。二人は家から釣り竿と餌用のパンを持ち出し、桟橋で釣りを始める。パンが尽きかけた頃、釣り竿に反応がある。船で戻ってきた大人たちの助けで、大きなタコが釣れる。大人たちは大喜びで、エジェもかわいいとはしゃぐが、大人は食料にするため容赦なくタコを岩に激しく打ち付け始める。エフェとエジェはドン引きしながら、その様子を見守るしかないのだった。

大人に負けない冒険をしようと奮闘する二人が、最後は大きなタコを前に何もできない、というそれだけの作品だが、こうやって成長するんだろうなあというほほえましい内容だった。

【5段階評価】2

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2024年5月23日 (木)

(2681) 八重子のハミング

【監督】佐々部清
【出演】升毅、高橋洋子、梅沢富美男、文音、安倍萌生、上月左知子、月影瞳
【制作】2016年、日本

アルツハイマー病を患った妻を看護した男性を描いた作品。陽(みなみ)信孝の小説が原作。

萩市の元校長で教育委員会委員長も務めた石崎誠吾(升毅)が、妻を看病した体験を講演で話しているシーンから始まる。誠吾は友人の医師、榎木(梅沢富美男)からガンを宣告される。胃を摘出する手術をし、その後も腸やすい臓にがんが見つかりながらも、手術に耐えていく。誠吾が手術のために入院したころから、妻の八重子(高橋洋子)の痴呆が始まり、榎木は若年性アルツハイマーに間違いないと告げる。誠吾は八重子を介護するため、ガンを乗り越えて生きる決意をする。
誠吾は献身的に妻の介護を続ける。誠吾は、周囲の人たちにも八重子がアルツハイマー病を患っていることを明かす。誠吾と八重子は教師をしており、教え子だった水本早紀(月影瞳)は、八重子の介護がしたいと介護の勉強を始める。誠吾は、講演活動もするようになり、八重子を講演会に連れていくこともあった。八重子を見世物にしているという批判もあったが、八重子はアルツハイマー病としては異例となる12年間も生き続け、自ら咀嚼して食べ物をとりつづけていた。八重子の葬儀には、長蛇の列ができる。音楽好きだった八重子のハミングが、いまも誠吾の脳裏に響くのだった。

明日の記憶」同様、若年性アルツハイマー病を扱った作品。介護する夫の側も、ガンを患っており、リアルな介護シーンには頭の下がる思いだ。それでも、病気を不幸なこととしてばかり扱わず、優しさが薬になる、アルツハイマー病のおかげで回りに優しさがあふれる、という解釈には心が温まった。脇役のイメージの強い升毅が主演をしている珍しい作品でもある。

【5段階評価】3

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2024年5月22日 (水)

(2680) ジェイコブス・ラダー

【監督】エイドリアン・ライン
【出演】ティム・ロビンス、エリザベス・ペーニャ、ダニー・アイエロ、マコーレー・カルキン
【制作】1990年、アメリカ

ベトナム帰還兵の精神的な苦しみを描いた作品。

1971年10月6日、メコン川デルタ地帯。修士卒で仲間から教授と呼ばれている米兵ジェイコブ・シンガー(ティム・ロビンス)らは、ベトナム戦争に従軍中、戦闘状態に入る。仲間が何人か錯乱状態になり、ジェイコブは大混乱から逃れるが、正面から来た何者かに腹部を刺され、意識を失う。気が付くと、彼は電車の中でまどろんでいた。家では恋人のジェジー(エリザベス・ペーニャ)が彼を待っていた。彼には妻サラ(パトリシア・カレンバー)と三人の息子がいたが、ジェジーと同棲しているのだった。末っ子のゲイブ(マコーレー・カルキン)は事故死しており、ジェイコブは彼の写真を見て涙ぐむ。ジェイコブは電車に引かれそうになったり、車に追われたりし、悪魔に追われているような感覚に悩まされる。戦友のポール(プルイット・テイラー・ビンス)も同じ悩みを彼に打ち明けるが、彼は直後に車の爆発で死亡。葬儀で集まった戦友たちは、ベトナム戦争で何かの人体実験が行われたのではないかと話し合い、弁護士のギャリー(ジェイソン・アレクサンダー)に相談。ギャリーは一度依頼を引き受けるが、その後、断りの連絡を入れてくる。ジェイコブはギャリーに抗議するが、はねつけられる。すると、突然、黒ずくめの男たちに車に拉致され、過去を探るなと脅される。車から逃げ出したジェイコブは病院に運び込まれ、怪しい廃墟のようになった場所に連れ込まれる。そこにジェイコブの治療を担当していた整体師のルイス(ダニー・アイエロ)が現れ、彼を車いすに乗せて救い出す。彼の整体により、ジェイコブは再び歩けるようになる。
帰宅したジェイコブのもとに、ベトナムの件を知っているという化学者から会いたいと連絡が入る。化学者の名はマイケル(マット・クレイブン)。マイケルはジェイコブを人気のないところに連れていくと、自分のかかわった人体実験について話し出す。マイケルは、米兵を興奮させて攻撃的にする薬「ラダー」を開発し、米兵に投与。その結果、米兵は互いに殺し合ったのだと言う。ジェイコブを刺したのも、敵兵ではなく仲間だった。話を聞いたジェイコブは、サラたちと住んでいた家に向かう。中には人の住んでいる気配があり、階段にはゲイブが座っていた。ジェイコブがゲイブに近づくと、ゲイブは彼を二階へといざない、光に包まれる。ジェイコブは、ベトナムの野戦病院のベッドの上におり、息を引き取る。ベトナム戦争でBZという幻覚剤が実験的に兵士に使われたという報告があるが、国防省は否定したのだった。

どこが現実でどこが幻覚か、よくわからないまま話が進むのだが、結果的に、ジェイコブはベトナムで戦死しており、帰国後のことは全てが死ぬ間際に彼が見た幻だったということがわかる。ところどころ現実を超越したシーンがあることについて、すべて説明がつく形だ。「ホーム・アローン」でスターとなったマコーレー・カルキンが、主人公の末っ子役として重要な役どころを演じているが、本作ではクレジットなしである。

【5段階評価】4

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2024年5月21日 (火)

(2679) 猫忍

【監督】渡辺武
【出演】大野拓朗、藤本泉、佐藤江梨子、船越英一郎、江本明、麿赤児
【制作】2017年、日本

猫とともに生きる抜け忍の運命を描いた作品。テレビドラマ「猫忍」の劇場版。

忍者の息子、陽炎太(鈴木福)は、父親の久世剣山(船越英一郎)と離れ離れとなる。成長した陽炎太(大野拓朗)は父親が消えた直後に見つけた赤鼻の猫を父親と信じ、ともに生きるようになる。桂木(麿赤児)の組織から抜けた陽炎太は青目(渋川清彦)の軍勢に追われ、宿に潜伏する。くノ一の紅葉(佐藤江梨子)は、仲居になりすまして陽炎太に接近。陽炎太の弱点が猫にあると気づき、彼女の手引きで青目は陽炎太を捕らえる。
剣山が盗み出した変化の術の巻物を探す桂木は、陽炎太を牢に入れて情報を引き出そうとするが、陽炎太は牢を脱出。幼馴染の燕(藤本泉)とともに父親猫を探しに行くが、その先で、家老となった剣山を発見。剣山は忍びの仕事のない泰平の世に、桂木一族を守るため、依頼主側に潜入し、出世していたのだった。陽炎太が父親と信じていた猫は、ただの猫だった。それでも陽炎太は、父親猫を取り戻すため、桂木のもとに向かう。そこに剣山が現れ、桂木に巻物を返す。そこには「人ハ変ハレル」とだけ書かれていた。桂木の執着は霧消し、一同は笑いに包まれる。父親との再会を果たした陽炎太だったが、父とは別々の道を進むことにするのだった。

コメディ調の作品だが、ナンセンスなギャグなどはなく、物語はしっかりしていた。「猫侍」も猫を取り入れた時代劇だが、こちらも物語は真面目。意外な共通点だった。

【5段階評価】3

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2024年5月20日 (月)

(2678) くまのプーさん ザ・ムービー はじめまして、ランピー!

【監督】フランク・ニッセン
【出演】ジム・カミングス(声)、ニキータ・ホプキンス(声)、カイル・スタンガー(声)、キャス・スーシー(声)
【制作】2005年、アメリカ

ディズニー・アニメ「くまのプーさん」の劇場版。象の親子との出会いを描いている。「くまのプーさん 完全保存版II ピグレット・ムービー」の続作。

100エーカーの森に、ラッパのような鳴き声が響く。プー(ジム・カミングス)らはラビット(ケン・サンソム)とともに、怪物ズオウを捕まえる冒険に出ることにする。しかし、子供のルー(ニキータ・ホプキンス)は仲間に入れてもらえず、一人でズオウを探しに行く。やがてルーは象の子供、ランピー(カイル・スタンガー)に出会う。二人は友だちになり、楽しく遊ぶ。しばらくしてランピーは母親のもとに帰ることにするが、見つからない。ルーは自分の母親カンガ(キャス・スーシー)のところにランピーを連れていく。ところがルーとランピーを見つけたラビットたちは、ランピーがルーを捕まえたのだと早合点してランピーを追いかけ、ランピーは逃げ出してしまう。ルーは誤解を解き、ランピーと母親(ブレンダ・ブレッシン)はプーたちの仲間になるのだった。

新たな登場人物、ランピーと母親がルーたちと出会う物語。プーさんはわき役程度でしか登場しない。子供向け作品で、退屈だった。

【5段階評価】2

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2024年5月19日 (日)

(2677) エア★アメリカ

【監督】ロジャー・スポティスウッド
【出演】ロバート・ダウニー・Jr、メル・ギブソン、レイン・スミス、バート・クウォーク、ナンシー・トラビス
【制作】1990年、アメリカ

ラオスの航空会社に勤めることになった若者と先輩パイロットの活躍を描いた作品。

ラジオの交通情報担当をしていたビリー(ロバート・ダウニー・Jr)は、新しい仕事を求めてラオスにあるエア・アメリカ社に転職。戦争とは縁がないと聞いていたのに、先輩パイロットのジニーは機関銃のウジを持っており、ビリーは驚く。ジニーは武器の横流しをして金を稼いでおり、退職金変わりだと悪びれない。ビリーは輸送中に敵に攻撃されて不時着を余儀なくされたりしながら、現地の混沌になじんでいく。
ラオスに、ダベンポート上院議員(レイン・スミス)が視察に訪れる。彼はラオスでの麻薬密売を突き止め、手柄にしようとしていた。麻薬密造を手掛けているラオスのスーン将軍(バート・クウォーク)は、レモンド少佐(ケン・ジェンキンス)やロブ・ディール(デビッド・マーシャル・グラント)と共謀し、パイロットに罪を擦り付けていけにえにしようとするが、ビリーに気づかれ、失敗する。
ジニーは、最後に大量の武器を密売して足を洗おうとするが、社会福祉活動家のコリンヌ(ナンシー・トラビス)の救援要請に応え、迷いながらも現地に向かう。コリンヌは自分だけではなく、多くの現地民とともに輸送機に乗ろうとしていた。ジニーは仕方なく積み込んだ武器を降ろして人々を乗せ、敵の略奪を防ぐため、残した武器を爆破して飛び去るのだった。

実話に基づく作品でよくある、最後に主人公たちのその後が文字で紹介されるというくだりが本作にもあるが、特に実話に基づくという表記はなく、紹介のくだりも含めてフィクションなのだろう。しかし、エア・アメリカという航空会社自体は実在し、きな臭い活動をしていたようだ。
物語はあまり面白くなかったが、飛行シーンなどの映像は本格的だった。

【5段階評価】2

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2024年5月18日 (土)

(2676) Father, Son and the Beach

【監督】許傑輝(シー・ジェーフイ)
【出演】姜仁(ジャン・レン)、洪瑜鴻(ホン・ユホン)
【制作】2020年、台湾

海に遊びに行く約束をした少年と父親の様子を描いた作品。19分の短編映画。

父子家庭の少年(姜仁)は、父親(洪瑜鴻)の仕事を手伝いをがんばっている。明日は少年が父親に海に連れて行ってもらう日。父親は少年をトラックに乗せて海に向かうが、途中の配達の仕事で怪我をしたり、急な用事で引き返したりする。少年の不安は的中し、時刻は3時に。父親が、またにしようと言ったため、少年は怒って車を降り、泣きながら海に行くと言って歩き出す。困った父親は工事現場を発見。工事現場に人はおらず、工事用の砂が積まれていた。父親はそこを砂浜に見立て、少年を出迎える。父親と砂遊びや水鉄砲で遊んだ後、満足したかと聞かれた少年は、波がない、と答える。父親はトラックの荷台に水を張っており、そこに息子を乗せて車を前後に動かすと、荷台に大きな波が生まれ、少年は大喜びするのだった。

海に連れて行ってもらうのが待ちきれず、行けないとわかって落ち込み、怒り、泣き出す少年の演技がとても自然。父親が母親と喧嘩して別れたか別居してるんだろうな、といった情報が会話の中でほのめかされたりするのも無駄がない。砂遊びが終わってエンドロールに入り、これで終わりかぁとややすっきりしないでいるとエンドロールが巻き戻り、息子が波がないと不平を言ってトラックの荷台の波のシーンになるという、遊び心のある演出もよかった。

【5段階評価】3

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2024年5月17日 (金)

(2675) 異人たちとの夏

【監督】大林宣彦
【出演】風間杜夫、片岡鶴太郎、秋吉久美子、名取裕子、永島敏行
【制作】1988年、日本

少年時代に亡くなった両親に出会った男の運命を描いた作品。

脚本家の原田英雄(風間杜夫)は、離婚してマンションで一人暮らし。ある日、同じマンションに住む唯一の住人(名取裕子)がシャンパンを手に秀雄の部屋の玄関に現れる。彼女はシャンパンを一人では飲みきれないので一緒に飲もうと誘ってくるが、仕事中だった英雄は彼女を追い返す。
ある日、仕事終わりに、故郷の浅草に行って寄席に入った英雄は、客席に父親(片岡鶴太郎)によく似た男がいて驚く。男は英雄を見つけると当たり前のように外に秀雄を連れ出し、家に連れて帰る。中には母親(秋吉久美子)がおり、二人は英雄を歓迎する。二人は本当に英雄の両親だった。英雄の両親は、英雄が12歳の時に交通事故で亡くなっていた。英雄は優しく温かい両親との再会を喜ぶ。
英雄が自宅のマンションに戻ると、以前追い返した女がいた。ご機嫌の英雄は、女性に今度飲もうと声をかけ、後日、家に招く。彼女の名は藤野桂(けい)。英雄と桂は愛し合うようになる。桂は胸に火傷の痕があると言い、決して胸を見ないよう英雄に約束させる。英雄は両親の家をたびたび訪ねるようになるが、なぜかほほがこけ、目にクマができてやつれていく。桂は英雄が両親の亡霊に会っている話を聞き、両親に会いに行くのをやめさせようとするが、英雄は約束を守らず、鏡に映る彼の顔は死人のような形相になっていく。とうとう英雄は両親にもう会えないと切り出す。両親は悲しみつつも、英雄が衰弱していることを知り、英雄の頼みを聞き入れる。三人は最後の思い出に、と今半のすき焼きを食べに行く。しかし、すき焼きが煮えた頃には、二人の姿は幻のように消えかかっていた。英雄は子供のように泣きながら「行かないで!」と訴えるが、二人は英雄の前から消えてしまう。家に帰った英雄は、桂に慰められていた。英雄のマンションに、英雄の仕事仲間の間宮一郎(永島敏行)が現れる。衰弱している英雄が心配で訪ねてきたのだ。間宮はロビーで英雄を待つが、管理人(奥村公延)に、マンションには英雄しかおらず、もう一人の住人だった女性は胸をチーズナイフでめった刺しにして自殺したと告げる。間宮は急いで明かりのついている女性の部屋に飛び込む。中には老人のような顔になった英雄と、桂がいた。桂が胸をはだけると、そこにはいくつもの刺し傷があった。桂は英雄に冷たく追い返された夜、自殺したのだった。桂の体は宙に浮き、英雄を道連れにしようとする。英雄はそれを受け入れようとするが、間宮が英雄を守り、桂は一人で消滅する。英雄と間宮は、英雄の両親が住んでいた辺りに行き、両親を弔うと、その場を去るのだった。

子供の頃に亡くした両親との再会という感動的な話と、男に取り付いた女の亡霊という怪談話が同居する珍しい作品。英雄のやつれた顔が、恐怖映画の特殊メイクのようなので、ぞっとする怖さがある。両親との再会は悲しくも心温まる話なのだが、恐怖映画嫌いな人は、観ないほうがいいかもしれない。

【5段階評価】4

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2024年5月16日 (木)

(2674) ラブポリス~ニート達の挽歌~

【監督】坂田佳弘
【出演】吉村崇、大地洋輔、芦名星、松田悟志、田野アサミ、多田愛佳、宮川花子、宮川大輔
【制作】2012年、日本

女性にもてたくて、失恋女性の恨みを晴らすサイトを開設した二人のニート男性の奮闘を描いたコメディ作品。

ニートのアキオ(吉村崇)とトオル(大地洋輔)は女との出会いを求め、失恋女性の復讐を引き受けるサイト、ラブポリスを開設。復讐を果たした後に女性にやらせてくれと頼んでは砕け散る。女にはもてず、危険な目にも遭い始めたため、活動をやめることにする。ところが、トオルの妹、ユカリ(芦名星)がサイトに悩みを打ち明ける。ヤクザの店を仕切るサトシ(松田悟志)という恋人と別れようとしたところ、付き合っている際に撮られた動画をネタに、200万の手切れ金を要求されたのだ。アキオは、トオルには内緒で単身、サトシに挑み、動画を収めた携帯を奪い取ろうとするが、サトシの取り巻きに袋叩きに遭う。そこにトオルも現れる。トオルもボコボコにされるが、いつものように緊張から腹を下し、漏らしてしまう。サトシの取り巻きが臭さにひるんだすきに、アキオとトオルは逃げおおせる。二人はユカリに会う。ユカリはニートだと馬鹿にしていた二人が頼みを聞いてくれたことに感謝する。アキオは、よせばいいのにいつものようにユカリにやらせてくれと頼んでしまい、案の定断られるが、二人は仲よく、今度はラブドクターという占いサイトを開設するのだった。

宮川大輔花子や、鳥居みゆき、東京ダイナマイトの松田大輔、山里亮太やたむらけんじ、といったお笑いタレントが多数出演。安っぽいC級映画かと思ったが、それなりに楽しめた。評価4にまではしなかったが。

【5段階評価】3

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2024年5月15日 (水)

(2673) すずめの戸締まり

【監督】新海誠
【出演】原菜乃華(声)、松村北斗(声)、山根あん(声)、深津絵里(声)、神木隆之介(声)
【制作】2022年、日本

災害を封じる使命を持つ男と、それに協力する女子高生の運命を描いたアニメ作品。

幼い頃に母を亡くした岩戸鈴芽(すずめ)(原菜乃華)は、独身の叔母、環(たまき)(深津絵里)と宮崎で二人暮らし。ある日、学校から見える山から得体のしれない物体が立ち上っているのを見つけた鈴芽がそこに向かうと、登校中にすれ違った男性(松村北斗)が、物体が噴き出す扉を閉めようと奮闘しているところを見つけ、彼に協力する。男性の名は宗像草太。彼は大学の教育学部に通いながら、災害を防ぐ閉じ師を生業としていた。鈴芽は、負傷した草太を家に連れ帰り、応急措置をする。そこに不思議な猫(山根あん)が現れ、草太を椅子の姿に変えてしまう。鈴芽は、SNSにアップされ、ダイジンと名付けられた猫を追って、愛媛に渡る。鈴芽は椅子になった草太と協力しながら、扉から噴き出す「みみず」を封印しながら、神戸、東京と旅を続ける。東京で草太は封印をするための「要石」となってしまう。鈴芽は草太を救うため、草太の友人の芹澤朋也(神木隆之介)と環とともに、鈴芽の故郷、東北に向かう。鈴芽は震災で廃墟となった場所で扉をくぐり、要石となった草太を発見。ダイジンと協力して草太を救い出す。草太は各地の災いを鎮める旅を続け、鈴芽はそれを見送るが、やがて再会を果たすのだった。

テーマが難解というか深淵というか高尚というか、ご立派だが、要するによくわからない作品だった。庶民的には「君の名は。」ぐらいの方が分かりやすかった。ミミズは「もののけ姫」に出てくるもののけのようで、後半に登場する巨大化したサダイジンは「千と千尋の神隠し」のハクを彷彿とさせ、宮崎アニメの影響を感じた。クライマックスで、幼少期の鈴芽(三浦あかり)が震災直後に出会ったのが、母ではなく成長した鈴芽だったという展開が、はっとさせるところはあったものの、それがなければ評価2にしてしまいそうな内容だった。

【5段階評価】3

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2024年5月14日 (火)

(2672) 映画 プリキュアオールスターズDX2 希望の光☆レインボージュエルを守れ!

【監督】大塚隆史
【出演】水樹奈々(声)、水沢史絵(声)、梁田清之(声)、三瓶由布子(声)
【制作】2010年、日本

テレビアニメ、プリキュアシリーズの登場人物が活躍するアニメ作品。「映画 プリキュアオールスターズDX みんなともだちっ☆奇跡の全員大集合!」の続編。

登場するのは、「ハートキャッチプリキュア!」のキュアブロッサム(水樹奈々)とキュアマリン(水沢史絵)、「フレッシュプリキュア!」の「キュアピーチ(沖佳苗)、キュアベリー(喜多村英梨)、キュアパイン(中川亜紀子)、キュアパッション(小松由佳)、「Yes! プリキュア5/Yes! プリキュア5GoGo!」のキュアドリーム(三瓶由布子)、キュアルージュ(竹内順子)、キュアレモネード(伊瀬茉莉也)、キュアミント(永野愛)、キュアアクア(前田愛)、ミルキィローズ(仙台エリ)、「ふたりはプリキュア Splash Star」のキュアブルーム(樹元オリエ)、キュアイーグレット(榎本温子)、「ふたりはプリキュア/ふたりはプリキュアMax Heart」のキュアブラック(本名陽子)、キュアホワイト(ゆかな)、シャイニールミナス(田中理恵)と、それぞれの妖精たち。
レインボージュエルを狙うボトム(梁田清之)や歴代のボスたちを相手に、プリキュアたちが希望を胸に戦い、勝利する。

主人公たちが劣勢の暗い展開が長め。仲間が集まって希望の光を力に変えて敵に挑むところでは、不覚にも感動してしまった。

【5段階評価】3

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2024年5月13日 (月)

(2671) ある愛の詩

【監督】アーサー・ヒラー
【出演】ライアン・オニール、アリ・マッグロー、ジョン・マーリー、レイ・ミランド
【制作】1970年、アメリカ

若い男女の悲恋を描いた作品。

大富豪の息子、オリバー・バレット4世(ライアン・オニール)は、勝ち気な女性、ジェニー・カバレリ(アリ・マッグロー)を好きになり、二人は恋人同士となる。オリバーは、父親(レイ・ミランド)の反対を押し切ってジェニーと結婚。仲睦まじく暮らす。子どもがもうけられないことを医師に相談したオリバーは、ジェニーが血液の病気で死期が近いことを知らされる。ジェニーもそれを知るが、彼女は死を受け入れ、オリバーに見守られながら息を引き取る。オリバーは雪の積もった公園に座り、彼女に思いをはせるのだった。

チャンチャンチャンチャンチャーン、チャンチャンチャンチャンチャンチャンチャンチャンチャンチャンチャンチャーンというテーマ曲が有名。愛した女性が若くして不治の病で亡くなるという、恋愛映画の王道の作品。感情をむき出しにした演出はなく、物静かな作品だった。

【5段階評価】3

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2024年5月12日 (日)

(2670) 日本列島生きもの超伝説 劇場版ダーウィンが来た!

【監督】久保嶋江実
【出演】龍田直樹(声)、水瀬いのり(声)、こうちゃん、須貝駿貴
【制作】2023年、日本

日本の自然や動物の姿を伝える子供向け教育映画。「驚き! 海の生きもの超伝説 劇場版ダーウィンが来た!」の続作。

登場するのは、ヒグマやキタキツネ、ヤンバルクイナ、ユキウサギ、ニホンザル、オオサンショウウオのほか、都会に生息するタヌキなど、日本にゆかりのある動物。

オオカマキリが小鳥を捕らえる姿なども興味深かった。

【5段階評価】3

 

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2024年5月11日 (土)

(2669) The Hug

【監督】イナキ・サンチェス・アリエタ
【出演】トニ・アグスティ、シキ・フェルナンデス、マリア・サモラ
【制作】2015年、スペイン

スーパーで見知らぬ夫人に話しかけられた男に起きた出来事を描いた作品。10分の短編。

三人兄弟の長男ラウル(トニ・アグスティ)はスーパーでの買い物中、電話で妹パトリシアと弟トニーの兄弟げんかを仲裁。しかし弟にキレられ、憤慨して電話を切る。彼がレジに並ぶと、前に並んでいた婦人(シキ・フェルナンデス)が彼を見つめ、彼の声が、最近交通事故で死んだ息子に似ていると言って、ハグを求めてくる。トニーがそれに応じると、婦人は、彼の電話の声を持ち出し、何があっても怒っちゃダメ、と言って去っていく。彼女の話を聞き、ラウルはトニーに再び電話をし、怒ったことを謝罪する。
レジの清算を終えた店員(マリア・サモラ)の示した値段を聞いて、ラウルはその高さに驚く。店員は、お母様の分と合計です、と告げる。何があっても怒っちゃダメ、という言葉を思い出したのか、それとも、見合うだけのものが得られたと思ったのか、ラウルは支払いに応じるのだった。

単純に心温まる話なのかと思いきや、どんでん返しが待っているという、ユーモアのある作品。長々とだます相手とハグし、涙を流す婦人の度胸と演技力がすごい。これなら騙されても「まあいいか」と思ってしまいそうだった。

【5段階評価】3

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2024年5月10日 (金)

(2668) 長崎ぶらぶら節

【監督】深町幸男
【出演】吉永小百合、渡哲也、原田知世、いしだあゆみ、藤村志保、永島敏行、高橋かおり、尾上紫、松村達雄
【制作】2000年、日本

長崎のお座敷唄を残そうとする学者と芸者の生きざまを描いた作品。なかにし礼の小説が原作。

長崎丸山の芸者、愛八(吉永小百合)は唄の得意な芸者。遊び人の学者、古賀十二郎(じゅうじろう)(渡哲也)は、彼女の歌に聞きほれ、長崎の消えゆく唄を一緒に残さないかと誘う。愛八は、旦那(松村達雄)と縁を切り、古賀と唄を記録する旅に出る。愛八は古賀を愛するようになっていたが、古賀には妻(いしだあゆみ)がおり、二人が体を重ねることはなかった。
財産を使い尽くした古賀と古芸者の関係を揶揄する悪いうわさが流れる中、古賀と愛八は探し求めていた「ぶらぶら節」の記録を見つける。それは、愛八が幼少の頃に身売りされた道中で教えてもらった唄だった。その唄は、著名な詩人、西條八十(岸部一徳)の耳に入り、西条はレコード化。愛八は売れっ子になり、古賀も一財をなす。
古賀が地元に来ることになるが、愛八は彼には会わず、手塩をかけて育てた雪千代(尾上紫(おのえゆかり))を行かせる。愛八は、雪千代を育てるために重ねてきた苦労が祟り、神社の参道で倒れる。彼女は、幼少期に見た蛍の光に抱かれるのだった。

大正時代の芸者の世界を丹念に描写しているのが興味を引く。「夢千代日記」も芸者や旅芸人の風俗を描いており、こちらも吉永小百合主演。吉永小百合だけでなく、原田知世もお座敷唄を披露しており、名女優というのは、演技だけではなく舞や唄も立派なものなのだと驚かされる。
一方で、お喜美(高橋かおり)がいなくなったり、関取の三発山(みはつやま)(永島敏行)が連れ戻しにいったり、というくだりは、なんだかよくわからなかった。

【5段階評価】3

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2024年5月 9日 (木)

(2667) 耳かきランデブー

【監督】ふくだみゆき
【出演】春風亭ぴっかり☆、山本博、村上純、ヘイデル龍生、廣澤恵、二宮芽生
【制作】2017年、日本

人の耳かきが大好きな女の恋の行方を描いた作品。

樺澤さやか(春風亭ぴっかり☆)は、耳かきフェチで、同棲中の恋人、須田啓太(山本博)の耳かきをしては耳垢を写真に収めて喜んでおり、何本も耳かきを持っていた。啓太は麻雀に行くといってしばしば不在がちになるが、さやかは啓太の浮気を疑うには至らない。ある日、啓太は、駅前で見つけたと言って、さやかに耳かきをプレゼント。さやかは喜ぶ。
転職してきた小林(村上純)と仕事で組むことになったさやかは、彼が1か月も耳掃除をしていないのを知り、彼の耳かきをして至福の時を得る。さやかは啓太には内緒で小林の耳かきを繰り返すうち、啓太の耳かきが物足りなく、おろそかになっていく。啓太はさやかの耳かき浮気現場を発見。さやかにあきれて同棲を解消してしまう。
さやかは、実家のこけし屋に取材に行くことになり、そこで耳かきの失敗作を発見。母親(廣澤恵)と父親(ヘイデル龍生(たつお))から、啓太がさやかにサプライズプレゼントをするため、麻雀に行くと嘘をついて父親のもとで修行し、耳かきづくりをしていたのだと知らされる。それを聞いたさやかは啓太に連絡。啓太に謝罪する。啓太は、さやかの耳掃除をすると、不器用そうにプロポーズをし始めるのだった。

啓太の麻雀に行くという挙動不審の姿が、いかにも浮気と思わせておいて、最後にすてきな落ちが用意されていた。短い作品だがわかりやすく楽しい内容。公開当時37歳の春風亭ぴっかり☆がけっこうかわいく見えた。

【5段階評価】3

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2024年5月 8日 (水)

(2666) シェルブールの雨傘

【監督】ジャック・ドゥミ
【出演】カトリーヌ・ドヌーブ、ニーノ・カステルヌーボ、アンヌ・ベルノン、マルク・ミシェル、エレン・ファルナー
【制作】1964年、フランス、西ドイツ

若い男女の恋の行く末を描いたミュージカル映画。

自動車修理工のギイ(ニーノ・カステルヌーボ)とシェルブール雨傘店の娘、ジュヌビエーブ(カトリーヌ・ドヌーブ)は恋人同士。ジュヌビエーブはギイとの結婚を夢見るが、母親のエムリ(アンヌ・ベルノン)は反対。裕福で紳士的な青年ローラン・カサール(マルク・ミシェル)が娘の相手にふさわしいと考える。そんな中、ギイは2年の兵役に就くことになる。
ジュヌビエーブはギイからの手紙を楽しみに日々を過ごす。彼女はギイの子を身ごもっていた。ローランはエムリに、ジュヌビエーブと結婚したいと告げる。彼はジュヌビエーブの妊娠を知ってなお、自分たちの子として育てようと言って彼女にプロポーズ。ジュヌビエーヌはローランとの結婚を決める。
兵役から戻ったギイは、シェルブール雨傘店に行くが、店はなかった。ギイの叔母(ミレーユ・ペレー)が亡くなり、自暴自棄になったギイだったが、叔母の世話をしていたマドレーヌ(エレン・ファルナー)が心の支えとなり、ギイは立ち直る。叔母の遺品を処分したギイは、マドレーヌと結婚。ガソリンスタンドの経営を始める。そこに、娘を乗せたジュヌビエーヌが給油に現れる。偶然の再会に驚く二人。二人は互いの幸せを確認し、別れるのだった。

物悲しいテーマ曲が有名なミュージカル映画。ミュージカルと言ってもダンスはなく、普通の演技をしながら、セリフが全て歌になっているという形式。レギュラーですかハイオクですか、みたいな発言まで歌なので、不自然と言えば不自然。なお、歌は演技をしている俳優とは別の人が担当している。要は俳優は口パク。それでも俳優の口の動きと歌がしっかり合っており、その面での不自然さはなかった。
物語に注目すると、ジュヌビエーブは、ギイが兵役に出ると決まったとき、ギイが別の女性とくっつくことをやたら心配しておきながら、何のことはない、自分の方が何の落ち度もないギイを袖にして別の男と結婚したわけで、悲恋の名作かと言うと、単なる浮気女の話である。もうちょっと、ジュヌビエーブがギイを諦めざるを得ない事情とか、避けがたい誤解が生じたとかが描かれているべきだったんじゃないの、と感じた。

【5段階評価】3

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2024年5月 7日 (火)

(2665) 夢千代日記

【監督】浦山桐郎
【出演】吉永小百合、北大路欣也、加藤武、樹木希林、名取裕子、前田吟、田中好子、小川真由美
【制作】1985年、日本

白血病を患った女性と旅芸人の男の運命を描いた作品。

兵庫県の湯村温泉で芸者のおかみをしている夢千代(吉永小百合)は被爆二世で白血病を患っており、余命半年だった。彼女は、入院ではなく地元で残りの人生を過ごすことを決める。神戸の病院から地元に帰る列車の中で、彼女は、列車が鉄橋を渡るときに人が落下するのを目撃する。後ろに座っていた旅芸人の宗方(北大路欣也)は、はじめは自分も見たと夢千代に答えたものの、温泉街についてからは否定する。しかし、夢千代が、無実の罪を着せられそうな容疑者のために、落下した人が手を合わせていたという目撃談を宗方から引き出そうとする姿を見て、宗方は心を苦しめる。宗方は、話を聞きに来た藤森刑事(加藤武)に、確かに落下した人は手を合わせていたと話すと、夢千代に自分は殺人犯だと告げ、別れを伝えて逃走する。
宗方は、15年前、父親を誤って階下に突き落として死なせた殺人容疑者だった。あとひと月半の時効を迎えるまで逃走を続けており、目撃者として関わるのを避けていたのだ。夢千代は、若い芸者、紅(田中好子)が宗方を見かけたという話をもとに、隠岐に向かう。そこは宗方の亡くなった父親の故郷だった。夢千代は宗方に会い、宗方のこれまでの話を聞くと、宗方に愛を告げ、彼と結ばれる。宗方は逃げることをやめ、病に苦しむ夢千代を湯村に連れて帰る。夢千代は芸者仲間に見守られ、床に入る。彼女を見守る宗方を、藤森刑事はそっと逮捕し、連行するのだった。

吉永小百合が主演の文学的な作品。夢千代のほかにも芸者が登場。踊りの苦手な兎(名取裕子)は、木浦(前田吟)という、子を産めない体の妻を持つ男に頼まれ、木浦の子を身ごもる。事の次第に気づいた妻(左時枝)が兎に会いに来ると、兎は落ち着きを崩さず、自分は木浦の妻になる気はない、生まれた子はすぐ連れて行って構わないと話す。木浦の妻は兎に、よろしくお願いしますと頭を下げる。若い紅は、妻帯者のスキーコーチに恋をするが振られてしまい、母の位牌を胸に海に身を投げようとするが、たまたま様子を見ていたカメラマンに救助される。小夢(斉藤絵里)は、画家の大家、山科東窓(浜村純)に気に入られる。小夢の裸体に興奮した東窓が、小夢に抱き着き、腹上死する。がんに侵され、余命わずかな命を燃やし尽くしたのだった。芸者に加え、子供が旅をしながら仕事をしている旅芸者やストリップ劇場も登場。旧習に包まれた風俗が描かれている。

【5段階評価】3

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2024年5月 6日 (月)

(2664) 60歳のラブレター

【監督】深川栄洋
【出演】中村雅俊、原田美枝子、井上順、戸田恵子、イッセー尾形、綾戸千絵、原沙知絵
【制作】2009年、日本

60歳を迎える男女の恋や愛情を描いた作品。

大手建設会社の専務取締役、橘孝平(中村雅俊)は定年を迎え、会社を辞して愛人(原沙知絵)の営むベンチャー企業に再就職する。30年間連れ添ったちひろ(原田美枝子)とは離婚。家族は孝平の不倫を知っており、娘のマキ(星野真里)は父親に冷たく当たる。専業主婦で仕事経験のないちひろは、独身女性翻訳家の長谷部麗子(戸田恵子)の家事手伝いを始める。ちひろは、麗子に勧められて、バツイチ作家の麻生圭一郎(石黒賢)の主催するパーティに出席し、麻生の目に留まる。麻生とデートしたちひろは、従順に夫に尽くしてきた過去を明かし、一度だけラベンダー畑を見に行きたいとわがままを言ったことがある、と話す。麻生はちひろに同情し、彼女を富良野に誘う。孝平は、麻生がスポーツカーでちひろを家まで送るのを見かけ、嫉妬する。孝平は新会社にベテランとして入ったのだが、大手企業にいた頃の影響力を喪失していることを自覚する。
麗子は、翻訳の技術的監修を医師の佐伯静夫(井上順)から受けていた。静夫は妻と死別しており、一人娘の理花(金澤美穂)と二人暮らし。静夫は血を見るのが苦手で大腸菌の研究に没頭してきた経緯を持ち、医者としては冴えない男だったが、麗子は彼に好意を抱く。麗子は料理上手のちひろに教えを請いながら、静夫と理花を食事に招き、目いっぱいもてなすが、理花は、気を遣って話しかける麗子の気持ちも、麗子に英語を教えてもらうといいと言って両者の関係をとりなそうとする父親の気持ちも一顧だにせず、煙草と酒をたしなみ、派手な服と化粧に身を包んだ麗子を罵倒し、部屋から出て行ってしまう。静夫は娘の非礼を麗子に謝罪するが、麗子は静夫を見送り、さよなら、と別れを告げる。部屋で落ち込んでいた麗子の部屋に、理花が再び現れる。ひどいことを言ったことの謝罪かと思ったら、まじめな父親に軽い気持ちで接しているのなら許さない、という宣戦布告だった。麗子は、この年で人に恋することが軽い気持ちな訳がないだろう、子供と大人を使い分けてかき回すな、と本気で言い返した後、父親は返す、と力なく告げる。理花は部屋のソファで横たわったままの麗子の横で何かをしたため始める。
ちひろの行きつけの魚屋を営む松山正彦(イッセー尾形)と光江(綾戸千絵)の夫妻は、表面上は口喧嘩ばかりだが、仲睦まじく暮らしており、糖尿気味の正彦のジョギングに妻が付き合っていた。正彦は元グループサウンズのボーカルで、追っかけをしていた光江と結婚したのだった。正彦はジョギングルートの楽器店に飾られたギターの名品マーチンを物欲しそうに眺めるのが常だったが、ついにマーチンは売れてしまう。妻の支援の甲斐もあって、正彦は担当医の静夫から、ようやく制限付きの飲酒の許可が出て喜ぶが、静夫は正彦の妻、光江の異変に気付く。彼女に脳腫瘍ができており、成功率5割ほどの手術を受けることになる。手術に臨む光江は、押し入れのふすまを直してほしいと正彦に頼む。帰宅して光江の身の回りの物を荷物詰めした静夫が押し入れを開けると、そこには、静夫が望んでやまなかったマーチンがあった。光江が誕生祝にへそくりで27万もするギターをプレゼントしてくれていたのだ。完全に死亡フラグ。静夫はそのギターを抱えて病院に入り、昏睡中の光江の横でビートルズの「ミッシェル」を歌い続ける。翌朝、光江は目を覚ます。光江の手術が成功したことを知り、静夫は光江に泣きついて喜ぶ。
麗子が静夫にさよならを言った次の日。静夫が突然、麗子の家を訪ねてくる。化粧を落とし、普段着でみすぼらしい恰好を恥ずかしがる麗子を気にも留めず、静夫は、娘に英語が分からないので訳してほしいと頼まれた、と言って、英文を読み始める。それは拙い中学生英語で、お金もなく出世もしておらず、もう年で生意気な娘までいるが、それでもよければ結婚を前提に付き合ってほしい、というラブレターだった。麗子は泣きながら一文一文を日本語に訳すと、最後の「I love you, Reiko.」は訳さず、「I love you too, Shizuo」と返す。理花が二人の交際を認めたのだった。
病院の新生児室に孫を見に来ていた孝平のもとに、彼を探して四国から来た若い男、北島進(石田卓也)が現れる。彼は、孝平とちひろが新婚旅行で訪れた写真館の主人の孫だった。ちひろは写真館で、30年後の夫に手紙を書いていた。そこには、画家志望だったあなたの絵を見てみたいと書かれていた。孝平はひざを落とす。光江に一心不乱に歌を聞かせている正彦を見た孝平は病室を飛び出して、娘のマキが八木沼等(内田朝陽)と同棲している家に上がり込み、白い布地に絵を描き殴りはじめる。翌朝、彼は愛人に辞表を渡して北海道に飛び、麻生と富良野に来ていたちひろの前に現れると、そこに自分の描いた絵を張り出す。それは紫色に塗りたくられた、お世辞にも上手とは言えないラベンダー畑の絵だった。麻生の車からそれを見たちひろは、麻生と別れ、孝平のもとに戻る。孝平はやり直そうと言い、ちひろは頷く。抱き合う二人の周りには、さっきまでなかったはずのラベンダーの花が一面に咲いているのだった。

泣ける映画はこれまでにも観てきたが、本作ほど泣いている時間の長い作品はなかった。後半は泣いては落ち着き、泣いては落ち着き、の繰り返しだった。
まず、描き方の品がいい。絶叫してみたり、人が死んでみたり、みたいなお涙頂戴ではなく、抑制のきいた芝居になっている。ところどころ、それは作り話すぎるだろ、というところはなくもないが、三組の男女の話がどれもよかった。
また、オムニバス形式だが、登場人物の重なり合い具合もいい。全然重ならないのは、別々の話をくっつけただけじゃん、となるが、あんまり絡めすぎると作り話感(そんなに都合よくいくかよ的な)が増す。孝平と麗子は面識はないままだし、ちひろと静夫も接点はない。正彦と光江も麗子とは会わない。上のあらすじは、人物ごとにまとめて書いているが、作品では個々の話がもっと織り交ざって進行する。最初に登場する、首都高を迷いながら走る田舎の若者は何者なのか、という大きな謎が背骨のように物語の軸に居残り続け、後半にやっと明かされるというのも巧みな脚本。ベタなタイトルの作品だが、こんなに感動するとは思わなかった。
一方、何のとりえもない専業主婦という設定にしては、ちひろを演じる原田美枝子は、美人すぎた。もうちょっと性格俳優的な人の配役で観てみたかった気がした。もう一つ残念だったのは、孝平が仕事面でうまくいかなくなるという描写に時間を使い過ぎたこと。大手企業を離れて影響力を失った彼が、分かれた妻とよりを戻すという展開は、逆に言えば愛人とのベンチャー企業経営に挫折し、元妻に逃げ戻った都合のいい男とも受け取れてしまう。業務の流れが他の登場人物ともからまず、時間をかけて描く意味が薄かった。それであればむしろ彼の絵画に対するぬぐい切れぬ憧憬の念、妻に絵描きの夢を語っていた過去などを描くのもありだった。

【5段階評価】5

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2024年5月 5日 (日)

(2663) Millions of tears

【監督】ナタリー・ベーダー
【出演】アンドレ・ウィルム、ミリアム・テカイア、ナタリー・ベーダー
【制作】2015年、フランス

初老の男と金欠の若い女の関係を描いた作品。23分の短編映画。

外は雨。初老の男(アンドレ・ウィルム)が食堂でコーヒーを飲んでいると、若い女(ミリアム・テカイア)が入ってくる。雨に濡れた女は男の座る席の隣のテーブルに陣取り、悪態をつきながら上着を脱ぎ、無遠慮に、荷物を見ていてくれと男に頼んでトイレに向かう。女が席に戻り、今度は男が荷物を見ていてくれと席を立って外でタバコを吸って戻ると、女はいなくなっていた。男はとっさにカバンを見るが、財布は無事だった。
男は車で女を探す。女は道路を早足で歩いていた。男は女に話しかけ、車に乗るよう誘う。女はいぶかしみつつも車に乗る。夜になり、男はホテルに泊まることにし、車に乗ったままの女に、車中泊するか、宿代は出すからホテルに泊まるか考えろ、と言うと、女はホテルに向かう男に付いていく。二人は別の部屋に泊まり、男が寝ていると、ノックの音がする。ドアを開けると、下着姿の女が立っており、知らないところでは寝られないと言って勝手に男のベッドにもぐりこむ。男は一緒に寝たくない、と言いつつ、仕方なくベッドに入る。
翌朝、男は先に車で待つ。女はなかなかやってこず、ホテルから出てくると、車ですればいいのに靴ひもを結び直したり(こういうのにイライラするのわかるわ)、男は遅いと文句を言い、ホテルのブランケットをくすねていた女にいらだつ。女は優しくしたり冷たくしたりなんなんだと文句を言い、男は黙ってろと叫ぶ。女が窓を開けて口笛を吹きだし、男は音がうるさいと言って、ついには女を車から押し出して走り去ってしまう。しかししばらくして男は車を反転させ、女を探す。女を見つけると、男は昼食を買ってやるからと言って再び女と合流する。男はハンバーガーを下品にほおばる女の行儀をたしなめつつも、ナプキンに火をつけてロケットだ、と言って、火をつけたナプキンが燃え尽きる瞬間に空中に飛び上がる様子を見せて喜ぶ。
男は目的地に着いたようだ。女に小銭をせがまれ、言われるがままに小銭を渡すと、男は係の者(ナタリー・ベーダー)に呼ばれて部屋に入る。そこは遺体安置所だった。彼は娘の遺体確認に来ていた。シーツに覆われた遺体から覗く手の指の爪は、車に乗っていた女と同じマニキュアで、遺留品にある靴下に入れた小銭も、女の持ち物と同じだった。男は小銭の入った靴下だけ持ち出すと、車に戻る。女は車内におらず、車の横でドアにもたれて座っていた。何をしていると聞かれた女は「隠れてた」と答え、降り始めた雨を避けて男は車に乗り込む。たたきつけるような雨が降るが、車に女は乗り込んでこない。車は激しく雨漏りし、男は濡れながら驚き戸惑うのだった。

最後まで来て、男と女のやりとりが、すべて父と娘の、ときに穏やかな、ときにぎこちない、そしてときに険悪なやりとりだったのだとわかり、「そうだったのか」という感動が押し寄せる。観る人によっては男の前に娘の幻影が現れたとも、男と女のシーンは全て回想だったとも受け取れるだろう。
同じ店に入って別のテーブルに座り、荷物を見ておけと命じる。男のベッドに無警戒に潜り込む。小銭を無遠慮にせびる。これらが父親に対する娘の行動だったのか、と思うととたんに納得がいく。逆に、女の行動の細かなことにいらだち、説教する。突き放しておきながら追いかける。食事で汚れた女の口元に手を伸ばし嫌がられる。これらも典型的な父親の行動だろう。
BS松竹東急の短編映画劇場を初めて観たが、いきなり当たり作を引いた感覚だ。

【5段階評価】4

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2024年5月 4日 (土)

(2662) メカニック

【監督】サイモン・ウェスト
【出演】ジェイソン・ステイサム、ベン・フォスター、ドナルド・サザーランド、トニー・ゴールドウィン
【制作】2011年、アメリカ

恩人を殺した凄腕の殺し屋が、恩人の息子を相棒に迎える。果たして殺し屋と息子の運命は。チャールズ・ブロンソン主演の1972年作品「メカニック」のリメイク。次作は「メカニック:ワールドミッション」(2016)。

腕利きの殺し屋、アーサー・ビショップ(ジェイソン・ステイサム)は、裏社会の大物ディーン・サンダーソン(トニー・ゴールドウィン)から、アーサーの恩人である車いすの老人、ハリー・マッケンナ(ドナルド・サザーランド)の殺害依頼を受ける。ハリーはディーンの仕事仲間だったが、ハリーが裏切りを働き、仲間5人を死に追いやったのだ。アーサーはハリーに電話し、今いる建物から逃げるよう伝えるが、それこそがアーサーの策略だった。ハリーは観念し、アーサーはハリーを射殺。ハリーがカージャックに襲われたように偽装工作する。
ハリーの息子スティーブ(ベン・フォスター)は父の死に接して自暴自棄になり、スラム街でカージャック犯をおびき寄せて撃ち殺そうとするが、アーサーはそれを阻止。スティーブは思い直してアーサーに弟子入りする。アーサーはスティーブにヒットマンの技術を伝え、彼を相棒にする。二人で何度か死地を乗り越えたころ、スティーブは、アーサーのガレージで、父が大切にしていた銃を発見。父を殺したのがアーサーだったと気づく。
アーサーは、ハリーの裏切りで死んだはずの仲間セバスチャン(デビッド・リーチ)が生きているのを空港で発見する。アーサーはセバスチャンに近寄り、話を聞く。彼はディーンに依頼され、仲間4人を殺して自分が死んだふりをしていた。ディーンがアーサーを騙してハリーを殺させたのだった。アーサーは、話を終えたとたんに襲い掛かってきたセバスチャンを死闘の末に倒すと、ディーンの居場所を突き止め、スティーブと協力してディーンを葬る。
アーサーはスティーブを乗せた車をガソリンスタンドに停める。スティーブは車を降り、給油口にガソリンを注ぐふりをして車の下にガソリンをまき、車に発砲。車は大炎上する。スティーブはアーサーのあじとに行き、アーサーが気に入っていた車に乗り込み、車を走らせる。ふと助手席を見るとメモがあり、そこには「お前はまもなく死ぬ(Steve, If you're reading this, then you're dead! Bishop)」と書かれていた。全てを覚悟してスティーブが笑い声をあげると、車は大爆発を起こす。アーサーはガソリンスタンドでスティーブが自分を殺そうとすることを予期しており、車が炎上する直前に車から脱出していた。アーサーは別の車に乗り換え、その場から走り去るのだった。

アーサーの暗殺技術に迫力があり、見応えがある。スティーブとアーサーが大きなわだかまりを乗り越えて信頼関係を結ぶような人間ドラマを期待したが、そうはならなかった。要するにスティーブは、アーサーが凄腕であることの引き立て役として、全編を通じて育てられた餌のようなものだった。そう考えると予定調和のむなしい作品だが、人間ドラマよりアクションを楽しむ娯楽作品。続編の「メカニック:ワールドミッション」も同様だ。

【5段階評価】3

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2024年5月 3日 (金)

(2661) 居眠り磐音

【監督】元木克英
【出演】松坂桃李、木村文乃、芳根京子、柄本佑、柄本明、佐々木蔵之介、谷原章介、波岡一喜
【制作】2019年、日本

許嫁と別れ浪人となった男の活躍を描いた時代劇。佐伯泰英の小説が原作。

3年間の江戸勤めを終えた若い武士、坂崎磐根(松坂桃李)は、幼馴染の小林琴平(柄本佑)、河出慎之輔(杉野遥亮)とともに豊後関前藩に戻る。豊後では、磐根の許嫁の奈緒(芳根京子)、慎之輔の妻の舞(宮下かな子)が彼らの帰りを待っていた。奈緒と舞は琴平の妹。帰りを急ぐ慎之輔の前に叔父の蔵持十三(水澤紳吾)が現れ、舞が浮気をしているという噂が広まっていると吹き込まれる。それを信じてしまった慎之輔は、舞に会うなり切り殺してしまう。それを知った琴平は舞の亡骸を引き取りに行くが、その場にいた十三を挑発し、かかってきたところを切り捨てる。舞が浮気が誤解だと悟って茫然自失となった慎之輔は琴平に切りかかろうとするが、返り討ちにされる。関前藩の国家老、宍戸文六(奥田瑛二)は、琴平を科人(とがびと)と決め、家臣に上位討ちを命じる。磐根は、琴平が立てこもる屋敷の敷地に入り、舞の浮気は誤解だと琴平に大声で伝える。琴平は磐根との勝負を望み、それに応じた磐根は琴平を激闘の末に葬る。小林家はお家断絶となり、奈緒は城下の村で病の両親と暮らすことになる。奈緒の兄を斬った磐根は、奈緒に合わせる顔がなく、脱藩して江戸に渡る。
磐根は鰻をさばく仕事をしながら、世話好きの大家、金兵衛(中村梅雀)の紹介で両替商の今津屋の用心棒となる。今津屋の主人、吉右衛門(谷原章介)は、老中、田村意次(西村まさ彦)の貨幣政策に賛同するが、反対派の阿波屋有楽斎(柄本明)は、剣豪の天童赤児(波岡一喜)や黒岩十三郎(阿部亮平)らを雇い、吉右衛門暗殺を企てるが、磐根が黒岩を斬り殺し、吉右衛門を守る。
磐根は一計を案じ、阿波屋が偽の貨幣を扱っていることを暴き出し、阿波屋を営業停止に追い込む。有楽斎は天童を磐根に差し向けようとするが、天童は落ちぶれた有楽斎を切り捨て、磐根との尋常の勝負に挑む。しかし、天童も磐根の相手ではなかった。金兵衛の娘、おこん(木村文乃)に傷の手当てを受けた磐根は、世話になった佐々木道場を訪れる。師範の佐々木玲圓(佐々木蔵之介)は吉原の遊郭から預かったという手紙を磐根に渡す。それは、遊郭に身を売った奈緒の手紙だった。磐根は吉原に向かうが、そこには花魁となり、磐根の手の届かない存在になった奈緒がいた。磐根は引き続き貧乏暮らしを続ける。そのそばには、磐根が奈緒と一緒になることを願うおこんがいるのだった。

最初の今津屋での磐根の立ち回りはかっこよく爽快で、阿波屋の悪行がお上にばれるあたりまではよかったのだが、天童に切られて死にかかった有楽斎が長々としゃべるあたりから芝居臭さが鼻につき出し、クライマックスの奈緒の花魁道中あたりは芝居がかり過ぎで、一気に冷めてしまった。胸を刀で貫かれた上に袈裟斬りにされた老人が、そんな長々としゃべれるわけないだろ、だし、「私はずっと磐根の妻だ」と誓う奈緒が、磐根に呼び止められて驚きも喜びもしないんかい、だし。全体的にご都合主義的な話の割に、結末だけは「障害を乗り越えた二人が結ばれる」という王道ストーリーになっていないという、どっちつかずの作品になってしまっていた。

【5段階評価】3

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2024年5月 2日 (木)

(2660) 華岡青洲の妻

【監督】増村保造
【出演】若尾文子、市川雷蔵、高峰秀子、伊藤雄之助、渡辺美佐子、原知佐子、浪花千栄子
【制作】1967年、日本

麻酔薬の開発とガンの手術の成功を目指す医者と、その母親と妻の確執を描いた作品。有吉佐和子の小説が原作。

紀伊の医者、華岡直道(伊藤雄之助)には、美しく賢い妻、於継(おつぎ)(高峰秀子)がおり、大庄屋の娘、加恵(若尾文子)は於継に憧れの念を抱いていた。その於継が、京都で医者修行中の息子、雲平(市川雷蔵)の嫁に加恵が欲しいと加恵の両親に申し出る。父親は身分が違うと反対するが、加恵は華岡家に嫁ぐことを決める。
雲平不在のまま加恵は嫁ぎ、しばらくは雲平を待つ身として、雲平への仕送り銭の確保のため、機織りに精を出す。ようやく雲平が帰ってくると、於継は息子に取り入り、加恵を子を産む道具のような扱いをし始める。やがて加恵は雲平改め青洲の子を身ごもるが、生まれたのは女の子。於継は跡取り息子が生まれないと安心できないと口にする。
青洲は、家の近くに咲く曼陀羅華(まんだらげ)の花の毒を成分とした麻酔薬の開発に乗り出す。猫を使った動物実験を繰り返し、猫に麻酔をかけることには成功するが、人体実験はできず、乳がんを患った青洲の妹の於勝(原知佐子)を救ってやることができず、死なせてしまう。於継は嘆き悲しみ、自分を人体実験に使ってほしい、息子の役に立つのが母の願いなのだから、と加恵への当てつけのように言い出す。加恵もまた、自分を実験台に使ってほしいと言い、青洲は二人を実験台に使うことにする。しかし実際には、母親にはただの眠り薬を与え、加恵には開発中の薬を投与する。加恵は三日昏睡の上回復する。青洲の別の妹、小陸(渡辺美佐子)は、加恵が麻酔薬のせいで光を感じ取れなくなっていることに気づく。
加恵は、自らの体で麻酔薬の実験を行っている青洲に、もう一度、実験台になると名乗り出る。加恵は失明するが、ついに麻酔薬が完成し、青洲は初めての乳がん摘出手術を成功させる。青洲は加恵に、立派になった診療所を案内する。加恵の献身は美談となるが、彼女自身はその後、人前に出ることなくひっそりと暮らすのだった。

華岡青洲という実在の医者を題材に、いわゆる嫁と姑のいがみあいを描いており、原作者有吉佐和子の着想が光る。しかし、お昼のメロドラマのような絵にかいたような姑いびりではなく、時々理解し合ったり、時々思いやったりするところが、逆にリアルで恐ろしい。
本作でも、「山河あり」や「永遠の人」同様、高峰秀子が若い女性から孫ができる年齢まで、世代をまたいだ役どころを演じている。若尾文子のような絶世の美人ではないところが、逆に老け役をしても嘘くさくならないのだろうと思える。

【5段階評価】3

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2024年5月 1日 (水)

(2659) ウミスズめし

【監督】中島良
【出演】久保田和靖、村田秀亮、青島あきな、坂本洋祐
【制作】2013年、日本

宮崎県門川町(かどがわちょう)の弁当屋の幼馴染の再会を描いた作品。

金丸タクマ(久保田和靖(かずのぶ))と金丸アズマ(村田秀亮)の兄弟は、宮崎県門川町で弁当屋を営んでいる。そこに、休業した従業員の助っ人として、東京で美人栄養士として活躍していた幼馴染の夕菜(青島あきな)が手伝いに来る。かわいい夕菜のおかげで店は大繁盛。しかし、夕菜は地元のだんじり祭りが終われば手伝いをやめることになっていた。夕菜が好きなタクマだったが、不器用なタクマは夕菜に東京に帰れと告げ、夕菜は涙ぐむ。弟に発破をかけられたタクマは地元の食材で弁当を作り、夕菜にふるまう。夕菜はそれをおいしいと言って泣きながら食べ、タクマは不器用そうにはにかむのだった。

とろサーモンの二人が主演の珍しい作品。物語は単純だが、おいしい料理を食べながら涙が出るというのは、なんだかわかる。とろサーモンの二人のキャラクターをうまく生かした内容だった。

【5段階評価】3

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