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2024年4月28日 (日)

(2656) 沈黙のパレード

【監督】西谷弘
【出演】福山雅治、柴咲コウ、北村一輝、飯尾和樹、椎名桔平、檀れい、吉田羊、戸田菜穂、出口夏希、田口浩正、岡山天音、酒向芳
【制作】2022年、日本

東野圭吾の小説、ガリレオシリーズの映画化第3弾。少女失踪殺人の謎を追う。「真夏の方程式」の続編。

歌手を志していた高校出たての少女、並木佐織(川床明日香)が行方不明となり、3年後、静岡で白骨となって発見される。関与が疑われたのは蓮沼寛一(村上淳)。彼は、過去にも少女殺害の嫌疑がかかったが、沈黙を貫き通して無罪となっており、本件でも不起訴処分になっていた。刑事の内海薫(柴咲コウ)は、物理学者の湯川学(福山雅治)に協力を依頼する。蓮沼は佐織の住んでいた東京都菊野市に戻り、佐織の父親、祐太郎(飯尾和樹)の営む小料理屋「なみきや」に現れ、家族や常連客を挑発する。
菊野市で恒例の仮装パレードが行われることになり、なみきやの常連客らも参加。蓮沼は菊野市で、知人の増村栄治(酒向芳)の住むプレハブ小屋の物置部屋に住んでいたが、パレードの日、死体で見つかる。睡眠薬が検出され、死因は窒息死だった。湯川は、部屋の中に液体窒素を充満させて窒息死させたと推理。実験により、それが事実だと判明する。祐太郎の親友、戸島修作(田口浩正)の店の作業場から液体窒素が持ち出されていることが判明。佐織の恋人だった高垣智也(岡山天音)が液体窒素ボンベを蓮沼の住む小屋に運んでいた防犯カメラの映像が見つかる。複数犯による犯行が疑われ、祐太郎が計画にかかわっていたはずだと考えた湯川はなみきやを訪ねるが、そこに、佐織の歌唱レッスンをしていた新倉直紀(椎名桔平)が自首したという知らせが入る。
直紀は、娘のようにかわいがっていた佐織を蓮沼が殺したのか問い詰めようと、液体窒素を部屋に吹き込み、蓮沼が児童公園に佐織を連れ込んで殺したと白状したのを聞き、そのまま殺したと証言する。蓮沼の過去の少女殺人事件を立件できなかった刑事の草薙俊平(北村一輝)は、その線で事件を落着させようとするが、湯川は、容易に白状しないことを学んでいた蓮沼が自供をするとは思えず、それを草薙も分かっているはずだと見抜く。薫は、児童公園という具体的な情報を直紀が知っていることを根拠に、直紀が真実を話しているのではないかと湯川に問うが、湯川は、直紀が別の事情でそれを知っていたのだと考える。直紀の妻、留美(檀れい)は、かつて歌手を目指して直紀のレッスンを受けていたが、売れずに夢を断念し、直紀と結婚したという過去を持っていた。佐織は、智也の子を身ごもり、歌手の道を諦めると児童公園で留美に相談。留美が直紀の思いを無駄にするのかと佐織を問い詰めると、佐織は夢を押し付けるのは重荷だと言い、留美が自分に嫉妬していると言い返す。留美はとっさに佐織を突き飛ばし、佐織は頭を打って倒れる。留美は現場から逃げ出し、思い直して現場に戻ると、佐織の姿は消えていた。蓮沼が、留美と佐織が争う様子を目撃し、脅しのネタに使えると佐織を連れ去っだのだ。直紀は、妻から事情を聴かされ、佐織殺害の罪で自首しようとしていた妻を守るために、蓮沼を殺害していた。しかし湯川は、真相は別にあると考える。佐織は、留美に突き飛ばされたときには死んでいなかった。蓮沼は、ゆすり目的で佐織をさらったものの、佐織は死んでおらず、静岡への運搬中に息を吹き返したため、蓮沼自身が佐織の後頭部を殴って殺害していたのだ。佐織のつけていたバレッタ(髪留め)に血痕がなかったことが決め手となり、草薙は直紀に留美が殺人犯ではないという事情を説明。蓮沼を液体窒素で苦しめて犯行を自供させようという計画に加担した祐太郎らは何らかの罪に問われることにはなったが、事件は落着するのだった。

当たりはずれのある東野圭吾原作映画の中では、当たりの部類だろう。腹痛を訴えた客(しゅはまはるみ)の搬送のため、蓮沼の小屋に行けなくなった祐太郎の代わりに、佐織の妹の夏美(出口夏希)が実行役を担ったのでは、なんていうミスリードがほのめかされたり、佐織の身ごもった子供は、智也の子ではなく、直紀が教え子に手を出してできた子で、それを知った留美が佐織を殺したのか、なんて考えさせられたりもした。蓮沼の同居人で、彼に睡眠薬を盛った増村栄治が、過去の少女誘拐殺人事件の被害者遺族の母親(山田キヌヲ)の異母兄妹だったというくだりには、ホロリとさせられたが、「容疑者Xの献身」の感動を超えるには至らなかった。

【5段階評価】4

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