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2024年3月 6日 (水)

(2603) 蜘蛛巣城

【監督】黒澤明
【出演】三船敏郎、山田五十鈴、千秋実、佐々木孝丸、三好栄子
【制作】1957年、日本

物の怪の予言に翻弄された武将の運命を描いた作品。シェイクスピアのマクベスを題材にしている。

迷路のような蜘蛛手の森に守られた蜘蛛巣城が乾の軍勢に攻められるが、一の砦を守る鷲津武時(三船敏郎)と二の砦を守る三木義明(千秋実)の活躍により、敵を北の舘(たち)に追い込む。武時と義明は勝利を大殿(佐々木孝丸)に報告するため、蜘蛛巣城に向かうが、蜘蛛手の森で迷い、老婆の物の怪(三好栄子)に出会う。物の怪は、武時が今宵、北の舘の殿となり、のちに蜘蛛巣城の城主となること、義明は今宵、一の砦の大将となり、息子が蜘蛛巣城の城主となると予言する。二人が城に戻ると、大殿は武時を北の舘の主に、義明を一の砦の宰領に任じる。予言が本当になり、二人は驚く。
北の舘の主となった武時に、妻の浅茅(あさじ)(山田五十鈴)は、義明が大殿に予言の話をしたら、大殿は地位を守るため武時を殺すだろうから、先手を打って大殿を討った方がいいと説く。武時は大殿を信じようとするが、そこに大殿が軍勢を率いて現れる。大殿は北の舘に本陣を構え、乾を討つと宣言し、武時に先陣の将を命じ、義明に蜘蛛巣城の留守を任せる。武時は浅茅の心配は杞憂だったと笑うが、浅茅は武時が前後から弓を射られ、義明は高見の見物をすると言い、いまが大殿を討つ好機だとそそのかす。浅茅は大殿の警護の者にしびれ薬入りの酒をふるまい、その隙に武時が大殿を殺害。浅茅は血濡れの槍を寝ている警護の者に持たせ、手水鉢で手を洗うと、則保(志村喬)の狼藉だと叫び、則保を追い出す。
武時は大殿の棺を蜘蛛巣城に運び、城を守る義明は開門して武時を迎え入れ、乾の攻撃に備えて武時を城主にすることを決める。子のいない武時は、義明の恩に報いるため、義明の息子を跡継ぎに選ぶことにする。浅茅はそれに反対し、身ごもったと報告。武時は義明と息子の義照(久保明)を暗殺させる。しかし、放った刺客は義明を仕留めたものの義照を逃がしてしまう。怒った武時は刺客を刺し殺す。
義照は乾の軍勢に身を寄せ、大群となって蜘蛛巣城に攻め寄せる。武時は森に入って老婆を探し、どうすればよいか尋ねる。物の怪は、蜘蛛手の森が動いて攻め込まない限り武時は無敵だと予言。武時は安心して城に戻る。ところが、懐妊した浅茅は死産し、気が触れてしまう。城内の兵士たちが浮足立つので、武時が外を見ると、何と森が城に迫っていた。武時は兵に向かて配置に付けと叫ぶが、彼に大量の矢が放たれる。兵士たちが敵に寝返ることを決めたのだ。武時は大量の矢を浴びて絶命。外には、切り出した木を盾にして進軍する乾の軍勢がいた。こうして予言は現実のものとなったのだった。

古いモノクロの作品だが、さすがは黒澤明監督作品。ところどころのシーンが微妙に長めだなと思うことはあるものの、物語の展開は先が気になり、引き込まれた。展開が読めてはしまったが。三船敏郎の鬼気迫る演技は見ごたえがあり、山田五十鈴の怪しさは、恐怖映画の域。最後の大量の矢も名シーンだった。

【5段階評価】4

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