(2584) 小説家を見つけたら
【監督】ガス・バン・サント
【出演】ロブ・ブラウン、ショーン・コネリー、アンナ・パキン、F・マーリー・エイブラハム
【制作】2000年、アメリカ
バスケットボールの才能と文才を持ち合わせた16歳の少年と年老いた元小説家との絆を描いた作品。
ブロンクスの高校に通うジャマール・ウォレス(ロブ・ブラウン)はバスケットボールが得意で、仲間とゲームに興じていた。彼らは、近くのアパートの上階からそれを覗き見ている老人がいることに気づいていた。彼らはアパートに侵入することにし、ジャマールが部屋に忍び込む。ジャマールは老人に気づかれ、自分のバックパックを置き忘れて慌てて逃げ出す。翌日、ジャマールがアパートの部屋に出入りしている人物に話しかけていると、上からバックパックが投げ落とされる。ジャマールは作文をしたためたノートを中に入れていたが、そこには数多くの添削がなされていた。ジャマールはそれをきっかけに老人(ショーン・コネリー)と交流するようになる。
ジャマールは、バスケットボールの能力と優秀な学業成績を買われ、一流の私立高メイラー校からスカウトされ、転校する。ジャマールは知り合いになったクレア・スペンス(アンナ・パキン)が持っていた小説を見て、知り合いになった老人が、小説を一冊書いただけで引退した伝説の小説家ウィリアム・フォレスターであることを知る。
ジャマールは、バスケットボール部で活躍し、作文のできばえも評価されるようになるが、国語教師のロバート・クロフォード(F・マーリー・エイブラハム)は、彼の文才が剽窃によるものではないかと疑う。ジャマールはウィリアムにお題をもらって書いた作文を作文コンテストに提出。しかしクロフォードは、そのタイトルが、かつてウィリアム・フォレスターが雑誌に寄稿した文章のタイトルであることを発見。作文コンテストへの参加を無効にし、評議会に諮ることを決める。ジャマールはウィリアムに報告するが、ウィリアムはジャマールにクロフォードへの謝罪文を書けとだけ言い、ジャマールは怒って部屋を出ていく。
作文コンテストの発表の日。参加者は自分の作品を朗読していくが、ジャマールにその順番は回ってこない。すると、その場にウィリアムが現れ、作文を一つ読みたい、とクロフォードに問う。伝説の小説家の申し出にクロフォードが喜んで応じると、ウィリアムは家族と友情についての文章を朗読。生徒や大人たちは素晴らしい文章に聞きほれる。クロフォードが絶賛しながらなぜ来てくれたのかウィリアムに問うと、ウィリアムは、口を封じられた自分の友のためにしゃべった、作文はジャマールが書いたものだ、と明かす。大恥をかくことになったクロフォードはそれでもコンテスト失格は逃れられないと強弁するが、教育会会長がジャマールの評議会の話を無効にし、16歳の彼の才能を称賛する。拍手に見送られながら教室を出たジャマールに、ウィリアムは故郷に旅に出ると言い残して自転車で走り去る。
最終学年を迎えたジャマールのもとに、ウィリアムの法的事務を担当していたロバーツ&カーター事務所のサンダーソン弁護士(マット・デイモン)が訪ねてくる。彼はジャマールにウィリアムの死を知らせ、彼のアパートの鍵を手渡す。ジャマールは家族とウィリアムのアパートを訪ねる。ウィリアムが外を見ていた窓際には、序文をジャマールに託したウィリアムの小説の原稿が置かれているのだった。
静かな感動を呼ぶ作品。若者の成長の芽を摘もうとするロバート・クロフォードが徹底的にとっちめられるのが、痛快と言えば痛快、悪趣味と言えば悪趣味。ただ、授業中、小説の一説を持ち出したクロフォードにジャマールがすべて続きの文章や作者を言い返したことに、クロフォードが授業で私には字を書かせるな、とすごむシーンがあるのだが、自分から喧嘩を吹っかけておいてそれはないだろうとしか思えなかった。ちょい役でマット・デイモンが出演している。
残念なのは、コメディ作品のような邦題。原題は「Finding Forrester」。そのままカタカナでもよかったし(「ファインディング・ニモ」っぽいがこちらの方が公開は前)、「フォレスターを探して」とか「小説家に出会って」でもよかった。
【5段階評価】4
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