(2570) キネマの神様
【監督】山田洋次
【出演】沢田研二、宮本信子、寺島しのぶ、菅田将暉、永野芽郁、小林稔侍
【制作】2021年、日本
かつて映画の助監督をしていた老人の運命を描いた作品。
コロナウィルスの流行前。円山歩(あゆみ)(寺島しのぶ)は勤務先で父親の借金取りから電話を受ける。父親の郷直(ごうちょく)(沢田研二)は酒とギャンブルの依存症を抱えた老人。歩は母親の淑子(よしこ)(宮本信子)と協力し、父親のカードを取り上げ、酒とギャンブルではなく、映画を趣味にして過ごすよう命じる。
郷直は旧友の寺林(小林稔侍)の経営するテアトル銀幕に行き、自分が助監督をしていた映画を鑑賞。若き郷直(菅田将暉)は、美人女優の桂園子(北川景子)と親しかったが、近くの料理屋の娘、淑子(永野芽郁)と恋仲になったのだった。郷直は、自ら書き上げた脚本「キネマの神様」の初監督に挑むが、極度の緊張もあって怪我をし、監督を断念。それでも淑子は周囲の反対を押して郷直と一緒になったのだった。
郷直は孫の勇太(前田旺志郎)に無心するが、勇太は、郷直の書いた「キネマの神様」の脚本を読んで郷直の才能を知り、それを現代風に書き直して、脚本の懸賞に応募。見事に優勝し、100万円を手に入れる。コロナ禍になり、老いた郷直は家族に付き添ってもらってテアトル銀幕に映画を見に行く。すると、「キネマの神様」の脚本同様、映画の登場人物の桂園子が観客である郷直の顔を見つめ、スクリーンから消えて郷直の横に座る。園子は郷直を銀幕の中にいざない、若い郷直が園子とともに消えると、郷直は息絶える。銀幕の中で、郷直は助監督として生き生きと映画撮影に加わるのだった。
沢田研二役は、当初、志村けんが演じる予定だった。しかし、志村けんが新型コロナウィルスに感染して亡くなったため、沢田研二が代役となった。そのため、作中、木戸賞を受賞した祝いの場で郷直が東村山音頭を歌っており、エンドロールでも志村けんへの追悼メッセージが流れる。ベテラン俳優の演技もすごいが、菅田将暉の演技力に目を引かれた。彼は非凡だ。
【5段階評価】4
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