(2556) 3時10分、決断のとき
【監督】ジェームズ・マンゴールド
【出演】ラッセル・クロウ、クリスチャン・ベール、ローガン・ラーマン、ベン・フォスター、ダラス・ロバーツ
【制作】2007年、アメリカ
強盗殺人犯を護送する男の死闘を描いた作品。1957年の西部劇「決断の3時10分」のリメイク。
片足が義足で借金を抱えた牧場主のダン・エバンス(クリスチャン・ベール)が、14歳の長男ウィリアム(ローガン・ラーマン)と次男のマーク(ベン・ペトリー)とともに荒野を馬で進んでいると、伝説の強盗ベン・ウェイド(ラッセル・クロウ)率いる強盗団が郵便馬車を襲っている場面に遭遇。ダン親子は、ベンと、その右腕で冷酷なチャーリー(ベン・フォスター)らに見つかる。ダンは荒野に放たれていた自分たちの牛を返してもらいたいだけだとベンに説明し、ベンはダン親子を殺さず、走り去る。ダンは腹部に銃弾を受けて倒れていた老ガンマンのバイロン・マッケルロイ(ピーター・フォンダ)を助けるため、ビズビーに運ぶ。一足先にビズビーにたどり着いたベンは、酒場で休憩。バイロンを運び終えたダンは、借金相手に話をつけようと酒場に乗り込むが、そこにいたのはベンだった。ダンは、ベンに向かって、馬車強盗に巻き込まれて牛が2頭死んだと伝え、その賠償金を要求。ベンは不敵な笑いを浮かべながら、素直に金を払う。そこに保安官がやってきて、ベンは逮捕される。
サザン・パシフィック鉄道のバターフィールド(ダラス・ロバーツ)はベンの公開絞首刑を要求。ベンは3時10分ユマ行きの列車に乗せられることになる。南北戦争の北軍でリンフィールド第二狙撃中隊の狙撃手だったダンは、報酬目当てにベンの護衛に加わることにする。護衛団はベンの仲間たちの襲撃を警戒し、囮の馬車を別方面に走らせる。ベンは、鉄道会社のバターフィールド、ガンマンのバイロン、バイロンを治療した獣医のドク・ポッター(アラン・テュディック)、そしてダンという、一風変わった護衛団に護送されることになる。彼らはダンの家で一夜を明かす。ベンはダンが脚を失った理由を聞くが、ダンは答えない。護衛団に加わりたいウィリアムは、父の制止を聞かず、父親たちが発った後、こっそり家を抜け出して、護衛団を追いかける。
手錠をかけられたベンはおとなしく連行されていたが、夜営の最中に、ベンをやたら挑発するタッカー(ケビン・デュランド)を隠し持っていたフォークで惨殺。さらに荒野を移動中、ベンの母親を侮辱したバイロンにとびかかり、谷底に投げ落とすと、銃を護衛団に突きつけてその場を制圧。絶体絶命となったところに、ウィリアムが突如現れてベンに銃を突きつけ、形勢は逆転。ベンは再びおとなしく連行されることになる。
道中のトンネル建設現場で、民間警備団のボールズ(フォレスト・ファイア)にベンを奪われそうになるも、ポッターの機転で逃走。しかし、ポッターは追ってくる一団に後ろから撃たれ、命を落とす。
目的地コンテンションに着いた護衛団一行はホテルにこもり、バターフィールドは、地元のドーン保安官(ショーン・ヘニガン)やその部下のハービー、サムを連れてくるが、追ってきたチャーリー一団もコンテンションに到着。チャーリーは町民に向かって、護衛を殺したら200ドル渡す、と宣言。町の人々が殺気立つ。ドーン保安官らは早々に護衛を放棄し、ホテルを出ようとするが、出たところをチャーリー一団に滅多撃ちにされる。バターフィールドは、報酬は払うので護送は諦めようとダンに言い、ウィリアムも父に逃げようと提案するが、ダンは護送を続けると宣言。ベンを連れて駅に向かう。ホテルを出た瞬間、町の人やチャーリー一味に狙われるが、何とかそれをかわしながら駅舎に向かう。ダンは、自分には誇れるものが何もないから護送をやり遂げたいのだと説明。ベンはダンを殺すこともできたがそれをせず、ダンとともに駅舎に到着。ダンは自分の足は退却中に味方に打たれたのだと告白。ベンも、ユタの刑務所は2回入って2回脱走した、と告げる。汽車が到着し、ダンはベンの護送をついにやり遂げる。しかし、ベンが車両内の檻に入ろうとしたとき、チャーリーがベンの制止を聞かず、ダンに銃弾を浴びせ、ダンは倒れる。ベンはチャーリーから愛用の銃を受け取ると、チャーリーに怒りの眼を向ける。気配を察したチャーリーが銃を抜こうとするが、ベンの相手ではなく、ベンは一瞬で一味を皆殺しにする。ウィリアムがダンのもとに駆け付け、「すごいよ、尊敬する」と語り掛けると、ダンは微笑みを浮かべながら息を引き取る。ベンはおとなしく檻に入り、列車は走り出すが、ベンが口笛を吹くと、それに呼応して一頭の馬がベンのいる車両に走り出すのだった。
人間ドラマに重点を置いた西部劇。ダンがなぜ無謀な悪党護送に加わったのか。金のためだけではなく、父として、夫としての誇りを示したかったという思いが、息子に伝わるエンディングが感動的。ベン・ウェイドも、凶悪犯ではあるが、決して極悪非道というだけではなく、知性と寛容の心も持ち合わせている人物として描かれている。ただ、銃撃シーンは主人公アビリティ(敵の弾は当たらない、当たっても致命傷にはならない、撃った敵は一発で倒される)が発揮されるし、子供は殺されないみたいなお約束は貫かれたりしていて、ベンの寛容さも作り話めいていた(作り話なんですけども)。
【5段階評価】4
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