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2023年10月

2023年10月30日 (月)

(2504) レジェンド・オブ・フォール/果てしなき想い

【監督】エドワード・ズウィック
【出演】ブラッド・ピット、ジュリア・オーモンド、エイダン・クイン、アンソニー・ホプキンス、ヘンリー・トーマス
【制作】1994年、アメリカ

三人の兄弟と一人の女性の運命を描いた作品。

20世紀初頭。大佐のウィリアム・ラドロー(アンソニー・ホプキンス)は軍による先住民の迫害に耐えられず、軍を離脱。自然に囲まれた環境で暮らすことにする。妻のイザベル(クリスティーナ・ピクルス)は厳冬に耐えられず別居することになり、長男アルフレッド(エイダン・クイン)、次男トリスタン(ブラッド・ピット)、三男サミュエル(ヘンリー・トーマス)は父親のもとで成長する。大学に通っていた三男アルフレッドが、婚約者スザンナ(ジュリア・オーモンド)を連れて故郷に戻ってくる。アルフレッドはスザンナの美しさに心を奪われる。ラドロー家で暮らすうちに、スザンナは野性的な次男トリスタンを意識するようになる。
第一次世界大戦の予兆の中、サミュエルは従軍を志願。父親やスザンナの制止を聞かず、出征を決める。スザンナは不安をトリスタンに明かし、トリスタンは弟を守ると固く誓う。トリスタンに泣きながら抱きつくスザンナに、トリスタンは心を乱されそうになる。二人の様子にアルフレッドが気づき、スザンナはそそくさと立ち去る。
三兄弟は戦地に向かい、アルフレッドは足を負傷。トリスタンはサミュエルを必死に庇い続けるが、トリスタンがアルフレッドのもとにいる隙にサミュエルは単身で戦地の偵察に向かい、敵に撃ち殺されてしまう。トリスタンはサミュエルを救えなかったことを強く悔いる。一足先に故郷に戻ったアルフレッドは、一人になったスザンナに愛を告白。しかしスザンナはとまどうばかりだった。やがてトリスタンも帰還。サミュエルを守れなかったことを悲しむトリスタンをスザンナは慰め、二人は一夜をともにする。アルフレッドはトリスタンを妬み、二人の関係は悪化する。アルフレッドは家を出て実業家の道を進み、オバニオン兄弟と組んで事業を成功させる。トリスタンはスザンナとともに過ごすようになるが、サミュエルへの贖罪の心からか、トリスタンはスザンナと結婚せず、冒険の旅に出てしまう。しばらくしてトリスタンは戻るが、父親のウィリアムは話もできないほど老いており、スザンナはアルフレッドと結婚していた。トリスタンはそれを受け入れ、子どもの頃からトリスタンに恋をしていたイザベル2(カリーナ・ロンバード)と血痕。二人の子供を儲ける。ところが、酒の密売に関わっていたトリスタンが、オバニオン兄弟の組織に銃で脅された際、流れ弾でイザベル2が死亡。トリスタンは銃を撃った警官を半殺しにし、禁固刑に処される。収監されたトリスタンのもとにスザンナが現れ、彼女はトリスタンを愛していたこと、サミュエルとイザベル2の死を望んでしまったことを告白する。トリスタンはスザンナを赦すが、スザンナは自ら命を絶ってしまう。刑期を終えたトリスタンは、イザベル2の父親デッカー(ポール・デズモンド)とともに復讐を計画。トリスタンはオバニオン兄弟の弟を殺害する。オバニオン兄弟の兄は、仲間2人を連れてラドロー家に復讐に現れるが、老いたウィリアムが銃で二人を撃つ。残る一人がウィリアムに銃を向け、トリスタンは体を張ってウィリアムを庇おうとするが、銃を向けた男は銃弾に倒れる。撃ったのはアルフレッドだった。ウィリアム、アルフレッド、トリスタンは家族の絆を取り戻す。追われる身となる役割を一人で担うことにしたトリスタンは、息子の面倒を兄に託し、立ち去る。トリスタンは自然の中で暮らし続け、最期は熊との戦いによって命を落とすのだった。

三人兄弟の中に一人の女性が入ることで、全員の運命が大きく動いていく。複雑にも思えるが、話はわかりやすい。脚本の巧みさと俳優陣の演技力のたまものだろう。

【5段階評価】4

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2023年10月29日 (日)

(2503) 遠い空の向こうに

【監督】ジョー・ジョンストン
【出演】ジェイク・ギレンホール、クリス・クーパー、ローラ・ダーン、クリス・オーウェン、
【制作】1999年、アメリカ

ロケット打ち上げに挑む高校生を描いた作品。実話に基づいている。

炭坑で働く父(クリス・クーパー)を持つ高校生、ホーマー・ヒッカム(ジェイク・ギレンホール)は、ソ連のスプートニク1号の打ち上げ成功を知り、ロケットに興味を持つ。父親のジョンは、アメフトに奮闘する長男ジム(スコット・トーマス)を目にかけており、ホーマーがロケットにうつつを抜かすことに反対。ホーマーは、父親に認められていないことを知りつつ、クラスメートのクエンティン・ウィルソン(クリス・オーウェン)や、親友のロイ・リー・クック(ウィリアム・リー・スコット)、シャーマン・オデル(チャド・リンドバーグ)とともに、ロケット作りを始める。女性教師ライリー(ローラ・ダーン)は科学コンテストに優勝すれば奨学金が得られる、とホーマーを応援する。
失敗続きのロケット作りだったが、ついに空高くロケットを飛ばすことに成功する。しかし、近所で山火事があり、落下したロケットが原因だとしてホーマーたちは逮捕されてしまい、ロケット作りは頓挫。さらにジョンが炭坑で大けがを負い、働けなくなったため、ホーマーは嫌がっていた坑夫になることを決意し、高校も退学してしまう。しかし、ライリー先生に励まされてロケット作りを再開。嫌いだった数学の勉強をして、ロケットの落下地点を計算して山火事の冤罪を晴らす。ホーマーら4人は科学コンテストに出場。地区大会で優勝する。本戦に進んだホーマーだったが、展示物が盗まれてしまう。そのことを知った母親のエルシー(ナタリー・キャナーデイ)は、ジョンを説得して息子のロケットの部品を作り直すことに協力させる。その結果、ホーマーは見事にコンテストで優勝する。
ホーマーは、父親に感謝の言葉を伝える。ジョンは、ホーマーが憧れていたブラウン博士に会えたことを知り、「ヒーローに会えてよかったな」と言うが、ホーマーは、ブラウン博士は偉大な人だが、僕のヒーローじゃないと答える。ホーマーにとってのヒーローは、強い意志で炭坑の仕事を続ける父親だったのだ。その後、4人は別々の道に進むが、ホーマーはNASAの技術者として大成するのだった。

最後のホーマーのロケット打ち上げの場所に、これまで一度も見に来たことのなかった父親がやってくるシーンが感動的。原題の「October Sky」は「Rocket Boys」のアナグラムになっている。邦題が「ロケットボーイ」じゃなくてよかった。

【5段階評価】5

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2023年10月20日 (金)

(2502) 探偵はBARにいる3

【監督】吉田照幸
【出演】大泉洋、松田龍平、北川景子、前田敦子、リリー・フランキー
【制作】2017年、日本

行方不明になった女性を探す探偵の巻き込まれる事件を描いた作品。「探偵はBARにいる2 ススキノ大交差点」の続編。

札幌にいる探偵(大泉洋)のもとに、相棒の高田(松田龍平)が原田(前原滉)という学生を連れてくる。原田は行方不明になっている恋人の諏訪麗子(前田敦子)を探してほしいと探偵に頼む。麗子はとある男の殺人事件に巻き込まれていたが、探偵らはまだ知る由もない。殺されたのは、暴力団北城組の椿秀雄(坂田聡)。毛ガニを積んだトラックを運転していた椿を何者かが撃ち殺し、積み荷を奪っていた。麗子はそのトラックの助手席に乗っていたが、行方不明になっていた。
探偵は麗子が、北城組が営むピュアハートという新手の風俗業者に登録されていることを突き止める。探偵はピュアハートのオーナー、岬マリ(北川景子)に出会う。探偵はマリを尾行し、マリが麗子をかくまっているのを発見。高田とともに麗子のいる家に入るが、マリと北城組の組員に見つかり、道路に放り出される。
探偵は昔、ススキノでマリに会っていた。探偵はマリの知人、モンロー(鈴木砂羽)に会いに行く。モンローはマリがかつて妊娠していたのだと言う。その後、北城組の工藤(斎藤歩)が自殺。椿殺害の事件は、椿が毛ガニに扮して運搬していた麻薬を狙った工藤が、椿を殺害したものの、麻薬を裁くことができずに自殺したものとされた。しかし探偵は、椿を殺したのがマリだと見抜く。マリは探偵と一夜を共にし、麻薬の処理を探偵に依頼する。しかし、探偵は北城組の者に拉致されてしまう。そこにはマリもいた。組長の北城(リリー・フランキー)は麻薬のありかを吐かせようとするが、高田が助けに入り、マリと探偵は脱出に成功。マリと探偵は、人が集まる広場で麻薬と1億円を交換。マリは広場で空に向かって銃を放ち、彼女が人目を集めている間に探偵は逃走。椿と工藤を殺したマリは警察に連行される。
マリがなぜ金を欲しがったか。彼女は入院中の少女の治療費にあててほしい、と探偵に1億円を託していた。探偵は指定された病室に向かう。そこには一人の少女が入院していた。マリが生んだ子供かと思ったが、そうではなかった。マリは2月18日の出産予定日に子を産めず、流産していた。入院していた少女は、たまたま誕生日が2月18日で、マリが入院中に偶然出会っただけだった。自分の子供でもない少女のために、人生をなげうって1億円を手に入れようとしていたことを知り、探偵は悲しむのだった。

コメディと感動をほどよく織り交ぜ、登場人物は多すぎず、ヒーローはかっこよすぎず、ご都合主義的な展開も目立たず、よくできた物語だった。

【5段階評価】4

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2023年10月17日 (火)

(2501) 青春ブタ野郎はゆめみる少女の夢を見ない

【監督】増井壮一
【出演】石川界人(声)、瀬戸麻沙美(声)、水瀬いのり(声)、内田真礼(声)
【制作】2019年、日本

鴨志田一のライトノベルが原作のアニメ映画。心臓病を患う少女を救おうとする高校生の葛藤を描いている。

高校生の梓川咲太(石川界人)が、恋人の桜島麻衣(瀬戸麻沙美)、妹の花楓(久保ユリカ)と家で過ごしていると、初恋の相手、牧之原翔子(水瀬いのり)が突然訪ねてきて、咲太の家に泊まると言い出す。咲太は、もう一人、中学生の牧之原翔子とも出会っていた。中学生の翔子は心臓病を患っており、心臓移植をしないと余命幾ばくもない状態だった。
咲太は、大人の翔子の胸に傷があるのを見る。咲太は、大人の翔子が未来から来た存在で、中学生の翔子が心臓移植を成功させており、その心臓を移植したのが自分であるらしいことを知る。咲太はクリスマスイブの日に麻衣との約束で外出した先で交通事故に遭い、脳死状態になるのだった。翔子は、事故に遭わないよう外出しないように、と咲太に言うが、咲太は自分が生き延びれば翔子を助けられなくなると悩む。それを知った麻衣は、咲太に生きていて欲しいと泣いて訴える。
麻衣の思いを大事にしようと決める咲太だったが、翔子の行動が、咲太を交通事故に遭わせないようにしているためであるを知り、たまらずに翔子との待ち合わせ場所に向かって走り出す。そこに暴走した自動車が現れ、咲太は轢かれそうになるが、麻衣が咲太を突き飛ばし、麻衣が命を落とす。翔子は麻衣の心臓を譲り受けることになる。
咲太は麻衣を救うため、翔子の力を借りて過去の世界に向かい、自分自身を自分を交通事故から守る。咲太は翔子の記憶を失うのだが、海岸で遊ぶ翔子を見て、翔子を思い出すのだった。

単なる美少女アニメではなく、複雑なSF的構成を持った作品だった。キャラクター同士の関係や設定の説明は最小限になっている。初見でも何とか理解することはできたが、過去の作品を知っておいた方が理解は早そうだった。

【5段階評価】3

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2023年10月16日 (月)

(2500) 引っ越し大名!

【監督】犬童一心
【出演】星野源、高畑充希、高橋一生、濱田岳、及川光博、松重豊、小澤征悦、西村まさ彦
【制作】2019年、日本

引っ越し奉行を命じられた書庫番の奮闘ぶりを描いた時代劇コメディ。

姫路藩の藩主、松平直矩(なおのり)(及川光博)が国替えを命じられる。豊後への引っ越しである。家老の本村三右衛門(さんえもん)(松重豊)は、鷹村源右衛門(高橋一生)の助言により、書庫番を務める片桐春之介(星野源)を引っ越し奉行に任じる。春之介は、すでに他界した前の引っ越し奉行の娘、於蘭(おらん)(高畑充希)の助力を得て、引っ越し準備に入る。荷物を半減させたり、一部の武士を百姓にしたり、といった大なたを振るいながら、引っ越しを敢行。春之介は、於蘭を妻にする。豊後への道中、藩主を裏切った藤原修蔵(西村まさ彦)の手引きにより現れた隠密の襲撃を受けるが、武芸に秀でた源右衛門らの奮闘により撃退。一行は豊後に到着。その後も松平家は国替えを繰り返し、ついに八万石の加増が実現。春之助は喜び勇んで、姫路に残してきた元武士の山里一郎太(小澤征悦)らを呼び戻しに行く。百姓を続けると言う北尾俊蔵(ピエール瀧)や高橋四郎(飯尾和樹)らを残し、山里らは藩に復帰。直矩は復帰を喜び、春之介を家老に命じるのだった。

豊後への引っ越しを終えて大団円と思いきや、その後も話は続き、帰農後に命を落とした武士達の名を刻んだ石碑に、殿様を始め一同が頭を下げるところが感動の最高潮となる。人気俳優を起用した軽いコメディではなく、胸が熱くなる作品だった。

【5段階評価】4

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2023年10月15日 (日)

(2499) THE IDOLM@STER MOVIE 輝きの向こう側へ!

【監督】錦織敦史
【出演】中村繪里子(声)、木戸衣吹(声)、赤羽根健治(声)、原由実(声)
【制作】2014年、日本

アーケードゲーム「THE IDOLM@STER」が原作のアニメ映画。ライブコンサートに挑む少女達を描いた作品。

765(ナムコ)プロダクションに所属する天海春香(中村繪里子)たちは、大会場でのライブに挑むことになる。プロデューサー(赤羽根健治)が海外留学することを知ったアイドルたちは、プロデューサーを送り出すためにも、ダンサーとともにレッスンに取り組む。しかし、春香に憧れるダンサーの一人、矢吹可奈(木戸衣吹)はレッスンに来なくなってしまう。可奈と電話で話した春香は、可奈は「アイドルをやめる」と言ったことが本心ではないと考え、彼女に直接会いに行くことにする。メンバーとともに可奈を探す春香は、ついに可奈を見つけるが、可奈は上達しないストレスから過食になり、太ってしまっていた。春香はそんなことは意に介さず、どうしたいかを可奈に問う。集まったアイドル達はライブ会場を見に行く。巨大なアリーナを目の当たりにした一同を前に、春香は自分の思いを語る。それを聞いた可奈は、あらためてアイドルを目指すことを宣言。レッスンを経て、彼女らは見事にライブを成功させる。プロデューサーは海外に向かうことになり、アイドル達は空港でプロデューサーを見送るのだった。

アイドル達は髪型以外は顔が皆同じ。性格は描き分けられていた。仲間がいなくなったりと暗めの展開が続きがちだが、最後は大団円。可奈がアイドルをやめると言い、会いに来た春香から逃げるという行動の理由が、太ってしまったから、というのが、ちょっとした謎解き要素になっていた。アイドルが太るという、タブーのような設定に切り込んだのも大胆。まあ、太ったと言ってもちょっとほっぺがふっくらしているぐらいではあるのだが。ゲームをやってみようか、と思わせる内容だった。

【5段階評価】2

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2023年10月 8日 (日)

(2498) 北斗の拳

【監督】トニー・ランデル
【出演】ゲイリー・ダニエルズ、鷲尾いさ子、コスタス・マンディロア、ダンテ・バスコ、ナロナ・ヘレン
【制作】1995年、アメリカ、日本

武論尊・原哲夫の漫画「北斗の拳」の実写化作品。悪の組織のボスと戦う格闘家を描いている。

バット(ダンテ・バスコ)とリン(ナロナ・ヘレン)の住む集落が悪者の集団に襲われ、リンが連れ去られる。北斗の拳の使い手、ケンシロウ(ゲイリー・ダニエルズ)は、恋人のユリア(鷲尾いさ子)を奪ったシン(コスタス・マンディロア)の野望を打ち砕くため、バットとともにシンのいるサザンクロスを目指す。シンはケンシロウの父、リュウケン(マルコム・マクダウェル)を葬っていた。ケンシロウは父とユリアを奪ったシンを倒す。ケンシロウとユリアは再会を果たし、二人は抱きしめ合うのだった。

原作の序盤を、思い切りはしょって作られている。バットが命を落としたり、ユリアと再会したり、リンが序盤、声を出せないのではなく目が見えないなど、異なる設定もあった。北斗神拳によって頭が異様に膨れ上がったりする演出はところどころにあるものの、北斗神拳や南斗聖拳の特徴はあまり強調されておらず、戦闘シーンはただの格闘。原作の魅力を受け止め切れていなかった。

【5段階評価】2

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2023年10月 3日 (火)

(2497) あなたを抱きしめる日まで

【監督】スティーブン・フリアーズ
【出演】ジュディ・デンチ、スティーブ・クーガン、ソフィ・ケネディ・クラーク、ショーン・マーホン
【制作】2013年、イギリス、アメリカ、フランス

生き別れた息子との再会を望む老女と、それを助ける元ジャーナリストを描いた作品。実話に基づいている。

アイルランドに住むフィロミナ・リー(ソフィ・ケネディ・クラーク)は、カーニバルで若い男の誘いを受け、妊娠。彼女は男児を産み、アンソニーと名付けるが、カトリックの厳しい戒律により、子供とは週に一度しか会うことを許されなくなる。ある日、アンソニーは協会にやってきた紳士に連れ去られてしまう。フィロミナはその運命を受け入れざるを得ず、50年の月日がたつ。元BBCのジャーナリストであるマーティン・シックススミス(スティーブ・クーガン)は、彼女(ジュディ・デンチ)を取材することになり、彼女の息子探しに協力することになる。二人はフィロミナが暮らしていた教会を訪ねるが、シスターはアンソニーの記録は火事で焼失したと告げる。
マーティンは、酒場で得た情報をもとに、アンソニーがアメリカに渡ったという可能性を追って、フィロミナとともにアメリカに渡る。ほどなくしてマーティンは、アンソニーがレーガン大統領やブッシュ大統領の顧問弁護士を務めていたが、すでに死亡していることを突き止める。フィロミナはそれを知って涙する。一度は故郷に戻ろうとしたフィロミナだったが、アンソニーを知る人に会いたいと考え、アメリカに残ることを決意。マーティンとフィロミナは、アンソニーがゲイだったことを知る。アンソニーはエイズで命を落としていた。
フィロミナは、アンソニーが故郷を、そして母のことを気にかけていたかが気になっていた。フィロミナとマーティンは、アンソニーのパートナーだったピート・オルソン(ピーター・ハーマン)と面会。ピートは、アンソニーが幼少時代を過ごしたアイルランドの教会を訪ねていたこと、彼の希望によりそこに埋葬されたことを知る。アンソニーは自分の故郷がアイルランドであることを知っており、実の母親を探す努力をしていたのだった。
フィロミナとマーティンは再び教会を訪れる。マーティンはアンソニーのことを隠していたシスター・ヒルデガード(バーバラ・ジェフォード)を責めるが、フィロミナは彼女を許し、誰も憎みたくない、と話す。フィロミナはアンソニーが埋葬された墓に導かれる。マーティンもフィロミナとともに墓に向かい、キリスト像を墓に供える。一連のできごとを記事にすることを拒んでいたフィロミナだったが、思い直し、マーティンは彼女の身に起きたことを著す。かつてイギリスの修道院は、アメリカの富裕層に子供を売って収益を得ていた。多くの母子が、いまだに互いを探す努力を続けていることを、マーティンは告発したのだった。

修道院による若い女性の軟禁、人身売買という問題を取り扱った重厚な作品。日本にいては触れることのない問題に気づかせてもらえる貴重な作品だった。

【5段階評価】3

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2023年10月 1日 (日)

(2496) ワルキューレ

【監督】ブライアン・シンガー
【出演】トム・クルーズ、ビル・ナイ、トム・ウィルキンソン、ジェイミー・パーカー
【制作】2008年、アメリカ、ドイツ

ヒトラー暗殺計画の顛末を描いた実話に基づく作品。

シュタウフェンベルク大佐(トム・クルーズ)はアフリカの戦地で右手と左目、左手の薬指と小指を失う重傷を負う。ヒトラー(デビッド・バンバー)への忠誠ではなくドイツという国家を守ることを使命と考えるシュタウフェンベルクは、ヒトラーの暗殺を決意。ヒトラーの死によって起きた親衛隊の反乱を鎮めるという形で政府の転覆をもくろむワルキューレ作戦を実行に移す。ヒトラーの作戦会議に爆弾を仕掛けたシュタウフェンベルクは、爆発を確認すると、副官のベルナー・フォン・ヘフテン(ジェイミー・パーカー)と現場を離れる。同志のオルブリヒト(ビル・ナイ)がワルキューレの実行をひるむ中、シュタウフェンベルクは陣頭指揮を執り、作戦を進める。しかし、ヒトラーは死んでおらず、計画は失敗。彼らは捕まってしまう。彼らに便宜を図っていたフロム司令官(トム・ウィルキンソン)は口封じのため、シュタウフェンベルクらに死刑を言い渡す。シュタウフェンベルクはベルナーやオルブリヒトとともに銃殺されるが、ほどなくしてヒトラーの支配は終焉を迎えるのだった。

トム・クルーズがアクションを封じて重厚な作品の主役を担った作品。ドイツ人がみんな英語を話すというのはご愛敬。ヒトラーや参謀ゲッベルス(ハーベイ・フリードマン)が本人にそっくりだった。

【5段階評価】3

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