(2480) 未知への飛行
【監督】シドニー・ルメット
【出演】ヘンリー・フォンダ、ダン・オハーリヒー、フランク・オーバートン、ウォルター・マッソー
【制作】1964年、アメリカ
誤った指令によりモスクワに爆撃機を送り込んでしまったアメリカとソ連の運命を描いたサスペンス作品。
米軍のブラック将軍(ダン・オハーリヒー)はマタドールの夢に苛まれており、その夢の意味を図りかねていた。アメリカはソ連との冷戦のさなかにあり、未確認飛行物体を察知するシステムを導入。システムが領空侵犯をする不振機を発見。民間機だと判断されたが、システムの誤作動により、米軍の爆撃機にモスクワに水爆を落とすという命令が発令されてしまう。米軍は爆撃機に通信を試みるが通じない。事態は大統領(ヘンリー・フォンダ)に伝えられる。大統領はソ連に連絡を入れ、これは恋の攻撃ではなくミスによるものだと説明。大統領は、アメリカに交戦の意志がないことを証明するため、もしモスクワに水爆を落ちたら、アメリカはニューヨークに自ら水爆を落とすと宣言する。
米軍は爆撃機を撃墜する指令を戦闘機に出すが、戦闘機は燃料不足で爆撃機に追いつくことができない。米軍はソ連に爆撃機を撃墜するよう依頼し、アメリカ側が持つ情報をソ連に伝える。ソ連は爆撃機への通信妨害を解除し、大統領は爆撃機のパイロットに口頭で爆撃中止を命令するが、爆撃機は口頭による指示の変更には従わないよう訓練されていた。ソ連は爆撃機の位置情報をアメリカに求め、ソ連は爆撃機の撃墜を開始。しかし、一機だけは爆撃しきれず、とうとうモスクワに水爆が投下されてしまう。それを通信で知った大統領は、ブラック将軍に、ニューヨークに水爆を落とすという指令の実行を指示。ブラック将軍は、自分の夢の意味が、ニューヨークの息の根を止めるマタドールの役割を担うのが自分であることだったと悟るのだった。
白黒作品。戦闘機のシーンも写真のネガのような白黒が反転したような映像で表現されていて、映画の大半の場面は会議室や作戦室になっている。ソ連に水爆が落とされたことは、通信を通じた音でだけ表現されており、本当にモスクワが爆撃されたのかは明示的ではないし、ニューヨークに水爆が落ちたのかもよく分からない。しかしそのことが、状況の把握を通信やコンピュータシステムに依存するしかないことの怖さ、危うさを表現していた。古いが、一度観ておいていい作品だろう。BS松竹東急ありがとう。
【5段階評価】4
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