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2023年7月 3日 (月)

(2471) ピエロがお前を嘲笑う

【監督】バラン・ボー・オダー
【出演】トム・シリング、エリアス・ムバレク、ボータン・ビルケ・メーリング、アントニオ・モノー・ジュニア、トリーヌ・ディルホヌ
【制作】2014年、ドイツ

ハッカーの犯罪計画の行く末を描いたサスペンス映画。

ハッカーのベンヤミン(トム・シリング)は、ユーロポールの捜査官ハンネ(トリーヌ・ディルホヌ)の取り調べを受け、自分がハッカーとなった経歴を話す。父親が疾走し、母親は自殺。祖母に育てられた彼は、コンピューターに興味を持つようになる。久々に再会した元クラスメートのマリ(ハンナー・ヘルツシュプルンク)から、大学の試験問題を盗んで、と冗談で頼まれたベンヤミンは、実行に移してあえなく捕まる。奉仕活動をする中で知り合ったマックス(エリアス・ムバレク)に誘われ、シュテファン(ボータン・ビルケ・メーリング)、パウル(アントニオ・モノー・ジュニア)とともにハッカー集団クレイ(CLAY: Clowns Laughing At You)を立ち上げる。彼らは金融業界や大手製薬会社、新聞社などにハッキングを繰り返し、世間の注目を集める。しかし、彼らが崇拝するハッカーのMRXは、彼らの所業を完全無視。怒ったマックスは連邦情報局への潜入を計画。潜入に成功したベンヤミンは仲間に内緒で捜査情報を盗み出す。仲間に勇気がないことを馬鹿にされていたベンヤミンはそのデータをMRXに渡す。すると、ユーロポールが捜査していたハッカー集団FR13NDS(フレンズ)の一人と目される人物が殺害される。連邦情報局侵入の犯行声明をしていたクレイは一転、FR13NDSのメンバー殺害に関与した疑いをかけられてしまう。ベンヤミンはMRXに接触。MRXはユーロポールにトロイの木馬をしかけるようクレイに命じる。ベンヤミンはそれを実行するとともに、MRXがその状況を調べれば逆にMRXの正体を暴くことのできるトラップを仕掛けるが、MRXにそれを見破られてしまう。ベンヤミンの顔がさらされ、仲間が次々と殺害されてしまったため、ベンヤミンは自首したのだった。ベンヤミンはユーロポールの追うMRXの逮捕に協力すると告げ、それが実現。司法取引により、ベンヤミンには証人保護のため新たな身分が与えられることになる。
ハンネはベンヤミンの証言が事実か調べるうち、ベンヤミンに多重人格が遺伝している可能性があること、マリに話を聞くとベンヤミンと会ったことなどないこと、マックスやシュテファンらの遺体が見つかっていないことなどから、ベンヤミンは多重人格で3人の仲間を作り上げており、クレイの正体はベンヤミンだけであることに気づく。ハンネは司法取引は無効と判断。ベンヤミンは収監されることになるが、彼を不憫に思ったハンネはひそかにベンヤミンを逃亡させる。ハンネの運転する車から降りて町の中に消えていくベンヤミンを見送りながら、ハンネは何かに気づいたようだった。
別の地に向かう船に乗るベンヤミンの横に、マリやマックス、シュテファン、パウルが現れる。彼らはハンネに一計を案じ、彼女がクレイの正体がベンヤミンの多重人格によるものと思い込ませるように仕向けたのだ。船の上で一同は喜びを分かち合う。ばれたらどうすると尋ねるパウルに、ベンヤミンは、ハンネはもう気づいてるさ、と言って不敵な笑みをうかべるのだった。

二重のどんでん返しが効いた、痛快な作品。多重人格を扱う作品は「ビューティフル・マインド」、「ファイト・クラブ」、「シークレット・ウィンドウ」などがあるが、本作はさらにその裏をかくというのが出色。二回見直す価値のある作品。MRXとやりとりするサイバー空間を列車の車両のような空間として描いているのが特徴的だった。

【5段階評価】4

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