(2359) 殺人の追憶
【監督】ポン・ジュノ
【出演】ソン・ガンホ、キム・サンギョン、キム・レハ、ピョン・ヒボン
【制作】2003年、韓国
韓国で実際に起きた連続強姦殺人事件をモチーフにしたサスペンス作品。
韓国の田舎で、強姦殺害された女性が、用水路の中から発見される事件が発生。思い込みの激しい地元のパク刑事(ソン・ガンホ)と暴力的な取り調べをするチョ刑事(キム・レハ)のもとに、ソウルからソ刑事(キム・サンギョン)が応援にやってくる。パクとチョが、証拠をねつ造して容疑者に無理矢理自供させるというむちゃくちゃな捜査をする中、ソは雨の日に赤い服の女性が殺されているという共通点から、行方不明になっている女性が犠牲者になっていることを見抜き、遺体を発見する。事件の日に共通してラジオでかかる曲の存在が分かり、ソ刑事らは曲をリクエストしていたパク・ヒョンギュ(パク・ヘイル)を調べるが、ヒョンギュは不敵な笑みを浮かべ、尻尾を出さない。現場に残された精液のDNA鑑定を進めながら、ソ刑事はヒョンギュを見張るが、居眠りと乗っていた車のエンジン不調により、彼を見失ってしまう。その夜、またも事件が発生。犠牲者は中学生で、ソ刑事に、学校の噂話を教えてくれた少女だった。怒りに我を忘れたソ刑事は、ヒョンギュの家に乗り込み、彼を外に連れ出して殴る蹴るの暴行を加え、無理矢理自白させようとする。そこに、DNA鑑定結果の封筒を持ったパク刑事が駆け込んでくる。鑑定結果は、現場の精液とヒョンギュのDNAは一致しないというものだった。
事件は未解決のまま時が過ぎ、パクは刑事をやめて営業マンになっていた。遺体が発見された用水路の近くを通りかかったパクは、車を止めて、当時のように用水路の中をのぞき込む。そのとき、一人の少女がパクに話しかけてくる。少女は、つい最近、別の男が同じように用水路の中を見ていたと告げる。なぜ見ているのかと訪ねた少女に、男は「昔ね、自分がここでしたことを思い出して、久しぶりに来てみたんだよ」と答えたのだという。パクは犯人がまだ野放しになっていることを知るのだった。
稲穂に囲まれた少年が大アップになっているオープニングに始まり、作品全体がとても印象的。暗くジメジメした雰囲気の中、手がかりを見つけてはそれが手からすり抜けていくことを繰り返し、そのやるせなさが、冷静沈着だったソ刑事すら狂わせていく。見応えのあるサスペンスだった。
ただ、自分は実際の未解決事件(公開当時)をモチーフにした作品とは知らずに観たので、真犯人が明らかにならない結末は残念だった。
【5段階評価】4
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