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2021年1月25日 (月)

(2308) 嵐を呼ぶ男

【監督】井上梅次
【出演】石原裕次郎、北原三枝、青山恭二、小夜福子、芦川いづみ、金子信雄、白木マリ、岡田眞澄、笈田敏夫
【制作】1957年、日本

弟思いのドラマーの運命を描いた作品。

ジャズバンドの支配人、美弥子(北原三枝)は、ドラマーのチャーリー(笈田敏夫)が抜けた代役に、流しのミュージシャンをしている国分正一(石原裕次郎)を雇う。正一の弟の英次(青山恭二)も兄の勧めで音楽の道に進んでいたが、音楽に理解のない母親の貞代(小夜福子)は、真面目な英次をヤクザな道に引きずり込んだと正一に恨み言を言い、正一がドラマーの職を得たことにも全く理解を示さない。正一は美弥子の家に住み込み、母親を見返してやろうと練習に明け暮れる。
正一は、音楽評論家の左京徹(金子信雄)が美弥子をものにしようとしていることを知り、自分を売り込む記事を書けば美弥子との仲を取り持つと左京に持ちかける。左京は約束通り正一を記事やテレビ番組で取り上げ、チャーリーと正一のドラム勝負を番組で提案する。正一はそれを受けることにするが、対決の前日、チャーリーが付き合っているダンサー、メリー(白木マリ)を巡るいざこざから、チャーリーの事務所のボクサー崩れ(高品格)にヤキを入れられ左手を負傷。正一は怪我を押して対決に挑み、左腕が動かなくなると、その手でマイクを掴み、「おいらはドラマー、ヤクザなドラマー」と歌い出す。観客は大興奮し、正一の人気は不動のものとなる。正一はジャズミュージシャン部門の人気投票で一位となり、その喜びを母親に伝えに行くが、貞代は英次が音楽の道に進むことが決定的になってしまったと嘆き、全く正一のことを認めない。正一はショックで母親の元を飛び出す。帰宅した正一に、美弥子は愛を告白。二人は恋仲となる。
それを知った左京は、英次がクラシックコンサートの指揮者に選抜されたことを正一に伝え、美弥子を諦めないと英次の出世の邪魔をすることをほのめかす。正一はやむなく美弥子のもとを去る。しかし美弥子は、左京がチャーリーや正一を美弥子の元から去るよう画策していたことに気づき、左京を呼び出して縁を切ると宣言。左京は、そのやりとりを聞いていたチャーリーと手を組み、チャーリーがもといた事務所の持永(安部徹)のもとに向かうと、正一が持永の女のメリーのもとにいることを知らせ、正一への復讐を持ちかける。正一は確かにメリーのアパートにいたが、それは酔って倒れていた正一をメリーが家に連れ帰ったためだった。正一は泥酔しながら、自分は今でも美弥子を愛しているが左京に脅されて弟の成功のために美弥子との仲を諦めたことを涙ながらにメリーに告白していた。メリーのアパートに持永の一味が現れ、事情を説明しようとするメリーを殴りつけて正一を外に連れて行く。正一は弟の邪魔だけはしないでくれと左京に頼むと、持永の一味の襲撃に立ち向かうが、集団リンチを受けて右手を潰されてしまう。
英次のコンサートの日。正一は入院先の病院から姿を消していた。英次は正一がどこかで放送を聞いていると信じてコンサートに臨む。心配する美弥子が英次の控え室から出ると、メリーが現れ、正一が弟のために美弥子を諦めたこと、どれだけ頑張っても母親に認められなかったと言っていたことを美弥子に伝える。それを横で聞いていた貞代は、自分が正一にしてきた仕打ちにようやく気づき、涙する。正一が行きつけのジャズバーにいることを知った美弥子は、貞代を連れて正一の元に向かう。英次の曲を泣きながら聞いていた正一は、貞代から感謝と謝罪の言葉を聞き、少年のような微笑みを浮かべる。英次の指揮するコンサートはフィナーレを迎え、会場は大きな拍手に包まれるのだった。

石原裕次郎が暴れん坊ヒーローを演じる娯楽作品かと思っていたら、母親に愛されない不遇な青年が、母親の理解を得られるまでを描いた感動作だった。「エデンの東」を彷彿とさせる内容で、メリーや、アパートの管理人の娘のみどり(芦川いづみ)、チャーリーといった主要な登場人物がストーリーの要所に絡んで登場人物に無駄がなく、シナリオが秀逸。石原裕次郎の主演映画はいろいろ観たが、これが最も感動的だった。殴り合うシーンの嘘っぽさはちょっと残念だったが。

【5段階評価】4

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