(2262) 127時間
【監督】ダニー・ボイル
【出演】ジェームズ・フランコ、ケイト・マーラ、アンバー・タンブリン
【制作】2010年、アメリカ、イギリス
荒野の谷底で身動きが取れなくなった男の運命を描いた、実話に基づく作品。
若き冒険家のアーロン・ラルストン(ジェームズ・フランコ)は、単身でアメリカ・ユタ州のキャニオンランズに出かける。途中で出会った若い女性ハイカー、クリスティ(ケイト・マーラ)とミーガン(アンバー・タンブリン)に、地底にある池へのダイビングスポットを紹介すると、彼は再び単独で渓谷を進む。ところが、彼が谷地の岩に手をかけ、下に降りようとしたところ、岩が動いて落下し、右手が岩に挟まれ、谷底で動けなくなってしまう。食料も水もほとんどなく、あるのはロープ、安物の万能ナイフ、ビデオカメラ程度。彼は何とか岩を動かそうと努力するが、岩はびくともしない。死を覚悟した彼はビデオにメッセージを残し始める。もうろうとする意識の中で、彼は家族や友人に行き先を告げなかったことを後悔し、孤独のうちに生涯を閉じる自分の運命に思いをはせる。やがてボトルの水が底をつき、アーロンは自分の尿を飲んで渇きをしのぐ。そして縛り上げた右の前腕にナイフを突き刺し、激しい痛みに耐えながら腕を切断する。ようやく地上に出たアーロンは、ついにヘリで救助されるのだった。
荒野の谷底で動けなくなった男の話なので、状況設定は極めて限定的なわけだが、主人公の回想や幻想を映像化することで、映像に変化をつけている。大雨が降って谷に濁流が流れ込み、岩が動いて助かるシーンも、完全に主人公の妄想なのだが、最初に観たときは本当に起きたのかと思ってしまった。また、大写しになった管の中を泡の浮いた黄色い液体がせり上がってくる飲尿シーンや、腕を切断というよりちぎり取るかのようなシーンもリアルで、トラウマもの。アーロンは腕の切断に負けず、その後も冒険を続けるので、バッドエンドとは言い切れないが、悲劇的な収束を見せることは確かなので、奇跡の生還を遂げました、みたいなサクセスストーリーを期待する人には向かないかもしれない。三画面分割のオープニングなど、映像はスタイリッシュで、ダニー・ボイル監督らしい躍動感が感じられた。
【5段階評価】4
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