(2268) ソウル・ステーション/パンデミック
【監督】ヨン・サンホ
【出演】シム・ウンギョン(声)、イ・ジュン(声)、リュ・スンリョン(声)
【制作】2016年、韓国
韓国のアニメゾンビ作品。「新感染 ファイナル・エクスプレス」の前日譚。
ソウル駅の近くで、首から血を流した老人が苦しみながら駅構内の通路に横たわる。男はしばらくして息絶えるが、やがてゾンビとして人を襲い出す。働いていた風俗店から逃げ出した若い女性ヘソン(シム・ウンギョン)は、キウンという青年と暮らしていたが、金のないキウン(イ・ジュン)はヘソンに売春を強要し、彼女の画像をネットにアップしてカモを引っかけようとしていた。キウンは連絡をしてきた男(リュ・スンリョン)と会うが、男はヘソンの父親ソッキュで、ヘソンに会わせろとキウンに命じる。キウンは自分の部屋にソッキュを連れて行くが、隣の部屋の中年女性がゾンビ化しており、ソッキュとキウンに襲いかかる。二人はゾンビをかいくぐってソッキュの車に乗り込み、ヘソンを探す。
キウンもソウル駅でゾンビの集団に襲われ、逃げ込んだ派出所もゾンビだらけとなり、ホームレスの中年男性と逃走。地下鉄のトンネルを抜けた先でゾンビに追われるが、バリケードを築いて市民を守りながら抗戦している若者達に助けられる。ヘソンの居場所を電話で聞いたキウンとソッキュはヘソンを助けようとするが、機動隊がバリケードを築いていて近づけない。やがてバリケード内にゾンビが押し寄せ、機動隊は感染していない市民ともども攻撃を始める。ヘソンは何とか電線にぶら下がって塀に登り、足首をゾンビにひっかかれながらも脱出。逃げ込んだ先はマンションのモデルルームだった。電話が通じたキウンがやっとヘソンを見つける。そこにソッキュも現れるが、ヘソンはその顔を見て驚く。ソッキュはヘソンの父親ではなく、逃げ出した風俗店の店長だったのだ。ソッキュはヘソンを罵倒して借金を返させようとし、かばうキウンの首を包丁で掻き切って殺してしまう。逃げるヘソンを捕まえたソッキュは、モデルルームのベッドにヘソンを押し倒すが、ヘソンは動かなくなる。ソッキュがヘソンの足首を見ると、感染者特有の緑の血管が浮き出ていた。ゾンビと化したヘソンはソッキュに襲いかかる。モデルルームにソッキュの絶叫が響く。町はゾンビであふれ、機動隊がゾンビを撃ち続けるのだった。
ヘソンを必死で助けだそうとする男がヘソンの父親だと思い込んでいたら、実はヘソンの借金踏み倒しに怒り心頭の風俗店長だったという、ちょっとしたどんでん返しはあるものの、典型的なゾンビ映画で、全く希望のないバッドエンドの作品だった。なぜ父親がヘソンの電話に出ないでキウンにやりとりを任せているのか、と思っていたら、電話に出ると父親ではないことがバレるので、電話に出ないようにしていたのは、きちんとした伏線回収だったが、であれば、キウンがソッキュに「電話替わりましょうか」ぐらい言ってソッキュが拒否するぐらいしっかりと伏線を張った方がよかった。また、ヘソンの外出用とは思えない超ミニのワンピースと白パンティという姿も、意味があるのかよく分からなかった。ソウル市街をゾンビが埋め尽くす中に、ピンクと白のボーダーのワンピースを着たゾンビが混じっている、というような描写があれば、それらしかったのだが。
面白い映画ではあったが、猛烈な勢いで人間に襲いかかる姿は、まんま「アイアムアヒーロー」で、なんでわざわざこんな典型的なゾンビ映画をアニメで作ったのか、というのは謎だった。韓国の貧困や失業の問題をえぐる作品と見る向きもあるようだが、こじつけのように思える。
【5段階評価】4
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