(2245) アトミック・ブロンド
【監督】デビッド・リーチ
【出演】シャーリーズ・セロン、ジェームズ・マカボイ、ソフィア・ブテラ、トビー・ジョーンズ
【制作】2017年、アメリカ
スパイリストの奪取をもくろむ女性スパイの死闘を描いたアクション・サスペンス。
MI6の女性スパイ、ロレーン・ブロートン(シャーリーズ・セロン)が上司のエリック・グレイ(トビー・ジョーンズ)に、ベルリンでの出来事を尋問されている。聴取室にはゲストとしてCIAのエメット・カーツフェルド(ジョン・グッドマン)もいる。彼女の説明が始まる。
ロレーンはボスの「C」(ジェームズ・フォークナー)から、指令を受けた。内容は、MI6のスパイ、ジェームズ・ガスコイン(サム・ハーグレイブ)が東側のスパイ、バクティン(ヨハネス・ヨハンソン)に奪取されたスパイリストを取り返すというもの。彼女はベルリンに向かう。現地で合流した同僚のデビッド・パーシバル(ジェームズ・マカボイ)は有能だが抜け目がなく、ロレーンは彼を信用し切れない。ロレーンはフランスの女性スパイ、デルフィーヌ・ラサール(ソフィア・ブテラ)と関係を持ち、彼女からも情報を得たようだが、そのことはグレイに話さない。パーシバルとロレーンは、スパイリストの内容を記憶する男、スパイグラス(エディ・マーサン)を西側に逃がそうとするが、KGBと通じていたパーシバルが密かにスパイグラスを銃撃。ロレーンはスパイグラスを連れてKGBの一味と死闘を繰り広げるが、結局スパイグラスは死んでしまう。パーシバルは秘密を知るラサールを殺害。バクティンを殺してスパイリストを手に入れたパーシバルは、ロレーンが二重スパイ、サッチェルであることを知ったが、ロレーンはパーシバルを殺害。MI6で彼がサッチェルだという証言をし、事件を闇に葬る。
MI6の尋問から解放され、着飾ったロレーンはKGBのブレモビッチ(ローランド・ムーラー)と遭い、スパイリストの入った腕時計を手渡すが、それは偽物。ブレモビッチはロレーンを殺害しようとするが、ロレーンは返り討ちにする。その後、彼女が乗った飛行機には、CIAのカーツフェルドの姿が。彼女の真の正体はCIAエージェントなのだった。
ベルリンの壁崩壊という世界的な大事件のまっただ中、ネーナの「ロックバルーンは99」やジョージ・マイケルの「Father Figure」などの80年代ポップスをBGMに、スパイ同士の暗躍を描いているのが特徴的。ヌード姿から始まるオープニングに、スローモーションをふんだんに取り入れた巧みな映像による戦闘シーン。シャーリーズ・セロンが全身全霊で挑んだ大作と言えよう。ただ、タイトルが「チャーリーズ・エンジェル」のような、男を手玉にとって活躍する女スパイのコミカルアクションもののような響きがあり、損をしていると感じた。
序盤の戦闘シーンは、ドスンバタンと派手なものの、覚えたとおりの殺陣で敵が勝手に倒されていく感があったのだが、スパイグラスと入り込んだ建物での死闘から車で逃走するまでの10分にわたるワンカットのシークエンスは、カメラワークも含めて見事だった。
一方、登場人物が錯綜しすぎて敵味方の関係が覚えられず、何でこの人がこの人に殺されたのとか、どれが本当でどれが嘘なのとか、よく分からないまま観進めるしかなく、後半で大事なところだけ何となく分かるという面もあった。2回観た方が細かい設定が理解でき、楽しめる。
エンドクレジットは、スパイリストの内容が表示されるという味な演出になっていて面白い。BS12トゥエルビの「土曜洋画劇場」はこういうところまで放送してくれるので、映画ファンとしては嬉しい番組だ。
【5段階評価】4
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