(2195) 歓喜の歌
【監督】松岡錠司
【出演】小林薫、伊藤淳史、安田成美、由紀さおり、根岸季衣、浅田美代子、光石研、田中哲司、藤田弓子
【制作】2008年、日本
二つのママさんコーラスのコンサートをダブルブッキングしてしまった市役所職員と周囲の騒動を描いたコメディ。立川志の輔の創作落語が原作。
みたま文化会館の主任、飯塚正(小林薫)はいいかげんな性格で、妻のさえ子(浅田美代子)の信頼は地に墜ち、水商売の女に入れ込んで200万のツケがたまる始末。大晦日の10日前、大晦日の晩の枠に二つのママさんコーラスグループをダブルブッキングしてしまったことが発覚する。正は部下の加藤俊輔(伊藤淳史)とともに各グループを回るが埒があかない。みたま町コーラスガールズのリーダー、五十嵐純子(安田成美)は、みたまレディースコーラスのリーダー、松尾みすず(由紀さおり)に、合同コンサートを提案する。しかし、両方の招待した観客が会場に収まらないため、その案も実行は無理。途方に暮れた正だったが、出前の料理を間違えてお詫びに餃子を持ってきた中華料理屋の気遣いに触れ、自分に足りなかったのは誠意だったと気づく。彼は会場を一晩で改装するという計画を立ち上げ、工事業者に頼み込む。純子の機転もあり、工事が開始される。
家族での食事の約束をさんざんすっぽかされたさえ子は、離婚を言い渡そうとするが、娘の千夏(於保佐代子)にとりなされ、一旦は取り下げ、大晦日のコンサートを鑑賞することにする。何とか本番を迎え、すっかり意気投合した両グループは順番に素敵な歌声を披露。しかし、中華料理屋と裁縫店を切り盛りする大田登紀子(藤田弓子)が急な仕事で出演できていないことを知った正は、加藤を連れて車で迎えに行き、彼女を無理矢理会場に送り込む。正は店にいた客(筒井道隆)の対応を始めるが、裁縫などとてもできない。そこにさえ子が現れ、愚痴を言いながらも正に協力。正は心を入れ替えるからもう一度チャンスをくれと頼み込み、さえ子は「年越しそば食べにいこっか。家族三人で」と優しく返す。正は泣いて喜び、正に感謝を伝えようとコーラスグループの人達が待っている会場に、さえ子とともに戻るのだった。
個性的な登場人物がいろいろ登場するのだが、小さな町ということであちこちで人間関係がつながっているのが楽しく、最後はハッピーエンドで痛快な作品。落語が原作というが、こんなエピソードが折り重なった話を本当に一人で演じているのか、ぜひ立川志の輔の落語を聞いてみたいと思った。クライマックスでは、ものすごい歌声の持ち主、相崎陽子(平澤由美)のソロパートが聞けるのかと思ったが、それがなかったのはちょっと残念。
【5段階評価】4
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