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2020年9月 7日 (月)

(2168) フォックスキャッチャー

【監督】ベネット・ミラー
【出演】チャニング・テイタム、スティーブ・カレル、マーク・ラファロ、バネッサ・レッドグレイブ
【制作】2014年、アメリカ

オリンピックの金メダルを目指すレスリング選手とその兄、そしてスポンサーとなる富豪の運命を描いた実話に基づく作品。

1984年ロサンゼルスオリンピックのレスリング金メダリスト、マーク・シュルツ(チャニング・テイタム)は、兄デビッド(マーク・ラファロ)の影に隠れた存在。ある日、彼は、デュポン家の富豪ジョン・E・デュポン(スティーブ・カレル)から、自分がスポンサーとなってトレーニングチームを立ち上げ、そこにマークをコーチとして迎え入れるという申し出を受ける。マークは喜び、兄を誘うが、兄は家族を優先し、移住を断る。マークはジョンの主宰するトレーニングチーム、フォックスキャッチャーに正式に入り、フランスのクレルモン=フェランで開かれた1987年世界選手権で優勝。ジョンは祝勝会を開くが、自分の母親ジーン(バネッサ・レッドグレイブ)の愛する馬術をけなしたり、突然その場に倒れたかと思うと心配して集まった選手にレスリングの技をかけるという奇行に及ぶ。その後もジョンは、練習場内で天井に向けて発砲したり、パーティ会場に向かうヘリの中でマークにコカインを勧めたりする。
ある日、マークが仲間と休息を味わっているとジョンが現れ、デビッドをチームに入れろとマークに命令する。マークがデビッドは来ないということを再度説明すると、ジョンはマークに平手打ちを食らわせ、恩知らずのサルめ、お前を選んで失敗だ、と罵倒する。結局デビッドはコーチとして家族を連れてチーム入り。マークは完全にジョンを信用できなくなり、デビッドのコーチも拒否して試合に臨むが惨敗。ホテルでやけ食いしているところにデビッドが現れ、何とかマークを立ち直らせ、1988年ソウルオリンピックの代表入りを決める。しかしマークとジョンの信頼関係は全くなくなり、マークはソウルオリンピックで敗退する。マークはジョンのもとを去り、デビッドはジョンの敷地内でコーチを続ける。一方、母親が死亡したジョンはますます精神に異常を来し、ある日曜日、休息をとっているデビッドに銃を向け、「私に不満でもあるのか」と難癖をつけ、無抵抗のデビッドに発砲。倒れたデビッドの背後からさらに2発の銃弾を浴びせ、車で走り去る。デビッドは亡くなり、ジョンは逮捕される。その頃マークはレスリングを引退し、総合格闘技の選手となっていた。デビッドは死後、レスリングの殿堂入りをし、マークはレスリング教室を運営。ジョンは2010年、獄死したのだった。

録画した番組案内をちらっと見たときに「殺人事件の謎を追う」的なことが書いてあったので、ミステリ作品なのかと思って見始めだのだが、全くそんな要素はなく、主人公マークの苦悩を描いた作品として物語が進み、そのうち殺人と書いてあったことなど忘れていた。すると最後の最後に衝撃的なシーンが待っている。主人公はマークではなく、ジョンだったのだ。これは自分にとってはけっこうなどんでん返しだった。実は番組案内には「なぜ大財閥の御曹司は、オリンピック金メダリストを殺したのか」と書いてあった。これを知っていて観るのと知らずに観るのとで、作品に対する姿勢が全く変わってくる。自分は自身のうろ覚えのお陰で作品の衝撃をもろに受けることができた。実は映画の予告にも上の文章は載っているのだが、こうではなくせめて「なぜ殺人は行われたのか」ぐらいにしておいた方がいい気がした。作品自体も、どちらかというとマークの精神的不安定に焦点を当てていて、ジョンの奇行は伏線として描かれており、実話がベースとは言いながらどんでん返しを狙った作りになっていた。
マークのレスリングシーンはかなり本格的。チャニング・テイタムはレスリング経験者なのかと思ったほど。マーク・ラファロの演技も素晴らしい。そしてジョンを演じたスティーブ・カレルも難しい役どころを怪演している。

【5段階評価】4

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