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2019年7月29日 (月)

(1926) 真実の行方

【監督】グレゴリー・ホブリット
【出演】リチャード・ギア、エドワード・ノートン、ローラ・リニー、フランシス・マクドーマンド、ジョン・マホーニー
【制作】1996年、アメリカ

大司教殺人事件の容疑者となった青年を巡る法廷サスペンス。血まみれで逮捕された青年は事件当時の記憶が失われていた。彼が多重人格者であることが判明。果たして裁判の行方は。

地域の有力者ラシュマン大司教を殺害した容疑者、アーロン・スタンプラー(エドワード・ノートン)が逮捕され、辣腕弁護士のマーティン・ベイル(リチャード・ギア)は、プロボノでアーロンの弁護を買って出る。検事はかつてマーティンと夜をともにしたことのあるジャネット・ベナブル(ローラ・リニー)。彼女は上司の指示でアーロンに死刑を求刑する。
アーロンは大人しい性格の青年だった。彼は、ホームレスだった若い頃にラシュマンに拾われ、大司教の世話になっており、彼を殺すはずがないこと、事件の日は借りていた本を返そうと大司教のもとに向かったところ、自分以外の何者かがおり、その後記憶を失って、気がつくと血まみれで現場にいたと話す。マーティンはアーロンの無実を信じるようになり、精神科医のアーリントン(フランシス・マクドーマンド)にアーロンの診断を依頼する。アーリントンは、アーロンに女友達のリンダの話をする。アーロンは大人しい性格から豹変し、攻撃的な性格をあらわにする。捜査を進めるうちに、実は大司教には変態的な性的嗜好があり、自分の前で若者に性的行為をさせているビデオが発見される。マーティン自身もアーロンにロイという攻撃的な別人格があることを知り、ロイが大司教を殺害したのだと考える。ジャネットはマーティンの作戦に乗せられ、法廷でアーロンを執拗に責めた質問をした結果、アーロンの中のロイが目覚めてしまう。ロイはジャネットに襲いかかり、首を締め付けるが、何とか周囲の人々がロイを引き剥がす。審理は中止となり、アーロンは病院に行くことが決まる。マーティンは、アーロンの独房に行く。アーロンは法廷で記憶がなくなり、何も覚えていないと話す。マーティンは、アーロンは無罪となったこと、病院に送られるがすぐに出られるだろうと告げる。アーロンはマーティンに感謝し、立ち去るマーティンに、ベナブルに首は大丈夫かとお見舞いしてほしいと告げる。マーティンは、その言葉を聞き、アーロンが記憶を失っていないことに気づく。そう、アーロンの多重人格は彼の演技だった。アーロンの中にロイがいたのではない。ロイがアーロンを演じていたのだ。自分のしたことに気づき、マーティンは法廷を力なくあとにするのだった。

エドワード・ノートンの演じるアーロンの、当初のおどおどした姿と、真相を語るときの邪悪な勝ち誇った顔のギャップが印象的。彼の演技なくして、この作品のどんでん返しは成立しない。多重人格って嘘なんじゃないの、という観客のありがちな疑いを十分以上に拭い去る演技があるからこそ、ラストシーンの戦慄が際立つ。本作がデビュー作だというから、驚きだ。

【5段階評価】4

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