(1645) 油断大敵
【監督】成島出
【出演】役所広司、柄本明、夏川結衣、前田彩花、淡路恵子、菅野莉央
【制作】2003年、日本
刑事と泥棒の奇妙な友情を描いた作品。
妻に先立たれ、男手一つで娘の美咲(菅野莉央)を育てている刑事の関川仁(役所広司)。ピラニアを飼っているだるま職人(笹野高史)が盗みに入られ、それを捜査していた関川は、美咲の自転車を直してくれていた男(柄本明)がピラニアの餌の缶をバッグに入れていることに気づき、男を職務質問。逮捕にこぎ着ける。男の名は猫田。根っからの泥棒であった。
関川は、美咲の面倒を見てくれていた教会の牧子先生(夏川結衣)と再婚しそうになるが、美咲は3日間、食事をとらずに抗議。関川は再婚を諦める。
出所した猫田は、堂々と関川に勝負を挑みに関川の職場を訪ねてくる。猫田は互いに健康に気をつけようとうそぶいて、盗みを繰り返す。しかし、猫田は盗みの最中に喀血する。猫田の行きつけの小料理屋のおかみ(淡路恵子)は胃がんだろうと言う。ついに関川は猫田と再会。再び拘留する。
関川の娘の美咲は18歳になっており、医療の道に進んでカンボジアに行きたいと言い出す。関川は大反対するが、猫田の故郷を訪ね、少年時代の猫田を追ううちに、娘の心情を理解するようになる。猫田の父親は暴力亭主で、母親は別の男と駆け落ちしてしまう。猫田は自ら盗んだ金で母親を追いかける。それ以来、猫田は人からお金をめぐんでもらうことを拒絶するようになった。美咲もまた、父親の再婚に反対しつつも、父親に申し訳ないという気持ちがあり、大好きだった二色パンのチョコを父親にあげていた。関川はようやく、家から飛び立つ羽を手に入れた美咲を見送らなければならなくなったことに気づく。
猫田は再び逮捕される。猫田は胃がんなどではなく、胃潰瘍だった。元気になった猫田に握手を求められた関川は、勢いよくその手をはねつけるのだった。
関川といい関係になる牧子先生は序盤だけの登場。中盤以降に色気はなく、物語は関川と猫田の二人を軸に展開する。それほど登場人物は多くないのだが、二人の名演技のおかげで作品に深みがある。最後までぐっと引き込まれる作品だった。
【5段階評価】4
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