(1546) ラストミッション
【監督】マックG
【出演】ケビン・コスナー、ヘイリー・スタインフェルド、アンバー・ハード
【制作】2014年、アメリカ、フランス
病に冒されたCIA工作員が家族との絆を取り戻すさまを描いた作品。
CIA工作員のイーサン・レナー(ケビン・コスナー)は、風邪のような症状に悩まされながら、密売人のアルビノ(トーマス・レマルキス)を追い込むが、すんでのところで症状が悪化し、取り逃してしまう。病院で診断した結果、彼の余命は3ヶ月だった。身辺整理をしろと医者に言われたイーサンは、パリに向かい、妻のクリスティン(コニー・ニールセン)に、娘と過ごしたいと告げる。クリスティンは、イーサンが危険な仕事を辞めることを条件にする。
家族を顧みてこなかったイーサンに、娘のゾーイ(ヘイリー・スタインフェルド)は冷たかった。イーサンは娘に自転車をプレゼントするが、ゾーイはしらけた表情をする。イーサンは、CIAのビビ(アンバー・ハード)から、延命効果のある注射を報酬に、アルビノのボス、ウルフ(リチャード・サメル)の追跡を依頼される。
ゾーイは、父親に内緒でナイトクラブのパーティに出かける。イーサンが店に向かうと、ゾーイは若い男たちに襲われそうになっていた。イーサンは男たちを殴り倒してゾーイを救い出す。ゾーイはイーサンに、自転車に乗れないことを告白。父親に教えてもらう機会がなかったからだ。イーサンはゾーイに自転車の乗り方を教え、親子の溝は埋まっていく。
イーサンは、ダンスが踊れないというゾーイにダンスを教える。帰宅したクリスティンがそれを見て涙ぐむ。三人の家族の絆がもどった瞬間だった。イーサンとクリスティンはベッドをともにする。しかし、クリスティンは、イーサンが仕事のためにまた家を出て行くことが不安だった。イーサンに電話が入る。アルビノが現れたのだ。イーサンは、僕はもう消えないとクリスティンに優しくささやく。
イーサンは、車で移動するウルフを追い、カーチェイスの末、ウルフを地下鉄駅まで追い詰めるが、そこで持病が悪化。ホームに倒れ込んだイーサンを、アルビノがホームの端まで引きずり出して電車で頭を潰そうとするが、イーサンはギリギリでかわしてアルビノを線路に転落させて殺す。しかし、ウルフには逃げられてしまう。
イーサンは家族でゾーイのプロムに向かう。そこで、ゾーイの恋人、ヒュー(ジョナス・ブロケット)に挨拶。ヒューの父親が仕事のパートナーをイーサンに紹介。なんとそれはウルフだった。緊張の走る中、何食わぬ顔で二人は握手を交わす。パーティのさなか、ウルフは手下にイーサンの殺害を指示。激しい銃撃戦となるが、イーサンはエレベータに逃げ込んだウルフを、エレベータごと落下させる。最下階でウルフを発見したイーサンだったが、またも病状が悪化する。ウルフはイーサンの拳銃を奪い取ろうとするが、そこにビビが現れ、イーサンに、ウルフにとどめを刺させようとする。しかし、イーサンは妻との約束だと言って殺害を拒否。ビビがウルフを射殺する。
イーサンは家族とクリスマスを過ごす。ビビはイーサンに延命用の注射をプレゼント。遠くからイーサン一家を見守るのだった。
序盤のセルビアのホテルでの銃撃シーンや、自転車を使って会計係を拉致するシーンなんかはよくできていたし、不法滞在している黒人一家が子供を出産してイーサンの名をつけたりする、いいシーンもあったのだが、全体的には脚本は結構ずさんで、コメディなのかヒューマンドラマなのか、よく分からない展開だった。
まず、ビビが、自ら手を下せばいいじゃん的な感じでイーサンを助けすぎ。RPGでよく、長いダンジョンを抜けたりボス戦が終わるとムービーシーンに入り、登場するNPC(プレーヤーが操作しないストーリー上のキャラ)が主人公に「大丈夫か」とか「こんなところに宝が隠されていたのね」的なことを言ってくることがあるが、「こっちはトラップやら敵の襲撃やらさんざんくぐり抜けてやっとたどり着いたのに、お前はなにをあっさり追いついてんだよ」と言いたくなることがある。あれに近い。敵を追い詰めたら主人公の病状が悪化するというのもお約束すぎるし、イーサンを襲った暗殺者がイーサンの家族の写真を持っていたのに、特に家族が襲われることもない。イーサンがウルフに近づく間際で、死んだふりをする理由がよく分からないし、さんざんウルフの手下を撃ち殺しておいて、ボスのときだけは急に妻との約束で殺せないじゃないだろう。
また、プロムでの銃撃戦のさなか、ゾーイはヒューと二人きりで部屋の中で口づけをしていて戦闘に気づかないのだが、だからなんなんだ、というのもよく分からない。黒人家族がイーサンの家に住み着くようになるのも、本編とからむことはないので、いらないっちゃいらない。
それでも、あまり難しいことを考えずに見ていれば、強いイーサンはかっこいいし、ゾーイは日本人好みのかわいらしい顔をしているし、仰向けで倒れているイーサンを、ミニスカートでまたいで仁王立ちするビビにも萌える。イタリア人にスパゲッティソースの作り方を聞くところも楽しい。娘を救い出すシーンは、ほぼ「ボディガード」だった。というわけで、娯楽作としては評価4をつけた。
【5段階評価】4
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