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2017年7月12日 (水)

(1541) 蛇にピアス

【監督】蜷川幸雄
【出演】吉高由里子、高良健吾、ARATA、あびる優、藤原竜也
【制作】2008年、日本

金原ひとみの芥川賞受賞小説の映画化作品。吉高由里子の体当たり演技が話題となった。

渋谷の怪しげなバーに一人で入った少女、ルイ(吉高由里子)は、舌先を二つに割った男、アマ(高良健吾)と知り合い、同棲を始める。退屈な日々に飽いていたルイは、自分もスプリットタンを目指すことにし、アマの紹介でシバ(ARATA)の店に行く。その場で舌にピアスを通したルイは、入れ墨にも興味を示す。
アマは赤髪で見た目は顔中ピアスだらけのパンク風だが、少年のような性格。ルイはアマを友人のマキ(あびる優)に紹介する。3人は飲んだ帰りに、二人の柄の悪い男に絡まれる。二人はルイとマキに近づき、一人(藤原竜也)はアマを蹴飛ばす。アマは猛烈に反撃し、殴り倒された一人(小栗旬)は逃走。倒れ込んだもう一人にアマは激しい凶暴性を発揮して殴りかかると、口の中から歯を抜き取って走り去る。アマは血まみれの2本の歯を、「愛の証」と言ってルイに手渡す。
ルイは、バイト中のアマに内緒でシバの家に行き、キリンと竜の入れ墨を彫ってもらうことにする。料金を聞くルイに、シバは「エッチ1回」と言い、ルイはあっさりと受け入れる。サディストのシバはルイの首を絞め、苦しむ姿に興奮しながらルイと交わる。
ルイが、アマの寝ている暗い部屋の中、テレビを見ていると、アマが暴行を働いた事件のニュースを見る。アマが殴り倒した男は頭蓋骨陥没で死亡していた。ルイは慌ててコンビニに行き、アマの髪を茶色に染め直す。やがてルイの入れ墨は完成するが、目標を失ったルイは酒に溺れるようになる。優しいアマにルイはつらく当たり、シバとの浮気を続けていた。シバはルイに結婚を持ちかけるようになる。
そんなある日、アマが朝になっても家に帰ってこなかった。ルイは動揺し、捜索願を出そうとして派出所に向かうが、警官に失踪者の名前を聞かれ、何も言えずに立ち去る。ルイはアマの本名を知らなかった。ルイはシバに泣きつき、二人で警察に向かい、捜索願を出す。
ルイはシバとともにアマの家に帰る。自暴自棄になるルイをシバがなだめていると、シバの携帯がなる。アマとおぼしき死体が見つかったという警察からの連絡だった。アマは手足の爪を全て剥がされ、たばこを押しつけられたやけどが無数にあり、陰部には線香が挿入されていた。ルイはアマの葬式に向かい、彼が自分の年下であることを初めて知る。ルイはシバと暮らすようになるが、シバに首を絞められてもルイは苦しい表情を見せなくなり、シバとの性交はなくなる。
警察はルイに捜査の状況を伝える。押しつけられたたばこはマルボロのメンソール、陰部に差し込まれた線香はアメリカ製のエクスタシーのムスクのアロマだったという。それらはいずれもシバが愛用しているものだった。刑事(市川亀治郎)はルイに、アマに同性愛趣味がなかったかを訪ねる。ルイは否定してシバの店に戻り、シバの使っていたアロマをココナッツに無理矢理変え、シバとの暮らしを続ける。ルイはアマにもらった歯を粉々に砕いてビールで飲み込む。スプリットタンは完成せず、舌には大きな穴が空いただけだった。ルイは渋谷の町をさまよいながら、ふと絶えきれなくなったように交差点でしゃがみ込むのだった。

なんと言っても吉高由里子のヌードが衝撃的。日本で、人気若手女優がヌードを披露することはほぼ皆無。蜷川監督に裸を見せて主役を射止めたというエピソードもあり、彼女の役者魂がうかがわれる。しかもヌードシーンは1回だけではなく、映画の冒頭から終盤まで何度も登場。顔も体も本当にきれいで、思わず見とれてしまうほど。この若い女性が舌に穴を空けたり背中に入れ墨をしたりするので、観る者への衝撃も大きくなる。彼女の体当たり演技も含めて、蜷川監督の力量が発揮された一作だ。

【5段階評価】4

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