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2017年1月24日 (火)

(1434) わらの犬

【監督】サム・ペキンパー
【出演】ダスティン・ホフマン、スーザン・ジョージ、デル・ヘニー、ピーター・ボーン
【制作】1971年、アメリカ

数学者が暴徒と化した男たちと戦うバイオレンス作品。

アメリカの数学者、デイビッド(ダスティン・ホフマン)は、妻エイミー(スーザン・ジョージ)の生まれ故郷、イギリスの片田舎に引っ越す。デイビッドは村社会の中で歓迎されず、何かにつけて馬鹿にされる。デイビッドは地元の村人に納屋の修理を頼むが、そのうちの一人、チャーリー(デル・ヘニー)は、エイミーと過去に肉体関係があるのだった。修理屋の一人、クリス(ジム・ノートン)は、エイミーの下着を盗んで仲間に自慢する。エイミーはデイビッドが仕事に没頭していることに不満で、わざと上半身裸で窓際に行って修理中の男たちに見せたりといった行動をとる。
デイビッドは修理工らにハンティングに誘われるが、彼らはデイビッドを置き去りにする。そのすきにチャーリーは留守を預かるエイミーの家を訪ね、エイミーを強姦する。エイミーは拒絶しながらも「抱いて」などと錯乱気味の行動を取る。そこに銃を持ったノーマン(ケン・ハッチソン)が現れ、彼も強引にエイミーを犯す。エイミーはデイビッドにその事実を告げることができずにいたが、デイビッドは翌日、彼らを首にする。
デイビッドは教会のパーティに招かれ、エイミーとともに訪れるが、そこにはチャーリーとノーマンも来ており、エイミーは恐怖で涙ぐんでしまう。エイミーの異常に気づいたデイビッドは家に帰ることにするが、霧が濃かったせいで、道をさまよっていた男を車ではねてしまう。男は地元の精神障害者ヘンリー(デビッド・ワーナー)。彼はかつて少女へのわいせつ行為の前科があり、この日はトム(ピーター・ボーン)の娘、ジャニス(サリー・ソムセット)に誘惑され、二人で教会を抜け出し、わいせつな行為をしていた。それに気づいたトムやチャーリーたちはヘンリーを探し始め、ヘンリーは気が動転してジャニスを絞め殺してしまう。その後、道をさまよっているところをデイビッドの車にひかれてしまったのだ。
デイビッドはヘンリーを家に連れ帰り、警察や病院に電話をするが、つながらないため、村人が集まっているパブに電話をする。バーテンからヘンリーがデイビッドの家にいると聞かされたトムたちは、デイビッドの家に押しかける。しかし、デイビッドはヘンリーがリンチに遭うと確信し、彼らを家から追い出す。激高したトムは家の中に押し入ろうとし、一緒に来ていたクリスは家のガラスを割ってネズミを放り込むなど、次第に暴徒と化していく。仲介に来たお目付役のスコット少佐(T・P・マッケンナ)も、トムともみ合って銃で撃たれて死んでしまう。トムらはますます興奮状態となる。エイミーはデイビッドにヘンリーを差し出せ、と叫ぶが、デイビッドはとりあわず、籠城戦に打って出る。トムが窓から侵入してきたのを待ち伏せしたデイビッドは、トムの持つ銃を下に打ち付け、トムは自らの足を銃で撃ってしまう。部屋に侵入してきたクリスはナイフを投げつけてデイビッドを攻撃してくるが、デイビッドは火かき棒で応戦し、クリスを殴り殺す。そこに銃を持ったチャーリーが現れ、万事休すと思いきや、2階からノーマンが侵入し、エイミーを襲う。そこにデイビッドとチャーリーが駆け込むが、ノーマンは俺が済んだら呼ぶから下に降りろと指図をする。エイミーの恐怖にゆがんだ顔を見たチャーリーは、ノーマンを撃ち殺す。デイビッドはチャーリーともみ合いになり、階段から転げ落ちる。デイビッドは骨董品の巨大なトラバサミでチャーリーを仕留める。全員を倒したかと思いきや、最後の一人がチャーリーに襲いかかってくる。デイビッドはエイミーに銃を撃てと命じ、エイミーがこわごわ銃をぶっ放し、男は絶命する。
デイビッドはヘンリーを車に乗せ、村の中心部へ向かう。ヘンリーが「帰り道が分からない」とつぶやく。デイビッドはヘンリーを慰めながら、不敵な笑みを浮かべ、「僕もだ」と言うのだった。

序盤、乳首の突起もあらわなスーザン・ジョージが登場。公開当時21歳。これはなんの観客サービスかと思ったら、男の劣情をいたずらに引き出す無警戒な女性という設定であった。
最初のうちは、内気なアメリカ人が粗野なイギリス民に冷たくされる、つまらないヒューマンドラマなのかと思って観ていたが、後半は過激なバイオレンスが展開する。これをダスティン・ホフマンが演じているというのが、なんとも味がある。この結末を知って一から観直すと、トムの激情的な性格や、人の神経を逆なでするようなクリスの振る舞いなどが、きちんと描かれているのだ。
本作の感想や評価を見ていると、温和なデイビッドが内なる狂気に目覚めるという解釈が多かったが、自分はあまりそう思わなかった。彼は残酷で過剰な殺戮を繰り広げたわけではなく、自らの正義を守るために、やむにやまれぬ防御的な戦いをしていたように見えた。
同じサム・ペキンパー監督作品の「戦争のはらわた」や「ゲッタウェイ」は、あまり面白いと思わなかったが、本作は期待以上に面白かった。ダスティン・ホフマンの演技のすばらしさが理由かもしれない。序盤のだるい感じがなければ、評価5だった。

【5段階評価】4

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