(1292) ラッキーナンバー7
【監督】ポール・マクギガン
【出演】ジョシュ・ハートネット、ブルース・ウィリス、モーガン・フリーマン、ルーシー・リュー
【制作】2006年、アメリカ
マフィアどうしの争いに関わる青年と殺し屋の企てを描いたサスペンス。
閑散とした空港に現れた青年に、車いすに乗ったスミスと名乗る男(ブルース・ウィリス)が、カンザス・シティ・シャッフルの話を始める。ある妻子持ちの男が、競馬の八百長の話を聞きつけ、ノミ屋に借金をして大金を賭けに投じるが、その馬は転倒。男は見せしめとして、妻と幼い息子とともに、ギャングに殺されたのだという。車いすの男は、青年にその話をすると、一瞬の隙をついて青年の首をひねって殺害。車いすに乗せて空港を後にする。
舞台は変わり、アパートの一室で髭をそる青年、スレブン(ジョシュ・ハートネット)。彼は友人のニックのもとを訪ねるが本人はおらず、途方に暮れているところだった。スレブンは、そこで隣人のリンジー(ルーシー・リュー)と知り合う。リンジーが去った直後、マフィアの手下が現れ、スレブンはニックと勘違いされたまま、ボス(モーガン・フリーマン)のもとに連れて来られる。ボスはスレブンに、96,000ドルの借金をチャラにするかわりに、狙撃により殺された息子の復讐のため、敵対するマフィア、ラビ(ベン・キングスレー)の息子、イツザックを同じ運命に遭わせるよう命じる。スレブンが退去すると、ボスの部屋の陰からスミスが現れる。彼はボスからイツザック殺しを依頼されていた。
ニックの部屋に戻ったスレブンは、訪ねてきたリンジーに顛末を話す。リンジーが去ると、今度はラビの手下が現れる。ラビはスレブンに、貸している33,000ドルを2日以内に返せ、と一方的に命じる。スレブンが何も言い返せずに部屋を出ると、そこにもまたスミスがいた。ラビはスミスに、彼はニックじゃないと告げるが、スミスは「知ってる」とだけ言い残して立ち去る。
再びニックの部屋に戻ったスレブンは、リンジーから、ニックの部屋にかかってきた電話番号を手がかりに、電話の相手を調べたところ、ホテルに泊まっているスミスという名の男をつきとめた、という話を聞く。彼は、スレブンが連れて行かれたビルに入っていったという。
翌日、スレブンはボスのもとを訪ね、ラビの息子殺しを承諾。そこにスミスが現れる。彼は凶悪な殺し屋、グッドキャットだった。彼は、スレブンにイツザックを殺させ、自分がスレブンを殺して、現場をゲイの心中に見せかける、という作戦をボスに語っていた。
刑事のブリコウスキー(スタンリー・トゥッチ)は、スレブンがニック・フィッシャーではないことを突き止め、彼を怪しみ出す。リンジーと恋仲になったスレブンのもとに、ボスの手下が現れ、彼をイツザックのもとに送り込む。スレブンは殺害を決行。そこにスミスが現れ、銃を抜く。スレブンが撃たれるのかと思いきや、彼が撃ったのは虫の息で拳銃の引き金を引こうとしているイツザックだった。スミスとスレブンは共謀していたのだ。二人は、現場に空港で殺害した青年の死体を置き、部屋を爆破して立ち去る。
スレブンの正体。それは、ノミ屋に借金をして殺された男の息子だった。スレブンの父親を殺したのが、当時、駆け出しのマフィアだった、ボスとラビだったのだ。当時、少年だったスレブンの殺害役を担っていたのが、ブラックキャットだった。ブラックキャットは少年のスレブンの命を救い、彼とともに、今回の壮大な復讐劇を計画していたのだ。
彼らは手始めに、ボスとラビの両方のノミ屋を襲って借金のリストを入手。そこから、両方に多額の借金をしている男、ニック・フィッシャーを見つけ、彼を殺害。スレブンはボスの息子をビルの屋上から狙撃し、ボスが殺し屋のグッドキャットに連絡をよこすのを待った。依頼を受けてグッドキャットはボスのもとを訪れ、身替わり作戦にニックを使うよう指示。
一方で、旧友のラビをも訪ね、息子の暗殺を防ぎ、ボスを殺害するという話を持ちかけるとともに、ニックから借金を取り立てるよう指示していた。そこに、すでに死んでいるニックに代わってスレブンが現れ、彼らのいいなりになっているふりをして、イツザックを殺害。そこにニックの死体を置いて、自らを死んだと見せかけ、存在を消したのだった。
グッドキャットとスレブンは、ボスとラビを椅子に縛り付け、真相を話す。恐怖に怯える二人に、スレブンは、かつて自分の父親がそうされたように、ビニール袋をかぶせて二人を殺害する。
ブリコウスキー刑事は、同僚からの電話で、かつての八百長競馬の馬の名前がスレブンだったと聞かされる。彼は当時、ノミの競馬に入り浸っており、借金のカタに、スレブンの母親殺害に手を染めていたのだ。車の中で呆然と電話を聞いていたブリコウスキーの背後に、後部シートに身を潜めていたスレブンが現れる。彼は問答無用でブリコウスキーの頭を銃で吹き飛ばす。こうして、全ての復讐劇が幕を閉じたのだった。
グッドキャットは、スレブンとグッドキャットの正体に気付き始めているリンジーを殺害。しかし、スレブンは先手を打って、彼女に真相を告げ、防弾チョッキを着て血糊で死んだふりをするよう指示していた。二人は空港で再会し、抱き合うが、そこにグッドキャットが現れる。焦るスレブンだったが、グッドキャットは、父親の形見の腕時計をスレブンに託すと、静かに立ち去るのだった。
おそらく一度見ただけでは、全容を把握することが難しい、入り組んだ作品だが、シナリオはとてもよく練られている。父親が無残に殺される顛末を、グッドキャットがニックに話しかけるという形で盛り込んだり、空港で一見、無差別的に殺されたような青年が、実は劇中、ずっと名前を使われ続けているニックであったことなど、様々な謎がすっと一つにつながり、痛烈な復讐劇と相まって、十分なカタルシスを得られる。
ただ、作品のタイトルが、ちょっとピンボケだった。日本語としてはラッキーナンバーという言葉は軽すぎで、なにやらコメディサスペンスのようにすら聞こえてしまう。もっと重厚な、意味深長なタイトルの方が、作品の雰囲気をよく伝えていたように思う。「ミニミニ大作戦」に次ぐ残念度だった。
【5段階評価】4
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