(1267) 大洗にも星はふるなり
【監督】福田雄一
【出演】山田孝之、山本裕典、佐藤二朗、戸田恵梨香
【制作】2009年、日本
海の家で働いていたアルバイトたちが、クリスマス・イブの夜に再会して巻き起こす騒動を描いた作品。
大洗の海の家が8月31日を迎え、マスター(佐藤二朗)はアルバイト達をねぎらう。そしてクリスマス・イブの晩。半ば廃屋となった海の家に、アルバイトだった仁科(小柳友)、松山(山本裕典)、猫田(ムロツヨシ)、杉本(山田孝之)、そしてマスターまでもが次々と集まってくる。彼らはみな、バイト時代のマドンナ、江里子(戸田恵梨香)からの会いたいという手紙を携えていた。さらに、弁護士、関口(安田顕)が現れ、マスターに海の家の撤去を命じる。しかし、集まった全員が江里子が来るまで海の家は壊せないと言い出したため、関口は全員に、どれだけ江里子に愛されていたかを証言させる。
杉本から順に話を始めるが、誰もが自分に都合のいい妄想話をするばかりで関口にあっさりと嘘を見抜かれ、そうこうするうちに関口までもが江里子を好きだと言い始める。そこに、遅れて林(白石隼也)が現れるが、話を聞いているうちに、関口は、全員に送られた手紙は、林が書いたものであることを見抜く。林は自分が脳梗塞で余命幾ばくもないため、もう一度、バイト仲間に集まりたいと考え、江里子の名を使って、みんなを呼び寄せていたのだった。結局、江里子は全く別の男と結婚することになり、次の年もまた、アルバイトの男どもが、新しく来た女の子のアルバイトに夢中になる日々が始まるのだった。
季節外れの夜の海の家の中で、登場人物が一人一人思い出を語り、それが映像として紡がれていくというワン・シチュエーションの展開は、「キサラギ」を彷彿とさせた。そういう意味では、江里子は思い出のシーンにしか登場せず、そして誰のものにもならないな、というのは読める範疇なのだが、それでも物語がどういう方向に進んでいくのか、引き込まれていく、舞台劇の様相の色濃い作品だった。戸田恵梨香の演じる江里子が、明るくかわいい天使のような女の子というよりは、落ち着いたトーンでクールなキャラとして描かれているのは、監督の好みなのだろうか。ゴスロリが好みという話もあるようだが。
【5段階評価】4
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