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2014年12月 4日 (木)

(1239) 謎解きはディナーのあとで

【監督】土方政人
【出演】櫻井翔、北川景子、椎名桔平、中村雅俊、桜庭ななみ、要潤
【制作】2013年、日本

テレビドラマ「謎解きはディナーのあとで」の劇場版。主人公の乗った豪華客船で起きる連続殺人の謎を解く。

資産家の令嬢で刑事の宝生麗子(北川景子)と、執事の影山(櫻井翔)が、豪華客船プリンセス・レイコ号に乗り込む。船内でレイモンド・ヨー(団時朗)が何者かに射殺される。花火ショーの最中に救命胴衣を着けた何者かが海中に落下したため、船長の海原(鹿賀丈史)は船を停止させて救助するが、それが胸を撃たれて死んでいるヨーだった。
続いて、客室支配人の藤堂卓也(中村雅俊)が、劇薬の入った水を飲み、倒れる。一命は取り留めるが、藤堂は船内でファントム・ソロスという伝説の怪盗を見た、と証言する。
ファントム・ソロスは18年前にも、幼い麗子の乗っていたレイコ号で、麗子の海難のお守りとなっているセイレーンの涙と呼ばれるブルーダイヤの原石を狙っており、麗子はソロスに遭遇していた。さらに、藤堂の娘で歌手の凜子(桜庭ななみ)の恋人で、コックの見習いだった石川天明(要潤)が、香港人の乗客の部屋で殺されているのが発見される。なぜか石川は、全裸で土下座をしており、床には青いシミが、天井には何かを修復したような傷があった。
関係者がソロスを目にした者が襲われているのではないかと考え始めたところ、今度は麗子が誘拐される。犯人は100万ドル用意するようメッセージを送りつけてきたため、影山は手元にあった50万ドルを持って、乗船していた富豪、京極天(生瀬勝久)にポーカーの勝負を挑む。船内に乗っていた女性、熊沢美穂(宮沢りえ)の助けで勝負に勝った影山は、指定の場所に100万ドルを持ち込む。麗子が救助艇の中にいると知った影山は、麗子を助けに向かうが、救助艇は海に落下。無人島に流される。
ほどなく救助された二人は船に戻る。二人の向かった先は、藤堂だった。セイレーンの涙を狙っていた藤堂は、ヨーを殺害して、浮き輪を使ったアリバイ工作をしてヨーを海に落下させる。海難者が出た場合は船が停止することになっているため、その際に生じる停電で赤外線セキュリティの切れた隙に宝石を奪おうとしていた。ところが、麗子の部屋に入ろうとした場面を石川に見られてしまう。石川もまたセイレーンの涙を狙った犯罪者で、香港人客になりすまして麗子の部屋の真下の客室を確保。下から天井を爆破して宝石を奪おうとしていたが、それに気付いた藤堂は石川の部屋に入る。天井に穴を開けているところを見られた石川は藤堂を殺そうとするが、石川が凜子に近づいたのは、マスターキーのためだけだったと聞かされて逆上し、逆に持っていた万年筆で石川の首をさして殺害。石川がセイレーンの涙を狙っている痕跡を消さなければ、自分自身がセイレーンの涙を奪うことが難しくなると考えた藤堂は、石川が用意していた爆弾などを隠そうとするが、天井の穴をふさぐための踏み台が見当たらない。藤堂は、万年筆のインクで汚れた服を脱がされ、全裸となった石川の遺体を、土下座したような形に折り曲げて踏み台にし、天井の穴をふさいでいたのだ。
藤堂は、船内に積まれていた別の貴重品、ケーライオンを、船内に入り込んでいたこそ泥に狙わせるように仕向け、彼らが入り込んだ隙に堂々とセイレーンの涙を偽物とすり替えていた。船内に警報が鳴り響くが、誰もがケーライオンに意識が行くため、気付かれなかったのだ。
影山に全てを見抜かれた藤堂は、観念して、自分がかつて、レイモンド・ヨーによって滅亡の一途をたどったリー家の執事であり、娘として育てていた凜子は、リー家の令嬢であったことを告白する。藤堂は、かつてリー家の家宝だったセイレーンの涙を取り戻すため、麗子が船に乗り込むことを18年間待ち続けていたのだった。藤堂は逮捕されるが、凜子はそれでも藤堂に育ててもらった日々に感謝し、聞かせてもらっていた子守歌で藤堂を送る。
船を降りた影山は、とある屋敷に向かう。そこには、京極とのギャンブルで影山を助けた女性、熊沢美穂がいた。彼女こそが、幻と思われたファントム・ソロスの正体だった。影山は、ポーカーの最中に警報が鳴ったとき、彼女だけがみんなと違う麗子の部屋の方に視線を向けたことから、警報の鳴った理由をセイレーンの涙のほうだと考えた彼女こそ、18年前にセイレーンの涙を狙って、同じ警報を発動させたファントム・ソロスだと見抜いたのだ。
ファントム・ソロスは、影山の推理をたたえ、セイレーンの涙を返して立ち去るのだった。

コミカルすぎるオープニングに、クソつまらないギャグが続くのかと思いきや、途中で登場するさまざまな謎や伏線がすっきりと明かされ、いろいろなエピソードが粋な結末を迎える。最後までわくわくできる作品だった。
もっとも、18年間、アラームの音が変わらないのか、とか、壁でへだたっているのにそっち見るか、とか、エンジンが止まって停電になったらセキュリティ切れるんかい(「ダイ・ハード」かよ)とか、突っ込みどころはいろいろあるわけだが、罪を白状した藤堂に凜子が話しかけるシーンは目頭が熱くなった。
最後まで謎の明かされない、警備員の松茂(甲本雅裕)とコック(六角精児)と機関部員(田中要次)の密談が、実は船長にケーキを送るというほほえましい相談だったというのも、最後まで観客の興味を引っ張り、心憎い演出だった。

【5段階評価】4

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