(1193) あるスキャンダルの覚え書き
【監督】リチャード・エアー
【出演】ジュディ・デンチ、ケイト・ブランシェット、アンドリュー・シンプソン、ビル・ナイ
【制作】2006年、イギリス
若い女性教師と男子生徒の肉体関係を目撃した、老女性教師を描いた作品。
独身の老女性教師、バーバラ(ジュディ・デンチ)の勤める高校に、美しい女性教師、シーバ(ケイト・ブランシェット)が赴任する。バーバラは日記を書き続けており、奔放そうな彼女に目をしかめつつあることを日記に記しながらも、彼女と仲良くなることを喜ぶ。
ところがある日、シーバが教え子のコナリー(アンドリュー・シンプソン)と密かに抱き合っている姿を目撃する。バーバラはシーバを問い詰めるが、彼女がありのままを告白するうち、バーバラにはシーバの支配欲が芽生え始める。バーバラは、シーバの不祥事を秘密にすることをシーバに約束する。
シーバには年の離れた夫がおり、子供も二人いた。バーバラはシーバと家族ぐるみのつきあいを始めるが、次第に、シーバが自分より家族を優先することが許せなくなっていく。バーバラは、自分の飼い猫の亡骸を病院に引き取りにいく付き添いをシーバに頼むが、シーバはダウン症の息子の演劇を見に行くことを優先したため、バーバラの怒りは頂点に達する。バーバラは、同僚にシーバが生徒と関係を持ったことをほのめかし、噂はあっという間に広まる。事件はマスコミ沙汰となる。
バーバラの友人に対する偏執的な束縛の意識は、これが初めてではなかった。彼女は以前にも、自分が親友と位置づけた相手を一方的に束縛しようとし、相手は精神に異常を来し、弁護士から相手に近づかないよう言い渡される過去を持っていた。バーバラは不祥事を恐れる校長にこのことを知られ、教職を辞職させられる。シーバはバーバラが職を失ったことに同情するが、やがてシーバは、一時的に身を置いていたバーバラの家で、彼女の日記の書き損じを見つける。そこには、バーバラがシーバのことをさげすんでいる文章が記されていた。シーバは半狂乱になってバーバラの日記を探し出し、彼女の本性を知る。シーバはバーバラのもとを去り、家族とやり直すことを決意する。バーバラはシーバを失うが、また新たな若い女性を見つけ、接近するのだった。
大物俳優2人の共演が魅力の作品。良識ある人物として描かれている主人公が事件に巻き込まれるが、実は常軌を逸しているのは主人公だった、という展開は、「ハイド・アンド・シーク 暗闇のかくれんぼ」や「シークレット・ウィンドウ」、「ビューティフル・マインド」など、いくつもある。「シックス・センス」もそのパターンだ。本作は、主人公が日記を書き続けている人物という設定が、普通は日記を書き続けている人というのはまじめで地道な努力のできる人なので、主人公は良識ある人物である、というミスリードに一役買っていると言える。
しかしある意味では、日記などという、一般的には価値を生み出さないものに労力を割ける人というのは、他の人に比べて、何か偏執的な要素があるという考え方もできるだろう。
・・・などと、こんなブログを書いている自分も推して知るべしなのだった。
【5段階評価】4
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