(1005) 刑事物語3 潮騒の詩
【監督】杉村六郎
【出演】武田鉄矢、沢口靖子、星由里子、夏木陽介
【制作】1984年、日本
お人好しの刑事、片山元(はじめ)が主人公の作品、「刑事物語」シリーズの第三弾。今回の舞台は長崎県の五島列島。「刑事物語2 りんごの詩」の続編。
暴力団組長を殺害した犯人逮捕のため、実家のある五島列島で張り込みをすることになった片山(武田鉄矢)。犯人の仁科(夏木陽介)の母親(木暮実千代)が経営するスナックに張り込んでいた片山は、仁科に一人娘がいると聞き、彼女の住む島に向かう。一人娘の海子(沢口靖子)は、民宿を営む母親の清子(星百合子)と二人暮らし。片山は、張り込みをするはずが、ひょんなことから、身分を偽って旅館のアルバイトをすることになる。父親が死んだと聞かされていた海子は片山になつき、進路相談の書類の父親の欄に片山の名を書くが、片山はそれを消しゴムで消す。
清子の民宿に暴力団の一味が現れ、仁科の居場所を言うよう清子を脅迫。片山は得意の蟷螂拳で一味を撃退するが、そのことで刑事であることがばれてしまう。海子は片山の裏切りに傷つく。
仁科は密かに清子に連絡を取り、離れ小島で清子に再会するが、それを追った片山は仁科に手錠をかけようとする。仁科は片山を振り切って断崖から飛び降りようとし、「俺の勝手にさせてくれ」と言うが、片山は仁科を殴り、「勝手にさせない! 清子さんはおまえのことを17年間、待ってたんだ! うみちゃんは、海子さんは、進学のための家庭調査票の父親の欄、白いまま笑って我慢してんだ! おまえ分かってんのかあ! 」と叫ぶ。片山は仁科に家族と一晩過ごさせた後、手錠をかけ、連行する。突然現れた父親に戸惑う海子だったが、船に乗って岸から離れていく父親に「お父さ~ん! 」と何度も叫ぶのだった。
断崖での片山の仁科への台詞が胸を打つ。これだけでもう、評価は4点。沢口靖子の初々しい演技も作品にみずみずしさを添えている。彼女が片山への恋愛感情ではなく、父親への憧れを抱くところも、脚本が暴走していなくて好感が持てた。
【5段階評価】4
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