(918) ジェネラル・ルージュの凱旋
【監督】中村義洋
【出演】竹内結子、堺雅人、阿部寛、高嶋政伸、尾美としのり、羽田美智子
【制作】2009年、日本
海堂尊原作小説の映画化作品。「チーム・バチスタの栄光」の続編。
救命救急センター長の速見(堺雅人)は、徹底的に急患を受け付ける方針の持ち主で、ジェネラル・ルージュという異名を持っていた。それは、顔に患者の血を浴びてもひるまず治療を続けた「血まみれ将軍」から来たとも噂されていたが、真相は謎だった。センターに所属する佐藤(山本太郎)は速見の方針に反感を持っており、看護師の如月(貫地谷しほり)も、花房看護師長(羽田美智子)から厳しい指導を受けていた。そんな中、倫理委員長の田口公子(竹内結子)のもとに、速見が医療メーカーのメディカル・アーツと癒着しており、花房は共犯だという告発文が届く。
高階院長(國村隼)の指示により、内定を進めた田口は、速見がメディカル・アーツの社員、磯部(正名僕蔵)から怪しげな紙袋を受け取っているのを目撃。磯部は、田口にソフトボール大会の写真が収まったCD-Rを渡すが、その後、謎の転落死を遂げる。
そこに、田口が受け取ったのとほぼ同じ告発文を手にした厚生労働省の官僚、白鳥圭輔(阿部寛)が現れる。彼は、田口に送られた手書きの告発文の差出人が花房であることを見抜く。倫理委員会副委員長の沼田(高嶋政伸)は臨時委員会を立ち上げ、速見らを召喚する。速見はあっさりとメディカル・アーツとの癒着を認めるが、それは経費のない救命救急センターの赤字補填のためだったと話し、救命救急医療を軽視する病院の体制を痛烈に批判。花房は全ての領収書を保管しており、それを確認すれば速見の個人的な横領はない、と速見の証言を支持する。それでも速見の行為を犯罪だと主張する沼田に、速見は辞表をたたきつける。それを見ていた佐藤は、組織運営の面では三歳児のような速見は懲戒免職にすべきだと主張。沼田も正式に懲戒免職を要求するが、そこに白鳥が割って入る。彼は、田口が殺された磯部から受け取ったCD-Rに遺されていた録音を再生。それは、沼田と事務長の三船(尾美としのり)の密会の内容を盗聴したものだった。二人は、金儲けのために救急医療と小児科を極限まで圧縮して精神外来を伸ばそうとしており、沼田は磯部に速見の弱みを探るよう指示していたのだ。
そのとき、突然、全員の携帯が鳴り出す。病院の近くで大事故が起き、大量の急患が運び込まれることが確実となったのだ。高階は速見に全権を委任。速見は急患の判別を佐藤に任せる。落ち着いているかに見えた速見だったが、実は緊張で顔面蒼白だった。その速見に、現場の責任者が青い顔をしていてはいけないと、花房がそっと口紅を手渡す。これがジェネラル・ルージュという異名の真相だったのだ。
磯部を殺したのは、沼田の腹心の医者、小峰(林泰文)だった。彼は、磯部の盗聴に気づき、沼田の野望実現のため、磯部をヘリポートから突き落としていたのだった。小峰はそのことを沼田に告白するが、沼田は驚き、彼を警察に引き渡そうとする。小峰は沼田に襲いかかるが、そこにいかついリハビリ係(長江英和)を連れた白鳥が現れ、小峰は取り押さえられる。
速見の辞表は退けられ、田口の計らいにより、地方の病院に転勤となる。速見と花房はともに生きていくことを決意するのだった。
前作に比べてはるかにストーリーのできがよく、病院の内情を重層的に描いた秀作だった。唯一、田口になぜ磯部の録音が渡ったのかが不明だったのは残念だった。前作に登場した佐野史郎や玉山鉄二がちょこっと出演するのも、ファンとしては嬉しい演出。
【5段階評価】4
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