(713) ア・フュー・グッドメン
【監督】ロブ・ライナー
【出演】トム・クルーズ、デミ・ムーア、ジャック・ニコルソン
【制作】1992年、アメリカ
キューバの米軍基地で起きた暴行事件を扱う弁護士の奮闘を描いた作品。
ドーソン上等兵(ウォルフガング・ボディソン)とダウニー一等兵(ジェームズ・マーシャル)という若い兵士2名が、深夜、就寝中のサンティアゴ(マイケル・ドロレンツォ)を暴行し、殺害するという事件が起きる。二人の被疑者の弁護を引き受けることになったキャフィ(トム・クルーズ)は、同僚のサム(ケビン・ポラック)、内務課のジョー(デミ・ムーア)とともに、真実を追う。
基地には、行動を乱す者に対する暴力的制裁、通称「コードレッド」がまかり通っており、基地の大佐、ジェセップ(ジャック・ニコルソン)は、転籍を望んで内部告発文書を各方面に送っていたサンティアゴへの制裁のため、制止しようとするマーキンソン(J・T・ウォルシュ)を威嚇し、ケンドリック(キーファー・サザーランド)経由でコードレッドを指令していた。
被告の二人がケンドリックからコードレッドの指令を受けたと聞いたキャフィだったが、物証はなく、一時は終身刑になるより6ヶ月の有罪を選べ、と二人に告げる。しかし、ドーソンは、自分は忠実に命令を実行しただけで、その誇りを汚すことはできないと強く主張。キャフィと激しく対立する。
そして罪状認否の日。キャフィはドーソンらの証言だけを頼りに、二人が無罪であると主張。検察側に宣戦布告する。キャフィら3人は、必死で調査を続け、失踪していたマーキンソンも彼らに接触。しかし、証言台に立つ直前、マーキンソンは部下を守れなかった責任感から自殺してしまう。
キャフィはとうとう、ジェセップ大佐を証言台に立てる。ジェセップは、自分はサンティアゴの命を守るため、彼を転籍をさせようとしており、コードレッドなど指令していないと証言。キャフィは彼に、軍の規律に対する持論を展開させる。軍隊において命令は絶対であり、自分の指揮下で命令は遵守されていた、と。その上で、キャフィは、ではなぜ、サンティアゴは転籍させる必要があったのか、と問う。サンティアゴに手出しをするな、という指示があれば彼は安全だったではないか、と。ジェセップの論理にほころびが生じ、キャフィの挑発に乗って、ジェセップはとうとう、裁判長や検事のジャック(ケビン・ベーコン)の制止も聞かず、「自分がコードレッドを指令した」と叫んでしまう。
結果、ジェセップは逮捕され、ドーソンとダウニーは、サンティアゴの殺害に関しては無罪となる。しかし、二人は同時に、軍の規律を破ったという罪で除隊されてしまう。憤るダウニーだったが、ドーソンは、自分たちは弱者を守らなければならなかったのだ、と軍の規律に背いたという罪を受け入れる。キャフィはそんなドーソンに深い敬意を表し、ドーソンとキャフィは、互いを認め合う敬礼を交わすのだった。
トム・クルーズの演技にはいつも魅せられる。法廷のシーンでも、毒殺と診断した医師の誤診を暴いたり、転籍の望みがかなったはずのサンティアゴが何の準備もせずに寝ていたことの矛盾を突くなど、迫力ある展開に引き込まれる。法廷ものの名作の一つと言えるだろう。
【5段階評価】4
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