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2012年1月31日 (火)

(678) HACHI 約束の犬

【監督】ラッセ・ハルストレム
【出演】リチャード・ギア、ジョアン・アレン
【制作】2008年、アメリカ

日本人なら誰でも知っている、忠犬ハチ公の話を、舞台を海外に移して描いた作品。

大学教授のパーカー(リチャード・ギア)はある日、駅で迷子になっている子犬の秋田犬を拾い、落とし主か飼い主が見つかるまで、その犬を預かることにする。妻のケイト(ジョアン・アレン)は飼うことに反対するが、パーカーが相好を崩して犬と戯れる姿にほだされ、飼うことを認める。
パーカーは、日系の友人、ケン(ケリー・ヒロユキ・タガワ)から、子犬が首に付けているタグに、漢字の「八」の字が刻まれていること、そして、エサやボール遊びなどに媚びない誇り高い犬であることを教わる。子犬は「ハチ」と名付けられ、パーカーの愛情を受けて成長する。やがてハチは、パーカーの出勤時は駅までお供をし、17時には、駅の前でパーカーの帰りを待つようになる。
娘のアンディ(サラ・ローマー)の結婚、出産と、おめでたいことが続き、パーカーにとって幸せな日々がハチとともに過ぎていく。そんなある日、いつものようにパーカーが出社しようとすると、付いてくるはずのハチが庭から出ようとしない。パーカーは諦めて一人で駅に向かうが、ハチは、それまでパーカーがボール遊びをさせようとしても見向きもしなかったボールをくわえて、その後を追う。
ハチは駅でパーカーに追いつく。パーカーはハチがボールをくわえていることに気づき、「そうだよ、これがやりたかったんだよ」と言いながら、ボールを放り投げて取ってこさせるという遊びをする。しかし、仕事があるため、ハチに別れを告げて電車に乗り込む。ハチは、黙ってそれを見送るしかなかった。
その日のパーカーの講義。いつものように冗談を交えながら生徒達に話しかける教授は、その話の途中、急に生徒達の席に近づくと、どっかりと腰を下ろす。そして、どうしたのかな、というような力のない苦笑いを浮かべると、そのまま床に倒れ込んでしまう。パーカーの最期だった。
ハチは、その日もずっと駅でパーカーを待っていたが、当然のことながらパーカーは現れず、アンディの夫のマイケル(ロビー・コリアー・サブレット)が車で家に連れて行く。
夫のことを思い出すのがつらいケイトは、家を手放すことにし、ハチは、アンディの家で飼われることになる。しかし、ハチはスキを見て家を飛び出し、駅の前のいつもの位置で、パーカーを待つのだった。
パーカーとハチの仲のよさを知っていた町の人たちも、ハチにパーカーの身に起きた不幸を伝えるすべはなく、悲しくも温かく見守るしかなかった。一度はハチを連れて帰ったアンディ夫婦だったが、アンディはハチのやりたいようにさせようと、庭の扉を開け放つ。
ハチはそれから、操車場で寝泊まりし、夕方からはパーカーの帰りを待つという暮らしを送るようになる。そしてある冬の夜、ハチはパーカーとの楽しかった思い出とともに、静かに眠りに就く。まるで、パーカーが、ようやくハチを迎えに来てくれたかのようであった。

全編を通して、静かに物語は展開する。序盤から流れる、少し場違いな悲しげなBGMが、この先の不幸を暗示し、ハチが知恵を絞ってパーカーを引き留めようとするけなげな行動が観る者の胸を打つ。いい映画だった。

【5段階評価】4

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