(639) 孤高のメス
【監督】成島出
【出演】堤真一、夏川結衣
【制作】2010年、日本
患者を救うために奮闘する孤高の医師を、彼をサポートする看護師の視点から描いた作品。
地方病院の看護師、仲村浪子(夏川結衣)は、技術力が低く、いいかげんな医療に嫌気がさしていた。そんな病院に、極めて高い手術の技術力を持つ、当麻鉄彦(堤真一)が赴任する。彼は、難しい手術を次々と成功させ、仲間の信頼を得ていき、浪子も彼の役に立ちたい一心で、手術の勉強に力を入れるようになる。
そんなとき、市長が肝臓の異変により倒れる。助けるためには生体肝移植が必要であり、交通事故で脳死状態になった若者の肝臓に焦点が当たる。日本の法制度の下では脳死による移植は認められていなかったが、当麻は手術を敢行。手術は成功するが、彼は責任を取り、病院を後にするのだった。
「マディソン郡の橋」と同様に、遺族の子供が母親の日記を見る形で話が進行。手術のシーンは、内臓の映像や、役者達の会話も非常にリアルで、無理なく映画にのめり込むことができる。堤真一の抑え気味の演技が、主人公の崇高さをうまく表現していた。
本作のハイライトは、一見、脳死状態の患者を提供者とした生体肝移植の是非にあるように見えるが、本作の趣旨は、法で認められていない手術を行ったことのすごさではなく、あくまでも医師、当麻の、患者を救いたいという純粋な気持ちにあると言えるだろう。
【5段階評価】4
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