(632) 男はつらいよ
【監督】山田洋次
【出演】渥美清、倍賞千恵子、光本幸子、前田吟
【制作】1969年、日本
言わずとしれた、我が国のシリーズもの映画の金字塔、「男はつらいよ」シリーズの第1作である。
面白いことに、この作品だけで、車寅次郎(渥美清)の妹、さくら(倍賞千恵子)が結婚して子どもをもうけるまでの数年間が描かれている。後のシリーズを考えれば、絶対に小出しにしそうなネタが、この作品だけで一気に展開しており、そういう意味では豪華な内容だ。
結婚式の最後で、博(前田吟)の父(志村喬)がするスピーチも涙もの。
本作の見どころは何と言っても、渥美清の気っぷのいい啖呵。小気味よい台詞回しにはホレボレする。「蒲田行進曲」の銀ちゃんにも感じたことだが、人間的には、自分勝手で短気なところもあり、決して万人受けするわけではないのに(自分もおそらく、本当に知り合いだったら苦手なタイプだろうなという気がする)、非常に魅力的な存在である。
きれいな女性と懇意になるが、結局相手には意中の人がいて振られるという、本シリーズの定番となる展開も、分かりやすく描かれている。
ところで、博の父、「飈一郎」は、結局なんて読むのか、作品では分からないままだった。こういうところをいい加減にしておく演出は好きだ。
【5段階評価】4
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