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2011年7月11日 (月)

(493) ヒトラーの贋札

【監督】シュテファン・ルツォビツキー
【出演】カール・マルコビックス、アウグスト・ディール、デーフィト・シュトリーゾフ
【制作】2007年、ドイツ、オーストリア

第二次世界大戦中のドイツが、米英の通貨偽造を企んだ事件を扱った作品。原作者は、本作の登場人物でもあるアドルフ・ブルガー。しかし作品は、ブルガーではなく、贋札作りの名人、サロモン・ソロビッチの視点で描かれている。

話は、ありあまる金を持ち、カジノで連戦連勝する男の回想として始まる。戦争ものでは定番のオープニングである。
この男は、紙幣や身分証偽造の名人、サロモン・ソロビッチ(カール・マルコビックス)だった。おとり捜査にひっかかって捕まった彼は、その後、ユダヤ人として強制収容所に入れられる。そこには、かつて彼を捕まえた警察官、ヘルツォーク少佐(デーフィト・シュトリーゾフ)がおり、彼に特別な任務を与える。それは、敵国の経済を混乱させるため、大量の贋札を作ることだった。彼は様々なユダヤ人の技術者が集められた収容所内の施設で、贋札作りに手を染めることになる。
いつ命を奪われるか分からない収容所にいて、彼らの待遇は特別だった。彼らは努力の末、ポンド紙幣の偽造に成功する。次の使命はドル紙幣の偽造だった。しかし、仲間の一人、アドルフ・ブルガー(アウグスト・ディール)は、贋札作りをサボタージュすることが、自分たちにできる唯一の抵抗だ、と告げ、ドル紙幣作りを妨害する。ヘルツォーク少佐は、贋札作りを急がなければ、技術者を殺すと脅す。焦った仲間達は、殉死者気取りのブルガーをドイツ軍に差しだそうとするが、ソロビッチは決して仲間の告げ口を許さない。贋札作りは間に合わず、もはやこれまでか、と思われたときに、ソロビッチはぎりぎり贋札作りを間に合わせ、ヘルツォークに完成品を差し出す。
その後、戦況が変わり、ドイツの敗戦が濃厚となる。贋札を手に逃げようとするヘルツォーク少佐を見つけたソロビッチは、彼につかみかかり、彼の銃を奪うが、結局、彼を見逃す。収容所はユダヤ人達の手によって解放される。

贋札事件を通じてユダヤ人の迫害を描いており、「戦場のピアニスト」と似た印象を持った。働きが悪いと射殺され、結核にかかると感染を防ぐために殺される。理不尽な殺戮が公然と行われる収容所の様子が、戦争の狂気を物語る。

【5段階評価】4

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