(441) L.A.コンフィデンシャル
【監督】カーティス・ハンソン
【出演】ガイ・ピアース、ラッセル・クロウ、ケビン・スペイシー、キム・ベイシンガー
【制作】1997年、アメリカ
ロス市警内の犯罪を描いたクライム・サスペンス。
エド・エクスリー(ガイ・ピアース)は不正の嫌いなまじめな刑事だったが、同じ職場には、有無を言わさず強姦魔を撃ち殺すバド・ホワイト(ラッセル・クロウ)や、刑事ドラマの演出をしながら、新聞社の男に情報を横流しして賄賂を受け取っているジャック・ビンセンス(ケビン・スペイシー)のような不真面目な警官もいた。
ある日、ロスのコーヒーショップ、ナイト・アウルで、現職警官を含む6人がショットガンで殺害される凶悪事件が発生。前科のある黒人三人組の仕業と思われたが、彼らは拘留中に逃走を図ったあげく、隠れているところを殺人課に転職したエドに見つかる。黒人三人の尋問をしていたエドは、彼らが殺人はしていないという確証を得ていたが、抵抗されて仲間の警官を撃ち殺されたため、彼らを殺害してしまう。
真犯人は別にいると考えたエドは、ジャックに協力を求める。ジャックは、なぜそこまで真実にこだわるのか、とエドに尋ねた。エドは、「ロロ・トマシ」と告げる。エドの父親は警官だったが、非番の時に銃弾6発を浴びせられて殺されていた。犯人は今もつかまっておらず、エドはその犯人に「ロロ・トマシ」と勝手に名付け、ロロ・トマシを捕まえること、つまり、真犯人を野放しにしないことこそが、自分が刑事になった理由だと告げる。それを聞いたジャックは、エドへの協力を承諾する。
ジャックは、元刑事の汚職を追ううち、上司のダドリー・スミス警部(ジェームズ・クロムウェル)の関与に気づき、彼のもとを訪ねる。ジャックは汚職の件について話し始めるが、ダドリーは、話の途中で突然ジャックの胸を銃で撃ち抜く。ジャックが真相に近づきすぎたため、有無を言わさずに命を奪うことにしたのだ。ダドリーが不敵な顔で「最後に言いたいことは」とジャックに尋ねると、虫の息のジャックは、にやりとしながら、「ロロ・トマシ」と言って、そのまま絶命する。
翌日、何食わぬ顔でジャック殺害事件の指揮を執るダドリーは、エドに声を掛ける。彼は「ロロ・トマシを知っているか」とエドに尋ねた。ジャックにしか言っていないことを尋ねてきたダドリー。エドは、ダドリーがジャックに接触していたことを確信する。
エドは、新聞屋の罠(ひいてはダドリーの罠)によって、バドが愛する娼婦、リン(キム・ベイシンガー)と肉体関係を持ってしまう。ダドリーのたくらみにより、それを知らされたバドは、逆上してエドのもとに殴り込んでくる。エドは、ダドリーの罠だと言うことを気づかせると、ダドリーこそが諸悪の根源であると説得し、二人でダドリーを捉えようとする。しかし、ダドリーの手下に囲まれ、廃モーテルで集中砲火を浴びる。激しい銃撃戦の末、残ったのはエドとダドリーだった。
ダドリーは、出世欲の強いエドは、自分を撃ち殺さないだろうと考え、「俺が説明してやるから」と言って、パトカーが集まりつつある廃屋から外に出るが、エドは容赦なくダドリーを後ろから撃ち殺す。ダドリーは、エドが刑事部に移りたいと希望を述べたとき、こう言っていたのだ。「野放しになりそうな重罪人を背後から撃てるか」と。肉体派ではないエドに、刑事部は不向きだと告げようとしたダドリーだったが、皮肉にもエドは、ダドリーを背後から撃つことで自らの適性を証明したのだった。
本作では、その後のエドの供述シーンを通じて、事件の全容が明らかになる。この作りは分かりやすく、親切だ。話が若干ややこしいのと、中盤で黒幕がダドリーであることが明かされるので、大きなどんでん返しがないところは、少々残念な気もするが、素晴らしい俳優陣により、見応えのある作品になっている。
警察の汚職を扱う映画は、「セルピコ」や「交渉人」、邦画では「笑う警官」など数多いが、本作は、その代表作と言えるだろう。
【5段階評価】4
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