(239) 嫌われ松子の一生
【監督】中島哲也
【出演】中谷美紀、瑛太
【制作】2006年、日本
きわめて不幸な境遇の女性、川尻松子(中谷美紀)の一生をコミカルに描いた作品。松子の甥・笙(しょう)(瑛太)が関係者の話を聞きながら、松子の生涯をなぞるという形で展開する。ところどころミュージカル映画のような、あるいはコミカルなCMのような、独特の演出がなされている。
映画には通常、物語の展開上、必要な説明的な場面、緩急で言えば緩い部分というのがどうしてもあり、ここがともすると映画を退屈なものにするのだが、この映画にはそれがない。全編を通して、飽きさせない徹底的なサービス精神が貫かれている。説明調になるところは、ミュージカル仕立てにしたりしている。ちょっとした謎解き(松子はなぜ、名刺を握りしめたまま河川敷で死んでいたのか)もあり、それなりに楽しめた。
中島監督は、俳優陣に非常に厳しい人であるらしく、主演の中谷美紀さんはそれがつらくて現場から逃げたこともあったとか。個人的には、他人を罵倒し、びびらせて、やる気を引き出す、というやり方は好きではないが、中島監督がこの映画でやりたかったことは、いかんなく発揮されているのだろうと思う。この映画を見るのは2回目だったが、2回目も楽しめた。5に近い4点。
【5段階評価】4
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